概要・あらすじ
大学受験を間近に控えた2月13日、阿良々木暦は体が鏡に映らなくなっているという、自らの身に起きる異変に気づく。妹に負わされたばかりの足の怪我も急速に回復へ向かう暦に対し、元吸血鬼である忍野忍は「吸血鬼化が進行している」と指摘。
暦には吸血鬼だった頃の忍に襲われ、一度は完全にその眷属と化した過去、その後遺症で現在でも半吸血鬼であるという事実があった。この問題を解決すべく、暦と忍は怪異の専門家、影縫余弦と斧乃木余接の元へと相談を仰ぎに行く。
これ以上の吸血鬼化の進行を抑えるため、その能力の使用を封印するという結論に至った一同。しかし、そこにまるで狙ったかの様なタイミングで、暦の妹である阿良々木火憐・月火姉妹と後輩の神原駿河が、何者かに誘拐されてしまう事態が起こる。
登場人物・キャラクター
阿良々木 暦 (あららぎ こよみ)
私立直江津高校3年の男子生徒で、性格は優しく、お人好し。春休みに吸血鬼に襲われたことをキッカケに、現在でも驚異的な治癒能力を持つ「吸血鬼もどき」である。その際に身を差し出した吸血鬼そのものである忍野忍とは表裏一体の関係となっており、忍に血を吸われることで、一時的に吸血鬼としての能力を取り戻すことが出来る。 また、戦場ヶ原ひたぎという恋人がいる。受験も迫った2月のある日、自らの姿が鏡へと映らなくなってしまったことに気づき、その解決策を相談するため、不死身の怪異の専門家である影縫余弦と斧乃木余接に接触を図ろうとする。
斧乃木 余接 (おののぎ よつぎ)
影縫余弦に付き従う童女。周囲からの影響を大いに受けた、その時々で変わる特徴的な喋り方をし、また無表情のまま奇妙なポーズを度々とる。その正体は余弦の式神であり、人間の憑藻神である怪異。 体に起きた異変について相談へとやってきた阿良々木暦に対し、暦自身が「生まれつきの吸血鬼」へなりつつあると診断。その後、影縫余弦の指示により暦とともに行動を取ることとなる。
阿良々木 火憐 (あららぎ かれん)
阿良々木暦の上の妹で、中学3年生。妹である阿良々木月火と仲が良く、2人合わせた「栂の木二中のファイヤーシスターズ」の実戦担当として知られる、自称「正義の味方」。ジャージ姿を好むなど非常に活発で行動的な性格をしており、習っている空手では黒帯を所持するほどの高い運動能力を持つ。 暦からの言いつけにより神原駿河の部屋へと泊まりにいくが、月火・駿河とともに手折正弦によって誘拐されてしまう。
臥煙 伊豆湖 (がえん いずこ)
「何でも知っている」と豪語し、常に全てを見透かしている様に、先回りをした振る舞いを見せる女性。神原遠江の妹であり、神原駿河にとっての叔母にあたる。また忍野メメ、貝木泥舟、影縫余弦、手折正弦の大学時代の先輩でもあり、現在は怪異専門家の元締め的存在として活動している。 阿良々木暦が斧乃木余接に接触を図ろうとすることを見抜き、手配を事前に済ませておいたことをメールで暦へと告げる。
怪異 (かいい)
『憑物語』に登場する存在。神や幽霊、悪魔、妖怪等の総称。多くは動物の名を冠しているが、その名は姿形でなく本質を表すとされる。都市伝説・信仰・噂などによって生まれ、人間がいることで初めて認められる存在であり、阿良々木暦曰く「世界そのもの」。
手折 正弦 (ており ただつる)
線が細く色白な風貌をした、人形使いの男。影縫余弦と同じく不死身の怪異を専門とするが、不死身であれど生きている怪異を専門とする余弦とは異なり、本来死んでいるはずの怪異を対象とする。はぐれものであり、怪異専門家の元締めである臥煙伊豆湖のネットワークにも所属していないが、大学時代はオカルト研究会の一員であった。 その中でも忍野メメとは比較的仲が良く、一方で余弦とは斧乃木余接の所有権を巡った結果、不仲が続いている。 常人とは異なる感性を持ち、人間が作り出した怪異という存在に美しさ、命を持たない人形としての生命に愛しさを見出している。
阿良々木 月火 (あららぎ つきひ)
阿良々木暦の下の妹で、中学2年生。姉である阿良々木火憐と仲が良く、2人合わせた「栂の木二中のファイヤーシスターズ」の参謀担当として知られる、自称「正義そのもの」。和服好きであり、一見大人しそうに見えるが、実際は非常に短気で攻撃的な性格をしている。 暦からの言いつけにより神原駿河の部屋へと泊まりにいくが、火憐・駿河とともに手折正弦によって誘拐されてしまう。
影縫 余弦 (かげぬい よづる)
京都弁を操る女性であり、不死身の怪異を専門とする陰陽師。地面の上を歩けない呪いにかかっており、自らの式神である斧乃木余接の頭上やブロック塀の上を常に渡り歩いている。また忍野メメ、貝木泥舟、臥煙伊豆湖、手折正弦とは大学の同期およびオカルト研究会の仲間で、旧知の中。 体に起きた異変について相談へとやってきた阿良々木暦に対し、様々な助言を与える。
忍野 扇 (おしの おうぎ)
私立直江津高校へと転校してきた女子生徒。阿良々木暦たちがかつて怪異に関して世話になった忍野メメという男の姪を自称する、不穏で謎に包まれた人物。北白蛇神社と向かう暦の前に現れ、様々な問いかけを行う。 その異様性をして、斧乃木余接には「黒幕」や「ラスボス」と称される。
戦場ヶ原 ひたぎ
私立直江津高校3年の生徒で、阿良々木暦のクラスメイトであり、恋人。容姿淡麗かつ学業優秀だが、とんでもない毒舌家で、嫉妬深い。高校入学直前に怪異「おもし蟹」に行き遭い、体重を根こそぎ持って行かれた経験を持つ。 その後、3年次のゴールデンウィーク明けに暦と忍野メメの手によって怪異から救われた。バレンタインデーの午後、自宅を訪れた暦に対しチョコをプレゼントする。
忍野 忍 (おしの しのぶ)
ミスタードーナツが大好きな金髪の幼女。その正体は伝説の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。しかし現在は能力をほぼ失った「吸血鬼の成れの果て」でしかなく、元眷属である暦の血液を吸うことで生きながらえている。 自らの姿が鏡へと映らなくなってしまった暦に対し、吸血鬼が進んでいる可能性を指摘。サポート役として暦とともに影縫余弦と斧乃木余接の元へと向かう。
場所
北白蛇神社 (きたしらへびじんじゃ)
『憑物語』の舞台の一つ。街の外れの山奥にある、蛇神を祀っていたとされる神社。本殿が今にも崩れ落ちそうな状態であるなど、すっかり寂れてしまっており、訪れる者は皆無と言って良い。春休みにキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードがこの地を訪れた影響で、一時はよくないものの吹き溜まりと化してしまっていた。