あらすじ
第1巻
高校1年生の小暮奈緒は、高校入学直後のある日、不良として有名な同級生の鬼瀬大雅に告白される。大雅の気迫に負け、渋々承諾する奈緒だったが、すぐに大雅の人柄に触れ、考えを改める。大雅は強面で喧嘩が強いために恐れられているが、本当はまじめで心優しく、ボランティア精神にあふれ、さらに料理上手でもあるという、今時珍しいほどの好青年だったのである。そんな大雅は、中学時代にケガをして倒れている自分に親切にしてくれた奈緒の事が忘れられず、結婚を前提に交際したいと思っているのだという。しかし奈緒には、大雅の思いに応えられない理由があった。奈緒は同居する叔父の宗介に思いを寄せており、叶わない恋と理解しつつも、ほかの人との交際は考えられなかったのである。奈緒は大雅にそれを正直に打ち明け、二人はひとまず友人として付き合っていく事になるのだった。
第2巻
宿泊研修がきっかけで、孤立しがちだった小暮奈緒と鬼瀬大雅に、三咲渉と矢代かよという友人ができた。そんな中、中間テストが近づき、奈緒は成績が思わしくない大雅に勉強を教える事になる。しかし勉強中、奈緒はうっかり眠ってしまっていたところを、大雅にキスされる。大雅は奈緒に不快な思いをさせてしまったと感じて即座に謝罪するが、奈緒はこれがきっかけで、大雅への思いを自覚する。そこで奈緒は、中間テストが終わった次の日、大雅に告白する事を決意。しかし当日、奈緒は待ち合わせ場所に向かう途中、道案内を頼まれたり、迷子を発見したりと次々にアクシデントに見舞われ、約束に遅れてしまう。一方その頃、大雅はかつて喧嘩になった不良に絡まれていた。結果、喧嘩をしたあとに奈緒と会いたくないと考えた大雅は、一方的に殴られる形となり、道で倒れてしまう。そんな大雅を発見したのは奈緒であった。まるで初めて出会った日のようなシチュエーションの中、奈緒は今度は自分から、結婚を前提に交際してほしいと大雅に告白。二人はついに恋人同士となる。
第3巻
9月。鬼瀬大雅に、二見彩葉という同じクラスの友人ができた。これによって大雅は、小暮奈緒、三咲渉、矢代かよがいる1年C組にはあまり顔を出さなくなってしまい、奈緒は内心、彩葉に嫉妬してしまう。しかし、偶然会ったのがきっかけで奈緒と彩葉は親しくなり、彩葉は密かに奈緒に思いを寄せるようになっていく。そのまま体育祭の準備が始まるが、練習中ケガをした菜緒を助けたのは、彩葉であった。この一件がきっかけで、大雅は彩葉が奈緒に片思いしている事を知り、さらに彩葉にライバル宣言をされる。大雅は、自分がクラスになじむきっかけをくれた彩葉がライバルとなった事に悩むが、そんな大雅を宗介は励ます。これを受けて、大雅は彩葉に、これからも友人でいたいと正直な思いを伝える。大雅は奈緒を彩葉に譲る事はできないが、彩葉は大切な友人であるため、恋敵になったからといって疎遠になりたくないと告げる。彩葉はそれに応じ、ついに体育祭当日が訪れる。しかし、大雅が借り物競争で、好きな人を連れて来いと指令を受けていた頃、奈緒は彩葉に告白されていた。
第4巻
体育祭の日、小暮奈緒は二見彩葉に告白されたが、自分には鬼瀬大雅がいるので応じられないとはっきり断った。後日大雅は彩葉からそれを報告され、さらに奈緒からも同様の報告を受ける。これによって大雅は、誠実で噓のつけない友人と恋人を得た事を、改めて幸福に思うのだった。そして時は過ぎ、11月。奈緒、大雅、三咲渉、矢代かよが四人で歩いていると、そこに突然、かよの恋人の権瓦郁巳が現れる。密かにかよに思いを寄せる渉はショックを受けるが、その直後、渉は郁巳が複数の女性と同時に交際しており、しかもかよはそれを知りながら交際し続けている事を知る。郁巳とかよの関係が理解できない渉は激怒し、奈緒達四人組は、気まずい雰囲気になってしまう。この状況を案じた奈緒と大雅は、それぞれかよと渉のケアをする。これによって自分の気持ちを整理した渉は、かよに告白。渉の真摯な思いに心打たれたかよもまた、自分も正直になろうと決意し、郁巳にもう浮気をしないでほしいと頼む。しかし郁巳はすでに、これ以上かよと交際を続けても、自分はかよにいい影響を及ぼさないと気づいていた。そして、自分の浮気性はこれからも治りそうもないので、もう別れようと告げるのだった。こうしてかよと郁巳は別れ、かよと渉は交際を始める訳ではなかったが、その関係は一つ深まるのだった。
第5巻
12月。未だに二人きりで出かけた事のない小暮奈緒と鬼瀬大雅は、初デートはクリスマスの日にしようと計画していた。しかしそこに三咲渉、矢代かよ、二見彩葉が現れ、結局クリスマスは大雅の自宅で、五人でパーティする事になってしまう。内心残念に思う奈緒だったが、当日彩葉が気を利かせた事で、ついに二人きりの時間が訪れる。だがその瞬間帰宅したのは、なんと大雅の母親であった。これがきっかけで、奈緒は大雅の母親と親しくなり、そのまま一泊するが、うっかり外泊を叔父の宗介に報告しそびれてしまう。帰宅後、奈緒はすぐさま宗介に謝罪するが、宗介は不機嫌なままであった。その後も宗介の態度はまったく変わらず、とうとう腹を立てた奈緒は、宗介への反抗を決意。宗介が本音を言わない限り、家には帰らないと伝える。これを案じた大雅は、宗介に、奈緒と本音で話すよう説得する。これによって奈緒は、奈緒が大雅と交際を始めた事で、奈緒と宗介のあいだに精神的距離ができ、宗介が内心淋しく思っていた事を知る。宗介の思いを知った奈緒は宗介と仲直りし、二人はより絆を深める事となる。
第6巻
3月。小暮奈緒は、3日に行われる鬼瀬大雅の誕生パーティに向けて準備を進めていた。しかし当日、奈緒は大雅とどこか似た雰囲気の少年、西垣亮太郎と共に不良達から逃げていた。亮太郎の仲間と勘違いされた奈緒は、不良達に襲われそうになっていたのである。しかし間一髪で大雅が現れ、奈緒と亮太郎は事なきを得る。さらにここで、なんと大雅と亮太郎は中学時代の先輩後輩であり、亮太郎は大雅を非常に慕っている事が発覚する。そして4月。高校2年生に進級した奈緒達は、新入生となった亮太郎に加え、亮太郎の双子の妹である西垣雅と出会う。しかし雅は極度の人見知りで、入学早々孤立してしまっていた。そんな雅を案じた大雅は雅に声を掛け、雅は大雅をコミュニケーション術の先生として慕うようになっていく。奈緒はそんな二人を応援していたが、やがて雅が大雅に惹かれ始めている事に気づいてしまう。
第7巻
小暮奈緒は、西垣雅が鬼瀬大雅に思いを寄せているらしい事に気づくが、雅自身はそれを自覚していないようであった。奈緒はひとまず様子を見る事にするが、日に日に大雅と雅は親しくなっていき、気が気でなくなってしまう。一方大雅は、二見彩葉に奈緒の様子がおかしい事を指摘され、雅と親しくする事で、奈緒を不安にさせていたと気づく。そこで大雅は雅に、自分は奈緒と交際しているので、奈緒を不安にさせる行動は取れないと伝える。しかし雅はそれを理解できず、とうとう泣き出してしまう。その場は何とか収めたものの、この一件から、雅は自分が奈緒のような女性になれば、大雅の心は自分に傾くのではと思い込むようになる。そして奈緒達がいっしょに出かけた夏祭りの日、雅はわざと奈緒と同じ服装で現れたり、奈緒と同じ行動を取ったりする事で大雅の気を引こうとする。それでも耐え続けていた奈緒だったが、見かねた彩葉から、必要以上に我慢する必要はないとアドバイスをされる。その言葉に背中を押された奈緒は雅に本音を伝え、大雅もまた、雅の気持ちには応えられないと断言する。これによって三人の関係は亀裂が入ったかのように思えたが、今度は彩葉が雅をフォローした事で、雅が勇気を出して解決。三人は今後はよき友人として付き合っていく事になり、雅は精神的に一つ成長する。
第8巻
7月。小暮奈緒、鬼瀬大雅の西垣雅の三角関係も解決し、期末テストが近づいてきた。そんなある日、三咲渉と二人きりになった矢代かよは、衝動的に渉にキスをする。これがきっかけで渉への思いを自覚したかよは、とうとう渉との交際を始め、二人の関係をずっと見守ってきた奈緒もまた、それを自分の事のように嬉しく思うのだった。そしてテストが終わり、奈緒と大雅は、ついに交際1周年を迎える。しかしその直後、二人は宗介がかつて幼い奈緒を育てるために恋愛をあきらめ、恋人とも別れていた事を知る。宗介が奈緒のためにたくさんのものを犠牲にしていた事を知った奈緒は、自立に向けて奮闘し始め、大雅もまた、宗介が安心して奈緒を任せられるような男性になる、と宗介に宣言するのだった。そして8年後。交際9年を迎えた奈緒は、大雅に108本のバラを贈られ、プロポーズされる。大雅はこれまで毎月、奈緒に交際月分の薔薇をプレゼントしてくれていたが、それが108本に達し、薔薇の花言葉が「結婚してください」となる9年目の日にプロポーズしようと、以前から決めていたのである。奈緒はこれに応じ、二人は婚約するのだった。
メディアミックス
登場人物・キャラクター
小暮 奈緒 (こぐれ なお)
ボブヘアーの女子。初登場時は高校1年生。情報ビジネス科1年C組に在籍。自称ビビりでヘタレな性格。超のつく料理オンチ。6歳の時に両親を亡くし、叔父宗介の家で暮らしている。以来宗介は保護者であり、好意の対象だった。中学1年生の頃、雨の中傷だらけで倒れていた鬼瀬大雅を見て、傘と絆創膏を残して走り去った。 高校に入学後は、周りになじめず一人でいることが多かった。不良と噂の鬼瀬大雅に結婚を前提に交際を申し込まれ、恐ろしさのあまりその告白を受け入れてしまう。ファンシーな手作り弁当を持って来たり、年老いた教師を助けたりと、鬼瀬大雅の意外な面を知る。しかし鬼瀬大雅から、告白の理由を聞かされた時に、自分の臆病さが彼を裏切っていたことに気付き、涙ながらに正直な気持ちを伝え、以降は改めてお互い高校に入って初めての「友達」となる。 宿泊研修では鬼瀬大雅に加え三咲渉と矢代かよと「ぼっち組」4人の班になる。研修中、鬼瀬大雅の本当の優しさや真面目さに気づき、彼に対しての気持ちが変化し始める。その後、学校で鬼瀬大雅に勉強を教えている最中に居眠りしてしまった時に彼から口づけを受け、自分が鬼瀬大雅に恋をしていることを知る。 悩んだ末に、改めて鬼瀬大雅に自分から告白し、両想いになった。鬼瀬大雅を鬼瀬くんと呼んでいたが、付き合い始めてからしばらくして大ちゃんと呼ぶようになった。
鬼瀬 大雅 (おにせ たいが)
赤く染めた髪にピアスをした男子。気分が乗ると金髪にする。目つきが鋭く、「悪代官顔」などと言われている。夫と離婚した母と暮らし、年の離れた兄がいる。初登場時は高校1年生。情報ビジネス科1年C組に在籍。中学時代から様々な問題を起こし、入学式で上級生を殴り停学になったと噂され周囲から浮いていた。突然花束を手に小暮奈緒の元に現れ、結婚を前提に交際を申し込む。 中学1年生の時に雨の中で倒れていたところに、傘と絆創膏を置いていった女の子を探し続け、中学生の頃、雨の中傷だらけで倒れていたところを小暮奈緒に傘と絆創膏を渡され、高校で再会して運命の人と確信しての行動だった。見かけと噂から札付きの不良に見られているが、それはすべて生真面目さ、優しさ、誠実さの故だった。 抜群の料理の腕を持ち、美味でファンシーな弁当を作ったりする。一度は小暮奈緒に告白を受け入れられ付き合い出すものの、彼女から怖いからだったと告げられ、改めてお互い高校に入って初めての「友達」となる。宿泊研修では小暮奈緒に加え三咲渉と矢代かよと「ぼっち組」4人の班になる。 その後、勉強を教わっている最中、居眠りした小暮奈緒と口づけしてしまう。その後彼女から告白され、両想いになった。小暮奈緒を小暮さんと呼んでいたが、付き合い始めてからしばらくして奈緒と呼ぶようになった。高2では小暮奈緒、矢代かよ、三咲渉が一緒のクラスなのに1人だけ別のクラスになってしまった。
宗介
眼鏡をかけた男性。初登場時は29歳。小暮奈緒の叔父(母の弟)であり、彼女がずっと好きだった相手。両親を亡くした小暮奈緒を引き取り、彼女と一緒に過ごすために会社を辞め喫茶Feliceを営んでいる。オムライスを作るときは、小暮奈緒への励ましの合図。鬼瀬大雅に心が傾く小暮奈緒を見守りつつも少し複雑な気持ちを抱えている。
矢代 かよ (やしろ かよ)
ロングヘアの女性。初登場時は高校1年生。両親はいるが、家では1人でいることが多い。情報ビジネス科1年C組に在籍し、小暮奈緒のクラスメイト。無表情な事が多く、クールで辛口。宿泊研修の班決めで初めて小暮奈緒に話しかける。他人に興味が無く、クラスでも浮いていたが宿泊研修をきっかけに、一緒の班になった小暮奈緒、鬼瀬大雅、三咲渉と話し始めるようになった。 小暮奈緒が鬼瀬大雅への気持ちに悩んでいた時には、面白がりつつもアドバイスを送った。小暮奈緒、鬼瀬大雅、三咲渉に出会ってから、自分も変わったと思い始めている。中学3年の時に家庭教師だった大学生の権瓦郁巳という彼氏がいる。 見かけによらず大食い。
三咲 渉 (みさき あゆむ)
初登場時は高校1年生。家族は両親と姉3人。情報ビジネス科1年D組に在籍し、鬼瀬大雅のクラスメイト。小暮奈緒も思わず目を留めてしまう美少年だが、容貌にそぐわない乱暴な言葉遣いをする極度の意地っ張り。そのためクラスで浮いていた。鬼瀬大雅に強引に宿泊研修の班に入れられ、小島奈緒、矢代かよと4人の班になる。 初めは鬼瀬大雅に反発していたが、小暮奈緒から叱責され、これをきっかけに彼とは「ダチ」になる。勉強が苦手で、空気を読むことにも長けておらず矢代かよ曰く「勉強もできない気もきかない美少女顔」。矢代かよに好意を持ち始める。
二見 彩葉 (ふたみ あやは)
黒髪の男子。初登場時は高校1年生。情報ビジネス科1年D組に在籍し、鬼瀬大雅のクラスメイト。ぼっち呼ばわりされる鬼瀬大雅に違和感を覚え、夏休み後に話しかける。バスケットボール部ではエース。なんでもそつなくこなせる人気者。小暮奈緒を「奈緒ちゃん」と呼ぶ。鬼瀬大雅と付き合っているという小暮奈緒に興味がわき、その内面にも触れるうちに少しずつ惹かれてしまう。
長瀬 (ながせ)
短髪の男子。バスケットボール部での二見彩葉の先輩。決めポーズが好きなナルシスト。
井上 (いのうえ)
眼鏡に三つ編みの女子。初登場時は高校1年生。情報ビジネス科1年D組に在籍。美術部所属で、体育祭の時にクラスTシャツをデザインした。
権瓦 郁巳 (ごんがわら いくみ)
金髪の男子。大学2年生。以前、鬼瀬大雅を殴ったことがある。矢代かよの彼氏。女癖が悪く酒癖が悪く手が早い。矢代かよが中学3年生の頃家庭教師だった。
鈴森 蘭子 (すずもり らんこ)
ショートヘアーの女子。初登場時は17歳の高校2年生。番外編に登場する。元ヤン。ケンカの後宗介に声をかけられ、惚れてしまう。
鬼瀬大雅の母 (おにせたいがのはは)
ロングヘアの女性。夫と離婚後、女手一つで鬼瀬大雅と兄を育ててきた。さばけた性格だが気合を入れた顔は怖い。また息子鬼瀬大雅を今もお姫様抱っこできる程力が強い。小暮奈緒は、クリスマスに初めて彼女と会った。
三上 あたる (みかみ あたる)
宗介が経営する喫茶Feliceのアルバイト。小暮奈緒とも顔なじみ。
西垣 亮太郎 (にしがき りょうたろう)
染めた短髪にピアスをした男子。目の下に泣きぼくろがあり、双子の妹西垣雅も同じ位置にほくろがある。身長185cm。初登場時は宇佐川中学校3年生で卒業間際。鬼瀬大雅の後輩で、彼を尊敬してやまない。ケンカの途中に小暮奈緒を巻き込んでしまい、鬼瀬大雅と再会する。その後、小島奈緒、鬼瀬大雅達と同じ高校に進学する。
西垣 雅 (にしがき みやび)
ツインテールの女子。目の下に泣きぼくろがあり、双子の兄西垣亮太郎も同じ位置にほくろがある。初登場時は高校1年生。話すテンポが物凄く遅く、無視していると勘違いされる。そのため入学早々良くない噂が立ち孤立してしまうが、鬼瀬大雅から親身にアドバイスを受け、友達を作ろうと彼女なりに奮闘する。