概要・あらすじ
15歳にしてハーブ園を営む少女、ココア・ココ。仕事に生きがいを感じつつ、趣味であるアチラの世界の作品を輸入購入し、愛好することを、日々の喜びとして生きていく。穏やかな日常生活の中にある何気ないやりとり、初めての恋、他人との隔たり。自問自答を繰り返しながら、ココアは相棒であるタオとともに静かな日々を送っていく。
登場人物・キャラクター
ココア・ココ (ここあここ)
物語開始当初は15歳の少女。肩までの黒髪を緩い三つ編みにまとめている。ハーブ店「ココ・ハーブ園」の店主で経営者。雪に埋もれるように捨てられていたタオを拾い、ペットとしてではなく、頼りになる相棒として大切にしている。虫が大の苦手。絵本の『ピーターラビット』に影響を受けて親元を飛び出し、独立した。計画性がなく、配達前日に商品を慌てて用意することが多々ある。 アチラの映像作品や本、音楽を愛好し、トトじいを介した輸入購入や、コウタロのいるレンタルビデオ店でレンタルを繰り返している。コウタロの映画の好みに感銘を受け、次第に彼に好意を抱くようになる。
タオ
しゃべりウサギのオス。ハーブ店「ココ・ハーブ園」のアルバイト店員であり、ココア・ココの頼れる相棒。計画性のないココアを叱責したり、掃除を命じたりしながらも、ココアとともにアチラの文化を楽しんでいる。ケーキが好物。生まれ故郷はチェシャだが、ペットとして密輸入されたため、故郷も親の顔も知らない。 かつてタオを飼っていた少女に知能の高さを気味悪がられ、捨てられた過去を持つ。
トトじい
アチラの商品を輸入してほびぢゃの森に流通させている男性の老人。ココア・ココが贔屓にしているが、巨大な輸入機「メリー号」が高価なため、輸入品は非常に割高となる。また輸入販売だけでなく、アチラとの宅配便の仲介も担っている。
コヨリ・ナーナ (こよりなーな)
ハーブ店「ココ・ハーブ園」のハーブを大量に買う大口顧客の女性。丸出しにした乳房と、乳首のみ隠すタッセルをつけた、非常に妖艶なドレスを身に着けているため、配達に訪れたココア・ココが赤面することも多い。ココアの使用するパタバイクにマホーを補充してくれる。
コウタロ
ココア・ココがよく利用するレンタルビデオ店の店員。爽やかな印象を受ける好青年で、店主の息子。学校の合間に店を手伝っている。ココアと同じくアチラの文化を愛好するが、アニメは苦手としている。いとこのエリィに手を焼いている。
玄太屋 (げんたや)
人形師の男性で、ハーブ店「ココ・ハーブ園」の顧客。職人気質で、ボサボサの長髪に無精ひげ、丸眼鏡と、身なりを気にしない。屋号でしか呼ばれていないため、本名は不明。当初はハーブの効能に疑問を持ち、ココア・ココからの第一印象は最悪だった。しかし次第にココアやハーブに対する信頼を表に出すようになる。
エリィ
コウタロのいとこにあたる女子高校生。カフェでウエイトレスのアルバイトをしている。さらさらのロングヘアとスレンダーな体型で、一目見たココア・ココが、自分との差に気後れしたほど。物怖じせず、思ったことを口に出す性質で、コウタロへの愛情表現もストレート。
マール
ココア・ココの中学時代の友人。ココアとは、ともに小説『赤毛のアン』の大ファンという繋がりで親しくなった。そのため、手紙でのやりとりでは、互いの名前の前に「腹心の友」と書き添えている。ココアが悩んだ際には、タオに次いで親身な助言をしてくれる存在。
ニア
ハーブ店「ココ・ハーブ園」のアルバイトの女の子。タオがチェシャに旅立った後、ココア・ココの仕事を手伝うようになった。ネコの姿をしているが、語尾に「ニャ」をつけて人の言葉を話す。前任者であるタオを尊敬しており、将来、ココアが引退した後は、店を引き継ぐ予定となっている。郵便配達員をしている兄がいる。
場所
ほびぢゃの森 (ほびぢゃのもり)
ココア・ココたちの暮らしている場所。「森」と呼称されているが、実際は巨大な1本の木。住人たちは木の幹や枝、葉の上などに居住しており、ハーブ店「ココ・ハーブ園」は、上方にある葉が茂っているあたりにある。手紙や荷物などの配達業者は、パタバイクなどの飛行手段を用いて移動している。
ココ・ハーブ園 (ここはーぶえん)
ココア・ココが経営しているハーブ店。ほびぢゃの森の上方、葉が茂っているあたりにある。ココアの家は店舗部分を含む1LDKで、タオの家はその近くに伸びている枝の中にあるワンルーム。店内には広いハーブ園があり、多くのハーブを苗から栽培している。
チェシャ
しゃべりウサギの住む国。ほとんどが霧に覆われた静かな場所。「幻の国」とされ、テレビの取材やカメラが入ることもほとんどない。しかし赤ん坊の誘拐、密輸が後を絶たず、故郷を知らないしゃべりウサギたちも数多い。
アチラ
本作『ふわふわカタログ』の読者が住む、文字通りの現実世界。ココア・ココはこの世界で作られている映像作品や本、音楽を愛好している。そのため、絵本『ピーターラビット』やTVドラマ『渡る世間は鬼ばかり』などの作品名が、作中に頻出する。雨の日や深夜はアチラの電波が届きやすく、TV番組やラジオを視聴することができる。
その他キーワード
パタバイク
マホーを原動力にした乗り物。ココア・ココが外出の際に使用する。一輪の車輪にハンドルとサドルが付けられ、サドルの後ろには、パタパタと稼働する翼のようなものが付属している。ココアがハーブの配達に使用する際には、サドルの軸に荷台を括り付け、大量の荷物を運んでいる。
マホー
パタバイクの原動力。それ以外の使用用途は不明。コヨリ・ナーナが毛を逆立て、放電しながら凄まじい様相で、パタバイクのタンクにマホーを補充するため、ココア・ココとタオは、マホーを大変なものだと認識している。
しゃべりウサギ
チェシャに住む種族。小さなウサギの姿だが、人間と同じ知能を持ち、同じ言葉を話すことができる。しかしその姿形が愛らしいので、対等に扱われることはなく、毎年何人もの赤ん坊が誘拐・密輸され、ペットとして希望者のもとに売られている。
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