ヒカルの碁

ヒカルの碁

進藤ヒカルが、彼に取り憑いた棋士の幽霊・藤原佐為とともに、囲碁を通じて多くの人と関わり合いながら成長していく姿を描く。原作はほったゆみ。第45回小学館漫画賞、第7回手塚治虫文化賞新生賞受賞。

正式名称
ヒカルの碁
ふりがな
ひかるのご
原作者
ほった ゆみ
漫画
ジャンル
囲碁
レーベル
集英社文庫(コミック版)(集英社)
巻数
既刊12巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

祖父の蔵を覗いていた進藤ヒカルは、蔵の中にあった囲碁盤に宿っていた幽霊・藤原佐為に憑り憑かれてしまう。生前、天才と謳われた囲碁の棋士だった佐為は、ヒカルに囲碁を打たせてほしいと訴える。囲碁を打つため仕方なく近所の碁会所に向かったヒカルは、そこで同学年の少年・塔矢アキラと出会い、彼に対戦を申し出る。実はアキラはプロ棋士・塔矢行洋を父親に持つ囲碁の天才少年だったが、佐為に指示されるがままに囲碁を打ったヒカルは、アキラに勝利を収める。アキラはその悔しさを忘れられず、ヒカルに再戦を申し込み、同時にヒカルが囲碁に対し軽率な発言をした事に怒りをあらわにする。結果、ヒカルは佐為の指示を受けつつ、本気になったアキラをまたも完膚なきまでに負かし、これにより火がついたアキラは、打倒ヒカルを目標にするのだった。

第2巻

区立葉瀬中学校の創立祭に出かけた進藤ヒカルは、将棋部の加賀鉄男と囲碁で勝負する事になった。そこで藤原佐為の力を借りて類まれな囲碁の実力を見せつけたヒカルは、鉄男の提案で小学生であるにもかかわらず中学校の囲碁大会に選手として出場する事になる。そこでヒカルはいい機会だからと、佐為の力を借りずに大会に出る事を決意する。そんなヒカルに哲男は、この大会で勝てなければ囲碁部は学校による認可を受けられないとウソをつく。それを鵜呑みにしたヒカルは考えを変えて佐為の力を借り、大会での優勝を勝ち取るのだった。しかしヒカルがまだ小学生だった事が発覚し、失格となってしまう。その後、小学校を卒業したヒカルは、区立葉世中学校に進学して囲碁部に入部する。一方、ヒカルとの再戦を望んでいた塔矢アキラは彼と囲碁を打つために区立葉世中学校を訪れるが、ヒカルからは勝負はしないと言われてしまう。そこでアキラは私立海王中学校の囲碁部に入部し、大会でヒカルと対戦しようと考える。

第3巻

私立海王中学校囲碁部の伊藤は、塔矢アキラを負かそうと卑怯な手を使って勝負を仕掛けるが、それでもアキラには歯が立たず、囲碁部から退部する事を決めてしまう。アキラはその圧倒的な才能で部内に不和を引き起こすが、進藤ヒカルと対戦するためと割り切り、逆風の中、囲碁部に在籍する事に固執する。一方、ヒカルは大会に出場するため、部員集めに奔走していた。三谷祐輝が囲碁が強いと知ったヒカルは彼を勧誘するが、ヒカルは祐輝が小遣い稼ぎのために碁会所で賭け碁のイカサマを行っている事を知る。ヒカルが咎めても、祐輝は賭け碁でのイカサマをやめようとはしなかったが、ある時、祐輝はダケさんに賭け碁で負けて1万円を奪われてしまう。それを知ったヒカルがダケさんを囲碁で負かして、祐輝の1万円を取り返し、祐輝はヒカルへの借りを返すために、囲碁部への入部を決める。

第4巻

中学校対抗の囲碁団体戦に出場した進藤ヒカル塔矢アキラの囲碁に懸ける思いを知り、対戦が実現する。だが勝負の最中、自らの力がどの程度なのか試したくなったヒカルは、藤原佐為に頼る事なく自分で囲碁を打ち始める。そのヒカルの実力にアキラは大きな失望を覚え、結果ヒカルは大敗を喫する事となる。その後、インターネットを利用して囲碁が打てる事を知ったヒカルは、これなら佐為の正体を隠して囲碁を思い切り打たせてやれると考え、「sai」というハンドルネームでインターネット碁を始めた。すると瞬く間に「sai」の実力はインターネット上で知れ渡り、その正体が誰なのかと話題が広がっていく。そんな中、興味を持ったアキラは「sai」との対局に臨む。そして「sai」の打ち方から、アキラはその正体がヒカルなのではないかと疑い始める。

第5巻

塔矢アキラはプロ試験の初戦を休み、インターネットを通して「sai」との対局に臨んだ。対局中、アキラは「sai」の正体を進藤ヒカルだと疑っていたが、「sai」の実力は以前感じた以上のものだった。藤原佐為はインターネット碁を通して現代の定石を学ぶうちに、さらなる成長を遂げていたのである。さらにヒカルもまた、佐為の打つ碁を間近で見ているうちに、成長を遂げていく。そんな中、ヒカルがインターネット喫茶にいると知ったアキラは、「sai」なのかどうかを確かめるために彼のもとへと向かう。結果、アキラに正体がばれずにすんだものの、ヒカルは「sai」の正体について大騒ぎになっている事を知り、インターネットでの碁をやめる事にする。一方でヒカルは、佐為の幻影ばかりを追うアキラに対抗心をあらわにし、彼を目標に定める。そしてアキラと同じく囲碁のプロを目指すべく、プロ養成機関の院生になる事を決意する。しかし、院生になれば部活動での大会に出られなくなる事を知り、ヒカルは迷い始める。

第6巻

進藤ヒカルは試験に合格し、院生となった。その際に塔矢アキラとの因縁について口を滑らせた事で、ヒカルは院生全員から注目を浴びる事となった。しかも、ヒカルは院生との対局で連敗を喫してしまう。さらに私立海王中学校岸本薫ですら、院生内での成績は下位レベルだったと知ったヒカルは、ここでやっていけるのかと不安を抱き始める。一方、囲碁のプロとなった塔矢アキラは、座間との対局を迎えていた。座間は記念対局という事もあり本気の勝負をしないつもりでいたが、アキラの生意気な態度を見て、彼を叩き潰そうと考えを改める。しかし座間の予想に反し、アキラは初段であるにもかかわらず類まれな実力を発揮する。王座のタイトルを持つプロ棋士として負けられない座間は、アキラの予想だにしない手を打って彼の動揺を誘い、からくも勝利を収めるのだった。

第7巻

院生と若手プロが対局するイベント「若獅子戦」に出場すれば、塔矢アキラと戦えると知った進藤ヒカルは、その対局への出場を目標に定めた。しかし、若獅子戦に出場するには院生の中で上位16名に入らなければならない。ヒカルは、和谷義高の紹介で森下茂男の研究会に参加し、着実に力をつけていく。それでも院生での対局で敗北する事が多いヒカルは、自分に足りないものについて悩んでいた。そんな彼に藤原佐為は、自分といつも囲碁を打っているせいで、急所に打たれる事に対して必要以上に恐れを抱いているのだと指摘する。これを聞いたヒカルは、恐れを捨てて盤上に挑むよう心がけ、ついに院生の中でも上位のグループであるA組に所属する事となる。そこで義高と対局する事になったヒカルは、うっかり自分が「sai」である事をほのめかすような発言をしてしまう。これに動揺した義高を破ったヒカルはさらに勝率を上げ、ついに若獅子戦への出場権を得る。

第8巻

進藤ヒカルはプロ試験の予選に出場する事になった。しかし、ヒカルは初戦で当たる事となった椿俊郎を前にして萎縮してしまい、すっかり調子を崩していた。さらにヒカルは俊郎に敗北した事を引き摺ってしまい、次の対局でも敗北を喫する。もうあとがないヒカルは、少しでもいつもの調子で囲碁を打てるようにと、俊郎と会わないように会場に入る時間を遅らせる。その作戦や対局相手が気心の知れた人物であった事も功を奏して、ようやくヒカルは本来の調子を取り戻す。さらにその勢いで次戦を白星で飾り、最終局は不戦勝でプロ試験の予選を突破する。その話をヒカルから聞いた和谷義高は、ヒカルの経験不足を心配していっしょに特訓をしようと誘う。そして、ヒカルと義高、伊角慎一郎の三人は近所にある碁会所に通って、そこで腕試しをする事になった。

第9巻

進藤ヒカル和谷義高伊角慎一郎といっしょに碁会所の客を相手に団体戦での勝負を仕掛け、勝利をもぎ取った。すると義高が次はハンデ戦で碁会所の客と勝負をしようと言い出し、これにも勝利を収める。団体戦の雰囲気を気に入ったヒカルは、楽しみながらも囲碁の実戦を重ね強さを増していく。一方、塔矢アキラは囲碁の仕事として、都議会議員・栗本正助の指導碁を行う事になった。だが、アキラは周囲の人達から、正助には負けてあげてほしいと頼まれる。しかしアキラは正助の囲碁に対する醜い態度を見て、考えを改める。そして、アキラは正助ら四人との同時対局で、すべて持碁にするという離れ業を見せる事により溜飲を下げる。その頃、ヒカル達は碁会所の客の紹介で、韓国人が多く集う碁会所へと足を運んだ。しかし、ヒカルは韓国人の囲碁の実力を知らなかった事から、そこで軽率な発言をしてみんなを怒らせてしまう。さらにヒカルはそこにいた洪秀英とちょっとしたいさかいを起こし、囲碁で決着をつける事になる。その結果、ヒカルは周囲のみんなが目を見張るような巧手を打ち、秀英から勝利をもぎ取る。

第10巻

第7戦で進藤ヒカルは、椿俊郎との対局を迎えていた。俊郎はヒカルに対して対局前からプレッシャーを与えようとするも、調子を取り戻したヒカルには通用しなかった。その態度を見た俊郎は、ヒカルが予選時と比べて成長を遂げている事を実感する。そして、ヒカルは俊郎にも勝利を収め、連勝を伸ばし続けていた。一方、塔矢アキラは今のヒカルの棋力を気にしていた。そこでアキラは越智康介の指導碁を引き受ける事により、彼の棋力を確かめようとする。しかし、康介は対戦している自分よりもヒカルの事を気にするアキラに気分を害してしまい、彼を家から追い出してしまう。結果、アキラはヒカルの今の実力を確かめる事ができなかった。その後、ヒカルは一敗こそ喫したものの、上位の成績を保ったまま伊角慎一郎との対局を迎える事になった。しかし、ヒカルとの対局の途中で慎一郎がちょっとしたミスにより反則を犯してしまう。そこで両者は勝利を欲するが故に、その反則を口にするか迷ってしまう。結局は慎一郎が自ら降参した事でヒカルの勝利に終わるが、その一局がもとで両者は調子を崩してしまう。

第11巻

プロ試験終盤を迎える中、越智康介は一足早く合格が決定した。しかし、康介は塔矢アキラが強烈に意識している進藤ヒカルに勝つ事を今の目標に掲げていた。一方、ヒカルはプロ試験での合格を目前にしている和谷義高との対局を迎える。そこでヒカルは義高を相手に劣勢に立たされるが、そこから巧手を重ねる事で劣勢を挽回して勝利をもぎ取る。その後、康介はアキラによる指導を受けつつ、最終戦のヒカルとの対局に備えていた。そして康介との対局を迎えたヒカルは、康介がアキラから指導を受けていた事を知り、アキラが自分の実力を確かめたがっていた事を悟る。康介との一局に勝てばプロ試験を合格できるヒカルは、気合を入れて康介との対局に臨む。結果、ヒカルは見事に勝利を収め、合格者はヒカル、義高、康介の三人となった。ヒカルがプロ試験に合格した事を知ったアキラは、彼との対局を待ち望んでいた。

第12巻

プロ試験で不合格となった伊角慎一郎は、そのショックから院生や九星会を辞めてしまう。和谷義高はその事を院生師範に問いかけるも、彼からはそっとしておくようにと諭される。その後、プロ棋士となった進藤ヒカルは新初段シリーズに出場する事となり、塔矢行洋との対局が行われる事となった。すると、藤原佐為が行洋との対局では自分に打たせてほしいと願い出る。しかし、新初段シリーズでは格上の棋士にハンデが設けられるため、このまま打てば佐為の圧勝になってしまうと、ヒカルは佐為の申し出を断る。それでも佐為は頑として引かず、仕方なくヒカルは佐為に行洋を上回るハンデを設けて対局をさせる事にする。結局、佐為は行洋を相手に大敗を喫してしまうが、行洋は佐為がハンデを負って打っている事に気づき、次はハンデなしに打ちたいと告げる。その後、ヒカルはハンデ戦により大敗を喫した佐為の気晴らしのために、アマチュア囲碁フェスティバルに足を運んだ。そこでプロ棋士の御器曽本因坊秀策のサイン入りと偽って碁盤を販売している事を知り、佐為は怒りをあらわにする。

第13巻

新入段の免状授与式の日を迎えた進藤ヒカルは、塔矢アキラと顔を合わせるも無視されてしまう。憤慨するヒカルだったが、のちのデビュー戦でアキラとの対局を控えている事を知る。アキラがこの対局を知ったうえで無視したのだと悟ったヒカルは、アキラとの対局を心待ちにする。しかし、その対局日にアキラの父親・塔矢行洋が心筋梗塞で倒れてしまい、アキラは対局には姿を見せなかった。その後、藤原佐為が行洋の体調を心配したため、ヒカルは行洋の病室を訪れる。そこで行洋がインターネットで碁を打っている事を知ったヒカルは、行洋に「sai」との対局をお願いしたいと頼み込む。それを承諾した行洋だったが、「sai」の実力を知らない行洋は気晴らし程度の対局を考えていた。そこでヒカルは行洋に真剣に打ってほしいと頼むと、行洋は負けたらプロ棋士を引退すると宣言。もし行洋が引退すれば大騒ぎになると慌てるヒカルだったが、一方の佐為は行洋との真剣勝負を望める事に喜んでいた。そして、「sai」と行洋とのインターネット対局が実現する中、インターネット上では再び「sai」が現れたと大騒ぎになる。

第14巻

藤原佐為塔矢行洋はインターネット対局を行い、その結果佐為が勝利を収める。一方、緒方精次塔矢アキラは行洋が面会謝絶を申し出たうえで「sai」との対局を行っていた事から、「sai」と進藤ヒカルにはつながりがあると見抜いていた。その頃、ヒカルと佐為は行洋と佐為との対局を検討していた。すると、勝利に終わった佐為に負け筋があった事をヒカルが見つけ出す。それにより佐為はヒカルにこの一局を見せるため、神が自分を長い歳月この世に留まらせていた事を悟るのだった。それを知った事で佐為は自分がもうすぐ消えゆく存在であると実感する。そんな中、ヒカルは行洋の病室に訪れて、引退の真意を確かめようとする。すると、行洋はそれには答えず、もう一度「sai」と対局させてほしいとヒカルに願い出る。しかし、佐為はもうすぐ消える運命を悟っており、行洋との再戦は望めないだろうと考えていた。さらに佐為は僅かな時間しか残っていない事から、これからの未来があるヒカルに対して嫉妬心をあらわにしてしまう。一方、囲碁界では行洋が引退すると電撃発表をした事により衝撃が走っていた。

第15巻

藤原佐為進藤ヒカルに対して満足に挨拶もできないままに成仏を遂げ、彼の前から姿を消してしまう。一方、ヒカルは突然佐為が消えた事に動揺して方々を探し回るが、彼の姿はどこにもなかった。そこでヒカルは本因坊秀策のゆかりの地を訪ねるため、広島県の尾道市に向かう。そこで石切神社にある秀策記念館や彼の墓などを回るが、佐為の姿はどこにもなかった。そこで東京に戻って再度佐為を探そうと決意したヒカルは、棋院会館を訪れて秀策の棋譜を発見する。それを読むにつれ、ヒカルは佐為がいかに天才だったかを思い知り、佐為にもっと囲碁を打たせてやればよかったと後悔の涙を流す。そして、ヒカルは佐為が戻って来るまで自分は囲碁を打たないと誓い、対局も無断で欠席してしまう。すると、ヒカルが対局に現れない事を心配した塔矢アキラが彼に会うために、学校まで押しかけて来る。しかし、ヒカルの決意は変わる事はなく、アキラにもう囲碁は打たないと告げるのだった。

第16巻

伊角慎一郎は九星会の棋士達数人といっしょに中国棋院に赴き、中国の棋士達と囲碁の親善試合を行っていた。しかし慎一郎は、中国の棋士達相手に惨敗を喫してしまう。その結果に納得できない慎一郎は、一人中国に残って囲碁の特訓をする事に決めた。そんな中、慎一郎は幼い少年の楽平と対局する事になる。しかし慎一郎は、彼の幼い容姿に油断した事から、彼にも敗北を喫してしまう。それにより慎一郎は、自らの囲碁に対して自信を失ってしまう。そんな慎一郎は楊海に声を掛けられて、彼の部屋に泊めてもらう事になった。そこで慎一郎が平に負けた事を話すと、海は慎一郎の実力を確かめるために囲碁を打ちたいと申し出る。その対局結果、慎一郎の実力を把握した海は、慎一郎には感情のコントールを制御する必要があると告げる。2か月後、日本に帰国した慎一郎は、進藤ヒカルが囲碁を打っていない事を知る。そして、慎一郎はヒカルの自宅に赴き、彼との対局を願い出る。

第17巻

伊角慎一郎と対局を行った進藤ヒカルは、自分の打つ囲碁の中に藤原佐為の面影がある事に気づく。それにより、佐為と会うための方法が囲碁を打つ事だと悟ったヒカルは、また囲碁を打つ事を決意する。これによりヒカルは対局に姿を見せ始め、次々と勝利を重ねていく。そして、ヒカル塔矢アキラとの対局がついに実現。そこでヒカルは2年4か月ぶりに自らの実力をアキラに見せる事となる。アキラはヒカルの実力に対し、高段の棋士達と変わらぬ手ごたえを感じていた。そして、ヒカルを生涯のライバルだと認めたアキラは、ヒカルの棋風の中に「sai」の面影がある事に気づく。そしてアキラは対局の昼食休憩中、ヒカルにその事を伝える。一方、ヒカルは自分以外にも佐為の存在に気づいてくれた人物がいた事を嬉しく思うのだった。その対局の結果、ヒカルはアキラに敗北するが、自分の中で確かな手応えを感じていた。

第18巻

塔矢アキラは小学生の頃、自分に並ぶ実力を持つ同い年の棋士がいない事を不満に思っていた。アキラはライバルがいないまま、漫然とプロの道を歩んでしまう事に不安を感じていたのだ。一方、「子ども名人戦」で優勝を飾った磯部秀樹は、その会場で自分よりもアキラの方がずっと強いと言われている事に不満を感じていた。そんな中、秀樹はアキラが駅前の碁会所によく姿を見せると知り、彼に勝負を挑むためにその碁会所を訪れる。そこで自信満々に勝負を仕掛けた秀樹だったが、すぐにアキラの実力の高さを思い知らされる事になる。一方、アキラは彼の棋力が自分の期待していたものでなかった事に落胆してしまう。そこでアキラは漠然とした不安など気にせずに、早くプロになる事を決意する。そんな中、アキラは進藤ヒカルと出会い、彼の棋力に打ちのめされる事となる。そして、アキラは打倒ヒカルを目標に掲げ、努力を重ねていく。

第19巻

進藤ヒカルは、塔矢アキラと囲碁での活発な議論を交わす仲になっていたが、自分は低段者としか対局ができない事にもどかしさを感じており、実力のある棋士達と早く対局がしたいと考えていた。そんな中、ヒカルは日中韓でのジュニア団体戦「北斗杯」が行われる事を耳にする。これを実力のある若手棋士と戦える機会だと喜んだヒカルはその事をアキラに話すと、アキラは北斗杯の予選が免除されていると口にする。そこでヒカルは、まずアキラと対等な立場に立つために、北斗杯の予選を突破する事を目標とする。そしてヒカルは、ようやく高段者との対局の日を迎える。しかし、ヒカルが対局する事になった相手は、以前ヒカルといさかいを起こした棋士・御器曽だった。彼が未だに本因坊秀策の名を利用して詐欺を行っていると知ったヒカルは、藤原佐為のためにも負けられないと、強い決意で対局に臨む。

第20巻

進藤ヒカルは新初段シリーズの対局の見学に向かう中、門脇龍彦に呼び止められて囲碁の対局をする事になった。龍彦との対局は二度目となるヒカルだったが、以前龍彦と対局した時は藤原佐為の手助けによるものだった。そのため、ヒカルは佐為と自分が比べられる事にプレッシャーを感じつつも、龍彦との対局で勝利を収める。一方、龍彦はヒカルの実力を認めつつも、以前の対局の時の方が強かったと感じていた。それを龍彦がヒカルに伝えると、ヒカルは自分もそう思うと素直な言葉を口にする。その後、ヒカルは研究会の先生である森下茂男と対局する事になった。森下相手にも臆すことないヒカルだったが、森下による打ち回しを前にしてヒカルは翻弄されてしまう。そこで森下から発破を掛けられたヒカルは、さらなる決意を胸に気持ちを新たにする。それから月日が経って中学校を卒業したヒカルは、北斗杯の予選の日を迎えた。そこで1回戦を勝ち上がったヒカルは、2回戦で関西棋士の雄・社清春と対局する事になる。そこで清春は普通では考えられない一手目を打ち、それに負けじとヒカルもまた、周囲を驚かせる一手を打つ。

第21巻

進藤ヒカル社清春の対局は、ヒカルの勝利に終わった。一方、和谷義高越智康介の対局は康介の勝利に終わり、北斗杯の出場メンバーはヒカルと康介に決まる。しかし、康介よりも予選での敗退が決まった清春の方が囲碁センスにおいて上回っているのは、誰の目から見ても明らかだった。康介は清春よりも自分の方が北斗杯のメンバーに相応しい事を証明するため、彼との対局を望むが、その対局で敗北を喫してしまい、北斗杯のメンバーは予選を免除されている塔矢アキラとヒカル、清春に決まる。「週刊碁」の編集者・古瀬村は、北斗杯の取材の一環として韓国棋院に立ち寄っていた。しかし、訪問日を1日間違えてしまったため、その日韓国棋院には通訳がいなかった。そのため、高永夏本因坊秀策を侮っていると勘違いした古瀬村は、永夏を高慢な人物だと思い込んでしまう。さらに古瀬村はその話をヒカルに伝えてしまい、ヒカルは永夏に対して敵愾心を持つ。そこでヒカルは永夏と対局したいと考え、韓国戦だけでも自分を北斗杯の大将にしてほしいと主張する。

第22巻

北斗杯のレセプションが行われる中、進藤ヒカル洪秀英高永夏の二人を見かける。そこで秀英と話したヒカルは、永夏が本因坊秀策を侮っているいるのかと尋ねる。秀英はヒカルが誤った情報を信じている事を知り、その誤解を解こうとするが、永夏は勘違いされているならそれでいいと口にする。永夏はヒカルの敵愾心をさらに煽るため、選手代表挨拶の場でヒカルの勘違いを促すような発言をする。それによりヒカルは永夏から宣戦布告を受けたと考え、自分を韓国戦の大将にしてほしいと、改めて倉田厚に願い出る。すると、厚は明日の中国戦での成績次第で、ヒカルを韓国戦で大将にするかどうか考えると告げる。ヒカルは気合十分で中国戦に臨むが、その気合が裏目に出てしまい対局の序盤で大きなリードを許してしまう。そんな中、ヒカルは中盤で気持ちを新たにして、勝ち目の薄い勝負を仕掛ける。そこでヒカルは怒涛の追い上げを見せるが、接戦の末、中国の副将に敗北を喫してしまう。しかし、ヒカルのその追い上げを見て成長を感じ取った厚は、ヒカルを韓国戦の大将にする事を決める。

第23巻

北斗杯の韓国戦大将が進藤ヒカルになると明かされると、会場に押し掛けたファンのあいだから非難が殺到する。しかし、倉田厚高永夏との対局はヒカルにとって必要な一戦だと考えており、大将をヒカルから変えるつもりはなかった。そして、大盤解説を担当した渡辺は、ヒカルに期待を込めて彼らの対局を中心に解説を進めていく。そんな中、永夏は予想を遥かに超えるヒカルの棋力を前に、序盤は押され気味に進む。しかし、永夏もヒカルに自らの実力を見せつけ、勝負は白熱していく。一方、副将となった塔矢アキラはヒカルに負けじと強気の手を打ち、勝利を手中に収めようとしていた。だが、三将となった社清春は相手に序盤でリードを許して、そのまま敗北を喫してしまう。その結果、団体戦の勝負の行方はヒカルと永夏に託された。結果、僅かな差で永夏に軍配が上がる。藤原佐為の強さを証明できなかったと悔しがるヒカルに対して、永夏はなぜそんなにも本因坊秀策にこだわるのかと尋ねる。するとヒカルは、遠い過去と遠い未来をつなげるために自分は囲碁を打っていると語るのだった。

登場人物・キャラクター

進藤 ヒカル (しんどう ひかる)

物語開始時は小学6年生。藤原佐為に取り憑かれたことがきっかけで初めて囲碁に触れる。当初は藤原佐為の強い望みに従い囲碁を打っていたが、ライバルとなる塔矢アキラとの出会いなどを通じて自身も囲碁の魅力に目覚め、同時にその才能をも開花させていく。区立葉瀬中学校囲碁部に所属していたが、中学2年で院生となるために退部。 のち塔矢アキラと並んで注目を集める若手プロ棋士となる。前髪だけ金髪の髪型が特徴。やんちゃで勉強嫌い、やや礼儀知らず。

藤崎 あかり (ふじさき あかり)

進藤ヒカルの幼なじみで、初登場時小学6年生。区立葉瀬中学校に入学後、進藤ヒカルを追う形で囲碁部に入部した。明るく素直な性格。

藤原 佐為 (ふじわら の さい)

平安時代の天才棋士。神の一手を極めるため、死後も現世に執着しており、江戸時代に幽霊となって現れた際は本因坊秀策に取り憑いていた。長い黒髪に烏帽子をかぶった直衣姿の男性。姿や声は進藤ヒカルしか感知できず、自身では物質に触れることもできない。物語開始からしばらくは進藤ヒカルの体を借りる形で囲碁を打っていたが、進藤ヒカルが実力をつけ始めてからは彼の師のような立場となる。 塔矢行洋をライバル視する。喜怒哀楽を素直に表現する、純粋な性格。

塔矢 アキラ (とうや あきら)

進藤ヒカルと同い年で、初登場時は小学6年生。神の一手に最も近い男とされるプロ棋士・塔矢行洋を父に持ち、2歳から囲碁の英才教育を受けてきた生粋のエリート。天才少年棋士として早くから注目を集める。進藤ヒカルを介した藤原佐為との対局で敗北して以来、進藤ヒカルをライバル視するようになる。 私立海王中学校在学中にプロ棋士となった。黒髪のおかっぱ頭をしている。

塔矢 行洋 (とうや こうよう)

塔矢アキラの父で、囲碁界の頂点に君臨するプロ棋士。神の一手に最も近い男とされ、藤原佐為からライバル視されるようになる。ネット碁で藤原佐為に敗北した際にプロ棋士を引退、中国のリーグ戦に参加するなど、東アジア全体を視野に入れて活発に動くようになる。

緒方 精次 (おがた せいじ)

プロ棋士で、初登場時は九段。塔矢行洋門下で塔矢アキラの兄弟子。眼鏡をかけており、黒っぽいシャツに白いスーツをよく着用する。クールを装っているが、挑発に乗りやすく負けず嫌いな性格。酒好き。進藤ヒカルを介して藤原佐為が打った囲碁や、その言動に初期から注目する。

和谷 義高 (わや よしたか)

進藤ヒカルの一つ年上の院生であり、のちにともにプロ試験に合格する棋士仲間となる。面倒見の良い性格で、囲碁界に無知で実戦の経験も少ない進藤ヒカルを何かと気にかける兄貴分だが、自分の実力は進藤ヒカルに敵わないことを徐々に実感するようになる。

伊角 慎一郎 (いすみ しんいちろう)

進藤ヒカルより4歳年上で、初登場時は18歳の院生。年長者ということもあり落ち着いた性格で、院生仲間からも慕われる。充分な実力を持ちながら精神面の弱さを補いきれず、毎年プロ試験に落ち続けていたが、中国での修業を経て成長し、プロ棋士となる。

加賀 鉄男 (かが てつお)

進藤ヒカルより2つ年上で、初登場時は区立葉瀬中学校の2年生だが、煙草を吸っている。父親の意向で幼少時から囲碁を習い、囲碁部の誰よりも囲碁が強かったが、本人は将棋が好きであり、将棋部の部長を務めている。傍若無人だが思い切りの良い性格で、囲碁部を辞め、プロへの道を歩みだすことをためらう進藤ヒカルの背中を押した。

三谷 祐輝 (みたに ゆうき)

進藤ヒカルと同い年で、初登場時は区立葉瀬中学校の1年生。碁会所で大人相手に賭け碁でイカサマをして稼いでいたが、見かねた店の人間に厳しく懲らしめられていたところを進藤ヒカルに助けられたことがきっかけで、囲碁部に顔を出し始める。囲碁の実力は高く、進藤ヒカルが腕を上げるまでは囲碁部で最も強かった。 茶色っぽい髪に猫目が特徴。ややひねくれた性格。

筒井 公宏 (つつい きみひろ)

進藤ヒカルより2歳年上で、初登場時は中学2年生。囲碁の実力はさほど高くはないが、区立葉瀬中学校で一人で囲碁部を立ち上げた。眼鏡をかけており、おとなしい性格。

倉田 厚 (くらた あつし)

20代前半のプロ棋士。自信家でビッグマウスだが囲碁の実力は確かで、名前の初登場時は四段だったが、のちに七段まで昇段した。北斗杯では進藤ヒカルらを団長として率いた。大食漢で太っている。

越智 康介 (おち こうすけ)

進藤ヒカルより1歳年下で、初登場時は院生、のちにプロ棋士となる。裕福な家庭に育ち、祖父の影響で囲碁を始めた。自宅にプロ棋士を招いて指導を受けるなど、恵まれた環境で囲碁の実力をつける。非常にプライドが高く、対局で負けるとトイレに閉じこもる癖がある。小柄で眼鏡をかけており、キノコのような髪型をしている。

社 清春 (やしろ きよはる)

進藤ヒカルと同い年の、関西のプロ棋士の拠点である関西棋院所属の棋士。生まれは東京だが大阪で育ち、関西弁を使う。対局では定石と異なる奇手を使うことが多い。高校を卒業することをプロになることの条件として父親から提示されたため、進藤ヒカルらと異なり高校に通っている。進藤ヒカル、塔矢アキラとともに北斗杯の日本代表として戦った。

洪 秀英 (ほん すよん)

進藤ヒカルより1つ年下の韓国人の少年。初登場時は韓国の院生である研究生だった。スランプ中に日本に来ていた際、韓国人の集う碁会所を訪ねた進藤ヒカルと対局し敗北したことをきっかけに闘志を取り戻し、のちにプロ棋士となった。後頭部を刈り上げたおかっぱ頭をしている。

高 永夏 (こ よんは)

進藤ヒカルより1歳年上の韓国人の少年。赤みがかった色の長髪で長身の美男子だが、やや高慢な性格。本因坊秀策をバカにしたと誤解されたことがきっかけで進藤ヒカルから敵視され、北斗杯で進藤ヒカルと対局する。

楊海 (やんはい)

中国トップクラスのプロ棋士。語学に長けており、日本語、韓国語を話すことができる。気のいい性格で、伊角慎一郎が中国に修業に行った際に彼の面倒を見た。北斗杯では中国代表選手を団長として率いる。

本因坊 秀策 (ほんいんぼう しゅうさく)

藤原佐為が江戸時代に現れた際に取り憑いた棋士。賢く優しい性格で、流行病にかかった人々を介抱するうちに自身も感染し、夭折した。モデルは実在の棋士である本因坊秀策で、『ヒカルの碁』においては、彼の打った囲碁は全て藤原佐為の指示の元に打ったものとされている。

日高 由梨 (ひだか ゆり)

私立海王中学校に通っている女子。囲碁部に所属している。茶髪をショートヘアにしている。入部して来た塔矢アキラとだけ打ちたがるミーハーな一面を持つ一方で、アキラがいじめられているのを助ける強い正義感を持つ。アキラをいじめている奥村や伊藤を目撃した際は、厳格な態度で苦言を呈した。その後もアキラがいじめられていた事を気にしており、部長の岸本薫に解決策を相談していた。

伊藤 (いとう)

私立海王中学校に通っている男子。囲碁部に所属している。塔矢アキラよりも一つ上の学年。黒髪を七三分けにしている。囲碁部で騒がれているアキラを目障りだと考えており、アキラを貶めようと、目隠し碁の勝負を持ちかける。しかし、アキラにはあっさりと敗北。さらに、これらのいじめが日高由梨に目撃された事もあり、囲碁部を退部した。

(しゅう)

碁会所「囲碁さらん」を経営している男性。白髪で口髭を生やし、眼鏡をかけた細身の老人。息子や孫と折り合いが悪いため、碁会所に通う三谷祐輝の事をかわいがっている。祐輝が賭け碁でのイカサマで金を稼いでいる事には気づいているが、それを指摘して彼に嫌われたくないと考えている。そこで祐輝にお灸を据えるため、ダケさんに祐輝への対応を依頼した。

森下 しげ子 (もりした しげこ)

森下茂男の娘。小学生で、黒髪をショートヘアにしている。プロ棋士を父親に持っているが、囲碁に関してはまったく興味がない。茂雄のもとに通っている弟子達とは交流を持っており、和谷義高とも仲がいい。また、茂雄の弟子達がプロ棋士となったり、昇段した際には、それに乗じて高価なケーキなどを奢ってもらっている。義高がプロ棋士となった際は、銀座にある高級洋菓子店でケーキを奢ってもらっていた。

上島 (うえしま)

区立葉瀬中学校に通う男子。進藤ヒカルよりも二つ下の学年。黒髪の短髪で、ひょろっとした細身の体型。もともと陸上部に所属していたが、関節を痛めて退部した際に、矢部から勧誘を受けて囲碁部の見学にやって来る。父親と頻繁に囲碁を打っていた事から、矢部からは多大な期待を寄せられていた。しかし、父親と頻繁に囲碁を打っているだけで、その実力は岡村よりも下。団体戦のメンバーを賭けて岡村と勝負し敗北を喫すが、あまり悔しそうな態度を見せていなかった。

森下 茂男 (もりした しげお)

囲碁のプロ棋士である男性。黒髪の短髪で、細目のいかつい顔をしている。棋士としてはベテランで、タイトルへの挑戦経験もある実力者。段位は九段。また、数多くの弟子を抱えており、同期である塔矢行洋の抱える塔矢門下の棋士達に対しては、ライバル意識を持つようにと弟子達に教えている。研究会では進藤ヒカルの面倒も見ており、彼の底知れない才能に対して、自身のどの弟子よりも筋がいいと評価している。ヒカルがプロ棋士となってからの対局では、勢いのある若手棋士と認めたうえで、勝負師としての貫禄を見せつけて勝利を収めた。

周平 (しゅうへい)

アマチュア囲碁棋士の男性。第22回国際アマチュア囲碁カップ日本代表。広島県因島市在住。黒髪の短髪で、いかつい外見をしている。広島カープの大ファンで、広島カープを軽視する発言をした河合に対して賭け碁の勝負を仕掛けた。さらに河合との対戦に勝利したのち、進藤ヒカルとも対局を行っている。ヒカルの新初段シリーズでの塔矢行洋との対局を見ていたため、プロ棋士であるが大した棋力はないと軽視していた。しかし、早碁を打つヒカルの読みの深さに圧倒されて、敗北を喫している。その後はヒカルの事を気に入り、彼の活躍に期待を寄せている。

芦原 弘幸 (あしわら ひろゆき)

囲碁のプロ棋士である男性。塔矢行洋の弟子。段位は四段。癖のある黒髪で、優男風の外見をしている。明るく能天気な性格をしているため、森下茂男の門下達からライバル視されているものの、それをまったく気にしていない。塔矢アキラを弟のようにかわいがっており、進藤ヒカルと出会う前のアキラに、同世代のライバルがいない事を心配していた。囲碁の棋力はプロとしてはまだまだで、プロ棋士となったばかりのアキラとの対局で3回に2回勝つ程度。行洋からはいつまで低段リーグで甘んじているのかと、叱責を受けている。

椿 俊郎 (つばき としろう)

アマチュアの囲碁棋士の男性。受験資格ギリギリの年齢でプロ試験を受験しようとしている。黒髪の短髪で、顎鬚を生やしている。大雑把な性格で、非常に声が大きい。プロ試験予選に出場した際は、その声の大きさで進藤ヒカルの動揺を誘った。それによりヒカルには苦手意識を持たれ、「ヒゲゴジラ」というあだ名を付けられている。椿俊郎自身には周囲を威圧している自覚はなく、完全に天然での行いであった。その後、プロ試験予選を突破して、プロ試験を受験する事になった。その際は受験者の中でも上位の成績をキープしていたが、さらにその上をいく越智康介やヒカルらに一歩及ばなかった。さらにプロ試験の終盤、和谷義高との対局での敗北で不合格になると察した。その後、ヒカルにプロになるのは任せたと発破をかけ、プロになったヒカルの成績も気にしている。しかし、ヒカルが不戦敗を続ける事を知り、対戦成績の載っていた新聞を投げ捨てていた。

厚の先生 (あつしのせんせい)

教育実習時に倉田厚の在籍していたクラスを担当していた男性。担当教科は英語。競馬が趣味で、当時競馬を趣味としていた厚となかよくなった。そこで厚の競馬に対する読みの深さを知り、彼を利用して大金を稼ごうとしていた。教育実習が終わってからも厚を頼って競馬場に足繁く通うが、その時には厚は囲碁に熱中していたために競馬場で再び会う事はなかった。その8年後、厚が囲碁のプロになったと知り、厚が囲碁と出会わなければ今頃大金持ちになっていたのにと、愚痴をこぼしている。

本田 敏則 (ほんだ としのり)

プロ棋士を目指している院生所属の少年。年齢は進藤ヒカルの三つ上。金髪で、顔にはそばかすがある。院生の中では上位の実力を持ち、ヒカルとはプロ試験で成績上位を争っていた。そこでのプロ試験で、ヒカルと対局して勝利を収めている。しかし、その対局ではヒカルの実力を実感しており、彼の成長の速さに驚愕していた。結局、その年にはプロ試験に合格する事は叶わなかったが、その翌年に伊角慎一郎らと共に合格し、晴れてプロ棋士となった。しかし若手の和谷義高、越智康介と比べて、自分の実力が今一つである事に焦りを感じていた。進藤ヒカルとの対局では覚えたての打ち筋を試してみたものの、ヒカルの棋力を前に敗れてしまう。しかし師匠からは、まだまだこれからだと励まされており、一生勉強していくつもりでプロの道を歩んでいこうと決意を新たにしている。

奥村 (おくむら)

私立海王中学校に通っている男子。囲碁部に所属している。塔矢アキラとは同学年。囲碁部で一番強いとされているアキラを相手に一泡吹かせようと、真似碁での引き分けに持ち込もうと画策する。しかし、アキラからはうまくかわわされ、あっさりと敗北を喫してしまう。その後、伊藤らと協力してアキラを貶めようと、目隠し碁の勝負を持ちかける。その際、あまりにもお粗末な打ち方だった事から、アキラの記憶のリズムを狂わせる事となり、予想以上に苦しめた。

奈瀬 明日美 (なせ あすみ)

プロ棋士を目指している院生所属の少女。年齢は進藤ヒカルよりも二つ上。黒髪をショートヘアにしている。勝気で、サバサバとした性格の持ち主。棋力は院生の中では上位をキープしているが、和谷義高や越智康介と比べると若干劣っている。ヒカル達がプロ試験を受けていた年も受験しており、そこでの成績は13勝14敗で不合格となった。その後、年下のヒカルや義高、康介らがプロになった事で自信を喪失してしまい、院生を辞めようかと考えていた。そこで院生研修をサボって、友人から紹介された男子とデートを楽しんでいた。そこで彼にいいところを見せようと碁会所に行き、大人達相手に勝利を収めるが、その男子には引かれてしまう。その経験から普通の男子と付き合うのは難しいと考え、しばらく院生でいる事を決意する。

揚 海 (やん はい)

中国で囲碁のプロ棋士をしている男性。段位は八段。黒髪の短髪で、細身の体型をしている。語学が趣味である事から、日本語、韓国語、中国語などを流暢に話す事ができる。その語学力を活かして通訳をする事も可能で、倉田厚からは通訳要らずの便利な人物だと認識されている。食べ物に関しては四川が一番うまいと考えている。コンピュータで行なう囲碁の見識が深く、インターネット碁を嗜んでいるほか、コンピュータでの囲碁の研究を進めている。スポンサーを募って本格的な研究に着手しており、パソコンから神の一手が生まれると、コンピュータ囲碁への大きな可能性を感じている。しかし、棋士仲間からはコンピュータに頼り過ぎのため、所属チームが敗北すると言われていた。ちなみに揚海自身の勝率は非常に高い。伊角慎一郎が中国にやって来た際は、彼の棋力を認めたうえで部屋にこっそり泊まる事を許可している。北斗杯では中国の団長を務めていた。

古瀬村 (こせむら)

囲碁雑誌「週間碁」の編集者をしている男性。黒髪の短髪で、出っ歯が特徴。やや小柄な体型をしている。お調子者な性格で、早とちりをする事が多いため、よくトラブルを招いている。取材のため、北斗杯が開催される前に韓国棋院を訪れている。しかし、取材予定日を間違えてしまった事で、その日の韓国棋院には通訳がおらず、片言の日本語しかしゃべれない人物を通して高永夏の話を聞いた。さらに永夏が本因坊秀策を馬鹿にしていると勘違いしたうえに、それを進藤ヒカルに伝えた事で両者の対立を招く事になった。その後も自分のミスに気づく事はなく、韓国のチームに対して悪感情を持っていた。

フランク

アマチュア囲碁棋士の男性。第19回、第20回の国際アマチュア囲碁カップではオランダ代表に選出されている。金髪で、ふくよかな体型をしている。普段は大学教授の助手を生業としているが、仕事そっちのけで囲碁教室の運営に携わるほど囲碁に熱中している。また、インターネットを通した碁を嗜んでおり、「sai」と対局をして大差で敗れている。「sai」が日本のプロ棋士だと考えていたが、誰が相手でも対局を行う「sai」を見てプロ棋士ではないと考えを改めた。そして、「sai」の正体が誰なのかを知るために、出場した国際アマチュア囲碁カップの会場で「sai」の正体を関係者に尋ねていた。その後、「sai」と塔矢行洋が対局しているのを友人からの電話で知り、深夜であるにもかかわらず観戦していた。

ダケさん

アマチュア囲碁棋士の男性。囲碁や麻雀の代打ちを生業にしている。黒髪の短髪で、ふくよかな体型をしている。スケベな性格で、若い女性と遊ぶ事が大好き。囲碁の棋力が非常に高く、イカサマの手際もいい。そこで修からの連絡を受け、イカサマでの賭け碁で金を稼いでいる三谷祐輝への対応を依頼された。当初、祐輝にヘボの打ち手だと思い込ませたうえで、1万円の賭け碁を持ち掛け、乗って来た祐輝を負かして1万円を奪った。しかしその後、祐輝の1万円を賭けて進藤ヒカルと対局。藤原佐為が指示するヒカルによって完敗を喫して、1万円を支払った。

河合 (かわい)

タクシー運転手をしている男性。碁会所「道玄坂」の常連客。外はねした短髪の黒髪で、顎鬚を生やし、サングラスをかけている。自らを不良社員だと称するなど自堕落な生活を送っているが、面倒見のいい性格をしている。進藤ヒカルが団体戦のために「道玄坂」を訪れた際は、「道玄坂」側の三将を務めてヒカルと対局をしている。しかし、ヒカルを相手に三子を置くハンデをもらっても、勝利する事ができなかった。その後、ヒカルの事を気に入り、彼が来店する度に嬉しそうな表情を浮かべている。また、ヒカルが本因坊秀策のゆかりの地を訪れたいと申し出た際は、彼と共に広島県尾道市まで付き合った。プロ棋士になったヒカルにも大きな期待を寄せており、北斗杯開催の際は会場まで行って彼の応援をしている。その際、ヒカルに否定的な意見を言った客に摑みかかっていた。

村上 信一 (むらかみ しんいち)

囲碁のプロ棋士である男性。段位は二段。黒髪で、眼鏡をかけている。若獅子戦の1回戦で院生の進藤ヒカルと対局している。プロ棋士としての技量はそれほど高くはなく、藤原佐為からは、序盤の組み立ては院生にいる棋士達と大差ないと思われていた。ヒカルの打った巧手によりリードを許してしまうが、終盤の寄せでヒカルを圧倒して勝利を収めた。その対局の模様を2回戦で当たる対局者の塔矢アキラにより詳しく質問されるが、ヒカルばかりを気にするアキラに怒りを覚えて突っぱねた。その事からアキラ戦に闘争心を燃やすが、2回戦ではあっさりとアキラに敗北した。その後、大手合の対局でプロとなったヒカルとの対局を行う事になる。その際はアキラのライバルだと謳われているヒカルを警戒して堅く打つ事を目指したが、成長したヒカルの棋力を前にして敗北を喫している。

青木 (あおき)

私立海王中学校に通っている男子。囲碁部に所属している。塔矢アキラよりも二つ上の学年。黒髪の短髪で、大柄な体格をしている。囲碁部の部員達からの信頼も厚く、面倒見のいい優しい先輩だと後輩からは評されていた。囲碁部では3番目の棋力を誇る実力者で、団体戦の三将に抜擢されるはずだった。圧倒的な実力を誇るアキラが入部して来た事で対局を申し出たが、完敗してしまう。直後、アキラに対して勉強になったと言い残し、静かに部室から姿を消した。

相川 (あいかわ)

北斗通信社に勤めている女性。北斗杯での担当業務を務めている。黒髪をショートヘアにしている。非常にミーハーな性格をしており、北斗杯が開催されるにあたっては当初、日本チームのみを応援していた。しかし、趙石や高永夏のイケメンぶりを間近で見る事でファンとなり、彼らの事も応援するようになった。最終的には日本のみならず、中国や韓国など北斗杯に出場する全チームを応援するようになった。

桑原 仁

囲碁のプロ棋士である老齢の男性。禿頭で、腰が曲がっている。段位は九段。「本因坊」のタイトルを保持しており、本因坊戦での連続防衛記録を伸ばしている。対局の中でも本因坊戦には特に力を入れており、本因坊のタイトルは誰にも渡さないと自負している。ピークを過ぎて体力こそ衰えているものの、老獪な策謀や盤外戦術などを得意としており、本因坊戦での挑戦者となった緒方精次に対しては、「封じ手」を使った盤外戦術を仕掛ける事で動揺を誘い、勝利を収めた。進藤ヒカルと初めて会った際に、彼からただならぬ気配を感じた事から、以来ヒカルに期待している。新初段シリーズにおけるヒカルと塔矢行洋戦では、ヒカルの勝利に1万円を賭けている。結果、ヒカルは敗北するものの、その対局でのヒカルのただならぬ打ち方の真意に気づいており、ヒカルへの評価を下げる事はなかった。

矢部 (やべ)

区立葉瀬中学校に通う男子。進藤ヒカルよりも二つ下の学年。黒髪の短髪で、七三分けにしている。入学直後、囲碁部にプロ棋士がいると聞きつけ、部活場所である理科室を訪れた。しかしヒカルは既に部員ではないと知り、囲碁部に入る気をなくした。さらにその後、小池仁志と対局して彼の棋力の低さにがっかりするものの、入部すれば部長を譲ってもらえると聞いて、入部に対して積極的な姿勢を見せている。仁志よりも棋力が上であるが、それほどの大差はない。囲碁部に入部してからは仁志に遠慮して、部長の座を断っている。入部当初はあまり真剣な様子を見せていなかったが、のちに積極的に活動するようになる。

福井 雄太 (ふくい ゆうた)

プロ棋士を目指している院生所属の少年。年齢は進藤ヒカルよりも二つ下。黒髪の短髪で、ややふくよかな体格をしている。おっとりとした性格で、院生の中ではムードメーカー的な存在。院生の中で上位の成績をキープしているが、和谷義高や越智康介と比べると棋力が若干劣っている。しかし、義高とは相性がいいため、彼との対局では勝率がいい。またプロ試験では調子を落としていたとはいえ、伊角慎一郎に勝つなど格上相手に勝利を収める事があるほど勝負強い。早打ちを得意としているため、長考戦は苦手。若獅子戦に出場した際は、対局相手のプロ棋士からもっと時間を使って囲碁を打った方がいい、とアドバイスを受けている。

進藤 美津子 (しんどう みつこ)

進藤ヒカルの母親。黒髪のロングヘアで、後ろで髪を束ねている。小学6年生の時に突然、囲碁を始めたヒカルを不思議がっていた。その後、ヒカルが囲碁の棋力を急激にアップさせて院生に所属した時も、ヒカルの凄さをいまいち理解できなかった。ヒカルがプロ棋士の試験を受ける時は、ヒカルの変化に戸惑って進藤平八に相談を持ちかけている。ヒカルがプロ試験に合格してプロ棋士となった時は、彼の将来を相談するために和谷義高の母親にも相談を持ちかけている。その後、北斗杯に出場するヒカルの応援をするために会場まで出向いた。しかし、ヒカルが囲碁ファンからの批判を浴びている事に耐えきれず、すぐに会場をあとにしている。

座間 (ざま)

囲碁のプロ棋士である男性。「王座」のタイトルを持つ実力者。段位は九段。癖のある黒髪の短髪で、ふくよかな体格をしている。勝負どころでは、持っている扇子の先をかじる癖がある。新初段シリーズにおいて塔矢アキラと対局する事になり、当初は力を抜いた一局を打つ予定だった。しかし、アキラのかわいげのない態度を見て考えを改めた。その対局の序盤ではアキラに押され気味だったものの、一手で流れを変え、「王座」の貫禄を見せつけて勝利を収めている。その後、一度は塔矢行洋に敗れて「王座」を奪われてしまうが、その後タイトルの挑戦権を得て「王座」の座を取り戻している。さらにアキラとの2度目の対局でも勝利を収めたほか、緒方精次とは「本因坊」戦での挑戦者の座を賭けて最後まで争っていた。

栗本 正助 (くりもと しょうすけ)

東京都議員を務めている男性。黒髪の短髪で、ちょび髭を生やしており、恰幅のある体型をしている。「ふれあい囲碁まつり」の開催に際して尽力している一方、囲碁については趣味で少し打てる程度。囲碁の会場では碁石を踏んだり、碁盤の上にお茶の入っていたコップを置いたりするなど、粗暴な態度が目立った。「ふれあい囲碁まつり」では女流棋士の桜野千恵子と会えるのを楽しみにしていたが、急遽来れなくなった事に憤慨していた。その代わりとしてやって来た塔矢アキラに対しては、彼を軽視するような発言を連発した。その後、アキラと指導碁を打つ事になり、三子を置いての引き分けとなって気分をよくしている。のちにわざと引き分けにしていた事を知るが、アキラが四面持碁という離れ業をやってのけた事を知って驚愕していた。

渡辺 (わたなべ)

囲碁のプロ棋士である男性。段位は八段。黒髪にパーマをかけて、タラコ唇が特徴。北斗杯の予選から運営に携わっており、北斗杯本戦では会場での解説を務めた。進藤ヒカルと社清春での一戦を見て二人を高く評価しており、八段の自分の棋力でも勝てるかどうかわからないと感想を述べた。

安 太善 (あん てそん)

韓国で囲碁のプロ棋士をしている男性。段位は八段。癖のある黒髪で、優男風の外見をしている。温和な性格で、おっとりとした口調でしゃべる。国際試合では倉田厚を相手にして、勝利を収めるほどの実力者。北斗杯では韓国チームの団長を務めている。しかし、日本との諍いをわざと起こした高永夏の態度に頭を痛めていた。当初は日本チームを侮っていたが、彼らの棋力を間近で見て、脅威となるチームだと考えを改めている。

白川 道夫 (しらかわ みちお)

囲碁のプロ棋士である男性。森下茂男の弟子。段位は七段。癖のある黒髪で、眼鏡をかけた優男風の外見をしている。進藤ヒカルの家の近所で囲碁の教室を開いており、囲碁を覚えたてだったヒカルの指導を行った事がある。その後、ヒカルが茂男の研究会を訪れた際に再会。ヒカルの成長の速さに驚愕しつつも、彼の囲碁センスならば不可能ではないと語る。

一柳 (いちりゅう)

囲碁のプロ棋士である男性。「棋聖」のタイトルを持つ実力者。段位は九段。禿頭で、ふくよかな体格をしている。飄々とした性格をしている一方、かなりの負けず嫌いで、負けた際には顔を真っ赤にして悔しがっている。インターネットを通しての碁を嗜んでおり、「ichiryu」のハンドルネームで知られている。もともと「棋聖」のタイトルを所持していたが、今はタイトルを奪われている。「名人」のタイトル戦にも挑んだが敗北しており、さらに本因坊リーグでは塔矢アキラにも敗北している。そんな経緯もあり、周囲から最近は不調気味だと囁かれていた。

磯部 秀樹 (いそべ ひでき)

「子ども名人戦」の優勝者である小学生男子。癖のある黒髪で、短髪。小学生の中では抜きん出た囲碁の実力を誇り、知り合いの大人相手に指導碁なども行っている。「子ども名人戦」の表彰式で、自分よりも塔矢アキラの方が強いと噂されていた事を快く思っておらず、どちらの実力が上か確かめるために、アキラがよく通っている碁会所に姿を見せた。そして、アキラに対局を申し出るが、彼の実力が自分よりも圧倒的に上である事を思い知り、恥ずかしそうに碁会所を去って行った。

楽 平 (れぇ ぴん)

プロ棋士を目指して中国棋院に通っている13歳の少年。黒髪の短髪で、和谷義高に見た目が酷似している。生意気な性格で、いたずら好き。確かな囲碁の棋力を持っていながら、いまいち碁の勉強に真剣に取り組めていない。そのため実力にムラがあり、安定感に欠けている。同じ雲南省の出身である揚海から心配されており、もっと真剣に囲碁に取り組むよう叱責されている。伊角慎一郎が中国にやって来た際は、彼を相手に勝利を収めている。その事から当初、慎一郎を侮っており、海の提案で慎一郎とのリベンジマッチを引き受けた。そのリベンジマッチで慎一郎に敗北を喫した事から、彼に勝つために囲碁に真剣に取り組むようになった。また、腹を痛めた際に慎一郎の正露丸で治った事がきっかけで、彼となかよくなる。

岡村 (おかむら)

区立葉瀬中学校に通う男子。進藤ヒカルよりも二つ下の学年。黒髪の短髪で、眉が太い。将棋部に在籍していたが、囲碁部の見学に行くという矢部について来たあと、見学に訪れた卒業生の加賀鉄男と出会う。そこで囲碁部に入部する事を賭けて、鉄男と将棋で勝負をする事になった。結果、鉄男に敗北を喫してしまった事から、嫌々ながら囲碁部に入部する。その後、積極的に囲碁部での活動をする事なく、部室ではだらだらと過ごしていた。しかし、囲碁の団体戦に出場したいとは考えており、新たな部員候補である上島が来た際には、彼と団体戦メンバーを賭けた勝負を申し出ている。囲碁の棋力は大した事がなく、自信を持っていた将棋の実力も、鉄男相手に六枚落ちで敗北する程度。

正助の秘書 (しょうすけのひしょ)

栗本正助の秘書を務めている男性。金髪で、切れ長の瞳を持つ。「ふれあい囲碁まつり」での正助の粗暴な態度を、静かにフォローしていた。塔矢アキラを一泡吹かせてやろうと、三子を置かせてもらったうえで本気での勝負を持ち掛けたが、引き分けに終わっている。その後、アキラが同時に打っていた四面をわざと持碁に持ち込んだと知り、彼の実力に驚愕している。

天野 (あまの)

囲碁雑誌「週間碁」の編集者をしている男性。茶髪で、眼鏡をかけている。塔矢アキラの事を高く評価しており、彼に対して何度も取材を申し出ている。また、アキラや塔矢行洋、緒方精次が注目している進藤ヒカルに対しても徐々に評価するようになる。北斗杯ではヒカルの活躍をアキラと同様に期待するようになっていた。

(ゆん)

私立海王中学校で教師をしている男性。囲碁部の顧問を務めている。黒髪の短髪で、細目の韓国人。もともとは韓国で教鞭を取りつつ囲碁を教えていたが、日本の私立海王中学校に赴任して来た。そこで囲碁が盛況な韓国と変わらないほど熱心に囲碁に打ち込む生徒を見て興味を覚え、自らも積極的に囲碁を教える事で、私立海王中学校を囲碁の強豪校へと導いた。塔矢アキラが入部して来た際は、彼を団体戦の大将に抜擢した。その後、敵の三将の進藤ヒカルと対局したいというアキラの願いを聞き入れ、彼を三将に変更した。以前からヒカルの対局を目にしており、彼に対しても大きな期待を寄せていた。しかし、団体戦に出場していたヒカルの、以前とは比べられないほどお粗末な打ち方を目の当たりにして大いに失望する。その後、行きつけの碁会所にてヒカルが洪秀英と対戦している姿を目撃。そこでヒカルの類まれな才能を目の当たりにして、改めてヒカルを見直し、この時の対局の模様をアキラに伝えた。

林 日煥 (いむ いるふぁん)

韓国で囲碁のプロ棋士をしている少年。段位は四段。北斗杯の韓国代表選手に選ばれており、韓国チームでは副将を務めている。好戦的に攻めるタイプで、塔矢アキラとの対局でも終始強気な囲碁を打っていた。興味のない事には深くかかわらない性格で、進藤ヒカルと高永夏の諍いにはまったく興味を示していなかった。現在の永夏には棋力が劣るものの、安太善からは、これから巻き返しもあり得ると将来性を高く評価されている。

御器曽 (ごきそ)

囲碁のプロ棋士である黒髪短髪の男性。段位は七段。株に失敗した損害を補填するため、プロ棋士の名を利用しての詐欺行為を働いている。アマチュア囲碁フェスティバルにおいては販売ブースに悪徳業者を参加させており、その悪徳業者と協力して詐欺を行おうとしていた。そこで自分の書いたサインを本因坊秀策のサインだと偽って客に売りつけようとしたところ、偶然居合わせた藤原佐為に偽物だと看破された。その後、佐為が指示する進藤ヒカルと対局して敗北し、偽物のサインが書かれた碁盤を引っ込めた。のちにヒカルとプロとして対局する事になる。その際は佐為ではなくヒカル自身との対局となったが、棋力の差を見せつけられて敗北している。

小池 仁志 (こいけ ひとし)

区立葉瀬中学校に通う男子。進藤ヒカルよりも一つ下の学年。黒髪の短髪で、背は比較的低め。ヒカルが院生となって囲碁部を退部したあと、勧誘のポスターを見て囲碁部に入部した。その後、先輩の藤崎あかりらが卒業したあとは、囲碁部の部長を務めた。その際は部員が一人しかおらず、部員を勧誘するために後輩の矢部に部長を譲ってもいいと発言している。また、囲碁部に加賀鉄男が訪れた際は、彼を囲碁部を創部した卒業生の筒井公宏だと勘違いしていた。囲碁の棋力は後輩の矢部よりも下。

(りぃ)

中国棋院の師範を務めている男性。黒髪の短髪で、ふくよかな体型をしている。中国棋院に通っている生徒達の囲碁の指導のほかにも、生活指導を行っている。中国棋院に遠征にやって来ていた伊角慎一郎の事を歓迎し、彼の棋力も評価している。特に楽平が慎一郎に触発され、やる気を新たにしている事を嬉しく思っており、慎一郎に感謝している。

中村 茂蔵 (なかむら しげぞう)

古美術商を営んでいる男性。外はねした短髪の黒髪で、恰幅のある体格をしている。笑い方がガマガエルにそっくりで、ガマガエルの嫌いな藤原佐為からは畏怖されていた。目利きのできる人物が大好きで、目利きのできない人物は間抜けだと考えている。もともと盗品だった「慶長の花器」についても、自分は売りに来た奴から買い取っただけだと悪びれもしなかった。さらにその持ち主である少女が「慶長の花器」を取返しにやって来た際も返そうとはせずに、彼女に対して10万円の値を吹っかけていた。「慶長の花器」がいわくのある逸品だと気づいておらず、その「慶長の花器」を巡って進藤ヒカルと囲碁の対局をする事になった。五段の免状を持つほどの囲碁の棋力を誇っていたが、佐為の指示するヒカルに圧倒的な大差で敗北している。その後、「慶長の花器」の本当の価値に気づいたが、ヒカルとの対局に負けた事から渋々ながら「慶長の花器」を手放している。

進藤 平八 (しんどう へいはち)

進藤ヒカルの祖父。禿頭の老人。囲碁が趣味で、棋力にも大きな自信を持っている。その棋力が疑われた際には、町内囲碁大会で優勝した時のトロフィーや賞状などを見せている。藤原佐為に憑りつかれたヒカルと最初に対局しているが、その時のヒカルは石の置き方すらわからなかったために失望した。その後、ヒカルが中学1年生の夏休みになってから再度対局。その際はヒカルの成長に驚き、彼の囲碁の勉強のためにと5万円の囲碁盤を買い与えていた。さらにヒカルがプロ棋士となった際には、ヒカルの母親の進藤美津子から相談も受けている。また、ヒカルのプロ棋士としての活動を応援しており、北斗杯が開催された際には、ヒカルの活躍を見に会場まで出向いた。

道玄坂のマスター

碁会所「道玄坂」を経営している男性。短髪で、恰幅のある体型をしている。団体戦がしたいと申し出た進藤ヒカルらの頼みを快く引き受けたうえで、大将を務めて伊角慎一郎と対局した。プロ棋士に二子を置くハンデで勝利した経験を持つほどの高い棋力を持っているが、慎一郎相手には三子を置くハンデをもらっても勝利する事ができなかった。その後、ヒカルの事を気に入り、彼が碁会所に通う際は宣伝を兼ねて代金を無料にしている。

門脇 龍彦 (かどわき たつひこ)

アマチュアの囲碁棋士の男性。プロ試験を受験しようとしている。学生時代に学生名人、学生本因坊、学生十傑の三冠を取った実績を誇り、プロと変わらないほどの棋力を持っている。大学卒業後は3年間会社勤めをしていたが、26歳の時にプロ試験を受験しようとした。その前の腕ならしとして、院生の進藤ヒカルに声を掛けて対局を申し出ている。しかし、藤原佐為が指示するヒカルによって完敗を喫してしまった事で、その年のプロ試験の受験をあきらめた。その後、1年の勉強ののちにプロ試験を受験。伊角慎一郎らと共に合格して、プロ棋士となった。プロ試験予選中も、プロとなったヒカルの事を気にしていたが、強いと思っていたヒカルの成績が振るわないのを見て信じられない気持ちでいた。のちに、ヒカルとの対局の機会を得ている。その対局ではヒカルの圧等的な棋力を前に、敗北を喫している。しかし、ヒカルの棋力が1年半前と比べて劣っていた事に、がっかりした様子を見せていた。それをヒカルに問い質したところ、ヒカルからも同意された事で当惑の表情を浮かべた。

趙 石 (ちゃお しい)

中国で囲碁のプロ棋士をしている14歳の少年。段位は三段。癖のある黒髪で、キュートな顔立ちをしている。伊角慎一郎が中国にやって来た際は、彼と対局を行っている。その対局では慎一郎に勝利を収めていた。その後、開催された北斗杯では中国の代表選手として参加。そこでは三将を務めており、成績は1勝1敗だった。

阿古田 末三郎 (あこた すえさぶろう)

白川道夫が営む囲碁教室に通っている男性。恰幅がよく、薄毛である事を気にしてカツラをかぶっている。囲碁の棋力はそこそこ高いが、初心者をいたぶるような囲碁を打つような嫌味な性格の持ち主。その模様を見た進藤ヒカルにより、カツラである事をバラされてしまい、泣きながらその場から逃げ出した。その後、藤崎あかりが囲碁教室に通うようになってからは彼女の事を気に入り、あかりに優しく囲碁を教えるようになった。それについて周囲からは、人格が変わったようだと称されている。

戸刈 (とがり)

北斗通信社に勤めている男性。北斗杯の担当室長を務めている。黒髪を七三分けにして、眼鏡をかけた厳格そうな雰囲気を漂わせている。囲碁についての知識はほとんどなく、当初はこの北斗杯を北斗通信社が海外へのコネクションを持つための布石としか考えていなかった。その後、北斗杯の盛況ぶりや進藤ヒカルなどの活躍などを間近で見る事で徐々に考えを変えていき、1回のみの開催予定であった北斗杯の通年開催を社長に打診している。

真柴 充 (ましば みつる)

囲碁のプロ棋士である金髪の男性。段位は二段。進藤ヒカルらがプロ試験に合格した前年に、プロ試験を合格している。その事から若獅子戦で院生のみんなと出会った時は、彼らに対して自慢げな態度で接していた。しかし、若獅子戦の1回戦で対局した伊角慎一郎を相手に敗北を喫している。そこで慎一郎に幾ら強くてもプロにならなければ意味がないと口にしたところ、それが和谷義高の琴線に触れて諍いを起こすきっかけとなった。その後も態度を変える事なく院生と接しているため、院生達からは強い嫌悪感を持たれている。しかし、その態度は自分の実力に焦りを感じている事への裏返しでもあり、慎一郎がプロになったら自分をすぐに追い抜いていくのだろうと、愚痴をこぼしていた。

金子 正子 (かねこ まさこ)

区立葉瀬中学校に通う女子。進藤ヒカルとは同学年。ふくよかな体格をしている。黒髪の短髪で、前髪を真っ直ぐに切り揃えている。誰に対しても物怖じしない勝気な性格。成績優秀で、のちに一流高校に推薦で合格した。バレー部に所属しているが、囲碁が打てるために、ヒカルが団体戦に出場するためのメンバーとして勧誘した。しかし、男女別の団体戦だったために、ヒカルと共に団体戦に出場する事は叶わなかった。その後、次の大会に出場するために再び囲碁部に顔を出し始め、女子団体戦では大将として出場している。また、捻くれた性格の三谷祐輝に対しても遠慮のない発言をし、彼の受験勉強の面倒も見ていた。囲碁の棋力は祐輝には及ばないものの、藤崎あかりよりは上。

岸本 薫 (きしもと かおる)

私立海王中学校に通う男子。塔矢アキラよりも学年は二つ上。黒髪の短髪で、眼鏡をかけている。非常に冷静な性格で分析能力も高く、相手の事を的確に見極めている。中学1年生の頃は囲碁のプロ棋士を目指して院生になっていたが、そこでのレベルの高さに圧倒されてプロの道を断念した。それでも同学年では比肩する者がいないほどの棋力を持ち、私立海王中学校では囲碁団体戦の大将を務めている。中学3年生の時、当時1年生だったアキラが囲碁部に入部した事で、部内に不和が生まれる事を気に病んでいた。その後、アキラと共に団体戦に出場。区立葉瀬中学校との試合では三谷祐輝と対戦して彼を圧倒し、団体戦の結果は3対0で勝利した。その後、街で進藤ヒカルと偶然遭遇して、彼と囲碁を打つ機会を得る。その際にアキラがヒカルを強烈に意識していた事を伝え、これがヒカルが院生になる大きなきっかけとなった。

集団・組織

区立葉瀬中学校 (くりつはぜちゅうがっこう)

『ヒカルの碁』に登場する中学校。進藤ヒカル、藤崎あかりらが通う、ごく普通の公立校。囲碁部は理科室を部室として使っている。

私立海王中学校 (しりつかいおうちゅうがっこう)

『ヒカルの碁』に登場する中学校。偏差値が高く歴史のある学校で、囲碁部も多くの部員を抱え、レベルも高い。塔矢アキラが通い、塔矢行洋の出身校でもある。

イベント・出来事

北斗杯 (ほくとはい)

『ヒカルの碁』に登場する架空の囲碁の大会。通信会社の主催で行われた。日本・中国・韓国の3カ国の国際大会で、18歳以下の代表選手3名同士で戦う団体戦。

その他キーワード

神の一手 (かみのいって)

『ヒカルの碁』に登場する用語。その定義は明言されないが、藤原佐為がそれを極めるために幽霊となってからも現世に執着する、塔矢行洋がそれに最も近い男とされるなど、碁打ちがいつか打ちたいと願う最強の一手を意味する。

院生 (いんせい)

『ヒカルの碁』に登場する用語。プロを目指す棋士の予備軍であり、プロ試験に向けて数多くの対局をこなす。院生試験に合格した者しかなることができず、また19歳になると辞めなければならない。

クレジット

監修

梅沢由香里

原作

ほった ゆみ

書誌情報

ヒカルの碁 12巻 集英社〈集英社文庫(コミック版)〉

第1巻

(2012-02-17発行、 978-4086193283)

第2巻

(2012-02-17発行、 978-4086193290)

第3巻

(2012-03-16発行、 978-4086193306)

第4巻

(2012-03-16発行、 978-4086193313)

第5巻

(2012-04-18発行、 978-4086193320)

第6巻

(2012-04-18発行、 978-4086193337)

第7巻

(2012-05-18発行、 978-4086193344)

第8巻

(2012-05-18発行、 978-4086193351)

第9巻

(2012-06-15発行、 978-4086193368)

第10巻

(2012-06-15発行、 978-4086193375)

第11巻

(2012-07-18発行、 978-4086193382)

第12巻

(2012-07-18発行、 978-4086193399)

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