群雄割拠する戦乱の世
本作は、『アカメが斬る!』『アカメが斬る!零』に続くシリーズの3作目の作品で、時系列的には『アカメが斬る!』の最終決戦後の物語である。舞台は帝国を離れ、はるか東方にある「ワコク」と呼ばれる島。ワコクは帝国から遠く離れた未開の地であり、長いあいだ統一国家を持たずに各地で国が興り、100年に渡り群雄割拠の時代が続いていた。しかし近年は、「天狼国」という国が近隣諸国を併呑し、ワコク統一に向けて動き出している。
遠い異国を旅するアカメ
本作には『アカメが斬る!』の主人公であるアカメが重要な役割を担っている。アカメは前作の最終決戦で宿敵のエスデスを倒すため、愛刀「村雨」の奥の手を使用したが、その代償として村雨の呪いがその身を蝕んでいる。また生き残った仲間たちも、帝具によって異形の化け物に変わってしまったため、アカメはその解決策を求めて未開の地「ワコク」に向かう。アカメは「蒼海国」に到達し、そこで新たな出会いを果たす。この出会いが本作の導入となり、アカメは物語の進行において重要なキャラクターとして描かれている。さらに、アカメは前作のキャラクターについても言及し、アカメのほかにも前作からのキャラクターが登場する。
戦乱の世を終わらせることを夢見る少女
ヒナタは蒼海国の八重波村に住む漁師の娘であり、家族は漁師たちに除け者にされ、獲った魚も二束三文で買い叩かれて貧しい生活を強いられていた。そんな境遇から抜け出すべく、母親のヒノワは10年前に戦に出て家族を助けようとするも、志半ばで戦死してしまう。その後、母親の遺志を継いで鍛錬を重ねていたヒナタは、募兵の知らせを見て自ら戦に出る決意を固める。そして、ヒナタは母親の「ヒノワ」の名を名乗り、英雄としての第一歩を踏み出す。ヒノワが群雄割拠の戦国時代を駆け抜ける姿をメインに描き、敵味方入り乱れる息もつかせぬ展開が見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
ヒノワ
蒼海国の八重波村に住む漁師の少女。赤毛のボブヘアで、青い瞳を持つ。漁師の家に生まれ育つが、母親の遺志を継いで戦士の道を志しており、日々鍛錬を積んでいる。本名は「ヒナタ」だが、母親の名前である「ヒノワ」を名乗っている。お人好しな性格で、困っている動物たちを助けては多くの犬や猫を家に迎え入れている。一度拾った以上は幸せにする義務があると考えており、貧しい生活の中でも日々ひたむきに生きている。蒼海国に漂着したアカメを助け、そのお礼として剣術を学び、急激に実力を伸ばしていく。また、街はずれに住む仙人から学問を学び、文字の読み書きも習得した。仙人の助言によって従い軍に入隊し、頭角を現すようになる。初陣である影法師山の戦いでは宿敵のヨミヒメと対峙するが、まったく敵わずに危機に陥る。しかし、救援に駆けつけたアカメのお陰で救われ、ヨミヒメ撃退の手柄を譲られたことで足軽小頭に昇進した。母親の仇であるヨミヒメを宿敵と定め、再戦に向けて力を蓄えている。
アカメ
遠い異国から蒼海国に流れ着いた女性。黒髪を長く伸ばし、体中に独特な紋様の入れ墨をしている。腐敗した帝国上層部を打倒し、革命軍を勝利に導いた英雄の一人。革命の最終盤において、帝都での戦いでエスデスと対峙し、帝具の一つである一撃必殺「村雨」を使用して勝利を収めた。だが、その代償として村雨の力に呪われ、体中に痛みを感じ、鉛のような負担を抱えるようになった。体中の紋様もこの呪いによるものである。アカメによれば、この呪いは寿命を削る可能性があり、この呪いを解く方法を探すために蒼海国に向かった。帝都とワコクのあいだの海はつねに嵐と異形によって荒れており、二国間の交流は1000年間途絶えている。そのため、アカメは途中まで仲間たちに送ってもらったあとは、小舟で単身海を渡ることになった。しかし船が壊れ、遭難したところを蒼海国の人々に助けられる。ヒノワに好意を抱き、剣の師として彼女に剣を教えつつ、呪いを解く方法を探している。影法師山の戦いではヒノワの危機を察し、戦場に駆けつけた。呪いによって大幅に身体が弱体化しているものの、アカメはヨミヒメと互角に戦って彼女を撃退した。
ヨミヒメ
天狼国で武将として知られる女性。色黒の肌に黒髪ロングヘアの若い女性の姿をしている。年齢不詳。不思議な力を有し、10年経ってもその姿はまったく変わっていない。知恵と勇気を兼ね備えた英雄であり、天狼国の天下統一を目指している。その武力は人外の域にまで達しており、目にも止まらぬ「隼振り」という剣技を得意としている。ヒナタの母親・ヒノワを殺した張本人でもある。影法師山の戦いでヒノワと出会い、初陣のヒノワを後一歩まで追い詰めるが、アカメの乱入によって痛み分けに終わる。その後、ヒノワとアカメを明確に強敵として認識している。
クレジット
- 原作
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