井の頭ガーゴイル

藤沢とおるの代表作『GTO』と同じ舞台および時系列で描かれるスピンオフ作品だが、原作の主人公である鬼塚英吉の出番は少なく、鬼塚の高校時代からの悪友･冴島俊行が本作の主人公を務める。警察官でありながら「井の頭公園の交番に棲（す）む悪魔」と噂され市民に恐れられている冴島と、後輩の沖田総一郎がさまざまな事件やトラブルに巻き込まれる姿が、お色気とギャグコメディを交えながら描かれる。原作『GTO』は週刊少年マガジンで連載された人気漫画で、実写ドラマやアニメを中心に多数のメディアミックスが展開され、本作のほかにも続編や番外編が発表されている。

主人公の冴島俊行は井の頭公園前派出所に勤務する警察官だが、生まれながらの強面（こわもて）で悪い噂が絶えず、女性から避けられたり怖がられたりと、まったくモテない人生を送っていた。風俗嬢にすら見下される冴島は、警察の立場を利用して押収品を盗み出すなど、違法行為に手を染めている。そんな冴島は生意気なイケメンの後輩、沖田総一郎や、なぜか懐いてくる小学生の白石優をはじめとする個性的な人物に振り回されながらも、女性との新たな出会いや素人童貞を卒業するチャンスをうかがっている。また、かつて「鎌倉の狂犬」として恐れられた冴島の高校時代の悪友、鎌田純をはじめ、『GTO』の前作である『湘南純愛組!』のキャラクターも本作に登場する。

冴えない日常を過ごしていた冴島俊行はある日、コインランドリーで静香という謎の美女と出会う。静香は暴力団「極鬼会」に追われているうえに、「1000人斬りの女」というあだ名を持つ、いわく付きの女性だった。極鬼会に自宅を焼き払われ、愛猫を失った静香を放っておけない冴島は、復讐（ふくしゅう）を誓う彼女に代わって極鬼会を壊滅させると宣言。その後も冴島はさまざまな訳あり美女と出会い、エピソードごとに異なるヒロインが登場する。困った女性を救うため、そして脱童貞のために体を張って奮闘する冴島の活躍が見どころとなっている。