概要・あらすじ
異世界の住人「紅世の徒」に襲われ呆然と立ちすくむ坂井悠二の前に、紅蓮の髪と瞳を持つ「贄殿遮那のフレイムヘイズ」と名乗る少女が現れる。後に悠二がシャナと名付けるその少女は、悠二は既に自覚がないまま他界した身であり、今は「トーチ」と呼ばれる代替物でいずれ消える定めにあると告げる。
その時から平凡な高校生だった悠二の日常は終わり、紅世の徒と異能力者「フレイムヘイズ」の戦いへと巻き込まれていくことになる。
登場人物・キャラクター
シャナ
小柄で外見年齢は11~12歳ほどの少女。「炎髪灼眼の討ち手」の称号を持つフレイムヘイズで、紅世の王・アラストールと契約している。炎の色は「紅蓮」。本名は不明で、「シャナ」は自身が名乗っていた「贄殿遮那のフレイムヘイズ」の名から、坂井悠二が名付けた通称。 メロンパンが大好物。
坂井 悠二 (さかい ゆうじ)
御崎高校の1年生である少年。実態は「既に亡い自分」の代替物「トーチ」であり、その中でも、紅世の秘宝中の秘宝、宝具「零時迷子」をその内に秘めた特殊な「ミステス」。普段は少し頼りないが、戦闘中には時折、周囲を驚かすほどの頭の切れを見せる。
ミステス
『灼眼のシャナ』において、紅世の秘宝である「宝具」を身内に宿したトーチの名称。別名「旅する宝の蔵」。宿主であるトーチが消滅すると、宝具は次のトーチへとランダムに転移する。
ベルペオル
すらりとした長身に穏やかな風貌の美女で、年寄り染みた口調で話す。炎の色は「金色」。女性の紅世の王で、真名は「逆理の裁者」。「仮装舞踏会」の幹部たる三柱臣が一柱「参謀」。「大命」成就のためには味方でも敵でも関係なく利用して確実に目的へ近づく。 その布石として紅世の秘宝中の秘宝である宝具「零時迷子」を巡り暗躍している。
燐子 (りんね)
『灼眼のシャナ』に登場する「紅世の徒」の下僕。この世の物体に「存在の力」を吹き込むことで生まれ、その際の姿形や機能は主の趣味や技量、対象物によって変わる。人の存在の力を喰らい集めることはできるが、自身の力には還元できず、主から力の供給を受けないと存在を維持できない。
坂井 貫太郎 (さかい かんたろう)
坂井悠二の父親で坂井千草の夫。海外赴任で長く家を空けている。茶目っ気にあふれ、妻からは「優しくてかわいい人」と評されており、夫婦仲はとても良い。
マージョリー・ドー (まーじょりーどー)
長身で抜群のプロポーションを持つ美女だが、酒好きで非常に酒癖が悪い。「弔詞の詠み手」の称号を持つフレイムヘイズ屈指の殺し屋で、紅世の徒からは「恐怖の代名詞」「死の同義語」と称され恐れられている。 マルコシアスと契約しており、炎の色は「群青」。戦闘における自在法の行使に長ける。「銀」と呼ばれる徒に憎悪を抱いている。
マリアンヌ
人形好きの紅世の王・フリアグネの燐子である人形。元は粗暴な人形であったが、トリノで捨てられたところをフリアグネにより拾われ、一目惚れされたことでその燐子となる。お互い愛し合っており、フリアグネからは「可愛いマリアンヌ」と呼ばれている。
アラストール
真名は「天壌の劫火」で通称アラストール。シャナにフレイムヘイズとしての能力を与えている紅世の王であり、その中でもとびぬけた力を有する。有炎の色は「紅蓮」。シャナの体内に本体がいるためペンダント型の神器「コキュートス」を身に付け、それを通じることで意思のみを顕現させている。 シャナに対し父親らしき感情も抱く。
田中 栄太 (たなか えいた)
御崎高校の1年生。坂井悠二のクラスメート。大柄。佐藤啓作とは中学時代からの友人で、二人でつるんでかなり荒れた生活をしていた。佐藤と共にマージョリー・ドーに眼をつけられ、マージョリーのことを「姐さん」と呼び慕うようになる。
紅世の徒 (ぐぜのともがら)
『灼眼のシャナ』に登場する異世界、紅世の住人。その呼称ははるか昔に人間の詩人が名づけられ、「徒」と縮めて呼ぶこともある。人間に似たような精神構造と性別を持ち、生物でいうところの生殖機能など根本的な性質が人に近い。 離れた場所の強い感情や意思との共感、存在の力を操るというような能力を有する。
フレイムヘイズ
『灼眼のシャナ』において紅世の王と契約を交わし、異能を得た元人間の総称。世界の歪みが累積することにより、この世と紅世の双方に大災厄が起きると一部の紅世の王たちが予測し、同胞である徒を止めるべく模索した結果誕生した。 人としての過去・現在・未来を引き換えに異能を与えることを提示し、それを人間が同意すると契約成立となる。
カムシン・ネブハーウ (かむしんねぶはーう)
「儀装の駆り手」の称号を持つフレイムヘイズで、この世の歪みを矯正してバランス崩壊による災厄を未然に防ぐ、世界でも数少ない「調律師」。ベヘモットと契約しており炎の色は「褐色」。容姿は10歳に満たないほどだが、数千年生きてきた最古のフレイムヘイズの一人にして歴戦の古強者であり、そのため周りからは「ジジイ」などと呼ばれている。
トーチ
『灼眼のシャナ』において、人間が持つ存在の力を徒が喰らう際にあえて少量残し、それを加工することによって作られる代替物。これにより人や世界との繋がりを当面保つことにより、存在の力が消滅する際に生じるこの世の大きな歪みを抑え、フレイムズに察知されにくくする。 当事者本人の記憶・人格を保持しており、生前と同様に生命活動も行われているが、残された存在の力の消耗と共に周囲との人間関係・居場所・役割・存在感を次第に失っていき、やがて誰からも忘れ去られたときひっそりと消滅。 その瞬間と同時に全ての痕跡は消滅し、存在していなかったことになる。
佐藤 啓作 (さとう けいさく)
御崎高校の1年生。坂井悠二のクラスメート。家は御崎市指折りの旧家であり、お金持ち。田中栄太とは中学時代からの友人で、二人でつるんでかなり荒れた生活をしていた。田中と共にマージョリー・ドーに眼をつけられる。
ティアマトー
ヴィルヘルミナ・カルメルにフレイムヘイズとしての力を与えている女性の紅世の王で、真名は「夢幻の冠帯」。炎の色は「桜色」。ヴィルヘルミナが身につけているヘッドドレス型の神器「ペルソナ」を通じて意思のみを顕現させている。 ヴィルヘルミナよりも無愛想で、四字熟語を用いることが多い。
吉田 一美 (よしだ かずみ)
坂井悠二のクラスメイト。健気で献身的、純朴な性格で、平井ゆかりとは大の友人。悠二に対して好意を抱き、シャナと悠二の密な関係をなんとなく察しては気を揉んでいる。
御崎高校 (みさきこうこう)
『灼眼のシャナ』に登場する架空の高校。御崎市内に位置し、坂井悠二や池速人、吉田一美たちが通う。
ダンタリオン
「バカのように白けた」緑色の炎を持つ紅世の王で、通称「教授」。興味の対象がいろいろと変わり言動が突拍子もないため、紅世の徒でも相当な変わり者として知られている。研究・開発・実験に執着しており、自身が構築した「我学」と呼ぶ理論体系と数多くの発明品を持つ。
フリアグネ
紅世の王で、真名は「狩人」。炎の色は「薄い白」。世に散らばる宝具のコレクターで、フレイムヘイズと敵対する。この世で作った人形型の燐子であるマリアンヌを何よりも愛している。
三柱臣 (とりにてぃ)
『灼眼のシャナ』に登場する「仮装舞踏会」を束ねる3人の幹部「巫女」ヘカテー、「参謀」ベルペオル、「将軍」シュドナイを指す。上下関係は特にないが、実質「参謀」ベルペオルが組織を指揮している。
ラミー
人を喰らわない珍しい紅世の徒で、炎の色は「深緑」。マージョリー・ドーに討滅されかけたところをシャナに救われる。銀の正体を知る者の一人。
ヴィルヘルミナ・カルメル (ゔぃるへるみなかるめる)
礼儀正しくて義理堅い性格の、メイド姿をしている少女。生真面目が過ぎく融通が利かないが、本質的には非常に情け深く感情的。「万条の仕手」の称号を持つフレイムヘイズで、ティアマトーと契約しており炎の色は「桜色」。 「戦技無双の舞踏姫」と謳われるフレイムズ屈指の実力者で、非常に卓越した戦技を持ち敵の攻撃を流す投技が得意。シャナの育ての親の一人でもある。
紅世の王
『灼眼のシャナ』に登場する王。「紅世の徒」の中で大規模な存在の力を統御できる者を指す。「王」と縮めて呼ぶこともある。存在の大きさ故に、この世で顕現し続けるための「存在の力」も多く必要とする。
マルコシアス
マージョリー・ドーにフレイムヘイズとしての力を与えている紅世の王で、真名は「蹂躙の爪牙」。炎の色は「群青」。本体はマージョリーの体内におり、マージョリーが持つ本型の神器「グリモア」を通じて意思のみを顕現させている。 下品で耳障りな声で笑う戦闘狂。マージョリーとはどつき漫才を介して深い友情を抱き合う。
ヘカテー
氷像のように無機質で、繊細な容貌の少女。その声音も平淡であるが、感情を露わにすることも多い。その正体は紅世の王であり、真名は「頂の座」。炎の色は「明るすぎる水色」。三柱臣が一柱の「巫女」として、「仮装舞踏会」の幹部を務めている。
ベヘモット
カムシン・ネブハーウにフレイムヘイズとしての力を与えている紅世の王で、真名は「不抜の尖嶺」。炎の色は「褐色」。カムシンの左腕に巻かれたガラスの飾り紐型の神器「サービア」を通じて意思のみを顕現させている。 老人特有の嗄れ声で喋り、常に使命の遂行を第一に考えている。
坂井 千草 (さかい ちぐさ)
坂井悠二の母親で坂井貫太郎の妻。専業主婦をしており、シャナを悠二の彼女と思い込み、何かと面倒を見る。おっとりしているが押しは強く、紅世の王・アラストールも一目置く聡明さを備える。 夫婦仲はとても良い。
平井 ゆかり (ひらい ゆかり)
坂井悠二と席が隣同士の、クラスメイトの少女。シャナと悠二が出会った日に紅世の徒に喰われ、シャナが作り出したトーチと入れ替わってしまう。消滅寸前にシャナが自身の存在を割り込ませたため、以降はシャナの「御崎市で暮らす人間」としての器となった。
池速人 (いけはやと)
御崎高校の1年生。坂井悠二のクラスメートで、中学時代からの友人。「メガネマン」の通称で呼ばれている。クラス委員を務め、得意な勉強を初めとして概ね何でもそつなくこなすことから、各方面で頼りにされている。 吉田一美に好意を持っている。
仮装舞踏会 (ばるますけ)
『灼眼のシャナ』に登場する「紅世の徒」の集団のこと。現代における最大級の規模を誇り、「三柱臣」と呼ばれる幹部を中心に組織されている。坂井悠二が持つ宝具「零時迷子」を巡って現在は暗躍している。
シュドナイ
紅世の王で「仮装舞踏会」の幹部たる三柱臣が一柱「将軍」。炎の色は「濁った紫」。護衛の依頼を受け果たすことに喜びを見出しており、度々職務を外れて徒を守っている。真名は「千変」で名が指す通り様々な姿に変えて戦う。 その力は最強クラスの強さを誇り、古来から数えきれないほどのフレイムズを倒してきている。
場所
御崎市
『灼眼のシャナ』の物語の舞台となる架空の都市。県下でもそこそこ大きい市であり、坂井悠二や池速人、吉田一美が通う御崎高校がある。
紅世 (ぐぜ)
『灼眼のシャナ』に登場する異世界。この世の「歩いてゆけない隣」に存在し、独自の物理法則によって成り立っているため五感が意味を成さない。はるか昔に人間の詩人が徒から紅世の情景を聞き、名づけたこの名称が広まり定着した。
イベント・出来事
都喰らい (みやこくらい)
『灼眼のシャナ』において、紅世の王である「棺の織手」アシズが過去に起こした大災厄。喰らうに適さない「都市」を丸ごと莫大かつ高純度な「存在の力」に変換した。この事件を契機に、フレイムヘイズが数多く生み出されている。
その他キーワード
存在の力 (そんざいのちから)
『灼眼のシャナ』において人間や動物、物質などが持つこの世に存在するために必要とされる根源的エネルギー。紅世の徒は、この力を近しい存在である人間から奪うことで、己の身を現す。
宝具 (ほうぐ)
『灼眼のシャナ』に登場する道具。紅世の秘宝とされ、存在の力を込めることで機能する。この世と紅世の狭間に存在する物体であり、徒と人間の両者が望まないと作り出せない。坂井悠二が内に秘める「零時迷子」などの種類がある。
贄殿遮那 (にえどののしゃな)
『灼眼のシャナ』に登場する架空の刀。シャナの所持する大業物の大太刀型宝具で、刃渡りはシャナの身の丈ほどもある。フレイムズには珍しく自在法を使わない。
自在法 (じざいほう)
『灼眼のシャナ』に登場する紅世の徒やフレイムヘイズが存在の力を自在に操る術の総称で、これにより様々な現象を引き起こす。この力を発動させる際には自在式と呼ばれる紋様が展開される。