概要・あらすじ
時は幕末。世はまさに騒乱の時代であり、幕府軍と倒幕軍の争いが絶えなかった。将軍の用心棒「骸(むくろ)」の一員である少年、赫虎(アカトラ)は、雇い主である将軍の徳川慶喜に不信を抱いていた。仲間を助けに来た倒幕軍の少年を、問答無用で処刑する将軍の残忍さが理解できなかったのだ。それから数年後。ある町で、倒幕軍の少女、ヒバナが、幕府軍の役人に呼び止められた。
倒幕軍潜伏の情報があり、検問しているのだという。懐に拳銃を隠し持ったヒバナは、さり気なくその場を立ち去ろうとするが、役人は許してくれなかった。その時、少し離れた場所で、赤毛の男が役人相手に大騒ぎを始める。男と役人の揉め事に乗じて、ヒバナは逃げる事ができた。倒幕軍のアジトである「めしや」に逃げ込んだヒバナが、店のオヤジに検問の事を話していると、さっきの赤毛がやってきた。
赤毛はいつの間に抜き取ったのか、ヒバナの拳銃をちらつかせながら、自分のおかげでバレずにすんだのだから団子をおごれという。知らぬ間に懐に手を入れられたと騒ぐヒバナをなだめ、オヤジはお礼に大量の団子を差し出す。オヤジも倒幕軍の一味だったが、10年前に「骸」にやられて、片目片腕を失ったという。
「骸」は六人の子どもだけで構成された将軍の用心棒だが、何百人という倒幕軍を一瞬で殺してしまう恐ろしい集団だった。じつはこの赤毛こそ、かつて骸の一員であった赫虎なのだが、オヤジはもちろんそんな事を知る由もない。やがて、外で幕府軍が騒ぎ出した。倒幕軍を見つけられない事に怒った役人が、一般人を倒幕軍と決めつけ、銃を放ったのだ。
ヒバナは見かねて店を飛び出し、自分が倒幕軍だと名乗り出た。ヒバナは捕らえられ、城に連行される事になった。しかしその道中、暴れるヒバナに手を焼いた役人達は、その場でヒバナを処刑しようとする。彼女に銃口が向けられ、あわやという瞬間、赫虎が現れた。そして今だけヒバナの用心棒になると言った。
めし屋のオヤジに、ヒバナの身の上を聞いた赫虎は、数年前、仲間を助けに来て処刑された倒幕軍の少年が、ヒバナの兄だと知ったのだ。「将軍慶喜を守れば守るほど、国が腐っていく」。その事に気がついた赫虎は、これからは、自分や幕府のせいで苦しんでいる人達を守ろうと改心したのだ。一瞬で役人達を蹴散らした赫虎は、ヒバナに戦いから身を引く事を忠告して立ち去ろうとする。
しかし、その正体に気がついたヒバナは、刀で赫虎のお尻を突き刺した。悲鳴をあげる赫虎に、ヒバナは一緒に倒幕軍のアジトまで来て、自分達を守れという。元「骸」の人間が仲間になれば、戦力アップはもちろん、幕府の内情もわかると考えたのだ。こうして、最強剣士と、正義感は強いが少々無謀な少女の、強烈コンビが誕生した。
登場人物・キャラクター
赫虎 (あかとら)
「骸(むくろ)」と呼ばれる暗殺集団の一員だった青年。飄々としているが、異常に強い。赤毛と虎柄の着物が特徴。自分達が将軍を守るほどに、世の中が悪くなっていく事に気づき、「骸」を抜ける。これからは、自分のせいで不幸になった人達を助けるために生きようと考えている。倒幕軍の少女、ヒバナと出会い、彼女の用心棒になる。
ヒバナ
倒幕軍所属の少女。黄色い髪の毛が特徴。また、頰におおきな傷がある。大好きだった兄を幕府軍に処刑された過去を持つ。人々を救うために幕府と戦うが、同時に兄の敵討ちのためでもある。正義感は強いが、腕が立つわけではなく、お調子者で無謀な行動が多い。赫虎が、幕府の暗殺集団「骸(むくろ)」の凄腕だった事を知り、仲間に引き入れようとする。
レミ
赫虎の子分を志願する謎の青年。異常に長い刃渡りの日本刀を持つ。天真爛漫な性格。強さに異常な執着を抱いており、京都で見廻組を一瞬で倒した赫虎に憧れて、後をついてくる。
集団・組織
骸 (むくろ)
将軍徳川慶喜を守る最強の用心棒集団。数年前までは六人だったが、赫虎が脱退したため、五人の精鋭部隊となっている。10年前、まだ全員少年だったにも関わらず、何百人という倒幕軍を一瞬で殺すほど強かった。