じじばばファイト!

じじばばファイト!

日本の民話、伝説、おとぎ話や西洋の有名童話、小説、さらに映画などをパロディー化した、コミカルなキャラクターたちが過疎の村を舞台に暴れまわる破天荒なギャグ漫画。毒気の強いブラックユーモアにSFと萌え要素も盛り込み、世相を痛烈に風刺した読切短編連作。「月刊少年マガジン」の1994年4月号~1999年12月号まで連載された作品。連載終了後には、本作『じじばばファイト!』に登場するサシミを主人公とした『青い海のサシミ』が発表された。コミックス第7巻には「特別付録」として、米映画「ジュラシック・パーク」のパロディ作品にして『じじばばファイト!』のプロローグ的物語となる、『DINOタウン』が収録されている。こちらは「月刊少年マガジン」1993年12月号~1994年4月号まで連載された。

正式名称
じじばばファイト!
ふりがな
じじばばふぁいと
作者
ジャンル
パロディ
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概要・あらすじ

人里離れた携帯電波も届かない過疎の村に住む老人、地々井剛三は見返り欲しさに鶴を助け、恩返しに来た鶴を召使い代わりにこき使ったり、不老不死を目当てに人魚を庭の池で飼うなど、昔話に習っていい思いをしようと次々に大騒動を巻き起こす。ついには、恨みを買った者たちに「じじい被害者友の会」を結成されてしまう。それでもめげない剛三は強欲ぶりをさらにヒートアップさせ、村は大混乱に陥っていくのだった。

登場人物・キャラクター

地々井 剛三 (じじい ごうぞう)

大正14年7月10日に七人兄弟の末っ子として誕生。有床村の木造平屋一軒家で妻の地々井金と2人で暮らしている。趣味は大相撲のテレビ観戦と盆踊りで、トラクターを自家用車代わりに乗り回す元気な老人。金銭欲が強く暴力的で自己中心的な性格のため、村人から嫌われている。江戸時代のエピソードでは万年ヒラ同心として登場する。

地々井 金 (じじい きん)

有床村の木造平屋一軒家で夫の地々井剛三と2人で暮らす老婆。おハギ作りが得意。かつては村一番の大地主の美人娘で、財産目当てで剛三の妻となった。本人も夫に負けないほど強欲な性格で、若返りと不老不死に執念を燃やしている。

鶴留 (つるる)

一瞬でピンク色の髪の美少女に化身する鶴。命の恩人の地々井剛三の養女兼召使いとして同居し、洋裁の内職で地々井家の家計を助けている。地々井夫婦の虐待にも必死に耐える我慢強い性格。幼い頃に生き別れた母親を探している。江戸時代のエピソードでは「女ねずみ小僧」として登場する。

グレ地蔵 (ぐれじぞう)

有床村の路上に置かれた6地蔵の中の1体。目つきが悪くひねくれた性格で、たびたび仲間に疎外され、その原因となった地々井剛三に強い恨みを抱いている。「じじい被害者友の会」の過激派メンバーとなり、復讐計画を練る。

魔法使いのおばーさん (まほうつかいのおばーさん)

三角帽子にマントを羽織った背の低い老婆の魔法使い。地々井剛三にこき使われる鶴留の境遇に同情し、魔法を使って鶴留のためにいろいろと世話を焼くが、いつも肝心なことが抜けている。

ポチ

地々井剛三の命令で、鶴留が拾ってきたタヌキ。宝探しでは役に立たず、鬼退治では剛三の命令で犬代わりとなって鬼ヶ島に無理やり同行させられる。のちに「じじい被害者友の会」の無党派メンバーとなる。

桃太郎 (ももたろう)

有床村の川を流れてきた巨大な桃から誕生した少年。桃を拾った地々井剛三の命令で、嫌々ながら鬼ヶ島の鬼退治に付き合わされる。のちに「じじい被害者友の会」の良識派メンバーとなる。

カグヤ

月の世界からやってきて、地々井夫婦の家に引き取られる。赤ん坊の頃から横柄な性格を発揮し、小判をエサにして地々井夫婦に指図する。成長が早くあっという間に成人女性となり、一旦は月に帰ったものの再び有床村を訪れ、騒動を引き起こす。

一寸法師 (いっすんぼうし)

お椀に乗って川を流れていたところを鶴留に拾われ地々井家にやってくる。何でも願いごとが叶うという「打ち出の小槌」を求め、地々井剛三と鶴留と共に鬼退治のために都に行く。おやゆび姫と仲良くなるが、いつも美女に目移りしている浮気者。

しあわせの王子 (しあわせのおうじ)

国のふるさと創生基金の1億円で有床村に建立された鉛製の彫像。地々井夫婦の企みによって散々な目に遭い、「じじい被害者友の会」の印象派メンバーとなり復讐を誓う。鉛でできた身体の重さを活かして敵を攻撃する。

村長 (そんちょう)

有床村で一番の資産家で常に羽織袴の正装姿の老人。姓も職業と同じく「村長」。妻とは死に別れており、息子の村長よし夫だけが唯一の自慢。いつも地々井剛三が引き起こす大騒動に頭を抱えている。温厚な性格だが、がめつい一面もある。

村長 よし夫 (そんちょう よしお)

有床村の村長の息子でスポーツ万能のイケメン青年。学生時代にラグビーで鍛えた肉体が自慢で、村の相撲大会では金太郎と対決する。命の恩人である人魚のサシミと相思相愛の仲となるが、その後カグヤに誘惑される。

サシミ

人間界に憧れる人魚。魔法の薬を飲み人間の少女姿になって有床村に現れ、地々井家の池に住みつく。普段は人間だが、声を出すと人魚姿に戻ってしまい、1時間経たないと人間の姿に変身できなくなる。また、命に関わる宿命も背負っている。

吉村 野平 (よしむら のへい)

有床村の農家で妻と2人暮らしをしており、村人から「吉村の」と呼ばれている老人。お人好しで気が弱く、親切で正直を生きるモットーとしている。幼なじみの地々井剛三には常に振り回され、災難続きの人生を送っている。古代バビロニアのエピソードでは、神の啓示で方舟を作る「吉村のあ」として登場する。

吉村ののばーさん (よしむらののばーさん)

吉村野平の妻。夫と同じく親切で正直をモットーに暮らしている、生け花を趣味とする温厚な老婆。しかし、のちに悪霊が乗り移り、地々井剛三も顔負けの凶暴で強欲な「カニババア」に変身し、村人を驚愕させることとなる。

ウサ衛門 (うさえもん)

大柄で凶暴な性格のウサギ。吉村家に毎夜押しかけては、無理やり晩飯を作らせ米俵を強奪していく乱暴者。地々井剛三と対決し、その後「じじい被害者友の会」の武闘派メンバーとなってたびたび剛三を襲う。

母ガニ (ははがに)

持っていたおにぎりを地々井剛三のカキの種と交換するサワガニ。植物を種からあっという間に成長させる特技を持っている。その特技に目をつけた剛三にこき使われ、悲惨な運命をたどる。

子ガニ (こがに)

母ガニの息子で、地々井剛三への復讐に燃えるサワガニ。毒リンゴを作って剛三の命を狙う。剛三の策略で一寸法師と対決するが、その後「じじい被害者友の会」のメンバーとなり、さまざまな方法で復讐作戦を決行する。

迷いの森の魔女 (まよいのもりのまじょ)

森の奥に住む魔女。森に迷い込んで来た人間をお菓子の家に閉じ込め、どんどん太らせてから食べてしまうという恐ろしい企みを考えている。人食い目的で地々井夫婦と鶴留を拘束するが、その目論見は意外な結末を迎えることとなる。

おやゆび姫 (おやゆびひめ)

鶴留が摘んできたチューリップのつぼみから生まれた、親指大の小さな女の子。一寸法師と親しくなるが、浮気性の一寸法師にいつもやきもちを焼いている。

金太郎 (きんたろう)

有床村の山奥に住む、大食漢で大人顔負けの体格を持つ子供。オカッパ頭に腹巻き姿が特徴。熊を投げ飛ばすほどの力持ちで「熊転がしの金太郎」と呼ばれている。村の相撲大会では有床村の精鋭たちと対決することになる。

鶴里 (つるり)

ショートカットでオレンジ色の髪の女の子に化身する鶴。鶴留に助けられた恩返しに地々井家にやってくる。鶴留を「センパイ」と呼び、地々井家の召使いとなる。従順な鶴留とは異なり、ドライで現代的な性格。

ボス鬼 (ぼすおに)

雲の上の城に住んでおり、ヒゲ面でチリチリ頭には2本のツノが生えた巨体の鬼。鶏を育てることが趣味で多くのニワトリを飼っている。金の卵を生むニワトリ目的で子ガニと共に城を急襲した地々井剛三と対決する。

ヒノキ夫 (ひのきお)

地々井剛三が自分をモデルに作ったヒノキの木彫人形。深夜、地々井家に現れた妖精から命を吹き込まれ、動いてしゃべれるようになる。村の文楽劇に出演し、文楽人形の「お宮」に一目惚れする。

すず

有床村の森の奥まった場所にある「すずめのお宿」でおかみを務める雀。鬼ヶ島にも宿の出張所があり、麻雀大会を主催している。一寸法師のピンチを救い、彼のことを好きになる。村の緊急事態では偵察と連絡係を務める。

和尚 (おしょう)

有床村の地々井家の墓がある貧乏寺の住職。夜な夜な出没する化物に悩まされている。正月には寺を神社に改装し、和尚から神主に衣替えするという無節操な儲け第一主義者の坊主。

地々井 剛衛門 (じじい ごうえもん)

江戸時代末期の農民で地々井剛三の先祖。新撰組有床村分隊に同行し、京都を訪れて坂本龍馬と知り合い、池田屋事件など幕末の騒乱を体験しながら龍馬ゆかりのある物をこっそりと入手する。

坂本 龍馬 (さかもと りょうま)

江戸末期の討幕派の志士で、京都を訪れた地々井剛衛門と知り合う。新撰組に命を狙われており、一旦は剛衛門から極秘情報を得て命拾いをするものの、後日、剛衛門のせいで窮地に陥ってしまう。幕末期に実在した人物、坂本龍馬がモデル。

浦島 太郎 (うらしま たろう)

地々井剛三がサシミたちと訪れた南の島の海岸で出会う青年。剛三たちの竜宮城冒険のきかっけとなる龍宮城体験を語り、乙姫にもらった玉手箱をめぐって大騒動を引き起こす。

鬼三郎 (おにさぶろう)

鬼ヶ島に住む巨体の鬼で、ボス鬼の座を狙っている乱暴者。新しいボス鬼の座を決めるために鬼ヶ島で開催された「ボス鬼決定ウルトラクイズ大会」の決勝戦で地々井剛三と対決する。マンガ好きで「月刊少年マガジン」の熱心な愛読者。

一休 (いっきゅう)

有床村の寺に住む小僧で、不気味な目をした2頭身の少年。自分では頭がいいと思い込んでおり、「とんち」と称するただのくだらないダジャレを連発しては、周りを脱力させる。正月カレンダーや節分豆などを売り歩く商売上手。除霊光線を発射する数珠を持っている。

花坂 (はなさか)

宝探しができる犬専用ブリーダーの老人。死んだ飼犬の遺灰を撒いて枯れ木に花を咲かせることができる。掘り当てた大判小判ですでに11軒の別荘を所有している大金持ちで、12軒目の豪邸別荘を建てようと有床村にやってくる。

猟師のゴンベエ (りょうしのごんべえ)

猟銃の名人でカモを自在に操ることができる猟師の青年。100羽のカモを気球代わりにして太平洋横断にチャレンジしている。旅の途中で立ち寄った有床村で、行方不明となった1羽のカモを巡って大騒動を巻き起こす。

孫ガニ (まごがに)

子ガニの娘で母ガニの孫。子ガニのいいつけを守り、父親と祖母の仇である地々井剛三への復讐を誓うサワガニ。子ガニの計画による「じじばば抹殺計画」を発動し、有床村を大混乱に陥れる。その後は「じじい被害者友の会」の穏健派メンバーとなる。

サンタクロース

有床村にやってきた本物のサンタクロース。昔ながらの木彫人形を子供たちにプレゼントとして配っている。村はずれでクリスマス後の休憩をしているところを地々井剛三に見つかり、大騒動に巻き込まれてしまう。

駐在 (ちゅうざい)

有床村に赴任してきた警察官の青年。真面目に職務をまっとうしようとするが、いつも地々井剛三に邪魔される。鶴留に一目惚れしており、彼女がいなくなると気が動転し拳銃を撃ちまくる。

白鳥の王子 (はくちょうのおうじ)

鶴留のピンチを救うオスの白鳥。鶴留に一目惚れして求婚するが、地々井剛三に反対され、鶴留に想いを寄せる男たちとの大騒動に巻き込まれる。最後に意外な正体を明かす。

ぶんぷく茶ガマ (ぶんぷくちゃがま)

タヌキのポチの妹で、化け方が未熟で茶ガマに化けたまま元に戻れなくなってしまった。寺の和尚が入手するが、その後一休の手にわたり彼の恋人となる。空を飛ぶ能力があり、綱渡りの曲芸も得意。

コエダメの精 (こえだめのせい)

有床村の畑のコエダメから出現する妖精。全身がドロドロの人糞肥料に覆われており、異臭を発しながら現れる。コエダメに落としたクワの持ち主に問いかけ、正直者には金や銀のクワを手渡す。

小軽 エン子 (こがる えんこ)

修学旅行で有床村を訪れた、街の女子高校生。大槻アイ子の友人で茶髪にガングロ、ルーズソックスという子ギャル風の格好をしている。街では、「エン子放送局」と呼ばれるほどの口コミ情報通で知られる。趣味はプリクラとUFOキャッチャー。コミックス第6巻のエピソード「巻末エンコ劇場」では、彼女を主人公とした物語が描かれる。

大槻 アイ子 (おおつき あいこ)

修学旅行で有床村を訪れた女子高校生。小軽エン子の友人で、金髪にルーズソックスの少女。エン子に付き合って何度も有床村を訪れ、そのたびに大騒動に巻き込まれ災難に遭う。

薄羽 影郎 (うすば かげろう)

特許を千件以上所有し年間収入数百億円という日本一の発明王で、子供の頃の恨みを晴らすための発明品の研究に没頭し続けるマッド・サイエンティスト。故郷の有床村に研究所を兼ねた豪邸を建て、数々の奇妙な発明によって村を大混乱に陥れる。

摩訶 千斎 (まか せんさい)

有床村の依頼で「しあわせの王子」の彫像を製作した芸術家。ハゲ頭に鉢巻で白髪のヒゲを長く伸ばした風貌の老人。「しあわせの王子」の彫像に仕掛けていたギミックをめぐって地々井剛三と対決する。

桃次郎 (ももじろう)

有床村の川を流れてきた巨大な桃から誕生した、大柄で力自慢の桃一族の青年。村にはすでに桃太郎がいたことから地々井剛三に桃次郎と名付けられた。真・桃太郎の名前と日本一の称号を賭けて桃太郎と対決する。

ゴンザ

有床村の村外れの御手柄山に生息するサルの群れのボス。前のボス「クロマツ」を破って新ボスの座についた。顔と性格が地々井剛三にそっくりで、サルたちをけしかけて村を襲い、剛三と一対一の決闘をする。

ツナミ

人魚のサシミの妹。地上の世界に憧れ、お手軽変身アイテムの「魚の目」を頭に装着して人間に変身し、有床村に現れる。テレビゲームが好きなおてんば娘。小山内ショウジにひと目惚れする。

小山内 ショウジ (おさない しょうじ)

薄羽影郎の知人の優秀な科学者で、歩行ロボット研究の第一人者。影郎の依頼で極秘の発明品を完成させる。サシミとツナミの人魚姉妹が2人とも恋焦がれる真面目な好青年。

石井 五郎 (いしい ごろう)

地々井剛三の一人息子。20年前、26歳の時に家出して長年行方不明になっていたが、その後改名して事業家として成功し、大会社の社長となって地々井夫婦と再会する。父親から受継いだ強欲体質が思わず出てしまうことが悩み。

石井 カナコ (いしい かなこ)

石井五郎の一人娘で、姿形が鶴留とそっくりな美少女。自分と母親が背負った運命に悩み、母親と共に家を出る。街で偶然サシミと鶴里に出くわし、父親の五郎と再会する。

石井 翔子 (いしい しょうこ)

有床村で青年時代の石井五郎と出逢って相思相愛の仲となり、街に駆け落ちをして彼と結婚する。その後石井カナコが生まれ幸せな家庭を築くが、ある事情によってカナコを伴って家を出る。

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