少年院ウシジマくん

本編となる『闇金ウシジマくん』は、10日で5割（トゴ）という超暴利な闇金融｢カウカウファイナンス｣を経営する丑嶋馨を主人公に、社会の闇と人間の欲望、暴力を描いた社会派漫画。2004年から2019年までの15年間、小学館「ビッグコミックスピリッツ」で長期連載され、テレビドラマ・映画化を果たした大ヒット作品である。本作はそんなウシジマくんの過去に迫ったスピンオフで、少年院に収容された15歳の丑嶋や、暴走族の総長を務める16歳の滑皮秀信たちの、本編では語られなかったエピソードを描いた群像劇である。漫画を担当する山崎童々は、2017年から2019年まで『闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん』を連載しており、「ウシジマくん」のスピンオフは二度目となる。また、原作者・真鍋昌平によれば、本作の発案と構想は山崎であり、担当編集者と試行錯誤をした後、連載に至ったという。

丑嶋が少年院に入ったきっかけは、後の｢カウカウファイナンス｣社員・柄崎貴明と加納晃司を助けるため、地元で恐れられていた鰐戸三兄弟の末弟・三蔵の頭を金属バットでカチ割ったことである。なお、この事件の経緯は、本編の「ヤミ金くん」（単行本第18巻）のエピソードで柄崎の回想として描かれている。本作での柄崎と加納は、丑嶋に救われたことを感謝しながら出院を待っており、本編の主要人物でもある獅子谷鉄也が経営する闇金グループ「シシック」のもとで働いている。また、丑嶋の数少ない友人・竹本優希も登場し、丑嶋から預かったウサギを柄崎に託す様子が描かれた。一方少年院では、自殺した同室の三國信吾や、丑嶋の精神性に影響を与える仁科憲昭といった新キャラが多いが、本編の株式売買詐欺師・樺谷恭一郎が、口の達者な16歳の新入りとして登場する。

少年院の外で繰り広げられるドラマの中心にいるのが、16歳の滑皮秀信である。本編では丑嶋の宿敵であり、「カウカウファイナンス」の後ろ盾となるヤクザの滑皮は、暴走族・悶主陀亞連合2代目総長として登場。闇金グループ「シシック」を経営する獅子谷は、悶主陀亞連合の先代だが、滑皮とは因縁がある。滑皮が連合に入る前のタイマン勝負で、獅子谷は卑怯な手を使って勝ったのだ。ある日、「シシック」の後ろ盾であるヤクザと揉めた滑皮は、獅子谷の怒りを買う。獅子谷との確執が深まる中、猪背組のヤクザ・熊倉義道と出会った滑皮は、悶主陀亞連合総長の座を降り、ヤクザの道を歩み始める。