概要・あらすじ
ある朝、平凡な中学生鈴木六文が目覚めると、見知らぬ小さな悪魔の姫瑠玖羽が朝食を作っていた。瑠玖羽は案山子姿の悪魔ブブとともに家族として暮らし始める。一方、悪魔の計画を阻止するためにやってきた天使は、近くの僧侶などを巻き込んで、悪魔と戦い始める。瑠玖羽をめぐる戦いは、天使の存在をめぐる問題へと変化していく。
登場人物・キャラクター
鈴木 六文 (すずき ろくもん)
父子家庭で育った中学生。メガネとおでこがトレードマーク。幼いころの記憶がない。瑠玖羽との同居に疑問を感じ、平凡な日常を夢見つつも、悪魔との暮らしをすっかり受け入れている。瑠玖羽からは「己を超えて真理を知る者」と呼ばれた。
瑠玖羽 (るくは)
悪魔のお姫様。外見年齢は10~12歳。濃紺のミニのワンピースに白いエプロン姿でいることが多い。足首まで届く長い黒髪にカチューシャをしている。髪を手や翼にして自在に操ることもできる。電化製品を使わずに家事をするが、かなり下手。口数は少ない。音楽を聴くとつい踊ってしまう。悪魔たちを率いて、町内の美化活動や人命救助などをしている。 地獄が満員のため、人間が地獄に落ちないように活動しているという。鈴木六文との関係やその正体、真の目的は明らかにされなかった。ただ、六文と初めて出会ったのは神社の石段だった。
ブブ
瑠玖羽の従者で、自称鈴木六文の新しい父親。案山子にとり憑いた悪魔。ファストフード店やコンビニなど、さまざまなところでアルバイトをしている。ひと言多く、瑠玖羽の仕置きを受けることが日常茶飯事。正体を明かしていないが上級1位の大悪魔。
鈴木 三文 (すずき さんもん)
黒猫の姿をしているが、鈴木六文の実の父。バクチ狂いで妻に逃げられた。バクチを含むキリスト教の七つの大罪を犯した咎で神罰を受け、バラバラにされた。黒猫にしたのはブブ。バクチで羽振りがよいときに金をつぎ込むので趣味は広い。カメラにも強いが、撮影よりもカメラ本体が好きなため、アルバムの類はない。
ルミエル
ミカエルの命で、悪魔の監視と陰謀の阻止のために地上にやってきた天使。中級2位の力天使(ヴァーチャー)の位を持つ。生活に困って梵提寺の小僧になる。また、ヨフィエルの策で鈴木六文の学校に女生徒として送り込まれている。そのため、学校ではセーラー服姿をしている。
凌貫 (りょうかん)
梵提寺の住職。細身で人のよさそうな老僧。宗派は定かでないが、原始仏教の一派らしい。妖気を感じるなど、かなりの法力を持っているものの、中身は煩悩まみれ。名前のモチーフは良寛。
南足 (きたまくら)
鈴木六文の幼稚園時代からの友人。るくに対する変態的な欲望を隠さない。そのために瑠玖羽のサイズのスクール水着やメイド服などを準備し、それを着せるために必要になりそうな六文用の服まで用意する。
大家 数 (おおや かずえ)
鈴木六文の幼なじみで、鈴木家の大家の娘。頭の左右の高い位置から横に三つ編みが伸びる独特の髪形をしているが、下ろして登場することもある。六文とは別の中学に通う。六文をこれからもオモチャのように独占したいと思っている。両親は仕事で留守がち。コスプレやBLなどのオタク趣味がある。 ヨフィエルにとり憑かれてからは、メガネをかけると数、メガネを外すとヨフィエルと棲み分けられる。六文が記憶を失った事件に関わっていた。
ヨフィエル
報告さえも滞っているルミエルに痺れを切らして地上にやってきた天使。上級2位の天使長で智天使(ケルビム)の位を持つ。地上での肉体として南足に憑くが、煩悩の多さで拒否反応が発症。凌貫に移るが、さらに強力な煩悩で意識下に抑えこまれる。人間の意識を眠らせる装置をルミエルが開発して活動できるようになった。 天使に疑問を感じてミカエルに会おうと天国に戻り、再登場時は数にとり憑く。瑠玖羽の目的が世界の創造だと推論し、天使の真実に気付く。「正義のためなら暴力も厭わぬ」と公言していた。
逸窮 (いっきゅう)
白い髪と鬚を長く伸ばした、逞しい修行僧。凌貫の弟子だったが、宗教観の違いから衝突し、敗れて寺を捨て、世界を廻る修行の旅に出た。南米で最強の仏教と出会い、20年ぶりに戻ってきた。「仏教は直接打撃と関節技が主体」と断言する。名前のモチーフは一休。
ペロ
梵提寺に空から落ちてきた娘。豊満な肉体と奔放な笑顔の持ち主。天使か悪魔かは不明。梵提寺に来たばかりの頃は、言葉も話せなかったが、たちまち身につけた。名前は「ご飯を3杯ぺろりと食べちゃったペロ」と自ら名乗り始めた。ヨフィエルによくなつく。ヨフィエルが凌貫から出た後、梵提寺を出て鈴木家に居候する。 なにかと脱ぎたがる。
荘司 しげみ (しょうじ しげみ)
外見はメガネをかけたドジな小学生。実際の年齢はかなり上らしい。ダブダブの服を着た神父姿をしている。日本奇特教団マゾヒスト教会で働いている。すべてのドジを受難として受け入れる。謎の賛同者がおり、神への反逆者に対して軍が協力して空爆などを行う。梵提寺の敷地内にプレハブを建てて住んでいる。 ミカエルが憑いたことがあり、そのときはメガネを外すとミカエルの外見となった。
西念 (さいねん)
梵提寺の小坊主。小さな点のような目と口で、なにもしゃべらずに作務に励んでいる。ミカエルが憑いていたが、いつからなのかは定かでない。
ミカエル
神の使徒、大天使。西念や荘司しげみの肉体を借りたことがある。悪魔が人間界に大挙して移動していることを訝しんでルミエルを地上に送った。単体では瑠玖羽と同じ姿。電化製品を普通に扱うなどの違いはあるが、音楽で踊ってしまうのは同じ。自信にあふれた瑠玖羽の前に敗北を感じる。
場所
金漠山梵提寺 (きんばくざんぼんでいじ)
『るくるく』に登場する、怪しげな寺。現在の住職は凌貫で、原始仏教の一派を自称する。開祖は飢饉に苦しむ民のために即身仏となった高僧と言われる。ところが、高僧ではなく口のうまい大工の息子が、妬みを買ってムリヤリ即身仏にされただけだった。本尊はインド由来らしき怪しい神像だったが、ヨフィエルが天国に戻るときに破損したらしい。 新たな本尊は、さらに古い時代の神とされる異形の像。
鈴木家 (すずきけ)
鈴木三文と鈴木六文が住む、木造平屋一戸建て。滞納のため電気、ガス、水道のいずれも止まっている。騒動で壊されるたびに悪魔たちの手で再建され、少しずつ大きくなった。瑠玖羽とブブに加えペロも居候になる。