TOTEMS-トーテムズ-

TOTEMS-トーテムズ-

皮膚の上で増殖して成長する人工コラーゲン製タトゥー「メタ・トーテム」は、人間の体を乗っ取るまで成長し、人の心の憂さや隠れた欲望を具現化する。そんな「メタ・トーテム」を自身の意志であやつる妖艶な美女達と、「メタ・トーテム」にあやつられて欲望を加速させる女達が、華麗に乱舞して戦う姿を描いた、蠱惑的なサイエンス・アクション。2~3話完結の連作短編形式で描かれる。「月刊!スピリッツ」2013年1月号から11月号にかけて掲載された作品。

正式名称
TOTEMS-トーテムズ-
ふりがな
とーてむず
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

天華堂が開発した「トーテム」は、皮膚の上で増殖し成長する人工コラーゲン製タトゥー。太平洋に面した南国の街・竜頭市では、その類似品「メタ・トーテム」が出回っていた。天華堂のライバル会社にその調査を頼まれたダニエル柿本越智マナツは、赤井サリ白オリ緑マユリが所属する「トーテムズ」というジャズバンドが何らかの手掛かりを持つのではないかと、彼女達を調べる。そんな中、ダニエル達は、「メタ・トーテム」にあやつられ欲望を暴走させた女子高生に拉致されてしまう。(TRACK.1~2「ヒア・アイ・アム」)

夏休み。双子姉妹の岸田萌音岸田摩音は、蛇の「メタ・トーテム」を手に入れた。そして二人はたまたま出会ったマナツに一目惚れし、彼を自宅へと連れ去ってしまう。マナツの居場所をメールで知ったダニエルは、「トーテムズ」に救援を要請。サリ、オリ、マユリが岸田姉妹が居る神社に駆けつけると、萌音と摩音は体内で育った蛇にあやつられ、マナツを巡って殺し合いを始めていた。(TRACK.3~4「デッド・キャン・ダンス」)

ジャズバンド「トーテムズ」を徹底的に調べる事にしたダニエルは、ライブで「トーテムズ」の前座を務めた「ブルー・ムーン」のヴォーカルKAHORIに、「花が咲くまでつき合って」と誘惑される。(TRACK.5「ブルー・ムーン」)

第2巻

調査員助手の越智マナツは、ジャズバンド「ブルー・ムーン」の元ギタリスト城之内から、KAHORIにバンドメンバー達が栄養分を吸い取られていたという事実を入手。KAHORIに連れ去られたダニエル柿本の危機を察知したマナツは、白オリに助けを求める。オリはKAHORIから「メタ・トーテム」を払い落とすべく、彼女がいる竜頭ヶ浜へと向かう。(TRACK.6「ブルー・ムーン」)

竜頭市に隣接するいいの町に住む畑山かけるは、の「メタ・トーテム」を盗み、夜な夜な猫科の動物「カラカル」と一体になった姿で夜の街を暴走していた。その件を調べる事になった緑マユリは、かけるに追突され負傷。体調不良の状態で、自分の「メタ・トーテム」を使うと「ジャンク・ブリーダー」に堕ちるというリスクを背負ったマユリだったが、心の憂さを具現化し暴走するかけるの「メタ・トーテム」をはらい落とすべく、かけるとのバトルに挑む。(TRACK.7~8「ストレイ・キャット」)

竜頭市のジャズ・フェスティバルに参加した赤井サリは、開演前に幼なじみの海堂友乃と再会する。ジャズバンド「トーテムズ」の演奏中、サリに声援を送るファンをうっとうしく思った友乃は、「メタ・トーテム」の「悪鬼貝」から周囲に向けて毒を発射。友乃が「ジャンク・ブリーダー」である事を知ったサリは彼女に立ち向かうが、相手が幼なじみというためらいもあり、友乃の攻撃を受け気絶してしまう。後日、新たな技を会得したサリは、友乃の「メタ・トーテム」を払い落とすべく、彼女のいるジオ・パーク海岸へと向かう。(TRACK.9~11「シェル・ショック」)

登場人物・キャラクター

赤井 サリ (あかい さり)

ジャズバンド「トーテムズ」のメンバーの女性で、トロンボーンを担当している。年齢は19歳。昼間は「竜頭市文化交流プラザ」の臨時職員として働いている。ジャズのプレイ同様にアグレッシブな性格。中学生の頃から竜頭市内のライブハウスに出入りしては大人相手にセッションをふっかけている。そこで当時別のバンドにいた白オリと緑マユカをスカウトし、ジャズバンド「トーテムズ」を結成した。 ドラゴン系の「メタ・トーテム」をあやつる能力を持つ「トップ・ブリーダー」であり、砥石川ワタルにバンドのサポートをしてもらう代わりに、「ジャンク・ブリーダー」を払い落す任務を託されている。「ジャンク・ブリーダー」とのバトルに際しては、「あたしのキスでいっとけ」が決め台詞。 一方で、「ジャンク・ブリーダー」の抱える事情に対しては同情的で、白オリにはそんな姿勢をたびたび心配されている。

白 オリ (つくも おり)

ジャズバンド「トーテムズ」のメンバーの女性で、ベースを担当している。年齢は21歳。昼間は「竜頭市文化交流プラザ」の臨時職員として働いている。ショートカットの髪型をしたクールな顔立ちの美女で、着崩した着物を着用している。冷静で挑戦的な性格。赤井サリには特別な感情があるようで、サリをいつも気に掛けている。ドラゴン系の「メタ・トーテム」をあやつる能力を持つ「トップ・ブリーダー」であり、砥石川ワタルにバンドのサポートをしてもらう代わりに、「ジャンク・ブリーダー」を払い落す任務を託されている。

緑 マユリ (みどり まゆり)

ジャズバンド「トーテムズ」のメンバーの女性で、パーカッションを担当している。年齢は24歳。昼間は「竜頭市文化交流プラザ」の臨時職員として働いている。背が非常に高く、濃い目の顔立ちをした美女で、大酒飲み。性格は天然気味なところがあり、能天気なように見えるが、たまたま身についたドラゴン系の「メタ・トーテム」をあやつる能力を持つ「トップ・ブリーダー」として、その能力を使いこなせるか悩む繊細な一面もある。 砥石川ワタルにバンドのサポートをしてもらう代わりに、「ジャンク・ブリーダー」を払い落す任務を託されている。ダニエル柿本は好みのタイプで、Facebookでつながっている。

ダニエル 柿本 (だにえる かきもと)

天華堂のライバル社「アート・コスメトロジー・ジャパン」に雇われた調査員の男性。年齢は33歳。越智マナツと行動を共にしている。外見は白人風の容姿で、ヘアスタイルはソフトモヒカン。「メタ・トーテム」の秘密を追っており、ジャズバンド「トーテムズ」に何か関係しているのではないかと、赤井サリ達についても調べている。 実は「トーテムズ」のファンでもあり、のちに彼女らが「トップ・ブリーダー」である事を知ってからは、「ジャンク・ブリーダー」探しに協力するようになる。「ジャンク・ブリーダー」に襲われては、たびたび負傷している。

越智 マナツ (おち まなつ)

天華堂のライバル社「アート・コスメトロジー・ジャパン」に雇われた調査員助手の男性。年齢は24歳。陽気な性格で、ラフな服装を身につけており、その風貌から無職に間違えられる事がよくある。ダニエル柿本の助手を務めており、いつも行動を共にし、「メタ・トーテム」の秘密を追っている。「ジャンク・ブリーダー」の岸田萌音と岸田摩音に取り合いされたモテ男だが、「メタ・トーテム」が払い落された彼女達からは、無視されてしまうようになる。

砥石川 ワタル (といしがわ わたる)

人工タンパク質の研究者で、「トーテム」を開発した男性。ロングヘアの優男で、元妻のサギリの事を今でも愛している。天華堂の科学顧問を務めており、「メタ・トーテム」の駆除の任にあたっている。そのため、ジャズバンド「トーテムズ」をマネージャーとしてバックアップする代わりに、赤井サリと白オリ、緑マユリに「ジャンク・ブリーダー」駆除の協力を求めている。 以前は研究所(ラボ)でコラーゲンを研究しており、天才的なサギリの技術サポートをしていた。

杉本 (すぎもと)

TRACK.1~2「ヒア・アイ・アム」に登場する。純情そうな女子高校生で、おっとりした性格をしている。女子高生に「メタ・トーテム」を勧められ悩んでいたが、友達を裏切りたくない思いから、昆虫の「メタ・トーテム」を使用。その後「ジャンク・ブリーダー」となり、欲望を暴走させて女子高生とのパーティの獲物として、男子中学生を持ち帰る大胆不敵な一面を見せた。

女子高生 (おんなともだち)

TRACK.1~2「ヒア・アイ・アム」に登場する。杉本の女友達の、女子高校生四人組。全員が杉本より積極的な性格で、春休みに「メタ・トーテム」を四人で使用した経験がある。「メタ・トーテム」にあやつられている「ジャンク・ブリーダー」であり、気に入った男達を獲物として持ち帰りパーティを開くため、ダニエル柿本と越智マナツを拉致する。

岸田 萌音 (きしだ もね)

TRACK.3~4「デッド・キャン・ダンス」に登場する。竜頭大学に通う1回生の女子。ダンスが得意で、去年までご当地アイドルとして活動していたが、今は学業に専念している。ロングヘアの美女で、岸田摩音とは双子。ダイエット効果があると知り、夏休みに「メタ・トーテム」を使用した事で「ジャンク・ブリーダー」となった。 その後、黒い薔薇をイメージさせるとして越智マナツに一目惚れし、マナツを取り合い魔音と戦う事になる。

岸田 摩音 (きしだ まね)

TRACK.3~4「デッド・キャン・ダンス」に登場する。竜頭大学に通う1回生の女子。ダンスが得意で去年までご当地アイドルとして活動していたが、今は学業に専念している。ショートカットの髪型の美女で、岸田萌音とは双子。ダイエット効果があると知り、夏休みに「メタ・トーテム」を使用した事で「ジャンク・ブリーダー」となった。 その後、白い百合をイメージさせるとして越智マナツに一目惚れし、マナツを取り合い萌音と戦う事になる。

KAHORI (かほり)

TRACK.5~6「ブルー・ムーン」に登場する。ジャズバンド「ブルー・ムーン」のヴォーカルとベースを担当する美女。自身のワンマンすぎる性格が災いして、ほかのバンドメンバーが全員脱退してしまったため、急場しのぎのメンバーで「トーテムズ」の前座を務めた。自分に対しても必要以上にストイックで、植物系の「メタ・トーテム」を使用し、「ジャンク・ブリーダー」となる。 「メタ・トーテム」の成長に必要な栄養分を吸い取るべく、ダニエル柿本を誘惑し、竜頭ヶ浜近くのモーテルに連れ込む。

城之内

TRACK.5~6「ブルー・ムーン」に登場する。ジャズバンド「ブルー・ムーン」の元ギタリストだった男性。「トーテム」を買い漁っていたKAHORIが、バンドメンバーの栄養分を吸い取っていった事を知る人物で、越智マナツにその詳細を語った。髪が長めであごひげをはやしたワイルドな風貌だが、外見に似合わず小心者で、自分のバンドに起きた出来事を未だに信じられずにいる。

畑山 かける (はたやま かける)

TRACK.7~8「ストレイ・キャット」に登場する。偏差値の高い中学に通う3年生の女子で、現在は不登校。母親を3年前に病気で亡くし、以降は寡黙な父と乱暴な姉のと三人での生活に、やり切れなさを抱えている。美人でスタイルのいい姉をうらやんで彼女の「メタ・トーテム」を盗んだ事で、「カラカル」という猫科の動物の「メタ・トーテム」に乗っ取られ、「ジャンク・ブリーダー」となった。 だがそれは事実ではなく、実際はすでに亡くなっている父の死を受け入れられず、3年間も心を閉ざし続けていた憂さが「メタ・トーテム」により具現化された状態にあり、夜な夜な「カラカル」と一体になった姿で暴走していたというのが真相である。「メタ・トーテム」を緑マユリに払い落されてから、自分の中で時が止まっていた事を自覚する。

(あね)

TRACK.7~8「ストレイ・キャット」に登場する。畑山かけるの姉で、胸が大きくお尻が小さい抜群のスタイルを持つ美女。夜の仕事で家計を支えているが、かけるとは仲が悪く、気に入らない事があるとかけるに暴力を振るう。

(ちち)

TRACK.7~8「ストレイ・キャット」に登場する。畑山かけるとその姉の父親で、妻を3年前に亡くしている。自宅で創作している画家であり、非常に無口で、かけるに「学校へ行け」とも言わない。実はすでに亡くなっており、その事実を受け入れられないかけるにのみ見えている幻影である。

海堂 友乃 (かいどう ともの)

TRACK.9~11「シェル・ショック」に登場する。赤井サリの幼なじみで、医大に通う女子大学生。長めのボブカットの髪型をしている。「悪鬼貝」と「ミノカサゴ」の二つの「メタ・トーテム」の力を使いこなす「ジャンク・ブリーダー」。内気な性格だが、サリの存在感と「ぷりケツ」を昔からずっと羨ましく思っており、自分も彼女のようになりたいと考えていた。

サギリ

砥石川ワタルの元妻で、かつてワタル同じ研究所(ラボ)に勤めていた女性。気まぐれな性格で、背が低く童顔ながら研究者としては天才的な才能を持つ。タンパク質の秘密を解き明かそうと、ワタルと共にコラーゲンの研究に没頭し、暴走するタトゥー・シール「メタ・トーテム」の開発に至った。少々エキセントリックなところがあり、「メタ・トーテム」開発の目的をワタルに問われた際には、「女達を解放するため」と不敵な笑みを浮かべていた。

場所

天華堂 (てんげどう)

人工コラーゲン製タトゥーを製造している会社で、人工コラーゲンの開発では業界トップを誇る。科学顧問として所属している砥石川ワタルの手により、「トーテム」が開発された。ダニエル柿本に「メタ・トーテム」の調査を依頼した「アート・コスメトロジー・ジャパン」とは、ライバル関係にある。

その他キーワード

トーテム

天華堂で開発された、皮膚の上で増殖し成長する人工コラーゲン製タトゥー。適温に暖めて体に貼り、保護フィルムを剥がすという手軽さで、使用中は生命感すら伴う事から、「体の上で育てるペット」として、女性を中心に浸透中。トーテムは動物や昆虫、植物など柄は多岐に渡る。

メタ・トーテム (めたとーてむ)

竜頭市に出回っていると噂される、人体に有害な人工コラーゲン製タトゥー。体の上で成長するタトゥー・シール「トーテム」の類似品で、宿主(ホスト)の体を乗っ取るまで成長し、人の心の憂さや隠れた欲望を具現化してしまう。「メタ・トーテム」が覚醒するには一定量以上のエストロゲン、つまり女性ホルモンを必要とする。「メタ・トーテム」を払い落すためには、宿主を痛めつける必要がある。

トップ・ブリーダー (とっぷぶりーだー)

「メタ・トーテム」に身体を乗っ取られず、飼い慣らしてしまう者。命名者は砥石川ワタルで、赤井サリ、白オリ、緑マユリのほかには未だ例がない。サリ達はドラゴン系の「メタ・トーテム」を成長させ、意志の力で抑制し、自身に憑けたり外したりする事ができる。また、三体それぞれの「メタ・トーテム」は、独自のキーワードで憑くようしつけられている。 なお、サリ達の「メタ・トーテム」は、傷ついた宿主と一体となっているので、体内から血流を遮断して毒が心臓に回らないようにする等の修復作業ができる。

ジャンク・ブリーダー (じゃんくぶりーだー)

「メタ・トーテム」に身体を乗っ取られ、欲望を暴走させた者。命名者は砥石川ワタル。赤井サリ、白オリ、緑マユリら「トップ・ブリーダー」は、「メタ・トーテム」を払い落とすべく、宿主である「ジャンク・ブリーダー」と戦う。なお、「メタ・トーテム」を払い落された女性達は正気に戻るが、自身が暴走しているあいだに何が起こったかを覚えていない場合が多い。

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