弥次喜多 in DEEP

弥次喜多 in DEEP

『真夜中の弥次さん喜多さん』の続編。『東海道中膝栗毛』を原案に、弥次郎兵衛と喜多八が伊勢を目指して旅をする様を、夢や妄想、幻覚を交えて描いたシュールで不条理な作品。第5回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞。

正式名称
弥次喜多 in DEEP
ふりがな
やじきた いん でぃーぷ
作者
ジャンル
パロディ
 
時代劇
 
不条理・シュール
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概要・あらすじ

弥次郎兵衛喜多八伊勢を目指して旅をしている。その途中、二人は様々な人々や得体のしれないものとの出会い、夢と幻覚が現実と重なり世界が曖昧になっていく。旅の途中、喜多八とはぐれた弥次郎兵衛は、喜多八を探すために凍った湖の下へと続くというメードロードへと進み入る。

登場人物・キャラクター

弥次郎兵衛 (やじろべえ)

眉毛とヒゲが濃い男性。喜多八と共に伊勢に向かって旅をしている。喜多八とは恋仲だが、女好きで、綺麗な女性や誘惑に弱い。人が良いところがあり、熱心に頼まれると嫌と言えずトラブルに巻き込まれることも。また、博打をすると熱くなるたちで、なかなかやめることができない。

喜多八 (きたはち)

頬がこけ、青ざめた顔をした男性。女性的な雰囲気がある。弥次郎兵衛と共に伊勢に向かって旅をしている。精神を病んでおり、生きる気力に欠ける。弥次郎兵衛とは恋仲。性格は冷静だが、希死願望があり、死や夢、幻覚などに取り込まれやすい。

千年ムスコ (せんねんむすこ)

弥次郎兵衛と喜多八が千年宿で出会った少年。のちに旅に出て紅牛と出会い、夢の中へ入る方法を体得。弥次郎兵衛と喜多八を神格化し、世界を絶対唯一のリアルで支配しようとする鳥の息子を止めるため、紅牛と共に奔走する。

紅牛 (あかうし)

弥次郎兵衛と喜多八が伊勢への旅の途中、赤牛の宿で出会った生物。弥次郎兵衛がツボから出てくる生き物が何かを当てるという、半丁博打のような賭け事をしていたさい、ふられたツボから出てきた牛。生まれおちる前に喜多八によって斬り殺され、郷土玩具・赤べこの首となって、その首が向く方向で弥次郎兵衛と喜多八に伊勢への場所を知らせる。 のちに夢の中で体を取り戻し、千年ムスコと行動を共にする。

鳥の息子 (とりのむすこ)

鳥と人との間に生まれた、鳥の顔に人の体をした生物。こうした姿をして生まれたため差別やいじめにあい、鳥の父を恨んでいる。弥次郎兵衛が喜多八を探しメードロードへ赴く際、同行。すでに魂だけの存在となっているため、春が来ると腐ってしまうと言われる。若者らしい正義感と使命感を持つ。のちに弥次郎兵衛と喜多八を神とする宗教を立ち上げ、その宗主となる。

鳥の父 (とりのちち)

鳥の顔に人の体をした生物。ほっかむりをしている。鳥の息子の父。弥次郎兵衛が喜多八を探しメードロードへ赴く際、同行。鳥の息子とは口喧嘩ばかりしているものの、深く愛している。鳥であることに誇りと嫌悪を同時に感じており、息子に対しては差別される姿に産んでしまった後ろめたさがあるが口には出していない。

謎の女 (なぞのおんな)

おかっぱで、大きな目が印象的な若い女性。弥次郎兵衛と喜多八を神格化し、絶対唯一のリアルで人々を導こうとした鳥の息子の前に現れ、強い言葉で彼の煩悶を消し去り、言動を後押しする。「偉大なる自然」保護協会の一員。

(さち)

弥次郎兵衛と喜多八が旅の途中に出会った若い女性。三拝山に住むという化け物の生贄として選ばれ、村人に頼まれた弥次郎兵衛と喜多八によって山へと運ばれる。父は女を、母は男を作って彼女を置いて逃げたため天涯孤独の身。両親からは虐待も受けていた。気が強く、生き残りたいという願望が強い。

廃物の王 (はいぶつのおう)

瓦礫に覆われ、至る所から毒ガスが吹き出すため何もかもが死滅した三拝山に住む化け物。ローブ状の黒い衣服をつけ、冠をかぶり、子供の首を首飾りとしている。幸の存在に興味を持ち、自らの体を与える。

魚の顔をした男

人間の体で魚のような顔をした生物。笠をかぶっている。湖に寒波や春の到来を知らせる。メードロードの存在を知っており、弥次郎兵衛に教えた。

おユキ

弥次郎兵衛と喜多八が旅の途中、雪山で出会った美しい女性。吹雪にもかかわらず、薄手の着物一枚姿で無くしたという記憶玉を探している。記憶玉がなければなぜここにいるのか、これからどうしていいのかもわからないと言い、弥次郎兵衛と喜多八に、一緒に記憶玉を探してくれるようお願いして消える。

(し)

喜多八を凍った湖の底へ連れていったもの。髪が長く美しい女の姿をしている。喜多八を殺そうとしており、喜多八の口から出てくるアブクをすべて吸い出そうとする。

集団・組織

「偉大なる自然」保護協会 (いだいなるしぜんほごきょうかい)

自然本来の姿は混沌(カオス)とし、あらゆる秩序に反対する団体。あらゆる小賢しい人間の知恵や想像力から「大いなる混沌」「大自然」を守ることを理想とする。世界を混沌と化すためには、一時的に秩序に手を貸すことも厭わない。鳥の息子の前に現れた謎の女や、その女が「おじいちゃん」と呼ぶ老人などが参加している。

場所

伊勢 (いせ)

弥次郎兵衛と喜多八の旅の目的地。旅行会社では伊勢へのツアーに百億千万両の値段がつき、数千年生きたという蜃気楼を作り出せる妖怪にも再現できないという謎の場所。

メードロード

オソレ湖の下にあるという「メード」へと繋がる道。ハナモゲの森、アシナエ峠、スクミの橋、ワビシ村、ワスレの穴、奈落の谷などがあり、黄泉の地底湖へと続く。喜多八を探すため、鳥の息子や鳥の父、魚の顔をした男と共に弥次郎兵衛がたどった。メードに行きそびれ腐った魂が様々な形に変化して異形となっている。 また、寒く冷たい場所で、ところどころくさい。

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