不幸体質男子とほっとけない女子
ケガの絶えない不運体質な少年・矢野剛と、世話好きな少女・吉田清子が不器用ながらも距離を縮めていく、日常系ラブコメディ。まだ情緒の育ちきっていない、ピュアな矢野の言動から目が離せなくなってしまった清子が、彼に振り回される様子をコミカルに描いている。作中では清子に恋心を寄せる野球部の男子・羽柴や、清子の友人・メイと彼女の幼なじみの少年・田中との気の置けない関係性など、主人公たちの友人が織りなすさまざまな恋模様も目が離せない。
ふつうの高校生活を夢見る二人のラブコメディ
矢野剛は登下校時や授業中、休み時間など、ありとあらゆる場面でとにかくケガをしまくる不運体質のドジっ子で、周囲に迷惑をかけないように気配りする心優しい少年。「ふつうの高校生活を送りたい」という、小さくて壮大な夢を持つ矢野に対し、吉田清子は彼をサポートすることを約束する。世話好きで心配性な清子は、そんな矢野の面倒を見るうちに思いを寄せるようになる。清子は当初こそ矢野のピュアな心や不運体質に振り回されるものの、クラスメートとの交流をとおして恋愛を理解した矢野と恋人同士になる。しかし清子もまた、純粋な心根の持ち主で、二人の恋愛はどこまでもじれったく、無垢な形で進んでいく。そんな二人とクラスメートたちによる、かけがえのないふつうの高校生活が描かれている。
大切な「ふつう」のために
本作は「ふつう」の高校生活を送るために毎日ケガばかりしている男子と、心配性の女子による、日常系ピュアラブコメディ。吉田清子は野球部のイケメン・羽柴に告白されたり、矢野剛の過去を知る中学校時代の少女・岡本が現れたりと、さまざまな障害が二人に立ちはだかる。また、清子に横恋慕しながら矢野と友人となった羽柴の葛藤や、そんな羽柴に対する恋心をいまさら自覚してしまう幼なじみの少女・泉の迷いなど、「ふつう」を大切に思うあまり心が揺れ動くクラスメートたちも登場。高校生活という大切な時間をどう過ごすべきか、彼らが葛藤する姿が描かれる。
登場人物・キャラクター
吉田 清子 (よしだ きよこ)
とある高校に通う2年生の女子。新学期早々にクラス委員長に選ばれてから、毎日ケガを負って登校して来る矢野剛のことが気になり始める。当初はケガの原因を究明しようとするが、矢野自身の不器用さが原因だとわかってからは次第に目が離せなくなり、やがて恋心を自覚するようになる。クラス委員長に他薦されることからもわかるように、生真面目で心遣いに長(た)けた優しい性格で、矢野に対しても遺憾なく思いやりを発揮している。だが、恋心に無自覚な矢野に対して空回りすることも多く、周囲からは姉弟や親子のように見られることもある。家族に弟と妹がいるため、吉田清子自身も矢野のことを弟のように感じているところがあり、特に嫉妬に駆られていた彼の素振りを反抗期を迎えている弟と同様に考えている。
矢野 剛 (やの つよし)
吉田清子と同じ高校に通う2年生の男子。非常に不器用な性格で、不幸体質の持ち主。そのためつねにケガを負っており、顔には絆創膏(ばんそうこう)やガーゼが貼られているのが日常茶飯事で、右目にはいつも眼帯を付けている。クラス委員長の清子にケガの原因について疑われるようになり、次第に思いを寄せられ世話を焼かれるようになる。しかし、矢野剛自身は不幸体質が原因で情緒が人並みに育っておらず、これまで自分の身の安全以上の欲求を抱かずにいたため、他人に好かれたいという感情が薄い。また恋心にも疎く、あからさまな清子のアプローチにも動じる素振りを見せなかったが、彼女のおかげで、かねてよりの夢だったふつうの高校生活を送れるようになり、徐々に情緒が育ち始めて清子を意識するようになる。
書誌情報
矢野くんの普通の日々 9巻 講談社〈モーニング KC〉
第1巻
(2021-11-10発行、 978-4065259306)
第2巻
(2022-02-09発行、 978-4065267486)
第3巻
(2022-06-08発行、 978-4065280959)
第4巻
(2022-10-12発行、 978-4065294512)
第5巻
(2023-03-08発行、 978-4065307205)
第6巻
(2023-09-13発行、 978-4065330586)
第7巻
(2024-02-14発行、 978-4065344576)
第8巻
(2024-07-10発行、 978-4065359822)
第9巻
(2024-11-13発行、 978-4065373323)