シドニアの騎士

シドニアの騎士

遥か遠くの外宇宙を漂う播種船シドニアを舞台に、人類を襲う謎の生命体奇居子と、それに抗う人々の存亡をかけた戦いを描く、SFロボットアクション漫画。

正式名称
シドニアの騎士
ふりがな
しどにあのきし
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アクション
レーベル
アフタヌーンKC(講談社) / KCデラックス(講談社)
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概要・あらすじ

謎の生命体奇居子によって太陽系が滅ぼされてから1000年。恒星間宇宙船シドニアは、人類存続をかけた播種船として、広大な宇宙を旅していた。産まれてからずっと、地下で暮らしてきた谷風長道は、亡き祖父斎藤ヒロキの言いつけを破り、食料を求めて地上へと脱出。米泥棒として捕らえられた長道は、シドニアの艦長小林と出会う。

奇居子からシドニアを守る人型ロボット・衛人の操縦士にならないかと小林に誘われた長道は、正規操縦士となるべく、訓練生としての日々を送ることとなる。ある日、長道は氷塊採掘任務のため名機継衛に乗って小惑星へと向かうが、作業を開始した直後、約100年ぶりとなる奇居子の襲撃を受ける。

その場をしのぎ、無事シドニアへ帰還する長道。しかし、その後討伐隊として奇居子の元へ向かったシドニアのトップチームの全滅を受け、奇居子討伐に必要なカビザシの回収任務を命じられる。同級の訓練生とともにカビザシ回収に向かう長道だったが、その途中で奇居子の標的となり絶対絶命の危機に陥る。

しかし、長道は漂流していたカビザシを使い、思いもよらぬ方法で奇居子を撃破、シドニアを救った英雄としてその名を広めるのであった。

登場人物・キャラクター

谷風 長道 (たにかぜ ながて)

産まれてからずっとシドニアの地下深くで祖父の斉藤ヒロキと共に生活していた。しかし、3年前にヒロキが他界し食料が尽きかけていたため、ヒロキの言いつけを破り、シドニアの居住区へ侵入した。シドニア船員として登録されていないにも関わらず、地上に出て間もなく衛人操縦士の訓練生として認められたり、名機として名高い継衛への搭乗を認められたり、本来謁見することすら難しい艦長小林の素顔を見ることができたりと、異例の厚遇を受けている。 地下にある仮象訓練装置で長年訓練を続けていたため、継衛の扱いには長けており、エースパイロットとして数々の活躍を見せている。シドニア人とは異なり光合成が出来ないため、頻繁に食事をする必要がある。 また、驚異的な再生能力を持ち、骨折しても3日ほどで問題なく動かせるようになる。

科戸瀬 イザナ (しなとせ いざな)

女性でも男性でもない、中性と呼ばれる第三の性の持ち主で、成長と共に男性にも女性にも変化できる。また、どちらに変化しなくても、無性生殖により自分のクローンを作ることが出来る。他の訓練生から虐めを受ける谷風長道にも優しく声をかけ、長道にとっての初めての友達となる。長道に対して淡い恋心を抱いており、身体も徐々に女性化してきているが、恋敵が多く苦労が絶えない。 長道に遅れて正規操縦士となるが、初めての戦闘で右腕と左脚を失い、現在は機械による義肢を装着している。

小林 (こばやし)

黒髪長髪の成人女性。一般人の目に触れる際は仮面を装着している。宇宙船シドニアの第二十八代艦長であり、不死の船員会の1人。谷風長道の出生の秘密を知っており、初対面のはずの長道を気にかけている。艦長として、シドニアおよび人類の存続を第一に考えており、そのためならば、多大な損害も省みない。 実際、その大胆な判断力で、シドニアの危機を何度も救っている。不死の船員会のメンバーを皆殺しにし、現在は独断で奇居子討伐の指揮をとっている。

岐神 海苔夫 (くなと のりお)

白髪で長髪の男性。仮象訓練装置における成績は第628期生訓練生中第1位。岐神開発を経営する名家の御曹司で、幼い頃から望むままの地位と名誉を手にしてきた。そのため、突如として表れ、瞬く間にシドニアの英雄となった谷風長道に対しは激しい嫉妬を抱き、連結型奇居子討伐戦の際に彼を陥れようとした。 その結果、星白閑は命を落とし、後に紅天蛾となってシドニアに猛威を振るうこととなる。その後、岐神の禁忌とされている落合の研究室に侵入し、落合に精神を乗っ取られてしまう。

緑川 纈 (みどりかわ ゆはた)

緑髪のボブカットの少女。左目の下のほくろが特徴。奇居子討伐戦であえなく戦死した緑川出雲の妹。兄の死をきっかけに第628期訓練生への編入を決意し、後にその適性が認められ司令補に抜擢される。若いながらもその優秀で冷静な判断力をもって衛人とシドニアを勝利へと導く。兄の仇である奇居子を単独で撃退した谷風長道に並々ならぬ興味を抱いており、訓練生となってからは、あからさまなほど積極的にアプローチしているが、なかなか実を結ぶことはない。

白羽衣 つむぎ (しらうい つむぎ)

岐神海苔夫に扮する落合が、エナ星白を基に作り出した人間と奇居子の融合固体。衛人操縦士が奇居子の本体を破壊するために必要なカビを使うことなく、奇居子本体を消滅させることが出来る。通常の衛人をはるかに超える推進力と機動性を持ち、単体で奇居子に対抗することが出来る。 身体は奇居子同様胞衣で出来ているが、思考や感情は人間のそれと同様で、人の言葉を話すことが出来る。産まれて間もないため精神年齢は幼いが、奇居子から人類を守るため自ら戦闘に身を投じる。初陣で自分を救ってくれた谷風長道に対して強い好意を抱いている。

星白 閑 (ほしじろ しずか)

黒髪でボブカットの女の子で第628期衛人操縦士訓練生副代表。正規操縦士として初めての出撃となった連結型奇居子討伐戦にて、奇居子に捕らえられそうになった谷風長道を救うために身代わりとなり、命を落とす。後に星白の身体は奇居子によって再生され、衛人操縦士達の敵となって再び現れる。

仄 焔 (ほのか えん)

人工羊水と圧縮知育で5年という短期間で急速に成長したクローン姉妹である仄姉妹の長女。容姿は他の姉妹とまったく変わりがない。女子光合成室へ迷い込んだ谷風長道に激昂し、強烈な一撃を食らわす。姉妹の中では一番早く正規操縦士に任命されたが、連結型奇居子討伐戦で重傷を負い、長い間意識不明となっていた。

仄 煉 (ほのか れん)

人工羊水と圧縮知育で5年という短期間で急速に成長したクローン姉妹である仄姉妹の1人。容姿は他の姉妹とはまったく変わりがない。姉の仄焔より多少控えめで落ち着いた性格をしており、谷風長道と焔の仲を取り持とうとするが、なかなか上手くいっていない。焔が意識不明の重体になったため、その穴埋めとして正規操縦士に任命された。

かなた

岐神海苔夫に扮する落合が、エナ星白を基に作り出した、白羽衣つむぎに継ぐ第二の融合固体。重力子放射線射出装置など、新たな能力を獲得しており、個体としての性能はつむぎよりも高いが、精神年齢が幼いため、我慢弱くすぐに暴れてしまう。小林の命によって解体が決定され、本体を破壊されるが、そのせいで隠れていた落合の人格が覚醒し、自我を乗っ取られてしまう。

落合 (おちあい)

かつて奇居子研究の第一人者を務めていた男性で、不死の船員会の1人。奇居子に関する優秀な研究の数々によって多くのシドニアの民を救ってきた。しかし、100年前の第四次奇居子防衛戦において、まだ研究段階だった奇居子と人間の融合固体を独断で起動し、コントロール制御を失う。 そして、奇居子に対抗する唯一の手段であるカビザシを投棄し、奇居子の侵入を許したため、シドニアの人口を99%を失わせるという大厄災を招いた。

斎藤 ヒロキ (さいとう ひろき)

白髪で老齢の男性で、谷風長道の祖父。若い頃の姿は長道に良く似ている。長道と共にシドニアの地下で長い時間生活していたが、三年前に他界する。その正体は、かつてシドニアを数々の危機から救った伝説のエースパイロットで、不死の船員会の1人だった。自分の脳を移植する予定だったクローン体をまだ未熟なうちに強奪し、谷風長道と命名し地下で育てていた。

ヒ山 ララァ (ひやま ららぁ)

熊そのものの容姿をした女性で、右手に機械式の義手を装着している。衛人操縦士たちが生活している寮の寮母を務めており、毎日食事を作っている。衛人操縦士達の母親役として、生活面から精神面まで幅広い面倒を見ている。実は不死の船員会のうちの1人で、以前は衛人操縦士として活躍していた。 馴染みであった斉藤ヒロキのクローン体である谷風長道を、まるで自分の子供のように気にかけている。

勢威 一郎 (せいい いちろう)

シドニアの司令補佐を勤める白髪の男性。奇居子討伐戦による主要戦力の損失を鑑みて、緑川纈を司令補佐に任命し、衛人操縦士として前線に復帰する。

科戸瀬 ユレ (しなとせ ゆれ)

科戸瀬イザナの祖母。容姿はイザナとそっくりで、不死の船員会の構成員のため歳をとらない。外宇宙生命体研究所の所長を務める科学者で、100年前にシドニア人を光合成可能な生物へと変えるための遺伝子操作を考案した実績を持つ。イザナには正体・素性を明かしておらず、素顔のまま一般人として過ごしている。

岐神 海蘊 (くなと もずく)

岐神家の侍女。岐神海苔夫に仕えるために産まれてきた存在であり、海苔夫に絶対の忠誠を誓っている。岐神家の秘密を探ろうとする海苔夫を諌めるが、それでも止まらない海苔夫と共に立入禁止の落合の研究室に入り、小さな機械人形に殺されてしまう。以後は、落合の手によりトクシーヌとして復活し、落合の側近を努めるようになる。

衛人 (もりと)

『シドニアの騎士』に登場する人型ロボットの総称。ヘイグス粒子を動力源にしており、機敏な動きが可能である。様々な兵器を搭載しているが、奇居子討伐にはカビザシが必要不可欠のため、基本的に、奇居子本体を包む胞衣を剥がし、本体をむき出しにしてからカビザシで貫くという戦法が用いられる。後に人工カビが生産されたことによって、遠距離攻撃も可能となった。

継衛 (つぐもり)

『シドニアの騎士』に登場する人型ロボット。数ある衛人のうちの一個体で、一七式衛人をモデルとしている。かつて斎藤ヒロキが搭乗していた機体であり、彼専用の調整がされている。ヒロキの退役後は展示用として保管されていたため、実戦投入はされていなかったが、彼のクローンである谷風長道が登場してからは、長道の専用機体として運用されるようになった。

市ヶ谷 テルル (いちがや てるる)

研究者、市ヶ谷太郎によって作られた機械で出来た人工生命体。レム星移住者の1人で、人類がカビから遠ざかれば奇居子は襲ってこないと信じていたが、程なく奇居子によって壊滅させられたため、彼女1人が取り残された。レム星を訪れた長道たちによって救出される。

集団・組織

不死の船員会 (ふしのせんいんかい)

『シドニアの騎士』に登場する組織。宇宙船シドニアの最高意思決定機関。一般的には噂上の存在にしか過ぎず、その詳細は一切明かされていない。特定の分野において優秀と認められた人物のみが所属することができ、所属した人間は不老不死となる。不死の船員会以外に不死者は存在してはならないとされている。生身の身体で活動している者以外は、シドニアのとある一室で生命維持装置の中に入っている。

シドニア人 (しどにあじん)

『シドニアの騎士』に登場する種族。シドニアで生まれ育った人々。100年前に遺伝子操作によって光合成能力を獲得しているため、食事は一週間に一度程度で済む。また、クローンや人工生命、男性女性のどちらでもない中性人など、様々な人種が存在する。

東亜重工 (とうあじゅうこう)

『シドニアの騎士』に登場する企業。衛人をはじめにシドニアの様々な機器を製造している。岐神開発にシェアを奪われ縮小。同作者の『BLAME!』『BIOMEGA』などの作品にも同名の企業が登場するが、同一のものかは不明。

その他キーワード

シドニア

『シドニアの騎士』に登場する宇宙船。小惑星状の岩石を付した八角柱型の播種船で、レム恒星系に向かって航行している。内部には非常に大きな空間が広がっており、約五十万人ほどが居住できる上、食料をはじめとした資源生産も行われている。重力場発生装置が搭載され、通常重力は1Gに保たれているが、奇居子の襲来などにより緊急で旋回する場合は、重力警報が発生されるほど危険な状態となり、時として多くの人命が損なわれることになる。

カビ

『シドニアの騎士』に登場する用語。奇居子の本体を破壊することの出来る唯一の物質であり、これを先端につけたカビザシをもって衛人操縦士は奇居子に対抗する。現存するカビは6世紀前に発見されたものが全てであるため、数に限りがあり、貴重に扱われている。人工カビが生成されてからは、カビの使い方に多様性が生まれ、遠距離攻撃が可能となった。

ヘイグス粒子 (へいぐすりゅうし)

『シドニアの騎士』に登場する用語。宇宙に無尽蔵に存在している粒子で、様々な機器の動力源として用いられる。奇居子もヘイグス粒子を用いて胞衣を生成したりヘイグス粒子砲を放ったりすることが出来る。奇居子が地球に接近し始めたのは人類が新エネルギーとしてヘイグス粒子を用いるようになってからであり、ヘイグス粒子が奇居子を呼び寄せているのではないかという考察がなされている。

掌位 (しょうい)

『シドニアの騎士』に登場する用語。衛人同士が腕を固く結ぶことによって、複数機体による安定した高速移動を可能にした移動法。掌位する機体が増えれば増えるほど、速度・距離共に上昇し、256機掌位ともなると、シドニアの帰艦限界線を越えて行動をすることが出来る。パイロットの間では握手したことがない者と掌位するとトラブルに見舞われるというジンクスが存在する。

奇居子 (がうな)

『シドニアの騎士』に登場する生物。圧倒的な戦闘力を有する謎の生命体で、1000年前に太陽系を滅ぼした。本体とそれを覆う大量の胞衣によって構成される。本体が破壊されない限り、宇宙に無尽蔵に存在するヘイグス粒子を用いて永遠に再生するため、奇居子を打倒するには、胞衣を1cmたりとも残さず除去した後、カビザシによって本体を貫かねばならない。 同作者の『BIOMEGA』『ABARA』などの作品にも同名で似た特性を持つ生物が登場するが、同一のものとは不明。

胞衣 (えな)

『シドニアの騎士』に登場する用語。奇居子の本体を包む外皮であり、ヘイグス粒子によって出来ている。様々な形に変形することが可能で、時には人間の身体の構造や人格を完全に模倣することも可能である。通常、奇居子の本体が破壊されれば、胞衣は泡状分解し跡形もなくなるが、本体が破壊される前に分離していればそのままの形状で残存することもあり、中には400年以上その形を保ち続けているものもあるという。

紅天蛾 (べにすずめ)

『シドニアの騎士』に登場する生物。星白閑を模倣した奇居子の中でも、特に高い戦闘能力を持った個体の通称。星白を模倣した胞衣が機体の中で操縦しており、星白の音声通信を介して衛人パイロットたちを惑わす。幾度と無く衛人達の前に現れては、その驚異的な戦術と戦闘能力で、多くの衛人操縦士を殺めてきた。

衆合船 (しゅがふせん)

『シドニアの騎士』に登場する用語。無数の奇居子の集合体であると同時に、巣である。その大きさは大小さまざまであるが、大きなものは惑星一個分ほどにもなる。奇居子が密集している主本体と呼ばれる部位があり、これを破壊すれば、殲滅とは行かないまでも非常に大きなダメージを与えることが出来る。

衛人操縦士 (もりとそうじゅうし)

『シドニアの騎士』に登場する役職。衛人を操縦するシドニアの戦闘員のこと。訓練生になるだけでも相当な適正が必要で、正規操縦士となれば街をあげて祝福されるほどの名誉となる。しかし、正規操縦士の生還率は5割と低く、その初陣ともなればさらに確率が低くなる。そのため、人の入れ代わりが激しく、次々と新しい正規操縦士が任命される。

書誌情報

シドニアの騎士 15巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2009-09-23発行、 978-4063145977)

第2巻

(2010-02-23発行、 978-4063106336)

第3巻

(2010-07-23発行、 978-4063106800)

第4巻

(2010-12-22発行、 978-4063107166)

第5巻

(2011-05-23発行、 978-4063107531)

第6巻

(2011-10-21発行、 978-4063107838)

第7巻

(2012-03-23発行、 978-4063878127)

第8巻

(2012-07-23発行、 978-4063878332)

第9巻

(2012-12-21発行、 978-4063878530)

第10巻

(2013-05-23発行、 978-4063878868)

第11巻

(2013-10-23発行、 978-4063879285)

第12巻

(2014-03-20発行、 978-4063879650)

第13巻

(2014-08-22発行、 978-4063879919)

第14巻

(2015-02-23発行、 978-4063880335)

第15巻

(2015-11-20発行、 978-4063881028)

新装版 シドニアの騎士 7巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2017-10-23発行、 978-4065105696)

第2巻

(2017-10-23発行、 978-4065105627)

第3巻

(2017-11-21発行、 978-4065105634)

第4巻

(2017-11-21発行、 978-4065105658)

第5巻

(2017-11-21発行、 978-4065105672)

第6巻

(2017-12-22発行、 978-4065105900)

第7巻

(2017-12-22発行、 978-4065105917)

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