概要・あらすじ
中学生最強のテコンドー選手だった幡場正己は、仲間の部員を愚弄した他校の生徒に暴力を振るったことで、3年間の出場停止処分を受けてしまう。高校でテコンドーをやるすべを失い、他に何か打ち込めるものを探していた正己は、学業に専念したり、帰宅部として一人遊びを満喫してみたものの、どことなく寂しさを覚えてしまう。そんなある日、クラスメイトの美少女・花森真琴との会話で、自分が(テコンドーの)日本代表であったことを告げた正己は、それをサッカーの日本代表経験者であると誤解され、成り行きからサッカー部に入部することになってしまう。
大きな期待を背負って入部テストとなる試合に挑んだものの、素人同然のプレイしかできない正己にチームメイトや観客は落胆。
しかし、それでも諦めない正己は、唯一の武器である並外れたキック力を駆使して「ゴラッソ」を決めることに成功。サッカー選手の新星となった正己の運命が大きく動き始めていく。
登場人物・キャラクター
幡場 正己 (ばんば まさみ)
成陽高校に通う15歳の高校1年生で、元テコンドー全日本ジュニアチャンピオンの男子。かなりの長身で、頭に赤いバンダナを付けているのが特徴。中学ではダントツの実力を持つ全国トップのテコンドー選手だったが、弱小校に通っていたため、部活動では都大会の1回戦すら勝ち抜けなかった苦い過去を持つ。仲間を侮辱した他校の生徒に暴力を振るい、テコンドー協会から3年間の出場停止処分を受けてしまったことから、高校入学後にテコンドー以外に打ち込める何かを探していた。 そんなある日、クラスメイトの少女・花森真琴にテコンドーの日本代表だったことを伝えた際に、サッカーの日本代表経験者と勘違いされ、成り行きからサッカー部へと入部してしまう。期待のルーキーとして入部テストとなる練習試合に挑むが、素人同然の動きしかできず、皆を失望させるも、爆発的なキック力をもって「ゴラッソ」を決めたことで、サッカーの魅力に取り付かれるようになった。 猪突猛進気味だが、仲間に対する情が厚い熱血漢。サッカー部のキャプテンである司馬恭介とのマッチアップで勝てないと踏めば、当の本人に倒し方を伝授してもらおうとするなど、相手の力を素直に認め、教えを請える向上心も併せ持っている。 テコンドーで鍛錬したキック力は本物で、右足を使って矢のような弾道のシュートを繰り出すことができる。フィジカルと柔軟性も抜群で、空中のボールをキーパーと競り合い、脚を使って競り勝てるほど。実家は神社で、境内で蹴りの練習をしていた。足元の対象を蹴ったことがなかったため、グラウンダーのパスを受けてシュートするのは苦手だが、反面、高い位置のパスを蹴るのは大の得意。
司馬 恭介 (しば きょうすけ)
成陽高校に通う高校3年生の男子。サッカー部のキャプテンを務めている。オールバックの髪型と途切れた眉毛が特徴で、厳格な姿勢をもってチームを牽引する、キャプテンシーに優れた少年。凄みのあるその風貌を見た新入部員からは、マフィア扱いされていた。強固な守備を基調としたチームスタイルを追及し、サッカー部を都大会ベスト4に導いた立役者でもある。 フィジカルと守備能力には定評があり、体格で上回る幡場正己とのマッチアップでも勝利し続け、正己から直接勝つ方法を請われるほど。素人同然の正己のことを歯牙にもかけていなかったが、3対3の試合で執念深く食らいついてきたうえ、最後には自身との空中戦を制して得点を決めた正己の力を認めることになる。なお、眉毛が途切れてるのは、小学2年生の頃にカラスに突つかれたため。
市野 一春 (いちの いちはる)
成陽高校に通う金髪のロングヘアをした高校1年生の男子。元U-12のサッカー日本代表選手で、優れたパスセンスを持つ天才肌のテクニシャン。守備偏重の現代サッカーに適応できずに代表落ちし、プロのユースチームからも脱落。そのため、高校入学後はサッカーを辞めるつもりだったが、幡場正己の規格外のシュート力に魅せられて、彼のパサーとなるために再びサッカーを始めることになった。 フィジカルやスピードに難があるが、足の振りが極端に小さい「クイックパス」を得意とし、相手の虚を突くことができる。
花森 真琴 (はなもり まこと)
成陽高校に通う高校1年生の女子。いつもキャップを被っている、クラスでも評判の美少女。クラスメイトの幡場正己が語った「日本代表として海外遠征までした男」という言葉から、サッカーの日本代表経験者であると勘違いしてしまい、彼を「一緒に入部しよう」とサッカー部に誘った張本人。町のサッカークラブ出身で、朝比奈の友人でもある。 サッカーの素人である正己に守備戦術の基礎を教えるなど、面倒見のいい性格。子供の頃は男子顔負けのサッカー選手だった。
浦西 純平 (うらにし じゅんぺい)
白澤高校サッカー部のキャプテンを務める少年。美しいプレイスタイルに強いこだわりを持ち、支配率で相手を圧倒するポゼッションサッカーこそが勝者のサッカーであると考えている。低い位置から長短のパスを繰り出してゲームを組み立てるチームの司令塔で、競り合いや守備も強いという、現代サッカーに適合したモダンな選手。司馬恭介が都選抜に選ばれた際に、自分が選抜から外れたため、恭介を逆恨みしている。
朝比奈 (あさひな)
成陽高校に通う高校3年生で、サッカー部の副キャプテンを務めている温厚な少年。町のサッカークラブ出身で、花森真琴とはその頃からの友人。鳴り物入りで入部してきた幡場正己の動きや様子を見て、すぐに彼がサッカーの素人であることを看破する。
胡桃沢 (くるみざわ)
成陽高校に通う高校3年生で、サッカー部のレギュラーの男子。癖のあるロングヘアをした長身のセンターバックで、幡場正己たちの挑戦を受け、練習試合への出場を賭けた3対3の勝負をする。フィジカルゴリラと呼ばれるほど屈強な身体を持つが、女性に免疫がなく、強く当たれなかったため、勝負に参加した花森真琴に活躍を許してしまう。
アベル
スペインのマドリードに住んでいるスペイン人の少年。地元の伝統的なクラブチームである「アトレティコマドリード」のファンだが、クラスの友人すべてが銀河系軍団と呼ばれるスター集団「レアルマドリード」のファンなため、肩身の狭い思いをしている。「アトレティコマドリード」に新加入したストライカー幡場正己に期待をかける。
じいちゃん
幡場正己の祖父で、実家である神社の境内を気ままに散策している老人。正己にテコンドーをはじめることを相談された際、「やるからには全力でやれ。全力でやって恥をかけ」とアドバイスする。
場所
成陽高校 (せいようこうこう)
幡場正己らが通っている高校。サッカー部は都大会でベスト4に入ったこともある強豪で、技術的にはたいしたことがないが、強固な守備を武器に、ロースコアな展開に持ち込んで勝利をものにするしぶといサッカーを展開する。
その他キーワード
ゴラッソ
サッカーの試合で、時にすべての状況を一変させる超スーパーゴールのこと。辞書に載るような言葉ではなく、俗語とも、感嘆詞ともいわれている。入部テストで決めた「ゴラッソ」によって幡場正己の運命は一変することになる。