奈落の羊

奈落の羊

大学をサボってばかりいる大学生、修二をはじめとする、ネットの動画生配信を生き甲斐とする人々が、社会の底辺で暮らす私娼の生活などをルポルタージュ的に公開していくうちに、自身もヤクザに関わって底辺に呑まれていく。アンダーグラウンドな世界を退廃的に描いた作品。

正式名称
奈落の羊
ふりがな
ならくのひつじ
作者
作者
ジャンル
貧困
関連商品
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あらすじ

第1巻

つまらない生動画をインターネットに配信し、リスナーに飽きられつつあった修二は、ある日、インターネットカフェ「のびのびクラブ」で出会った娼婦、メイに目をつける。金に困っているメイを利用して、動画配信のネタにしようと考えたのだ。目論見は見事に当たり、リスナーから若干の金が入るようになった。そんな中、修二はメイの売春の元締めをしているユウキと出会う。修二は調子に乗ってユウキの金を使って悪戯をする。その金はユウキのさらに上の売春管理者であるヤクザ、ギバに上納するためのものであり、修二はギバとも険悪な形で知り合うことになる。しかしギバは修二を単純に咎め立てはせず、むしろ修二の配信に関心を示すのだった。

第2巻

メイに対して複雑な感情を抱き始める修二だが、表面的には利用しているだけだという態度を取り、メイが嫌っている、彼女の妹にコンタクトを取るという計画を実行に移す。だが、メイは「男を寝取った」という理由で妹から憎まれており、鋏で髪を切られる暴行を受け、その場から逃げることを余儀なくされてしまう。その後、修二の配信により知名度を上げたメイは、別の生配信グループに拉致されて輪姦される。最終的に修二に助けられはしたものの、さらにヤクザの抗争に巻き込まれる形となったメイは、警察に一時保護される身となった。

第3巻

修二たちはユウキの発案で、ユウキとメイとを参加させる、「無職限定合コン」というイベントを配信のネタにし始める。それは表面的には、王様ゲームなどのつまらない座興を行うものであったが、ユウキは合コンの参加者たちを籠絡し、詐欺をはじめとした犯罪的な手口でカモにする。そんな中、修二にとって因縁の相手である人気生動画配信者のリクオも、合コンに参加するようになる。その目的は、ユウキによる犯罪を暴いてネタにする、というものであった。

第4巻

ささいなきっかけから修二と仲互いし、また動画配信の影響で人気を獲得したメイは、修二には黙ったまま風俗店「Dream倶楽部」で働き始める。修二の動画には、代わりにポカリという別の娼婦が参加するようになったが、修二は自分のモチベーションが、ポカリでは上がらないことに気付く。そして、メイを半ば強引にさらうような形で「Dream倶楽部」から連れ出し、2人で逃避行を図るのだった。もちろん、ギバは彼らの後を追うが、修二たちは巧妙に居所を隠し続ける。

第5巻

舞台は変わってとある小学校。生動画の配信や売春など非行の温床となっているその学校で、貝原という中年教師が買春を行っている事実を知った同僚の三園は、貝原を辞職に追い込む。それは、貝原によって生動画の配信を妨害されそうになった生徒、相楽真凛の入れ知恵によるものであった。真凛は動画のため、さらに売春グループのルポを行おうとするが、その元締めである川嶋碧依の怒りを買い、その手中に落ちることになる。そんな中、三園は逆恨みした貝原に強姦され、それが原因で貝原を殺害。その場面を目撃してしまった真凛は現場から逃走し、修二と出会うことになる。

登場人物・キャラクター

修二 (しゅうじ)

20歳の男子大学生。インターネットの生動画配信にハマっており、大学には通っていない。就職するのが嫌で、動画配信者として一発逆転して安楽に暮らしたい、という考えを抱いている。そのためにネタとなるものを探していたところで、メイと出会った。次第にメイに対して複雑な感情を抱くようになり、風俗店「Dream倶楽部」での仕事を足抜けさせたが、その後「客」としての立場で一線を越えてしまう。

メイ

20歳の女性。インターネットカフェ「のびのびクラブ」で私娼としての暮らしを送る中、修二と出会った。その外見について、多くの人からは「ブス」と評されているが、髪をあげた素顔を見た修二は、まんざらでもないという感想を抱いている。のちに風俗店「Dream倶楽部」で働き始めるが、修二に連れ去られるような形で店を離れる。

嘉門 (かもん)

修二と同じ大学に通う青年。修二とは大学で知り合った友人。普段は、善良で人畜無害な風を装い、修二の中途半端な悪行をたしなめるような態度を取っている。実はそれは欺瞞で、嘉門自身も実は修二の知らない別の生配信をしている。修二の醜態を密かに晒し者にして、自身のリスナーの歓心を買っている。

ユウキ

ヤクザであるギバのもと、私娼たちの管理を任されている若い女性。ユウキ自身が、娼婦の仕事をする場合もある。メイを売春の道に引き込み、一通りの手管を教えたのはユウキであるが、その義理を果たさせるという名目で、メイの売り上げをピンハネしている。デリカシーの欠片もない粗暴な性格をしている。

ギバ

中年のヤクザの男性。左の唇の上に大きな傷がある。詳細は不明だが、どこかの組に属している。ユウキを使って、最下層の私娼たちの管理を行っている他、風俗店「Dream倶楽部」の経営にも関与している。修二の動画配信に興味を示し、利用しようと画策する。

リクオ

修二と同じ大学に通う青年。もともと、修二や嘉門と共同で生動画配信の活動をしていたが、袂を分かち、現在は独自に別の人気生動画の主をやっている。またそれに際し、修二たちからいじめを受けたから離脱したなどと、根拠のない主張を並べ立てたため、修二とは対立している。

ポカリ

若い私娼の女性。非常に乱暴者で、すぐに人を殴るので、「ポカリ」という名で呼ばれている。本名は不明。メイが風俗店「Dream倶楽部」で働き始めた時、一時その代理として修二の生配信動画に出演するようになったが、修二との関係は険悪。

三園 (みその)

小学校の若い女性教師。中途半端な正義感と優柔不断な人間性の持ち主。自分の学校で少女売春が横行していること、さらに同じ教師の貝原が少女買春を行っていることを知り、貝原を辞職に追い込んだ。だがそれを恨まれてのちに貝原に強姦され、その復讐のため貝原を殺害する。

貝原 (かいばら)

小学校の中年の男性教師。自分の学校の生徒を相手に買春を行うというモラルの欠片もない人物で、三園によって社会的に追い込まれて辞職した。その後、トラブルの末に三園を強姦して脅迫するが、恨みを買って殺害される。

相楽 真凛 (さがら まりん)

小学生の少女。三園が担任をしているクラスに所属している。「まりん」を名乗って、動画の生配信を行っている。また、「モリエ」というハンドルネームで、別途ネット活動も行っている。貝原が買春をしている事実を三園に知らせ、貝原を失脚へと追い込んだ。動画のネタとして売春グループに接近したが、その中に自身も取り込まれてしまうことになる。

川嶋 碧依 (かわしま あおい)

小学生の少女。三園が担任をしているクラスに所属している。おとなしい普通の子供だが、家庭では虐待されている。そこから逃れるため、小学校の売春グループの元締めとなり、ギバのグループとも関わりを持っている。

場所

のびのびクラブ

メイとユウキが生活の場としているインターネットカフェ。漫画も置かれている。メイらによる私的な売春の巣窟となっており、のちには修二の配信を見たリスナーたちが、直接押しかけて来ることにもなった。店自体はごく普通のインターネットカフェに過ぎないので、防犯などの管理面は心もとない。

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