あらすじ
第1巻
元伝説のヤンキーと知られる現役教師の鬼塚英吉は、湾岸刑務所で囚人としての朝を迎える。所内で玄田と出会った栄吉は、騒ぎを起こした罰で厳罰房に入れられていた。共に厳罰房にいた玄田に教師であることを打ち明けた英吉は、自分がやったことを後悔していないと言いながら、刑務所入りになったいきさつを語り出す。半年前、東京吉祥学苑高等部に移った英吉は、新たに開設された芸能人専用クラス「Gクラス」の副担任を任される。かわいいアイドルたちに囲まれた夢のような教師生活に胸を躍らせる英吉であったが、そんな彼の理想と期待はすぐに崩れ去る。Gクラスは前任の教師が刑務所入りになったり、自殺未遂の生徒が出ていたりなど、多数の問題を抱えるクラスだったのだ。数々の奇跡を起こしてきた英吉にGクラスを任せた桜井良子は、西脇梨々花が自殺未遂をした謎や、Gクラスの問題を解決してくれることを願っていた。しかし謎に包まれたGクラスで、英吉はさっそく問題児たちのいたずらの被害に遭ってしまう。こだま那奈からGクラスの現状を聞いた栄吉は、屋上で生徒の一人である赤坂ゆうじと出会う。ゆうじは幼なじみの新崎鉄也が売れっ子アイドルになったことで格差が開き、対等に接することができなくなったと悩んでいた。英吉はそんなゆうじを励ましながら、暗然たる思いに沈む生徒同士の格差を鬼塚流で壊してやると宣言する。
第2巻
クラスメート同士で社会的知名度による格差が生じ、嫌がらせや差別が横行しているGクラスの現状を悟った鬼塚英吉は、クラスを包む暗い空気を振り払うと決意。英吉は自分に嫌がらせをした生徒や、見下したクラスメートを差別している生徒たちに、容赦のない教育的指導をする。一時はGクラスに平和が訪れたように見えたが、英吉の制裁を受けた新崎鉄也は、狂信的なファンたちを利用して復讐をもくろむようになる。英吉は鉄也が反抗的な態度を取るようになったことに気づくものの、鉄也に集中攻撃はしない方がいいと、こだま那奈に警告される。過去に鉄也を叱った教師たちは、彼の手回しによって執拗な嫌がらせを受けていたのである。いつでも相手になってやると息巻いていた英吉は、その日以来、鉄也のファンの手によってさまざまな嫌がらせを受けるようになる。こうして赴任初日から始まっていた鉄也と英吉の泥仕合は激化していき、嫌がらせの規模は英吉の周囲をも巻き込むほどに広まっていた。さらにただの嫌がらせにとどまらず、英吉は鉄也のファンから命を狙われるようになってしまう。一度は鉄也にあやまろうとした英吉だったが、ファンの手を汚させて利用する彼の態度に激しい怒りを覚えた英吉は宣戦布告。英吉は多くの人を巻き込んで傷つけても平然としている鉄也に、きついお灸を据えようと動き出すのだった。
第3巻
鬼塚英吉が新崎鉄也と貞子の問題を解決したことにより、心から反省した鉄也は二度とファンをないがしろにしないと決意。心身ともに変わった貞子もアイドルファンを卒業し、新たな目標に向かって歩み出すのだった。一方、東京吉祥学苑高等部で英吉に強権を振るう内山田ひろしは、家庭での扱いがあまりよくないことや、家にあまり居場所がないことに悩んでいた。そんなひろしはある日、愛車を売って衝動買いしたキャンピングカーを新たな居場所として活用し、車内で過ごすささやかな癒しの時間を楽しむようになる。だが、ひろしはインターネット中に偶然、内山田好子とよく似た女子高校生がアップロードした裸の自撮り写真を発見してしまう。最近冷たくなってきた好子が、卑猥な自撮り写真を上げていると知ってしまったひろしは、誰にも相談できないまま一人で頭を抱える。好子が承認欲求目的で自撮りを上げていると推測したひろしだったが、悪い男に自撮りアップを強要されているのではと疑うようになり、急いで好子の周辺を探る。その中で好子が英吉と会っているのを見たひろしは二人を問い詰めるが、好子はひろしに自撮りアップを疑われていると悩み、英吉に相談しているだけだった。好子に自撮りの件を否定されて安堵するひろしだったが、この問題は完全に解決したわけではなく、ひろしの心配と悩みは尽きないままだった。
第4巻
鬼塚英吉はGクラスの生徒で人気若手女優の大石夏に、自分を誘拐して連れ去ってほしいと頼まれる。夏は多忙なスケジュールに疲れ果てたので自由に遊びに行きたいと言うが、ほかにも深い事情があるのだろうと彼女の頼みを聞き入れた英吉は、変装して京都へと向かう。京都に到着後、夏は英吉に誘拐を依頼した本当の理由を語り出す。夏は悪徳芸能事務所「プラチナコート」と、テレビ局の悪徳プロデューサーの伊東森乃臣によって、枕営業を強要されていたのである。セクハラを繰り返す森乃臣との約束から逃れようと、追い詰められた夏は自暴自棄になっていたが、本音では英吉に助けを求めようとしていた。そんな夏の本音を悟った英吉は、業界の裏ルールに反してでも、彼女を救い出すと決意。二人はいったん吉祥学苑高等部とプラチナコートに戻り、夏は森乃臣と待ち合わせをしているマンションに向かう。夏は枕営業に応じるふりをしながら、小型カメラ搭載の眼鏡で森乃臣の悪事の証拠を押さえる。さらに、その部屋にはゴブリンプロの社長に扮した英吉が乗り込み、思いもよらない方法で森乃臣に制裁が下されるのだった。一方、夏がゴブリンプロに移籍したと知った犬丸は、業界で絶大な権力を持つ荒羅木倉一に、英吉を潰してほしいと依頼する。
第5巻
内山田好子の一件で傷心した内山田ひろしは、キャンピングカーで北海道へ一人旅にきていた。ひろしはのどかな自然と愛車で過ごす時間を堪能するが、キャンプ場の森から半裸で出て来た名倉雫紅に遭遇する。雫紅は特殊な場所での性行為を好む恋人のアシュラによって、森に連れ込まれていたのである。ひろしは野蛮で身勝手なアシュラに振り回される雫紅を心配しつつも、他人の揉め事にかかわるべきではないと割り切ろうとする。だが次の日、知床五湖にある危険な「ヒグマの森」の立入禁止区域に連れ込まれた雫紅は、ヒグマの出現に怯えたアシュラに一人で置き去りにされてしまう。その頃東京では、鬼塚英吉のもとに、帰ってこない主人のひろしを心配するえいきちが助けを求めにきていた。捜索隊が出されても雫紅が見つかることはなく、彼女は森の奥でさまよい、助けを待ち続けていた。さまざまな葛藤に立たされたひろしは英吉ならばどうするかと考え、雫紅を救うと決意した彼は森に入る準備を始める。一方、ひろしを厄介に思ったアシュラはマネージャーの桜田に、ひろしを始末するように依頼していた。準備を済ませたひろしはさっそく森に入り、ヒグマに襲われかけていた雫紅を間一髪で救出する。しかし森の中には桜田が差し向けた不良も潜入し、ヒグマの危機を免れたはずの雫紅とひろしは新たなピンチに陥る。
第6巻
Gクラスの人気若手女優であり、桜井良子の孫娘でもある西脇梨々花が、病院を抜け出して1年ぶりに東京吉祥学苑高等部に戻ってきた。教室の窓際に座る梨々花は虚ろな表情で謎の言葉を連発し、さらに理事長室の金庫から大金を盗み出して逃亡。梨々花の行き先は、彼女の「前世の家族」を名乗る占い師、麻子、健吾の三人が住むアパートだった。梨々花が抜け出したと聞いて駆けつけた西脇伶花は、娘が占い師たちの家に入り浸るようになったいきさつを語る。梨々花は慕っていた父親の死をきっかけに伶花と険悪になり、悲しみや葛藤を占い師に利用され、宗教的なマインドコントロールを受けていたのである。傷心の中、父親が死んだことも学校でいじめを受けたこともすべて「毒電波」のせいだと占い師に告げられた梨々花は言葉巧みに騙され、奇妙な洗脳集団と同居生活を送るようになる。占い師の話と毒電波の存在を信じ込む梨々花は、毒電波を乗り越えるための試練やトレーニングと称して、金や体を捧げるようにもなっていた。事情を知り、梨々花を救うと決意した鬼塚英吉だったが、洗脳集団の潜伏先すらわからず情報に乏しい状態だった。英吉は芸能界に詳しい神堂寺郁也に連絡し、協力を求める。
第7巻
マインドコントロールを受け、実家に帰らなくなった西脇梨々花を闇から救い出すべく、鬼塚英吉は仲間やほかの生徒の力を借りながら、麻子を尾行して占い師の拠点をつき止める。梨々花と再会した英吉は占い師たちと対峙するが、梨々花は刃物を自身の喉につき立てながら帰ることを拒絶し、彼らを追い返してしまう。英吉は占い師の洗脳の手口を探り、梨々花を必ず連れ戻すと宣言してその場を去る。そんな英吉をやっかいに思った占い師は、彼にハニートラップを仕掛けるよう、梨々花に命じる。後日、梨々花は再び登校して英吉をラブホテルに誘う。罠だとわかりつつも梨々花と共にホテルに向かった英吉は誘惑に打ち勝ち、生徒たちの協力を得て洗脳の手口と「毒電波」の正体をつき止める。さっそく反撃を開始した英吉は、梨々花の目を覚ますためにすべての真実を明かして説得。梨々花は占い師の正体が、かつて仕事でいっしょになったスタイリストの飯森静江であったと気づく。さらに静江たちの悪事の証拠を聞かされた梨々花は、ずっと利用されていたことにショックを受け、本当の家族との再会を果たす。一方、悪事をばらされて梨々花を失った静江と健吾は逮捕される。しかし麻子だけは一人で逃亡を続け、実家に戻った梨々花を再び洗脳しようともくろんでいた。
第8巻
大石夏がゴブリンプロに移籍したことで、鬼塚英吉に恨みを持つ犬丸が暴力団に彼を潰すように依頼し、東京吉祥学苑高等部へ新たな刺客が放たれる。それは暴力団に入ったばかりの天童景虎で、背中一面に刺青を入れた彼は、英吉に対して逆恨みに近い個人的な怨恨を抱いていた。景虎は高校生の頃から英吉に一方的なライバル心を抱き、大人になった今も強烈なコンプレックスと、異常な執念を持ち続けていたのである。そんな景虎は新任教師として送り込まれ、英吉の失脚を狙うようになる。ライバルの多い英吉は景虎のことを覚えていなかったが、数年の時を経て二人はGクラスを舞台に、再び相対することとなった。Gクラスの新たな副担任となった景虎はまず、生徒の成績を向上させることで英吉の評判を落とそうとする。生徒たちの課題を増やそうとした景虎だったが、勉強にあまり関心を持たないGクラスの生徒たちは一筋縄ではいかず、彼は課題を増やす条件として成田悠斗たちからなぞなぞのような特殊なクイズを出され、苦戦してしまう。あっさりとそれらのクイズを解いた英吉に敗れた景虎は、生徒たちにけしかけられてゲームセンターに向かい、英吉とゲーム対決を繰り広げることになる。
第9巻
鬼塚英吉とのゲーム対決に敗れた天童景虎は、ショックと怒りから勢い余ってGクラスの生徒の前で刺青を晒し、証拠写真も撮られてしまう。英吉の失脚を狙っていたはずの景虎は、刺青がばれたことで逆に自分が失脚するというピンチに陥る。急遽PTAの会議に出席することとなった景虎は、教師を続けるのをあきらめかけていたが、英吉はそんな彼に裏技として刺青を隠せるスプレーを差し出す。景虎はスプレーで刺青を隠し、英吉の助言どおりに弁解して懲戒免職を免れ、東京吉祥学苑高等部にとどまることができた。英吉はGクラスを乗っ取ろうとしていた景虎を教師としてのライバルと認め、それを聞いた景虎は英吉と初めて肩を並べることができたと、心から嬉しく思うのだった。英吉に助けられ、認められたことで復讐をためらう景虎だったが、依頼主である暴力団から英吉を早く始末するよう、追い込みをかけられてしまう。景虎は苦悩を重ねるが、Gクラスの修学旅行先である沖縄で英吉を殺害する決意を固める。そんな中、修学旅行の日が近づき、英吉は命を狙われているとも知らずに準備を始めていた。景虎は修学旅行中に目的を果たす方法を模索する中、絶好のチャンスであるジャングルツアーに英吉が参加しないと知った彼は、ある手段を使って英吉を呼び出そうとする。
第10巻
天童景虎は石垣島でGクラスの生徒をエサに、鬼塚英吉を呼び出す。だが、英吉を狙って潜入していた暴力団組員が生徒に危害を加えようとする。体を張って生徒を守り抜いた景虎は、英吉に助けられて生徒と共に無事その場を脱することに成功。極道としても教師としても半端者であることを自覚して情けなく思った景虎は、英吉に励まされて教師の道を選ぶことを決意。生徒を巻き込まれたことに激しい怒りを覚えた英吉は、景虎を連れて東京に戻り、荒羅木倉一の屋敷へ乗り込む。だが、今回英吉の殺害依頼を出したのは倉一ではなく、犬丸が倉一の友人である家入の組に依頼していたと判明。怒った倉一の調べで、家入の手下である李の仕業であったことがわかり、犬丸と李に厳しい制裁が下されたことで事件は解決。景虎は英吉の破天荒な行動に驚きつつも、彼のおかげで再び教師を続けることができるようになった。そして英吉の言葉で「本物の教師」を目指そうと決意し、ようやく本当の意味で彼の横に立てたことを喜ぶのだった。英吉たちが再び沖縄に戻りGクラスの修学旅行が終わる頃、彼の携帯電話に神堂寺郁也からの連絡が入る。それは倉一からの伝言で、犬丸が去ったプラチナコートの新たな代表取締役を、英吉に任せたいというものだった。
第11巻
アクション演技を得意とする谷瞳は、桜亜優の出演する特撮番組でアクションシーンの代理を務めることが多かった。だが、瞳は亜優よりも体が大きく成長して背も高くなったために、亜優の代役を務めることができなくなっていた。さらに身長が高いという理由でオーディションにも通らないことが増え、昔から亜優の影の存在としてしか活躍できなかったことに悩む瞳は、自信をどんどんなくしていた。そんな瞳を励ますべく、亜優は有名二世タレントが集う「一流会」という集会に誘う。豪華な芸能人が集う一流会に強いあこがれを抱く瞳は、会費を払い続けるためにアルバイトをしようと決意。それからしばらくして、瞳は高額な会費を払えるようになっただけでなく急に派手になり、一流会に参加するたびに羽振りがよくなっていった。瞳が怪しいアルバイトに手を出していると心配した亜優は、鬼塚英吉に相談。亜優が瞳のアルバイト先として怪しいとにらんだ歌舞伎町の「女子高生の部屋見学」に潜入した英吉だったが、そこで瞳がアルバイトをしている様子はなかった。安心した英吉は、建設現場のアルバイトをしている瞳に遭遇。瞳は体格や体力を生かしたアルバイトをしながら一流会に参加し続け、再びテレビに出るチャンスを模索していた。瞳が一流会に頼らずとも自分自身でチャンスをつかんで輝けるようにするため、英吉は彼女にある人物を紹介する。
第12巻
いつまでたっても「アイドルと付き合う」という願望を叶えられずに悩んでいた鬼塚英吉は、となりのクラスの橋本からある相談を受ける。それはクラブで出会った霧島丈という男に酒を飲まされ、眠っているあいだに妊娠させられたという内容だった。英吉は断ろうとするが、ある約束を条件に彼女の頼みを聞き入れ、丈の捜索を始める。英吉は丈を捕まえるが、橋本が会った男とは違うことがわかり、悪事を働いていたのは丈の名刺を悪用する村上翔であったことも判明。英吉は丈と共に翔を捕まえることになり、路上で丈のふりをしながら再び悪事を企んでいた翔を発見する。警察に通報された翔は逮捕され、橋本も本当は妊娠していなかったことがわかり、事件は一件落着となった。だが、神堂寺郁也から詳細を聞いた丈は英吉に興味を持つようになり、彼が淫行に走らないか見張ると言いながら東京吉祥学苑高等部に赴任し、1年D組の副担任となる。教師としてもエリートの丈は、対抗心を抱いて絡んできた天童景虎をあっさり返り討ちにする。女子生徒だけでなく女性教師からも人気な丈を英吉が気に入らないと思う中、英吉は新設されたボクシング部の顧問になってほしいと、部員たちから頼まれる。そして英吉は、ボクシング経験があると名乗り出てきた丈とボクシング対決をすることとなる。
登場人物・キャラクター
鬼塚 英吉 (おにづか えいきち)
東京吉祥学苑高等部の金髪男性教師で、年齢は24歳。学生時代は湘南で暴走族をしていた伝説的な元ヤンキーで、ケンカでは最強を誇る。また、親友の弾間龍二と共に「鬼爆コンビ」として恐れられていた。教師になってからも童貞のままで女子高校生との結婚を夢見ており、正義感とともに性欲も強い。新米教師だった頃は桜井良子から可能性を見出いだされ、中等部で「最悪のクラス」と呼ばれる3年4組の担任を任されていた。生徒の反発や学苑が抱えるトラブルに巻き込まれたり解決したりする中で、生徒やほかの教師から人望を得て、「グレートティーチャー」と呼ばれる伝説的な教師に成長。誰よりも生徒思いで、生徒の悩みや問題などを自己流の型破りな方法で解決している。問題もよく起こすために、PTAやほかの教師の目の敵にされることが多く、特に内山田ひろしとはよく衝突している。良子の新たな期待を受け、高等部の芸能科「Gクラス」の副担任を務めることになる。当初はアイドルと結婚できると夢気分だったが、Gクラスの問題児に騙されたり、悪質な嫌がらせを受けたりなどの被害に遭う。生徒同士の格差や差別が横行するGクラスの現状を快く思わず、社会的知名度や立場にあぐらをかく生徒には、人気アイドルであろうと容赦なく制裁と教育的指導をしている。また、高校生芸能人という立場から特殊な環境や問題にぶつかりやすい生徒の悩みを解決し、正しい方向へ導いている。
こだま 那奈 (こだま なな)
東京吉祥学苑高等部の女性教師。で、Gクラスの担任として新たに赴任し、鬼塚英吉の同僚となる。胸の谷間のあたりにホクロがあり、大学時代はGカップのグラビアアイドルとして活躍していた。現在は引退して教師となったものの、問題が多く個性的な生徒が集う特殊なGクラスには頭を抱えている。しかし生徒のことは大切に思い、格差から生徒同士の差別が横行しているGクラスの現状を危惧している。人気男性アイドルも多く在籍するGクラスの担任となったため、一部の熱狂的なファンの嫉妬を買い、時々陰湿な嫌がらせを受けることもある。当初はバス通勤だったが英吉の提案で、護衛も兼ねて彼のバイクに乗せてもらいながら通勤している。英吉の破天荒な行動に驚き、たびたび警告もしていたが、次々と生徒の悩みや問題を解決していく彼の様子を見て、次第に彼のよき理解者となっていく。
桜井 良子 (さくらい りょうこ)
東京吉祥学苑高等部の理事長を務める温厚な中年女性で、鬼塚英吉たちの上司にあたる。おおらかな理想主義者で、英吉の素質や才能を見込み、金髪で学力も低い彼を教師として採用した張本人でもある。問題児ばかりの中等部3年4組をはじめ、問題を抱えるクラスの担任を英吉に任せている。大のプロレスファンで、プロレスラーやプロレス用語に詳しく、物事をプロレス関連に例えることもある。新学期になると同時に高等部へ移った英吉に、新設されたGクラスの副担任を任せる。過去に数々の奇跡を起こした英吉に期待を寄せ、彼がGクラスの問題を解決してくれることを願っている。孫娘の西脇梨々花が占い師の宗教洗脳を受けて帰らなくなり、自殺未遂を起こして入院し続けていることに悩んでいる。実はGクラスを新設したのも、デビュー以来クラスメートからのいじめに悩んでいた梨々花に頼まれてのことだった。知り合いの弁護士に頼んで占い師を追い出していたが、病院から逃亡した梨々花が理事長室から金を盗み、再び占い師の家から帰らなくなったことで、西脇伶花と共に英吉に協力を求める。
内山田 ひろし (うちやまだ ひろし)
東京吉祥学苑高等部の男性教師で、栃木県出身。鬼塚英吉と共に高等部へ移った際に、教頭から副校長に昇進した。次々と問題を起こす英吉とは、彼が新米教師の頃から何度も衝突を繰り返し、現在でも時折嫌味を言ったり見下したりしている。新学期、英吉にいつものように嫌味を言った際、彼に首を破壊され、治るまではコルセット生活を強いられていた。副校長となってからも英吉を監視し続け、何度もクビにしようとしている。問題の多いGクラスでは極力大事が起こらないように注意を払っているが、英吉が起こす騒動や生徒からの嫌がらせに巻き込まれるなど、散々な目に遭っている。学苑内での問題に加え、薄毛の悪化や妻の浮気、一人娘の内山田好子が反抗期気味なことに悩んでいる。妻と好子とえいきちと共に暮らすが、家庭では煙たがられがちであまり家の中に居場所がない。このため、愛車のクラウンを売り払ってワンボックスのキャンピングカーを衝動買いし、新たな自分の居場所として活用している。しかし好子のことは大切に思っており、出生時は未熟児だった彼女を何があっても守ると決意し、過保護な行動に出ることもある。だが、好子が裸の自撮り写真をインターネットに上げていると知って困惑するなど、公私ともに悩みや心配事が尽きない。傷心を癒すために休暇を取って北海道へ一人旅に出るが、旅行先である事件に巻き込まれてしまう。
弾間 龍二 (だんま りゅうじ)
主人公鬼塚英吉の親友。高校時代は「鬼爆コンビ」を組み、共に湘南で暴れていた仲で、今でも鬼塚には誰よりも厳しく誰よりも優しい。現在はバイクショップの店長。
成田 悠斗 (なりた ゆうと)
17歳。主人公鬼塚英吉が受け持つ芸能科・Gクラスの生徒。大人気ダンスボーカルユニットSAMURAIのメンバー。初めは新崎鉄也とともに鬼塚イジメを楽しんでいたが、これまでの大人とひと味ちがう鬼塚に対して、信頼を寄せるようになる。
新崎 鉄也 (にいざき てつや)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する男子生徒で、人気ダンスボーカルユニット「SAMURAI」のメンバー。昔から天才子役として活動していたが、芸能界で躍進するために事務所の女社長に体を売り、現在の売れっ子アイドルとしての地位を築いた。同じくSAMURAIのメンバーである成田悠斗とは、学校でもよくいっしょに行動している。幼なじみの赤坂ゆうじを含め、芸能界で売れていないほかの生徒を見下し、時には差別している。また、Gクラスの前任だった教師に厳しい叱責を受けた際には、ファンを利用して嫌がらせをするなど、教師いじめを繰り返していた。クラスメートと組んで新任の鬼塚英吉にいたずらを仕掛けるが、彼の制裁を食らって恥をかいたことで復讐を決意。狂信的なSAMURAIファンをあおって英吉に次々と陰湿な嫌がらせを繰り返し、ついには命を狙わせるようになる。さらに貞子を騙して英吉を刃物で刺すように命令するが、英吉の策略にはまってアイドル生命を脅かされ、悠斗の信頼も失いかける。自殺したと思っていた貞子が生きていたことや、彼女の思いと自分がやったことの重みを知り、今までの行為を反省して改心。ファンの存在を大切にするようになり、再びSAMURAIメンバーとして活動を続けている。その後も生意気な性格は変わっていないが英吉に対しては信頼を置き、時には悠斗と共に協力している。
赤坂 ゆうじ (あかさか ゆうじ)
主人公鬼塚英吉が受け持つ芸能科・Gクラスの生徒。元子役で現在は売れないジュニア俳優。幼なじみの新崎鉄也だけがどんどん売れていくことに、強いコンプレックスを抱いている。
大石 夏 (おおいし なつ)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する女子生徒で、大ブレイク中の若手女優。芸能事務所「プラチナコート」の看板女優として活動していたが、ある日突然、鬼塚英吉に自分を誘拐して遠くに連れ去るように依頼する。実は新ドラマの主役と引き換えに、プラチナコートとプロデューサーの伊東森乃臣から枕営業を強要されており、英吉に誘拐を依頼したのも森乃臣と会う約束から逃れるためだった。また、以前から森乃臣にはセクハラの被害に遭い、何度も辱めを受けて苦しんでいた。マネージャーからも「事務所の未来のため」と称して商品扱いされていたことにショックを受け、自暴自棄になっていたが、英吉の指摘で本音では助けを求めていたのだと気づき、彼と共に森乃臣を撃退することを決意。約束どおり枕営業に応じたふりをしながら、仕込みカメラで森乃臣の悪事の証拠を押さえ、プラチナコートを見限ってゴブリンプロに移籍する。その後は女優として大きく生まれ変わり、野村朋子たちと共に順調に活躍を続けている。身の危険を冒してまで助けてくれた英吉には心から感謝し、好意を寄せている。
愛葉 めぐみ (あいば めぐみ)
主人公鬼塚英吉が受け持つ芸能科・Gクラスの生徒。国民的アイドルグループ「JJJ」のメンバー。新崎鉄矢とともに、鬼塚を失脚させようと悪質なイタズラを仕掛ける。クラスメイトの売れないアイドルたちを見下す。
宮地 恭子 (みやじ)
主人公鬼塚英吉が受け持つ芸能科・Gクラスの生徒。アイドルグループ「桃色キューティー」のメンバー。愛葉めぐみととも、鬼塚に色気を使ったイタズラを仕掛ける。売れないアイドルたちを見下し利用する。
貞子 (さだこ)
SAMURAI・新崎鉄矢のファン。いわゆる「やらかし」であり、気味の悪い風貌や行動から、メンバーやファンたちの間では「貞子」と呼ばれている。新崎のためならなんでもする過激な人物で、新崎に利用され鬼塚を襲撃する。
冴島 俊行 (さえじま としゆき)
主人公鬼塚英吉の学生時代からの悪友。高校時代は「鎌倉の狂犬」と恐れられるワルだったが、現在は警察官をしている。鬼塚の破天荒な行動に協力するため、度々職権を乱用する。
内山田 好子 (うちやまだ よしこ)
内山田ひろしの実娘。今時の女子高生。父親ヒロシの天敵である鬼塚に惚れている。家では母親とともにひろしを邪険に扱い、都合のいいときだけ調子よく利用している。
玄田 (げんだ)
鬼塚英吉が湾岸刑務所で出会った、囚人の中年男性。英吉が彫った仏像を「魂や祈りがこもっている」と評して興味を持ち、彼に手作りタバコを勧める。しかし、手作りタバコをくすねていたことがばれてほかの囚人と騒ぎを起こし、英吉と共に懲罰房に入れられた。その際に英吉が教師であることと、彼が刑務所入りになったいきさつを聞く。
山之井 (やまのい)
東京吉祥学苑高等部の男性教師。教頭を務めている。左頬にホクロがある。堅物そうな見た目だが、よく問題を起こす鬼塚英吉のことをいつもかばっている。一方で、高圧的で他人任せな行動や言動が多い内山田ひろしに対して厳しく接することが多い。
えいきち
内山田ひろしと、その家族に飼われている大型犬。目つきはあまりよくなく、前髪が鬼塚英吉と似ている。ひろしの妻や内山田好子には懐いているが、ひろしには嚙みついたり小便を掛けたりすることがある。過去に成り行きで内山田家に訪れた英吉となかよくなり、現在も彼に懐いている。一見、ひろしにはまったくなついていないように見えるが実は主人思いで、彼が北海道からなかなか帰ってこないのを悟り、自ら英吉のところへ行って助けを求めた。英吉に連れられて北海道へ行き、ヒグマに襲われていたひろしを救出する。
塩谷 彩花 (しおたに あやか)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する女子生徒。アイドルグループ「もえキュン隊」のメンバー。「アイドル四人組」の一人で、いつも教師いじめに参加している。新崎鉄也の依頼で、Gクラスに赴任したばかりの鬼塚英吉への嫌がらせにも参加した。また、売れっ子アイドルとして優遇されているため、売れない生徒のことを見下したり利用したりしている。
広瀬 ゆか (ひろせ ゆか)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する女子生徒。アイドルグループ「モーニングツー娘」のメンバーで、頭にヘアバンドをしている。「アイドル四人組」の一人で、いつも教師いじめに参加している。新崎鉄也の依頼で、Gクラスに赴任したばかりの鬼塚英吉への嫌がらせにも参加した。また、売れっ子アイドルとして優遇されているため、売れない生徒のことを見下したり利用したりしている。
伊東 森乃臣 (いとう もりのしん)
テレビ局のプロデューサーを務める独身男性で、ウサギが好き。年齢は40歳。立場を利用して好き放題の日々を送っており、特にセクハラしやすそうな新人女優をドラマなどの主演に選び、セクハラを繰り返したり枕営業を強要したりしている。このため、プロデューサーの要求を断りにくい弱小芸能事務所に所属する、気の弱い新人女性タレントが被害に苦しんでいる。新ドラマの主演に選んだ大石夏にセクハラ行為を繰り返し、ついには彼女とプラチナコートに枕営業を強いるようになる。夏と待ち合わせしていた部屋にひそかに多数の隠しカメラを仕掛け、場合によっては撮った映像で夏をゆするつもりでいた。しかし、夏に助けを求められた鬼塚英吉が扮するゴブリンプロの社長によって厳しい制裁を下され、丸刈りのような髪型に変えられてしまう。
荒羅木 倉一 (あららぎ そういち)
芸能界において絶大な権力を保有する中年男性。暴力団や業界の要人と強いつながりがある、いわゆる芸能界のドン。その気になればあらゆる芸能事務所やタレントを干して、表舞台にいられなくできるほどの権力と人脈を持つ。大石夏と伊東森乃臣の事件をきっかけに鬼塚英吉を知り、ゴブリンプロの社長として夏を引き抜いた彼に興味を持つようになる。夏が所属していたプラチナコートの犬丸からゴブリンプロを潰してほしいと依頼されるが、彼が女性タレントに枕営業させていることを知って断るなど、枕営業をはじめとする業界の悪しき慣習に頼るやり方は心底嫌っている。当初は英吉を泳がせていたが、天童景虎の事件をきっかけに英吉と直接会い、彼を気に入るようになる。のちにゴブリンプロをプラチナコートをベースにした正式なプロダクションとして生まれ変わらせ、英吉に代表取締役を任せた。
名倉 雫紅 (なぐら しずく)
バンドマンのアシュラと交際している女性。元はアシュラのデビュー前からのファンで、生活費や活動費などを工面して彼をサポートし続けていた。しかし、アシュラが売れるようになってからは冷たくされ、時には暴力を振るわれるようになる。アシュラに連れられて北海道旅行に来るが、ヒグマが出る危険な森に連れ込まれたうえに、ヒグマが出たとたんに彼に置き去りにされて遭難。キャンプ場で出会っていた内山田ひろしに救出されるものの、身勝手なアシュラのことは名倉雫紅自身のためにも、甘やかすべきではないと指摘される。アシュラのマネージャーが差し向けた不良に襲われかけるものの、ひろしと鬼塚英吉に助けられ、無事に森の外に出る。しかし、ほかの女を連れ込んでいたアシュラに何度も裏切られていたことを悟り、彼を見限る。英吉たちといっしょになって制裁を下したあとは、ひろしと英吉に感謝を告げ、一人で帰って行った。
アシュラ
人気バンドグループ「ヴィドック」に所属するバンドマンの男性で、名倉雫紅の恋人。愛称は「あー君」。売れっ子ミュージシャンとして活躍するが、実は粗暴でかなり身勝手な性格をしている。特殊な場所で性行為するのが好きで、特に野外を好む。デビュー前は健気な雫紅を大切にしていたが、売れるようになってからは冷たくなり、便利な女として金を貢がせながらいいように使っている。雫紅を北海道旅行に連れて行った際に、ヒグマの出る危険な森に連れ込み、ヒグマが出たとたんに彼女を置き去りにして逃亡。しかし、置き去りにした雫紅を助けることもなくほかの女を連れ込んだうえに、マスコミに対しては雫紅を心配するふりをしてウソをついていた。雫紅を救った内山田ひろしと鬼塚英吉によって厳しい制裁を下され、裏切られていたことを悟った雫紅からも別れを告げられる。今までの悪事を反省し、雫紅を見捨てて逃げていたことを、正直にマスコミに打ち明ける。
西脇 梨々花 (にしわき りりか)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する女子生徒で、桜井良子の孫娘。腹の左下に珍しいハート型のホクロがある。かつて人気若手女優として活躍していたが、父親の死をきっかけに占い師の家に出入りするようになり、彼女の宗教洗脳によって正気を失い、実家にほとんど帰らなくなる。良子と西脇伶花に連れ戻され、格子付きの病室で入院していたが、自殺未遂や逃亡を繰り返したのち、格子を壊して逃げ出し、再び占い師の家に入り浸るようになる。洗脳によって「アダムス様」を信仰するようになり、占い師の言うトレーニングや試練を続けていれば、父親が死ぬ原因となった「毒電波」に勝てると信じ込んでいる。また、感情をコントロールするための試練と称し、ポールダンスクラブで半裸で踊らされるなど、占い師たちの金儲けに利用されている。女優デビューしたばかりの頃は学校でいじめに遭い、良子に芸能クラスの新設を頼んだことが、Gクラス誕生のきっかけとなっている。しかし父親が交通事故で急死し、父親が亡くなったのは怜花が電話したせいだと責めるようになり、彼女と衝突するようになる。父親を亡くした悲しみを占い師に利用され、言葉巧みに騙される。これらの事情を知り助け出そうとした鬼塚英吉にハニートラップを仕掛けようとするも、洗脳の手口をつき止めた英吉たちに説得され、本当に大切なのは今の家族であることに気づいて伶花のもとに戻る。
西脇 伶花 (にしわき れいか)
桜井良子の娘で、西脇梨々花の母親。女優デビューをきっかけに学校で問題を抱えるようになった梨々花を心配していたが、その電話の最中に夫を交通事故で失い、パパっ子だった梨々花から責められるようになる。引きこもるようになった梨々花を心配していたが、彼女を占い師たちに洗脳され、奪われてしまう。一度は家に戻ってきた梨々花を入院させるものの、逃亡して再び占い師の家に入り浸るようになった彼女を連れ戻すために、鬼塚英吉の力を借りることになる。英吉たちの協力で梨々花を連れ戻すことに成功するものの、彼女からは「まだ許していない」と告げられ、英吉の提案で麻子の宗教洗脳にかかったふりをする。それを見て今までにやっていたことの重みや、本当に大切な家族の存在に気づいた梨々花と和解し、再びいっしょに暮らすようになった。
占い師 (うらないし)
スリット入りの奇妙な眼鏡を掛けた謎の中年女性で、路上で占い師をしている。父親を亡くした西脇梨々花を言葉巧みに騙し、「梨々花の前世の母親」を名乗って父親の死を悲しむ彼女の気持ちにつけ込んで自宅に連れ込み、麻子たちと共に宗教洗脳を施すようになる。また、「試練」と称して梨々花を半裸で踊らせたり、桜井良子の金庫から金を盗ませたりなど、さまざまな金儲けに利用していた。梨々花を助けようとした鬼塚英吉を罠にはめようとするものの、彼らに洗脳の手口を知られて梨々花を連れ戻され、逮捕される。正体は、梨々花の事務所でスタイリストをしていた「飯森静江」。梨々花のハートのホクロの件や父親の死などの個人的な情報も、女優として活動していた頃の彼女自身や、マネージャーから得て洗脳に利用していた。また、梨々花以外にも悩みや心の傷を抱える女性タレントを同様の手口で騙し、洗脳して金儲けに利用していた。
麻子 (あさこ)
西脇梨々花の前世の妹を名乗る女性で、占い師の仲間。養父のDVに苦しんでいるように装い、「前世の母」を名乗る占い師を「ママ」と呼んで協力している。梨々花よりも年上だが前世の妹を名乗っているため、彼女のことは「お姉ちゃん」と呼んでいる。正体は占い師(飯森静江)の実の娘で、元はポールダンスクラブでダンサーをしていた。静江や健吾と手を組み、梨々花を金儲けのために利用する。静江と健吾が逮捕されたあとも逃亡しながら梨々花に付きまとい、再び洗脳して利用しようとする。
健吾 (けんご)
西脇梨々花の前世の父親を名乗る男性で、占い師の仲間。不仲な妻とのケンカに苦しんでいるように装い、占い師を「ママ」と呼んで協力している。正体は占い師(飯森静江)の夫で、妻の静江や麻子と手を組み、梨々花を騙し続けていた。
神堂寺 郁也 (しんどうじ ふみや)
鬼塚英吉の高校時代からのライバルの男性。現在は芸能プロダクションの社長を務めている。高校時代は英吉や弾間龍二と対立し、彼らが辻堂高校に転校後、極東高校に転入してヘッドになった。冴島俊行とは昔から仲が悪い。英吉ともさまざまな因縁があったものの、現在は荒羅木倉一ともつながりを持つ芸能界の一員として、時折英吉に情報提供などで協力している。
犬丸 (いぬまる)
大石夏が所属するプラチナコートの社長を務める男性。弱小事務所であるプラチナコートを成長させるために、夏をはじめとする若手女優やタレントに枕営業を強要している。裏では暴力団とつながりを持ち、夏がゴブリンプロに移籍して以降は鬼塚英吉を狙うようになる。荒羅木倉一に英吉を潰すように依頼するものの断られ、倉一の友人である家入の手下に英吉の殺害を依頼。しかし、それを英吉や神堂寺郁也を通して倉一に知られ、厳しい制裁を受けたうえでプラチナコート社長の立場も失った。
天童 景虎 (てんどう かげとら)
鬼塚英吉への刺客として、東京吉祥学苑高等部に新任教師として送り込まれた男性。背中一面に虎の刺青を入れており、暴力団ともつながりを持つ。高校時代はバスケットボール部のエースだったが、ある出来事をきっかけに英吉をライバル視するヤンキーとなる。ケンカやバイク技術などあらゆる分野で英吉に挑戦するものの歯が立たず、英吉が入れていない刺青を背中全体に入れて対抗するが激痛で断念。英吉のことをあきらめて高校卒業後は教員免許を取得し、教師として順調な生活を送っていたが、刺青がばれて解雇された。自暴自棄になりながら刺青を完成させて暴力団に入る覚悟だったが、暴力団の依頼で英吉の失脚を狙うことになり、新任教師として英吉に近づいて復讐をもくろむ。Gクラスの新たな副担任となり、生徒の成績を向上させて英吉の評価を落とそうとするが、生徒たちに出されたクセのあるクイズを解けずにかえってなめられるようになる。さらに英吉とゲーム勝負を繰り広げるものの敗北し、怒りで激昂した際に生徒たちに刺青を見られ、懲戒免職のピンチに陥ったところを英吉に救われる。その後、暴力団から彼の殺害をうながされ、沖縄の修学旅行中に生徒を巻き込んで事件を起こす。その事件でも英吉に救われると同時に、生徒を守り切ったことを評価され、彼の言葉どおり極道ではなく教師の道に再び進むことを選ぶ。
笹本 (ささもと)
東京吉祥学苑高等部の教師で、眼鏡を掛けた大人しい雰囲気を漂わせた女性。鬼塚英吉の情報を探っていた天童景虎に無理やり肉体関係を持たされるが、それ以降も景虎に好意を寄せている。
谷 瞳 (たに ひとみ)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する女子生徒。子役時代から芸能界で活躍している。格闘やアクション演技が得意で、昔は体格がよく似た桜亜優のアクション演技の代理として出演していた。昔から亜優の影の存在でしかないことに悩んでいたが、成長して亜優と大きな身長差が出たことで、彼女の代理を務めることができなくなってしまう。また、身長が高いことからオーディションにも受からないことが増え、芸能人として自信がなくなっていた。そんな中、亜優から有名二世タレントが集う「一流会」に誘われ、強いあこがれを抱くようになる。その後は再びテレビに出るチャンスをつかむべく、コネクション狙いで一流会に参加し続けようと、体格と体力を生かして建設現場のアルバイトをしていた。しかし、急に羽振りがよくなったうえに建設現場でアルバイトしていることを隠していたため、亜優や鬼塚英吉には怪しいアルバイトをしているのではないかと心配されていた。誤解が解けたあとは、他人のコネクション頼りではなく谷瞳自身の力で輝けるようにすべきだと英吉に指摘され、アイドルレスラーとして活躍する道を選ぶ。
桜 亜優 (さくら あゆ)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する女子生徒。子役時代から芸能界で活躍している。女児向け特撮ドラマなどに出演していたが、アクション演技は体格がよく似た谷瞳に代理を任せていた。しかし、瞳の身長が大きくなったことで代理を任せることはなくなり、悩んでいる瞳を励ますために「一流会」に誘う。だが、瞳が高額な会費を支払い、急に羽振りがよくなったにもかかわらず、彼女がここ最近はオーディションに落ちて芸能活動をしていないと知って心配する。怪しいアルバイトに手を出しているのではと危惧し、鬼塚英吉に相談して瞳を尾行する。
三原 和樹 (みはら かずき)
東京吉祥学苑高等部のGクラスに在籍する男子生徒。大物俳優の三原良二を父親に持つ二世タレント。幼少期に両親が離婚してからは良二と二人暮らしだが、彼が再婚を繰り返したり毎日のように違う女性を家に連れ込んだりしていることに悩まされている。このため、良二のことは尊敬できずに、反面教師のような存在として昔から毛嫌いしている。我慢できなくなって家出し、鬼塚英吉に連れられて北海道に住む母親のかなえに会いに向かう。離婚後にかなえが自分を置いて行ったことを長らく疑問に思っていたが、実は三原和樹自身が良二を心配して彼のもとへ残っていたという事実を、かなえに告げられる。幼かったために忘れていたそれらの事実を思い出し、北海道まで自分を追ってきた良二と和解。その後は「リビングに女性を連れ込まない」という約束を良二に守らせながら、彼との二人暮らしを続けている。
三原 良二 (みはら りょうじ)
三原和樹の父親で、有名な俳優。昭和時代から刑事役やアウトロー役を中心に、数々の映画で主演を務めてきた。俳優としての実力は高いが、性欲が強く女性にだらしない。妻のかなえと別れてからも再婚や離婚を繰り返し、人気女優をはじめ、毎日のように違う女性を家に連れ込んでいる。このため、息子の和樹からは煙たがられており、彼にとっては反面教師のような存在になっている。しかし、家族のことは昔から大切に思っており、かなえ曰く「実は誰よりも寂しがり屋」。和樹が家出してかなえに会いに行った際は自ら追って北海道まで迎えに行き、かなえとも再会を果たす。
かなえ
三原和樹の母親で、元女優。和樹の幼少期に三原良二と離婚し、現在は故郷の北海道で小さな食堂を営んでいる。別の男性と再婚したあとに娘のチカが生まれたがすぐに別れ、現在は幼いチカと二人で暮らしている。良二との離婚時は幼い和樹を連れて行くつもりでいたが、良二を心配した和樹が彼のもとを離れようとしなかったため、連れて行くことをあきらめた。良二の女好きには呆れていたものの、両親を亡くした寂しがり屋な彼のことや、和樹のことはずっと心配していた。
霧島 丈 (きりしま じょう)
「G&Gゴールド」でヴァイスプレジデントを務めるエリート銀行員の男性。「ANIMAL JOE」の異名を持つ。荒羅木倉一の資産運用を担当しているため、神堂寺郁也とも知り合い。優秀なイケメンで、料理上手な美人の妻を持ついわゆる「勝ち組」な一方、性欲がかなり強い絶倫男で、ほかの女性との浮気行為を繰り返している。いつもどおり浮気相手の家に向かっていた途中で、偶然鬼塚英吉に遭遇し、彼と因縁を持つようになる。愛車は真紅のポルシェターボで、夜になるとある道路に決まって22時30分に出現する。高度なドライビングテクニックで勝負を仕掛けてきた車を事故に追いやることから、「2230の悪魔」として恐れられている。一時は橋本を妊娠させたとして英吉から誤解されるが、同僚の村上翔による悪事だと知り、英吉と協力して翔を捕まえる。その後は郁也を通して英吉が倉一のお気に入りだと知り、強い興味を持つようになる。英吉が淫行に走らないか見張ると言いながら、東京吉祥学苑高等部の代理教師として赴任し、1年D組の副担任と英語教師を務めるようになる。また、桜井良子の学苑経営コンサルティングも担当している。ボクシング経験者で、現在でもプロボクサー並みの腕を持つためにケンカも強い。
村上 翔 (むらかみ しょう)
「G&Gゴールド」の若きホープの男性で、霧島丈の同僚。同じく若きホープとして同じ部署に入った丈の謀略にはまって富や地位を奪われ、彼の運転手という屈辱的な立場に追いやられた。このため、丈には強い恨みを持ち、彼の名刺を悪用しながらいくつもの悪事を働き、彼を奈落の底につき落として復讐しようともくろんでいた。しかし、被害に遭った橋本に助けを求められた鬼塚英吉と、丈本人に捕まって通報されて復讐は失敗に終わる。橋本への慰謝料を丈によって銀行から下ろされたうえで、湾岸刑務所に投獄された。
橋本 (はしもと)
東京吉祥学苑高等部に通う女子で、GクラスのとなりのD組に在籍している。クラブで偶然出会った霧島丈の名刺を持つ男性に妊娠させられたことで悩み、ある約束と引き換えに鬼塚英吉に助けを求める。しかし、犯人は丈の名刺を悪用した村上翔であったことが判明し、丈と英吉が翔を捕えたことで事件は解決。なお実際は妊娠しておらず、その事実は丈に見抜かれている。
水野 (みずの)
湾岸刑務所の刑務官で、眼鏡を掛けた黒髪の男性。実は刑務所長と共にある人物の依頼で、鬼塚英吉を貶めようと狙っている。刑務所長の命令で、ほかの囚人たちを利用して英吉に暴力騒動を起こさせ、彼を旧F号棟に移送する。
集団・組織
Gクラス (じーくらす)
東京吉祥学苑高等部に新設された芸能科のクラス。高等部に移った鬼塚英吉が新たに配属されたクラスでもある。現役アイドルをはじめとする芸能人の生徒が所属しているが、実は前任教師が逮捕されたり自殺未遂の生徒がいたりと、問題児を多数抱えている。また、生徒のあいだでは芸能人としての売り上げや知名度などによって格差が生じており、いずれの生徒も厳しい競争に立たされている。同じGクラスの中でも、社会的知名度によって序列(スクールカースト)が生徒間で決められており、売れっ子の人気アイドルなどは「Aクラス」と呼ばれて優遇されたり、ほかの生徒を見下したりしている。元は女優デビューをきっかけにいじめを受けるようになった西脇梨々花の依頼を受けた桜井良子が、芸能活動をしている生徒のために作ったクラスだった。
場所
東京吉祥学苑高等部 (とうきょうきっしょうがくえんこうとうぶ)
鬼塚英吉が勤務するマンモス校「学校法人東京吉祥学苑」の高等部。アイドルやタレントなどを養成する芸能科としてGクラスが新設された。各地に姉妹校を持つ。
ゴブリンプロ
鬼塚英吉が大石夏を救うために即席で作った芸能プロダクション。夏の枕営業問題を解決したあとは、夏や野村朋子が所属するようになる。のちに荒羅木倉一の計らいで、夏がもともと所属していたプラチナコートをベースに、英吉が代表取締役を務める正式な芸能プロダクションとなった。
プラチナコート
大石夏が所属する芸能事務所。芸能事務所としてはまだ弱小でプロデューサーなどには逆らえず、「事務所の未来のため」と称して新人女優などに枕営業を強要している。鬼塚英吉の助けを借りた夏に見限られ、売り出し中の人気女優であった彼女を失う。のちに犬丸が荒羅木倉一の怒りを買って失脚したことで英吉が代表取締役となり、社名も「ゴブリンプロ」に変更された。
旧F号棟 (きゅうえふごうとう)
鬼塚英吉が収容されている湾岸刑務所の地下にある、警備がより厳重になった特別房。特別凶悪犯だけが収容されており、湾岸刑務所の中で最も危険な場所として、囚人たちからも恐れられている。
前作
湘南純愛組! (しょうなんじゅんあいぐみ)
最強のヤンキー・鬼爆と称される鬼塚英吉と弾間龍二は、脱童貞を目指して不良校である男子高から共学高校へと転校する。最初はナンパに過ごそうとヤンキーであることを隠して、女性を追いかけ回すがすぐに素性がばれ... 関連ページ:湘南純愛組!
GTO (じーてぃーおー)
藤沢とおるの代表作、『湘南純愛組!』の続編。元不良で中学教師となった鬼塚英吉が、持ち前の体力と精神力で現代の子供たちの心の闇を解決していく姿を描く。講談社「週刊少年マガジン」1997年2号から2002... 関連ページ:GTO
GTO SHONAN 14DAYS (じーてぃーおー しょうなん ふぉーてぃーんでいず)
藤沢とおるの代表作『湘南純愛組!』、『GTO』の続編。吉祥寺で教師をしている元走り屋の鬼塚栄吉が、湘南の養護施設ホワイトスワンでわけありの子供たちと共同生活を送りながら問題を解決していく。児童養護施設... 関連ページ:GTO SHONAN 14DAYS
関連
井の頭ガーゴイル (いのへっどがーごいる)
藤沢とおるの代表作『GTO』のスピンオフ作品。原作では鬼塚英吉の友人で、「鎌倉の狂犬」と恐れられた冴島俊行が本作の主人公を務め、吉祥寺を中心とする現代日本を舞台にしている。井の頭公園前派出所に勤務する... 関連ページ:井の頭ガーゴイル
GT-R (じーてぃー あーる)
『湘南純愛組』および『GTO』のスピンオフ作品の位置づけの作品で、『GT-R』は「GREAT TRANSPORTER RYUJI」の略。バイクショップの雇われ店長弾間龍二が元走り屋のテクニックで暴れる... 関連ページ:GT-R
書誌情報
GTO パラダイス・ロスト 20巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2014-08-06発行、 978-4063825060)
第2巻
(2015-03-06発行、 978-4063825824)
第3巻
(2015-08-06発行、 978-4063826517)
第4巻
(2016-04-06発行、 978-4063827620)
第5巻
(2016-06-06発行、 978-4063828139)
第6巻
(2016-09-06発行、 978-4063828498)
第7巻
(2016-12-06発行、 978-4063828931)
第8巻
(2017-03-06発行、 978-4063829358)
第9巻
(2017-06-06発行、 978-4063829778)
第10巻
(2017-09-06発行、 978-4065101438)
第11巻
(2018-01-05発行、 978-4065107133)
第12巻
(2019-11-06発行、 978-4065177396)
第13巻
(2020-07-06発行、 978-4065199954)
第14巻
(2020-10-06発行、 978-4065210017)
第15巻
(2021-02-05発行、 978-4065222867)
第16巻
(2021-07-06発行、 978-4065236765)
第17巻
(2021-11-05発行、 978-4065258477)
第18巻
(2022-03-04発行、 978-4065271100)
第19巻
(2022-07-06発行、 978-4065284209)
第20巻
(2022-11-04発行、 978-4065298022)