くま クマ 熊 ベアー

くま クマ 熊 ベアー

くまなのの小説『くま クマ 熊 ベアー』のコミカライズ作品。異世界に迷い込んだ引きこもりゲーマーのユナが、唯一の装備「クマセット」を武器に、自由気ままな冒険や日常を楽しむ様子を描いた異世界ファンタジー。「コミックPASH!」で2018年3月から配信の作品。

正式名称
くま クマ 熊 ベアー
ふりがな
くま くま くま べあー
原作者
くまなの
漫画
ジャンル
ファンタジー
レーベル
PASH!コミックス(主婦と生活社)
巻数
既刊12巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

異世界生活の始まり

諸事情で両親と離れ、引きこもり生活を送っているゲーマーのユナはある日、お気に入りのVRMMORPG「ワールドファンタジーオンライン」にログインする。新しいバージョンへのアップデートにわくわくするユナだったが、新たな装備として「クマセット」を与えられ、案内に従って進んだ先は見知らぬ異世界だった。謎の神様のイタズラにより、異世界に送り込まれてしまったことを自覚したユナは、仕方なくクマセットを装備したまま近くの街を探索する。森の中でウルフに襲われている少女フィナを助けたユナだったが、戦いの中でクマセットに込められた力はとんでもないチート能力であったことが判明。さらには、ユナが現実世界で持っていた金銭も換金して持ち歩けるようになり、彼女はチート能力と大金を得た状態で異世界を冒険できることになった。フィナと親しくなったユナは彼女を妹のようにかわいがるようになり、彼女の案内を受けてひとまずはギルドのある街「クリモニア」で暮らすことになる。身分証を手に入れるためにギルドに向かったユナはデボラネにケンカを売られ、自分の能力のテストも兼ねて一対一の勝負をすることになる。あっさりとデボラネに勝利し、新人冒険者としての身分を得たユナは、そのまま最強のスキルと魔法を秘めたクマセットを武器に、自由気ままな異世界生活を送ることとなる。フィナの案内もあって少しずつ異世界のことを把握していったユナは、レベルアップと魔法のテストを兼ねて森のウルフ退治に出向くのだった。

ゴブリンキングとの戦い

異世界で冒険者となったユナは、非常に目立つクマセットを装備していることで街中でもギルドでも注目の的だった。ひとまず、魔物退治を中心に活動することになったユナは、ウルフを大量に討伐してすぐにEランクに昇格。さらには先日倒したデボラネの代わりに、ルリーナと二人でゴブリン50匹の討伐の依頼を受けることになる。しかし、ゴブリンの被害に遭っている村に行ってみると、ゴブリンの数は100匹に増えたうえに、より危険なゴブリンキングも潜んでいることが判明する。予想外の強敵に不安を隠せないルリーナをよそに、ユナは一番楽で簡単な勝ち方ができる、ある作戦を考案する。洞窟内にいるゴブリンを閉じ込めて討伐したユナは、森の異変に気づいたゴブリンキングに遭遇。魔法を駆使してゴブリンキングを倒したユナは、倒したゴブリンの体にある魔石の採掘をルリーナに任せ、近くに頑丈な小屋を建てて休んでいた。次の日の朝、村に戻ったユナはゴブリンの討伐を村長たちに報告し、採掘作業に疲れているルリーナを連れてクリモニアのギルドに帰還する。そこではランズギルが待っていたが、彼らはルリーナとユナが討伐を成功できず、逃げ帰ったとばかり思っていた。ユナがゴブリンどころかゴブリンキングも倒したことを知ったランズたちは、彼女を見くびってバカにしていたことを謝罪。和解したユナたちはルリーナの提案で、依頼達成祝いを兼ねた宴を開くことになる。

ブラックバイパー討伐

自分だけの土地とクマハウスという活動拠点をゲットし、知り合いも増えたユナクリモニアでの生活にもすっかり慣れていた。順風満帆な日々を送るユナのもとに、クリモニア領主のクリフ・フォシュローゼから、名指しの依頼がギルドを通して舞い込んでくる。当初は貴族が信用できないという理由で拒絶したユナだったが、クリフがラーロックの友人と聞き、食材探しも兼ねて渋々依頼を受けることになった。一方、フィナの身には大きな問題が降りかかり、彼女はユナを頼ってクマハウスに訪ねてくる。ティルミナの病気が悪化しているのを見たユナは治癒魔法をかけ、病気から回復したティルミナは少しずつ元気を取り戻していく。ユナの提案でティルミナたちはゲンツと暮らすことになり、新しい家族と共に平和な暮らしを手に入れる。フィナたちの様子に安心したユナは依頼どおりクリフに会いに行き、クマにあこがれるノアール・フォシュローゼの遊び相手を務めることになる。フォシュローゼ家との縁ができたユナは後日、冒険者ギルドで仕事探しをする中で、巨大なヘビのモンスター「ブラックバイパー」の被害を訴える少年カイと出会う。ブラックバイパー討伐を受けることになったユナはカイの案内を受けて村に赴き、村人たちを通して情報収集を始める。さっそく討伐に向かったユナだったが、ブラックバイパーは予想以上の防御力と再生能力を持つ強敵だった。

孤児院救済作戦

市場で買い食いをしていたユナは、汚れた服を着ておなかをすかせた子供たちを見かける。屋台の店主に話を聞いたところ、この子供たちは客に物乞いして余った食べ物を恵んでもらっているのだという。つらい境遇にある子供たちを放っておけなくなったユナは、食べ物を恵んだうえで、子供たちが住んでいる孤児院に案内してもらう。ユナは院長を務めるボウに話を聞くが、この孤児院はクリフ・フォシュローゼからの補助金が打ち切られたことで、とても貧しく厳しい状況にあるのだと言う。ボロボロの建物に貧しい環境、食べ物や衣服も満足に用意できない窮状を目の当たりにしたユナは、クマボックスにため込んでいた食材を分け与え、建物にも応急処置を施す。しかし、これだけでは孤児院の運営を立て直すことはできないと考えたユナは、以前ブラックバイパーを倒した村に赴き、その村の名産品であるコケッコウの卵を使ったある作戦を思いつく。ユナは孤児院の庭に大きな鳥小屋を作り、卵を使った商売をする代わりに、子供たちにコケッコウたちの世話を任せると提案。子供たちとボウたちはその依頼を快諾し、ユナのアイデアが詰まった新しい商売は順調に進み、子供たちは少しずつ笑顔を取り戻していく。その一方で、孤児院を見捨てたクリフに怒り心頭のユナは、フォシュローゼ家だけには卵を売らないように手を回していた。卵市場の異変からユナに反感を抱かれていると気づいたクリフは、理由を問いただすべく彼女のもとへ赴く。

王都への旅

貧しい孤児院の問題も解決し、クリフ・フォシュローゼとも和解したユナは、人助けや魔物退治を重ねていく中で、冒険者や商人としての評価や知名度が上がっていった。そんなユナはクリフの依頼を受け、以前遊び相手を務めたノアール・フォシュローゼを王都まで護衛することになる。王都に興味を持つフィナも同行することになり、さっそく彼女たちをくまゆるたちの背中に乗せて目的地に向かうユナは、道中でオークの群れに襲われている旅の一行を発見する。ユナが放っておけず助けた相手は、シーリンの街から王都へ向かう貴族のグラン・ファーレングラムで、ノアールの友人であるミサーナ・ファーレングラムも同行していた。ユナを見込んだグランは王都までいっしょに行ってほしいと提案し、先を急ぐ彼女は一度断ろうとするものの、ミサーナたちを心配するノアールの要望で、グラン一行に同行することとなる。だが、本来なら出ないはずのオークの群れが出現するなど、周囲には不穏な空気が漂い、ユナは警戒しながら先に進む中で、何者かに尾行されていることを探知スキルで感知する。ユナはマリナたちに知らせたうえで、フィナたちが寝静まったのを確認したあとに尾行者を探ることになる。見張りをマリナたちに任せたユナは罠を仕掛け、敵の正体である盗賊たちを一人で捕まえる。盗賊たちの処分を兵士に任せ、無事に王都に到着したユナたちは、ノアールの到着を待っていたエレローラ・フォシュローゼと出会う。

関連作品

小説

本作『くま クマ 熊 ベアー』は、くまなのの小説『くま クマ 熊 ベアー』を原作としている。原作小説版は主婦と生活社から刊行され、イラストは029が担当している。

登場人物・キャラクター

ユナ

日本に住む少女で、数年前から引きこもっているゲーマー。年齢は15歳。腰まで届く深緑色のロングヘアにしている。発育が悪く、胸が小さいことを気にしている。頭の回転が早くさっぱりした性格で、言いたいことは誰が相手でもはっきりと言うタイプ。人付き合いは得意ではなく、親密な関係を築くのが苦手。以前は両親と暮らして学校にも通っていたが、家族やクラスメートとの交流を嫌い、高級マンションで一人暮らしをしている。すご腕の株トレーダーでもあり、億単位の財産を持つ。大企業を経営する祖父からは頭のよさや才覚を見込まれており、会社を継ぐ気はないものの祖父のことは尊敬している。ある日、お気に入りのVRMMORPGにログインした際に何者かにクマセットを与えられ、そのまま見知らぬ異世界に迷い込む。元の世界に戻る気はなく、ゲーム知識やクマセットのチート性能を生かし、特に苦労することなく気ままな異世界生活を満喫している。さらには現実世界の財産も引き継げたことで、金にも困っていない。クマセットの力で並はずれた戦闘力を持つが、素の身体能力は低く、装備を外すと一気に弱くなるため、滅多に脱がないようにしている。フィナと出会ってからはクリモニアを拠点に冒険者となり、のちにランクCにまで昇格した。クマの着ぐるみのような格好をしているために初対面の相手には舐められがちながら、ケンカを売ってきた相手を返り討ちにしたり、魔物を狩ったりしているうちに「ブラッディベアー」の異名で恐れられるようになる。貪欲なまでの美食家で、おいしいものが大好き。料理も得意で、ハンバーグなど現実世界の料理を再現している。厄介事を嫌う一方で困った人、特に子供を放っておけないお人よしなところがあり、さまざまな人を助けては恩人として感謝されている。引きこもっていた頃に漫画を描く練習をしていたことがあり、絵を描くのが得意。

フィナ

異世界に来たばかりのユナが、初めて出会った少女。年齢は10歳。ティルミナとシュリと共に、クリモニアで暮らしている。癖のあるダークブラウンのセミロングヘアで、後頭部に大きなリボンをつけている。優しく家族思いで、ひたむきな性格のがんばり屋ながら本音を口にするのは苦手。森でウルフに襲われていたところをユナに助けられてからは、彼女を「ユナお姉ちゃん」と呼んで慕い、街に案内する。ふだんは病気のティルミナに代わってギルドで仕事を貰いながら働いており、家族を支えている。のちにゲンツを通してユナの冒険者活動を手伝うことになり、彼女が倒した魔物の解体係などを務めている。この際に、くまゆる、くまきゅうとも親しくなった。親の代わりに働いていたり魔物の解体をこなしたりと、ユナから感心されるほどにしっかりしており、彼女がこの世界で最も信頼している相手でもある。ユナの治癒魔法を受けたティルミナが元気になってからは、ティルミナがゲンツと再婚したことで新居に引っ越し、平穏な生活を取り戻した。しばらくはユナに協力しながら家族と幸せに暮らしていたが、彼女がクリフ・フォシュローゼの依頼で王都に行くことになったため、王都への好奇心から彼女に同行する。この際にノアール・フォシュローゼと知り合うが、元は平凡な庶民であるため、貴族や王族に会うたびに緊張を隠せずにいる。王都に到着後もユナと行動することが多くなり、やがて公私ともに欠かせないパートナーとなっていく。ユナが作った絵本「くまさんと少女」に登場する、主人公の少女のモデルになっている。

くまゆる

ユナがクマセットの力によって召喚できる召喚獣で、巨大なクマ。並程度の魔物なら一匹で倒せるほどの怪力を誇るが、モフモフで柔らかくかわいらしい姿をしている。体毛は黒色で首に青いリボンを巻いており、少し釣り目。相棒のくまきゅうと比べるとやんちゃな性格をしている。人間の言葉を理解できるが、言葉を話すことはできない。ユナのことが大好きで、くまきゅうばかり構い過ぎると拗ねていじけてしまうときもある。主にユナやその仲間の乗り物代わりとして活躍しているが、人や魔物の気配を察知することが可能で、薬草を探知することもできる。

くまきゅう

ユナがクマセットの力によって召喚できる召喚獣で、巨大なクマ。並程度の魔物なら一匹で倒せるほどの怪力を誇るが、モフモフで柔らかくかわいらしい姿をしている。体毛は白色で首にピンクのリボンを巻いており、少し垂れ目。相棒のくまゆると比べるとおとなしく甘えん坊な性格をしている。人間の言葉を理解できるが、言葉を話すことはできない。ユナのことが大好きで、くまゆるばかり構い過ぎると拗ねていじけてしまうときもある。主にユナやその仲間の乗り物代わりとして活躍しているが、人や魔物の気配を察知することが可能で、薬草を探知することもできる。

シュリ

フィナの妹で、癖のある茶髪を二つのおさげにまとめている。年齢は7歳。元気一杯で家族思いの優しい少女で、純粋で無邪気な性格をしている。また、天真爛漫で好奇心旺盛な一面がある。いつも働きに出ている姉のフィナに代わり、ティルミナの世話や手伝いもしているが、まだまだ年相応に甘えん坊なところがある。家で留守番をすることが多いため、外の世界には興味津々。ティルミナの病気が治ってからは、家族で新居に引っ越して幸せに暮らしている。フィナほどではないが、魔物の解体ができる。フィナがユナといっしょに王都に向かうことが決まった際は王都に興味を持っていたが、ティルミナと共にクリモニアに残った。

ゲンツ

クリモニアの冒険者ギルドの職員をしている男性。主に魔物の解体を担当しており、手のあいているときは事務仕事も手伝っている。快活で面倒見のいい性格をしている。魔物の解体を熟知しているため、ほかの冒険者を指導できるほどの知識を持つ。病気で働けなくなったティルミナとその一家を支えるため、フィナに解体のノウハウを教えてギルドで働けるようにサポートしている。ティルミナとロイとは元冒険者仲間でもあり、彼女に思いを寄せると同時に、ロイの娘であるフィナとシュリのことも気に掛けている。ティルミナが回復したあとはユナの後押しによってティルミナと再婚し、フィナとシュリの父親になった。新しい家族と共に新居に引っ越し、新婚早々ティルミナの尻にしかれながらも、幸せな生活を送っている。

エレナ

クリモニアにある宿屋の娘。セミロングヘアを三つ編みとバンダナでまとめている。異世界に来たばかりのユナが初めて泊まった宿屋で出会い、彼女と親しくなった。ユナがまとっているクマセットを気に入っている。冒険者に登録したばかりのユナに、街のことや魔石のことを教える。魔法にあこがれを抱くが才能はからっきしで、高度な魔法を使いこなせるユナや、ほかの冒険者たちをうらやましく思っている。

ヘレン

クリモニアの冒険者ギルドの受付嬢で、ユナの担当も務める。上司であるラーロックにも物申すなど、しっかり者でまじめな性格をしている。誰に対しても笑顔で対応するため、クリモニアの冒険者たちからも好評。ユナが冒険者登録をした時からの付き合いで、彼女の破天荒さや強さには毎回驚かされている。ユナに対しては友人のように接し、彼女の実力を見込んで新たな依頼を持ち込んだり、助言を与えたりすることも多い。

ラーロック

クリモニアの冒険者ギルドのギルドマスターを務める中年男性。大柄で筋肉質な体型をしている。ふだんは心優しく穏やか性格ながら、いざというときは率先して危険な魔物の討伐へ向かうなど行動力もあるため、ギルド職員たちからの信頼も厚い。ユナからは名前を覚えられておらず、筋肉達磨と認識されている。通称「ギルマス」。ユナの破天荒さや実力の高さに驚かされながらも、部下のヘレンと共に幅広くサポートし、さまざまな助言を与えている。友人のクリフ・フォシュローゼをはじめとして貴族に知り合いが多く、街で活躍する冒険者たちのことも広く把握している。

デボラネ

クリモニアの冒険者の男性で、ランクはD。それなりに腕は立つが粗暴な性格で、言動が粗っぽい。クリモニアに着いたばかりのユナを見下してしつこく絡むが、一瞬で返り討ちにされる。この時に負傷して、しばらくは冒険者活動を停止する羽目になった。

ルリーナ

クリモニアの冒険者の女性。金髪ロングヘアの美人で、職業は魔法使い。デボラネのパーティの臨時メンバーだが、ユナに敗北した彼の代わりを務めることになった彼女とパーティを組み、ゴブリン退治に向かうことになる。移動時にユナにお姫様抱っこされてから、彼女がまとうクマセットの触り心地を気に入っている。ゴブリン討伐依頼では魔法での支援や解体を務め、敵の予想以上の多さやゴブリンキングの出現などで討伐をあきらめかけていたが、ユナがすべて倒したために無事に完了した。ギルドに帰還後はユナを見下していたランズとギルを誘って宴を開き、和解に導いた。まじめな性格の常識人で、一度パーティを組んだユナからは、その人柄を信頼されている。

ギル

クリモニアの冒険者の男性。大柄で筋肉質な体格をしている。無口だが優しい性格で、子供たちに好かれている。デボラネのパーティメンバーだが、ギルがユナに敗北したため、ゴブリン退治の依頼を彼女とルリーナに任せることになる。ユナの実力を見くびっていたために依頼を達成できるとは思ってなかったが、無事に依頼を成し遂げて帰還した彼女たちを見て、二人だけを危険な目に遭わせてしまったことを謝罪した。ルリーナが宴を開いたことで、ユナと和解する。辛い食べ物は大の苦手。

ランズ

クリモニアの冒険者の青年。デボラネのパーティメンバーで、彼にあこがれを抱き慕っている。口は悪いが、素直な性格をしている。デボラネを返り討ちにしたユナに強い反感を抱き、事あるごとに絡んでいた。ゴブリン退治の依頼をユナとルリーナに任せるが、ユナの実力を見くびっていたために達成できるとは思ってなかった。しかし、無事に依頼を成し遂げて帰還したユナたちを見て、彼女をバカにしていたことを謝罪し、ルリーナが宴を開いた際に和解する。

ティルミナ

フィナとシュリの母親。夫のロイが他界したあとは女手一つで娘たちを育てていたが、病で体調を崩して病床に臥せっている。優しく家族思いな性格で、押しに弱いところがある。病気が悪化して余命いくばくもなかったが、ユナの治癒魔法によって回復した。ユナの後押しによってゲンツと再婚し、フィナたちといっしょに新居に引っ越して、新しい生活を送っている。一時は冒険者に復帰しようとするが家族に止められ、ほかの仕事を探す中で、ユナが孤児院で運営することになった事業の事務などを任されるようになる。これ以降はユナの事業に携わり、苦労しながらも彼女のむちゃな要望に応え続けている。かつてはゲンツやロイといっしょに活動していた元冒険者でもあり、魔法も使える。

ロイ

ティルミナの夫だった冒険者で、フィナとシュリの実父。かつてはティルミナ、ゲンツといっしょにパーティを組んで活躍していた。ティルミナと結婚してからも冒険者を続けていたが、シュリが産まれる前に戦いの中で命を落とした。

クリフ・フォシュローゼ

ノアール・フォシュローゼとシア・フォシュローゼの父親で、クリモニアの領主を務める。貴族で伯爵でもある。ギルドマスターのラーロックとは友人関係で、魔法が使える。娘のノアールがクマセットをまとうユナに興味を持ったのをきっかけに知り合い、これ以降は彼女にさまざまな依頼を出している。ユナと出会ってから、ノアールがどんどん重度のクママニアになっていくことが、最近の悩み。領民の平和を第一に考える堅実で思いやりのある領主だが、エンズの悪事によって孤児院の補助金が打ち切られていたことに気づかず、結果として孤児院を深刻な貧困に追い込み、ユナの怒りを買ってしまう。のちにユナに反感を持たれていることに気づき、孤児院の件を謝罪して補助金も回復させたことで、彼女とは和解した。しかしこの時の名残から、ユナにはなかなか逆らえず、ぞんざいな扱いを受けることがある。まじめな常識人であると同時に苦労人で、ユナの破天荒な行動に振り回されることも多い。その一方でユナの実力や人柄を信頼しており、王都へ行くことになったノアールの護衛を依頼する。

ノアール・フォシュローゼ

クリフ・フォシュローゼの娘で、年齢は10歳。ふだんはクリフと共にクリモニアに住んでいる。母親のエレローラ・フォシュローゼゆずりの金髪のロングヘアに赤いリボンをつけており、サイドヘアを三つ編みにまとめている。丁寧な口調で話すお嬢様だが、時にはユナをも振り回すほど元気でエネルギッシュ。クマが大好きで、天真爛漫で自由奔放な性格をしている。愛称は「ノア」。街で偶然見かけたのをきっかけに、クマセットをまとったユナに見惚れてファンになった。クリフにせがんでユナと対面した際に、ユナが召喚したくまゆるとくまきゅうといっしょに遊んでからは、マニアと呼べるほどの重度なクマ好きになった。このため、ユナと親しい関係を持つフィナのことを、どこかライバル視している。ユナのことも慕っているが、くまゆるとくまきゅうを特に気に入っており、事あるごとに二匹と触れ合う機会を狙っている。クマのことになると周りが見えなくなるなど、少々ワガママなところもあるが基本的には優しく、友人を思いやる思慮深さも持つ。ユナの秘密をあまり知らないうえに早起きが苦手なため、結果として置いてきぼりにされることも多く、そのたびに拗ねたりむくれたりしている。のちに式典に出席するために王都に向かうことになり、王都に着いてからも護衛のユナ、フィナと共に行動している。

カイ

クリモニアから離れた小さな村に住む少年。ブラックバイパーの襲撃から故郷を救うべく、一人でクリモニアの冒険者ギルドに助けを求めに来た。ユナが感心するほどに勇敢な性格で、しっかりしているが故に生意気なところもあるが、村を守りたいという強い意志を持っている。ブラックバイパー討伐を名乗り出たユナを村に案内することになるが、当初はユナをあまり信用していなかった。ユナがブラックバイパーの討伐に成功したあとは彼女に感謝を告げ、村人たちと共に歓迎の宴を開く。のちに、クリモニアの孤児院救済のためにユナが再び村を訪れた際に、彼女の要望でニワトリに似た鳥「コケッコウ」の調達を手伝った。

ミレーヌ

クリモニアの商業ギルドの職員をしている女性。商業ギルドに登録しに来たユナの担当を務める。スタイル抜群で、眼鏡を掛けている。少々おちゃめな性格で、ユナをはじめとして周りを振り回すこともある。面白そうなことや儲け話の匂いには敏感で、つねにリサーチを欠かさないかなりのやり手。特に頭の回転の速さは相当なもので、商談の仕切りなども得意。クリモニアに来てから話題に事欠かないユナのことを気に入り、つねに注目しつつ彼女の事業にも全面的に協力している。ユナからも信頼される一方で、かかわると面倒な人物のように思われている。実は、ただの職員ではなく商業ギルドのギルドマスターであり、ほかのギルドマスターの中にも友人や知人が多い。

エンズ

クリモニアの貴族で、王都の騎士団長ルトゥムの弟。丸々太った体型をしている。クリフ・フォシュローゼから孤児院の支援を任されていたが、補助金を勝手に打ち切ってその金を横領していた。ほかにも自分に逆らう者への暴行や殺人、違法取り引きをはじめ、さまざまな悪事を働いていたことが判明し、クリフの怒りを買って妻子共々処刑された。

リズ

クリモニアの孤児院で働いている若い女性。補助金打ち切りで資金繰りが一気に苦しくなるが、院長のボウと共に子供たちの暮らしを支えようと、街に出ては野菜くずや残り物を集めていた。やりくりが限界に近づいた頃にユナと出会い、子供たちと共に彼女が始めた鶏卵の事業に協力するようになる。孤児院を支援し、窮地を救ってくれた恩人であるユナに感謝している。

ボウ

クリモニアの孤児院の院長を務める年配の女性で、眼鏡を掛けている。補助金打ち切りで資金繰りが一気に苦しくなるが、リズと共に子供たちの暮らしを支えようと、街に出ては野菜くずや残り物を集めていた。やりくりが限界に近づいた頃にユナと出会い、子供たちと共に彼女が始めた鶏卵の事業に協力するようになる。孤児院を支援し、窮地を救ってくれた恩人であるユナに感謝している。

エレローラ・フォシュローゼ

ノアール・フォシュローゼとシア・フォシュローゼの母親。年齢は35歳。金髪ロングヘアの美女で、実年齢よりも若く見える。自由奔放な性格で少々イタズラ好きなところがあり、時折周囲を振り回している。ふだんは国王の補佐役として王城に勤務しているために王都で暮らしており、夫のクリフ・フォシュローゼとは別居状態だが、夫婦仲は良好。家族を心から愛し、特に娘に対して愛情表現することをまったく惜しまない。王都に到着したノアールと再会し、護衛を務めたユナ、フィナとも知り合う。クリフが護衛を任せたユナを信頼すると同時にその実力の高さを瞬時に見抜き、ノアールが慕う彼女のことを気に入っている。いつも笑顔で子供っぽい態度とは裏腹に、伯爵夫人としても国王補佐として非常に有能な人物。幅広い人脈を持ち、兵士の手配などさまざまな形でユナにもいろいろと協力している。

シア・フォシュローゼ

ノアール・フォシュローゼの姉で、王都の学校に通う学生でもある。ふだんはエレローラ・フォシュローゼと共に王都で暮らしている。年齢は15歳。エレローラゆずりの金髪を縦ロール状のツインテールにまとめている。まじめで常識的な性格で、性格は父親のクリフ・フォシュローゼと似ている。剣術と魔法の両方が得意で、他校との交流会で学生代表選手の一人に選ばれるなど、成績も優秀。その一方で、自信過剰になっていることをエレローラから心配されている。出会ったばかりのユナのことは自分よりも年下とカンちがいし、反発心を抱き、その実力を見くびっていた。エレローラの提案でユナと一対一の勝負をすることになるが、圧倒的な力の差ですぐに謝罪と反省をする。これ以降は、ユナのことを友人として尊敬している。

グラン・ファーレングラム

シーリンの街の領主をしている貴族の中年男性。年齢は49歳。孫娘のミサーナ・ファーレングラムを連れてエルファニカ国王の誕生記念式典に出席するために王都へ向かっていたが、道中でオークの群れに襲われていたところをユナに助けられた。ユナの実力を見込み、王都への同行を依頼する。フォシュローゼ家と親しい関係で、エレローラ・フォシュローゼとも面識がある。無事に王都へ到着後もギルドなどでユナと遭遇しては、協力したり助言を与えたりしている。

ミサーナ・ファーレングラム

グラン・ファーレングラムの孫娘。年齢は9歳。銀髪のロングヘアで、前髪の一部をヘアピンで留めている。品行方正で礼儀正しいお嬢様で、控えめでおっとりした性格をしている。愛称は「ミサ」。エルファニカ国王の誕生記念式典に出席するためにグランと共に王都へ向かっていたが、道中でオークの群れに襲われていたところを、ユナに助けられる。旧知の仲であるノアール・フォシュローゼのことは「ノアお姉様」と呼んで慕っている。変わった装備をまとい、強力なオークの群れを一瞬で退治したユナに興味を持つ。

マリナ

シーリンの街の冒険者で、女性のみのパーティのリーダーを務める女剣士。仲間と共に、王都へ向かうグラン・ファーレングラムとミサーナ・ファーレングラムの護衛を務める。義理堅い性格で仲間はもちろん、ミサーナをはじめとしたファーレングラム家の人々からも信頼されている。オークの群れとの戦いでピンチに陥っていたところで、ユナに助けられる。その後はユナと協力しながら、盗賊からグランたちを護衛する。

サーニャ

エルフの女性で、王都の冒険者ギルドのギルドマスターを務める。若草色のロングヘアで、耳が尖っている。エルフの里の出身で、里長の孫娘でもある。ラーロックの紹介状を通してユナのことを知り、王都にやって来た彼女の担当を務めるようになる。風魔法と召喚術が得意で、鷹のような召喚獣のフォルグを呼び出し、離れていても視覚情報を共有できる。

フローラ

王都で暮らすエルファニカ王国の王女で、無邪気で素直な性格をしている。純真無垢な幼女で、桃色のセミロングヘアを二つのお団子にまとめている。王都にやって来たユナと知り合い、クマの格好をした彼女を気に入り、「クマさん」と呼んで慕っている。自由奔放で押しが強く、ユナが王城を訪れるたびに走ってきては抱きついている。ユナにプレゼントされた「くまさんと少女」という絵本を気に入っている。

場所

クリモニア

エルファニカ王国にある大きな街。異世界に来たばかりのユナが最初に訪れた街でもあり、フィナたちが暮らしている。貴族のクリフ・フォシュローゼがおさめており、冒険者ギルドと商業ギルドがある。ユナの冒険者活動の拠点となり、クマハウスやクマの転移門が設置されている。

クマハウス

ユナが土属性のクマ魔法を活用して建造した、クマの形をした家。ユナが拠点になりそうな場所を見つけて土地を購入するたびに設置されているため、複数の種類がある。目的や土地に合わせて大きさや構造が異なっているが、いずれもキッチンや風呂など生活に必要な設備が整えられ、必要に応じて買い足しや増築もできる。最初のクマハウスはユナが商業ギルドで買ったクリモニアの土地に2階建てで建造され、大浴場や魔物の解体所などが備わっている。

その他キーワード

クマセット

ユナが謎の神様から与えられたレア装備。見た目はただの黒いクマの着ぐるみとクマのパペットだが、それぞれにとても強力な力が宿っている。クマセットをまとっているだけで身体能力が強化され、スキルの一つとして、通常の魔法よりも強力な各属性の「クマ魔法」を使うことも可能。ユナのレベルが上がるたびに強化されていくと同時に、使えるスキルも増えていく。チートともいえる力を秘めている一方で、各スキルはユナ本人ではなく装備に付与されているため、外せばこれらの恩恵を受けられなくなる。また、見た目はかわいい着ぐるみでしかないため、ユナが行く先々で舐められたり不審に思われたりする要因となっている。リバーシブルで裏返すと白いクマの着ぐるみに変わり、回復効果や快眠効果が得られるため、ユナは寝間着として使っている。ユナだけが使いこなせる装備であり、他人には譲渡不可。

クマボックス

クマセットの白クマのパペットに備えられた、便利なアイテムボックス。パペットの口の奥が無限に広がる異次元空間になっており、収納系スキルによって生き物以外ならなんでも収納しておくことができる。正式名称は「クマの異次元ボックス」。いつでも出し入れ可能なうえに入れているあいだは時間が止まるため、食料を保管しても腐ることがない。

クマの転移門 (くまのてんいもん)

クマセットのスキルの一つで、異空間を通して離れた場所への移動を可能にする。出発地と目的地にそれぞれ門を設置しておくことによって、互いの門を一瞬で行き来できるようになる。三つ以上の門を設置するときは、行き先をイメージすることによって転移先を決めることができる。設置した門は、クマセットのパペット以外では開けることはできない。

クレジット

原作

くまなの

キャラクター原案

029

書誌情報

くま クマ 熊 ベアー 12巻 主婦と生活社〈PASH!コミックス〉

第1巻

(2018-07-27発行、 978-4391152180)

第8巻

(2022-06-17発行、 978-4391157765)

第9巻

(2022-11-04発行、 978-4391158922)

第10巻

(2023-05-02発行、 978-4391159790)

第11巻

(2023-12-01発行、 978-4391161311)

第12巻

(2024-08-02発行、 978-4391163292)

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