概要・あらすじ
人類が初めて発見した地球型惑星エデン。そこにに送られた有人探査隊は、実験動物を放ち、惑星軌道上に戻ろうとするが、宇宙船にトラブルがあり、惑星にいなければならなくなる。宇宙服のヘルメットをはずし、狩りを行い惑星に順応していくトキオ達乗務員。だがエデンの低周波振動音に、次第に変調をきたしていく。
他の動物達も、統制力を失い、共食いをして死んでいく中、人間達も互いに不信感を抱き始める。動物学者のビックは、秘密裏に馬の子の額に、拒絶反応抑制処理を行った牛の芽状突起を移植、ユニコーンを作り出す。馬達がユニコーンを中心に統制されているのを見たビックは、尊厳と信頼の象徴が必要だとし、乗組員の胎児に同手術を施すことを提言。
登場人物・キャラクター
トキオ
『ユニコーンの星』に登場するキャラクター。少年。中継ステーションで生まれ育った試験管ベビーであり、地球環境に馴染んでいない為、異星に適応しやすい人材として、探査隊に入れられた。一番はじめにヘルメットをとり、エデンの低周波振動音に気づいた。音に心を乱されつつも、同年代の少女ケイと共に、比較的穏やかに過ごし、共にユニコーンを発見した。 乗組員の混乱と野火の際には、ケイと共にユニコーンを追いかけ、結果として彼らと共に水辺に逃げることで、生き延びた。
ビック
『ユニコーンの星』に登場する動物学者の男性。動物をよく観察し、いち早く低周波振動音と、動物や人間の社会性や協調性の消失の関係性に気づいた。統制力の復活の為に、秘密裏に馬の子の額に、拒絶反応抑制処理を行った牛の芽状突起を移植、ユニコーンを作り出す。馬達がユニコーンを中心に統制されているのを見たビックは、サルにも同手術を施したが、そちらは失敗した。 社会性を失った人間達にも、尊厳と信頼の象徴が必要だとし、乗組員マリの胎児に同手術を施すことを提言。しかしマリは狂乱して拒絶、ビックを銃で殺し、他の乗組員にも攻撃。それをきっかけに、乗組員達が殺し合いを始めてしまう。死の間際まで、人間のためだと口にし続けた。
ユニコーン
『ユニコーンの星』に登場する動物。ビックによって、額に拒絶反応抑制処理を行った牛の芽状突起を移植された馬。一角を持った為か、他の馬よりも強く育ち、リーダーシップを発揮。乗組員の混乱と野火が発生した際には、トキオとケイを誘い、水辺へと避難させた。
場所
エデン
『ユニコーンの星』に登場する惑星。人類が宇宙で初めて発見した、完全地球型惑星。無人探査期465955MUSAが一角獣座β星方向へ直進探査中、中型恒星系の中に発見した。直径約12,500km、自転周期23.4地球時間、公転周期約360自転単位。重力0.972G、外気温23度、湿度62%、気圧は1010mb、有害な細菌類は検出されず、海と草原の平地で構成されている。 適応実験の為に放った動物達は生存はしていたが、怯えた様子を見せていた。自転速度が地球よりもわずかに大きいエデンでは、自転音響(惑星が自転する際に生じる轟音)が地球生物に低周波振動音として知覚され、心理的変調や統制力、社会性を失う危険があることが、後に判明。エデン移民計画の全面放棄を提言された。