あらすじ
第1巻
大学生の有馬洋は、とあるトラブルがきっかけで、ヤクザの伐田のパシリとして働かされていた。その伐田は有馬に肉蝮という男の名を伝える。肉蝮は刑務所で伐田の兄貴分だった男性に、重傷を負わせた末に刑期満了で出所する事が決まっていた。伐田はその報復のために人数を集めて肉蝮を倒そうと画策しており、有馬もなし崩し的にそれに参加させられる事になる。だが肉蝮は、そんな伐田達を苦もなく返り討ちにし、さらに有馬の免許証と財布を奪って無理やり自分の仲間に引き入れる。有馬はやむなく肉蝮と行動を共にする事になるが、そこで彼の目的がかつて自身を半殺しにした相手への復讐である事を知る。かつて彼は蓮田ゆめという風俗嬢に入れあげていた事があったが、その際に不意打ちを受けて重傷を負ったという過去があった。ゆめを餌にその相手を探し出そうとする肉蝮だったが、そんな肉蝮もまた、ヤクザの毘婆に目をつけられていた。
第2巻
毘婆は、自分が所属する組織の内部でのし上がっていくために肉蝮を利用しようとしていた。常人離れした身体能力と、人を殺す事を何とも思っていない非道な性格の持ち主である肉蝮を自身の手駒にして、邪魔な存在を消していこうと目論んでいたのだ。毘婆は、肉蝮と行動を共にしている有馬洋に目をつけ、彼と接触して肉蝮の状況を逐一報告させるように仕向ける。実はかつて肉蝮を半殺しにしたのは毘婆であり、肉蝮が復讐の標的としていた張本人だった。偶然も重なり、毘婆の居場所へと近づいていく肉蝮の前に、彼への報復に燃える伐田が仲間を引き連れて現れる。さらにそこへ現れた毘婆は伐田を一蹴して肉蝮と直接対峙し、一進一退の攻防を繰り広げる。有馬は、肉蝮と毘婆との激闘のスキに逃げ出そうとするが、そこを伐田に見つかってしまう。
第3巻
肉蝮とヤクザの毘婆との死闘は、毘婆の死で幕を閉じた。そんな肉蝮の前に、力を貸してほしいと願い出る男が現れる。彼は大学生の山下リョウと名乗り、彼の所属するテニスサークルのメンバーに報復してほしいと肉蝮に頼む。肉蝮は、100万円払えばその依頼を引き受けると答え、山下は前金として50万円を肉蝮に用意する。山下には付き合っている彼女がいたが、その彼女をテニスサークルの幹部達によってレイプされてしまったという経緯があった。そこで肉蝮の力を利用して、その復讐を果たそうと考えていたのだ。復讐のターゲットは全部で九人、その中の一人である木村は、サークルのすべてを掌握しようと画策していた。肉蝮と山下は、大学に乗り込んでサークルの副部長である藤原と接触する。山下にとっての復讐のターゲットの一人である藤原を肉蝮は早速血祭りにあげる。瀕死の重傷を負いながらも肉蝮の前から逃げ出した藤原だったが、その場を見ていた木村によってとどめをさされて死亡する。山下が肉蝮を利用して自分達への復讐を始めた事を知った木村は、この機に乗じて自身の目的を果たそうと動き始めていたのである。
第4巻
山下リョウから自分が所属するテニスサークルの幹部達への復讐を頼まれた肉蝮は、手始めに副部長の藤原をその手にかける。だが最終的に藤原にとどめをさしたのは、藤原の親友のはずの木村だった。自分の獲物を横取りされたと思った肉蝮は、改めて木村を標的に定める。肉蝮は山下から情報を得て、テニスサークルの幹部の一人、岡田が開催するファッションショーへと現れ、岡田を半殺しにするが、またしても木村に岡田を殺されてしまう。藤原に続いて岡田が死んだ事を受けて、サークルの部長である竜崎は肉蝮が自分達を狙っている事に気づき、自身の彼女である吉沢に気をつけるように伝える。竜崎の目的は、実は吉沢を囮に肉蝮を誘き出し、仲間を集めて返り討ちにする事にあった。木村の居場所を聞き出すために吉沢を襲撃した肉蝮は、そこを待ち受けていた竜崎達に包囲されてしまう。だが肉蝮は、ことごとく自分の邪魔をして来た木村を自分の手で殺す事だけを考えていた。
登場人物・キャラクター
肉蝮 (にくまむし)
住所不定無職の男性。過去に犯罪を犯して、刑務所に収監されていたが、刑期満了に伴い出所して来た。極悪非道な性格で、自分の前を通ったというだけの理由で、その相手を半殺しにするほどの凶悪な人物。素手で人間の耳や目をえぐる事ができるほどの怪力の持ち主で、一人で数十人を相手にしてもまるで問題にならないほどケンカが強い。また鋭い嗅覚を持ち、気に入らない人間を嗅ぎ分けるといった特殊能力もある。 自分以外は基本的に「餌」と考えており、思い通りにならない相手や自分に従わない相手を絶対に許さず、どこまでもしつこく追いかけていく。必然的にヤクザをはじめ多くの人間達から恨みを買っており、またそれと共に恐れられている。
有馬 洋 (ありま ひろし)
大学生の男性。彼女にふられた腹いせにデリバリーヘルスを利用した事がきっかけとなり、ヤクザの伐田とかかわりを持つようになる。伐田が肉蝮への報復を画策していた事が災いして、肉蝮と行動を共にする事となった。伐田に対しては嫌悪感と共に恐怖心も抱いていたが、その伐田が肉蝮に倒された際には彼を心配する様子を見せた。金を用意してくれるという事で肉蝮にはある程度信用されているが、つねに肉蝮の影におびえていた。
伐田 (ばった)
ヤクザの男性。兄貴分を刑務所で肉蝮に半殺しにされており、その報復の機会を狙っていた。出所したばかりの肉蝮を襲撃するが返り討ちにされてしまい、その後も肉蝮への報復をあきらめずに行方を追っている。有馬洋が肉蝮とかかわりを持った事を知り、その有馬を利用して肉蝮との再戦の機会を得る。しかし肉蝮には顔すら覚えられておらず、再び返り討ちにされる。
蓮田 ゆめ (はすた ゆめ)
風俗嬢として働く女性。かつて肉蝮に目をつけられ、彼と関係を持つように強要されていた。ヤクザの毘婆とつながりがあり、出所して来た肉蝮は毘婆を探すために蓮田ゆめの行方を追っていた。その後、毘婆によって肉蝮を捕らえるための囮として利用される。
毘婆 (ひば)
ヤクザの男性。かつて肉蝮を半殺しにして刑務所へ送った事があるため、出所して来た肉蝮がその復讐をするために行方を追っていた。肉蝮の持つ人間離れした身体能力と極悪非道な性格を利用して、組織の親分を亡き者にしようと考えていた。自身を囮に肉蝮をおびき寄せて手駒にしようとしていたが、復讐だけを考えていた肉蝮には通用せず、死闘を展開する事となる。 肉蝮同様に常人をはるかに凌駕する身体能力を持ち、毘婆自身の命を狙う肉蝮との戦いも、むしろ楽しんでいる。
山下 リョウ (やました りょう)
テニスサークルに所属する男子大学生。テニスサークルには週2回ほどしか参加しないおまけ会員だったが、自身の彼女をテニスサークルの幹部である木村達にレイプされた事から、木村達への復讐を誓って肉蝮に力を貸してほしいと頼む。将来は平凡で堅実な生活を歩む事を願っていた実直な性格で、富裕層の子息達ばかりで構成されたテニスサークルの幹部達からは、その人生設計を内心でバカにされていた。
木村 (きむら)
テニスサークルに所属する男子大学生。表面上は誰からも慕われる好人物を装っているが、自分の事を好きにならない相手や、自分にとって邪魔な相手には陰謀を張り巡らせて破滅に追い込む陰険な性格の持ち主。サークルの後輩である山下リョウの彼女をレイプした事から、山下に復讐のターゲットとされた。テニスサークルのすべてを掌握するために幹部である藤原や岡田を殺害する計画を立てており、山下と彼に協力する肉蝮を利用して、その計画を実現させていく。 肉蝮が狙っていた藤原にとどめをさした事から、獲物を横取りされたと思われており、それが元で肉蝮から襲撃の機会を狙われている。
竜崎 (りゅうざき)
テニスサークルに所属する男子大学生。テニスサークルの部長としてサークル内部を取り仕切っている。サークル内外を問わず、人望は自分よりも木村の方が上だという事を認めつつも、その立場を利用して裏ではさまざまな悪事を働いており、山下リョウの彼女のレイプにもかかわっていた。健全な大学生を装っていながら、裏では半グレ集団ともつながっており、有事には多くの不良達が駆けつける。 吉沢と付き合っているが、互いに恋愛感情はなく、互いの立場を利用しあっているだけの関係である。
岡田 (おかだ)
テニスサークルに所属する男子大学生。父親は有名ファッションデザイナー、母親はパリコレにも出演した事があるスーパーモデルというサラブレッド。自身も抜群のファッションセンスを持ち、ファッションショーを主催できるほど各方面にさまざまなコネがある。ファッションセンスに優れている事から多くの女性から人気があるが、知り合った女性をことごとく素人AVに出演させ、その見返りとして報酬をもらっている。 木村の行方を追って自身の主催するファッションショーに乗り込んで来た肉蝮に襲撃され、火をつけられた末に電気コードで首吊りにされるが脱出。だがその後、木村によって絞殺される。
藤原 (ふじわら)
テニスサークルに所属する男子大学生。大会社の御曹司であり、将来の社長の椅子が約束されているため、自分以外の人間を「庶民」と見下していた。サークルの後輩達には自身を崇め奉るように強制し、それに従わない人間には裏で制裁を加えていた。サークルの後輩である山下リョウの彼女をレイプした事件にかかわっており、その復讐のターゲットして最初に肉蝮に襲撃される。 車で肉蝮を轢こうとするが逆に車ごと破壊され、重傷を負ったところを木村に殺害される。木村の事は中学時代からの親友と自負していたが、木村にそんな気がなかった事を死ぬ間際に知らされ、涙を流して絶命する。
吉沢 (よしざわ)
テニスサークルに所属する女子大学生。サークルではマネージャーとして主に経理を担当しており、容姿端麗のため男子生徒からの人気は高い。表向きはほかの女子部員の悩みの相談を受けたりするなど面倒見のいい性格ながら、吉沢自身は力と金のない男性には興味がなく、自分以外の女子部員も見下している。テニスサークル部長の竜崎と付き合っているが恋愛感情はなく、お互いに立場を利用しあっているだけの関係。 木村の行方を追う肉蝮に襲撃され、買収しようとするが聞き入れられず、ビルの屋上から突き落とされる。
クレジット
- 原作
ベース
闇金ウシジマくん (やみきんうしじまくん)
10日で5割という法外な金利で金を融資している、無届けの貸金業者(闇金)、カウカウファイナンスを訪れる顧客たちの人間模様を描く。数話から長い時には20話以上の話をひとつのエピソードとして章立てし、サブ... 関連ページ:闇金ウシジマくん
関連
闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん (やみきんうしじまくんがいでん らーめんなめりかわさん)
真鍋昌平の『闇金ウシジマくん』に登場する滑皮秀信を主人公にしたスピンオフ作品。本編で悪辣なヤクザとして大暴れした滑皮を中心に、彼の食べる「ラーメン」をテーマにした人間模様を描く。小学館「やわらかスピリ... 関連ページ:闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん
少年院ウシジマくん (しょうねんいんうしじまくん)
真鍋昌平『闇金ウシジマくん』の公式スピンオフ。漫画制作は『闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん』でもスピンオフを手がけた山崎童々。1990年代のとある少年院を舞台に、傷害罪の現行犯で収容された15歳... 関連ページ:少年院ウシジマくん
書誌情報
闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説 21巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2017-07-28発行、 978-4091895837)
第2巻
(2018-03-12発行、 978-4091898548)
第3巻
(2018-06-29発行、 978-4098600335)
第4巻
(2018-10-30発行、 978-4098601721)
第5巻
(2019-02-28発行、 978-4098602568)
第6巻
(2019-05-30発行、 978-4098603473)
第7巻
(2019-12-26発行、 978-4098605378)
第8巻
(2020-04-27発行、 978-4098606610)
第9巻
(2020-07-30発行、 978-4098607327)
第10巻
(2020-12-25発行、 978-4098608287)
第11巻
(2021-05-28発行、 978-4098610365)
第12巻
(2021-08-30発行、 978-4098611607)
第13巻
(2021-11-30発行、 978-4098612277)
第14巻
(2022-03-30発行、 978-4098612895)
第15巻
(2022-07-29発行、 978-4098613762)
第16巻
(2022-11-30発行、 978-4098615360)
第17巻
(2023-06-29発行、 978-4098616671)
第18巻
(2023-09-28発行、 978-4098625871)
第19巻
(2023-12-27発行、 978-4098626724)
第20巻
(2024-04-30発行、 978-4098627462)
第21巻
(2024-07-30発行、 978-4098628803)