概要
198X年、バート・ゲイン博士と三雲渡は、長年開発を続けていた有人レーザー戦闘衛星スペース・レンジャーの実験に成功する。だが核戦略でアメリカ側に遅れをとることを恐れたソ連は、開発者のバート博士を原子力潜水艦で拉致するも、機密流出を恐れたアメリカ側の核魚雷攻撃で撃沈されてしまう。
一方ソ連側も、西ドイツ空軍基地に亡命した自国の最新鋭機ブラック・ドラゴンを破壊するためソ連軍空挺部隊を急襲させるなど、両国間の軍事的緊張は高まり、遂に核弾頭が実戦使用されてしまう。
登場人物・キャラクター
三雲 渡 (みくも わたる)
日本人の優秀な科学研究員。アメリカで未来科学研究所長のバート・ゲイン博士の下で有人レーザー戦闘衛星の開発に携わる。互いに想いを寄せ合っていたバートの妹ローラ・ゲインに、結婚を申し込む。柔道の達人で5年前のモスクワ5輪の優勝候補だったが、日本の参加ボイコットで実現しなかった。
ギブスン大統領 (ぎぶすんだいとうりょう)
アメリカ合衆国の大統領。核の保有量で水を開けられたソ連に対し優位に立つため、有人レーザー戦闘衛星の開発・実用化を推進し一気に制宙権を得ようとする。
ローラ・ゲイン (ろーらげいん)
バート・ゲイン博士の妹で、幼い頃に両親を失くしバートに育てられた。スペース・シャトルの宇宙飛行士として、バートと三雲の実験にも参加する。三雲とはお互いに想いを寄せ合っているが、幼い頃の境遇ゆえか愛情を求めるその反動で三雲に対してわがままにふるまってしまうこともある。 また、仕事にすべてを賭けている三雲との結婚を躊躇う。
ブガーリン国防相 (ぶがーりんこくぼうしょう)
ソ連政府の主戦派の筆頭で、オルロフが病床に臥すと、閣内から穏健派勢力を放逐。実験を握って、ワルシャワ侵攻を進め、その撤兵条件として中近東の割譲を要求。世界を全面戦争の危機に直面させる。
バート・ゲイン (ばーとげいん)
友人を多数ベトナムで亡くしたことから、抑止力としての兵器開発に傾倒する。未来科学研究所の所長として、宇宙防空司令部との共同で有人レーザー戦闘衛星の開発を指揮し実験に成功。その矢先に、ソ連のスパイに拉致され、原子力潜水艦でソ連に移送中、頭脳流出を恐れたアメリカ側の核魚雷攻撃で原潜ともども抹殺される。
オルロフ書記長 (おるろふしょきちょう)
ソビエト連邦の書記長で、ギブスンとは国益を巡って丁々発止に渡り合う間柄だが、どちらかといえば穏健派。開戦の機運が強まる中、持病の心臓病で倒れてしまう。
その他キーワード
キラー衛星 (きらーえいせい)
『FUTURE WAR 198X年』に登場した兵器。5発の対衛星ミサイルを装備した無人の攻撃用人口衛星で、ソ連が複数機運用している。米ソ開戦時に、アメリカの偵察衛星やスペース・レンジャーを攻撃した。
アルファ級改原子力潜水艦 (あるふぁきゅうげんしりょくせんすいかん)
『FUTURE WAR 198X年』に登場した兵器。ソ連海軍所属の攻撃型原子力潜水艦。水中での最高速力50ノット、最大潜行深度1,500mの性能を活かし、バート・ゲイン博士の拉致・移送に使用されるが、米軍機の各魚雷攻撃で撃沈される。
アルバトロス
『FUTURE WAR 198X年』に登場した兵器。アメリカが運用しているスペース・シャトル。実在のシャトルより大型で、スペース・レンジャー試験機を搭載し衛星軌道に移送、その試験活動をサポートした。 実戦時にも、スペース・レンジャーのサポートを行った。
スペース・レンジャー (すぺーすれんじゃー)
『FUTURE WAR 198X年』に登場した兵器。宇宙防空司令部(NORAD)と未来科学研究所により、20年の歳月をかけて共同開発された有人レーザー戦闘衛星で、3名の乗員によりオペレートされ、アメリカに向けて発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)を高出力レーザーで迎撃することを目的とする。 実験機はスペース・シャトルアルバトロスに搭載され宇宙に運ばれたが、実戦配備では衛星軌道進入ロケットに搭載され地上基地より打ち上げられた。
リューリック
『FUTURE WAR 198X年』に登場した兵器。ソ連海軍の所属で、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)24発を搭載したサイクロン級の戦略ミサイル原子力潜水艦。アメリカ原潜の魚雷攻撃で大破した際に、乗艦していた政治将校の暴走でSLBMをワシントンに向け発射する。
ブラック・ドラゴン (ぶらっくどらごん)
『FUTURE WAR 198X年』に登場した兵器。双発単座・ダブルデルタ翼の機体に、完全電子装備を有したソ連の最新鋭戦闘爆撃機。亡命を希望するパイロットの手で、西ドイツの空軍基地に着陸したが、機密流出を恐れるソビエト政府の命を受けたソ連軍空挺部隊の急襲で爆破される。