いばらの王

いばらの王

治療法が見つからない謎の病気「メデューサ」。病気にかかった人の中から世界で160人がコールドスリープカプセルセンターに集められた。カスミもその一人として冷凍睡眠に入るも、ふと目覚めるとセンターは廃墟と化していばらに覆われ、突然変異した怪物たちが飛び交う異常な場所になっていた。生き残ったわずかな人たちとともに、「メデューサ」の謎に迫りながら、脱出を試みる。2008年にはアメリカ図書館協会の推薦グラフィックノベルに選出されている。

正式名称
いばらの王
ふりがな
いばらのおう
作者
ジャンル
サバイバル
 
ホラー
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

体が石化してしまう、治療法のない奇病「メデューサ」。病気にかかった人の中から世界で160人がコールドスリープカプセルセンターに集められ、冷凍睡眠に入って、治療ができる未来を待つことになった。選ばれた一人の少女カスミ。カプセル内でふと目を覚ますと、そこはいばらに飲み込まれた廃墟。コールドスリープカプセルセンター内は突然変異した怪物が駆けまわる異常な場所に変貌していた。

囚人でありCIAのスパイ、マルコ・オーエンらと共に、わずか生き残った数人でこの施設からの脱出を試みる。実はこの施設はただ冷凍睡眠のためではなく、ある目的があって作られていた。カスミマルコ・オーエンたちは、「メデューサ」の謎に挑む。

登場人物・キャラクター

カスミ

眼鏡をかけた黒髪の少女。双子の姉妹であるシズクと共に、石化してしまう奇病「メデューサ」にかかってしまう。彼女はシズクと共にいることを臨んだが、カスミだけがコールドスリープカプセルセンターに収容される。センターで最初に目覚めたカスミは、廃墟化し、怪物だらけになった施設を目にすることになる。 なんとか生き残った人々と、いばらだらけの古城を脱出するために策を巡らせる。脱出を試みる中次第に、前向きに道を切り開き戦うマルコ・オーエンに惹かれていく。非常に気が弱い少女だが、生き残るために大胆な行動に出ることも多い。他に生き残った人々と違って、彼女の生存の理由には謎が多い。

シズク

カスミの双子の姉妹。カスミと共に、身体が石化してしまう奇病メデューサに侵されてしまう。二人でコールドスリープに入ることを希望するものの、選ばれたのはカスミのみで、彼女は見送ることになる。髪の毛を束ねているのが二人の見分け方の違いで、髪をほどくとほぼ区別がつかない。

マルコ・オーエン

筋肉隆々で体中にイレズミがある囚人。コールドスリープカプセルセンターが廃墟化した「いばらの古城」をよく知る人物。実は石化する奇病「メデューサ」の調査をしていたCIAのスパイであり、凄腕ハッカー。他の生存者は「メデューサ」に刻一刻と侵食されているのに対し、彼は唯一の健康な人間。 「いばらの古城」にある記録ビデオ等を見せるなどして、事実をカスミたちに伝えようとする。天才的なハッキング能力に加え、鍛え上げた身体能力を持ち、肉弾戦で怪物たちに挑む。物語の核心にあたる謎の少女アリスと接触している。

ロン

アメリカ人の黒人で、正義感の強い男性。できるだけ生存者をまとめ、安全な道を選ぼうとする。そのため、一気に切り開いて戦いにいくマルコ・オーエンとはとことんソリがあわず、幾度も対立している。脚を負傷したときに逃げ切れないと絶望し、カスミやマルコ・オーエンとは離別することになる。

キャサリン

優しく面倒見のいい女性で、共に生き残った少年ティムを子供のように大切にしている。怪物に追われ、かつ病気が進行することにヒステリーを起こすことも多い。かつて石化してしまう奇病「メデューサ」にかかってから、アルコールを飲んでは息子のマイケルに虐待行為を働いていた経緯があり、引き離されたのがトラウマになっている。

ティム

幼い少年で、大事に見守ってくれるキャサリンと一緒にいることが多い。小さい身体を生かしてダクトを通り抜けてカギをあけるなど、勇敢な行動も多い。母親を「会えるまで探す」と希望を捨てない彼の行動に、キャサリンは彼を救うために命を捧げる覚悟を決める。

マイケル

キャサリンの幼い息子。キャサリンが、石化してしまう奇病「メデューサ」を患ってから、酩酊しては虐待行為を働いていた。そのためキャサリンからマイケルは引き離されてしまうことになる。

ピーター・スティーブンス

眼鏡をかけた痩せ型の男性。「いばらの古城」について詳しい。コールドスリープ理論を研究していた博士。アイヴァン・コラル・ヴェガの組織「ヴィナスゲート」に抜擢されてコールドスリープカプセルセンターを作った。しかし開発途中でその技術を奪われてしまう。機密ファイルを一人取り戻した際に、人を石化させる「メデューサ」に感染してしまう。

議員 (ぎいん)

コールドスリープカプセルセンターに入る資格をお金で買った上院議員。常に文句をぶつくさ言っている。マルコ・オーエンの正体にいち早く気付き、拒絶反応を示すが、途中で怪物に食べられてしまう。

アリス

幼い少女の姿をしている、謎の病気「メデューサ」の最初の適合者・被験者。家族をすべて「メデューサ」で失った後、アイヴァン・コラル・ヴェガに「メデューサのナゾを解くカギ」として連れてこられる。その後「メデューサ」解明のために実験を繰り返した結果、身体は見るも無残な姿になってしまった。

ゼウス

アロハシャツを着た陽気な男。人間が石化する奇病「メデューサ」に目をつけて、科学者たちの計画を乗っ取った凄腕のハッカー。「メデューサ」の正体を知り、使役している人物。マルコ・オーエンとは古くからの因縁がある。

アイヴァン・コラル・ヴェガ

組織「ヴィナスゲート」の代表者。謎の病気メデューサの適合者アリスに出会い、人類の新たな可能性を見出して、コールドスリープカプセルセンターを作る。しかしゼウスに計画を乗っ取られ、遺言を残して自殺する。

場所

コールドスリープカプセルセンター

石化してしまう奇病「メデューサ」の治療法がないため、一時的に冷凍睡眠させ、治療法がわかった未来に復帰させようというプロジェクトを担った施設。160人しか入ることができない。腕には病気の進行がわかるブレスレットをつける。カスミがふと目を覚ました時には、センターはいばらに覆われ、突然変異を遂げた怪物たちが跳梁跋扈する異常な空間「いばらの古城」へと変貌する。

その他キーワード

メデューサ

『いばらの王』に登場する特殊な奇病。正式名は「後天性体細胞硬化症候群」。感染した後6週間で発作が起き、その6時間後には細胞が石化して死に至る。治療法がないため、コールドスリープで病期の進行を留めて、未来への治療に委任しようというプロジェクトが行われている。

SHARE
EC
Amazon
logo