イン・ザ・ヒーロー

1巻

スーパー戦隊の歴代レッドを演じ、伝説のスーツアクターと呼ばれている本城渉は、「下落合ヒーローアクションクラブ(HAC)」の代表を務めながら、事務所に所属するメンバーと共に「ドラゴンフォー」という戦隊ヒーロー番組のスーツアクターとして活躍していた。そんな渉のもとに、「ドラゴンフォー」の劇場版に出演してほしいというオファーが来る。離婚して離れて暮らす元妻と娘のためにもと、大いに張り切る渉だったが、顔合わせの場で紹介されたのは、劇場版の新キャラクター・ドラゴンブラック役を務める一ノ瀬リョウという若手俳優だった。スタンリー・チャン監督の新作ハリウッド映画「ラストブレイド」のオーディションを控えていたリョウは、「ドラゴンフォー」を軽視したうえ生意気な態度を取り、スーツアクター達としばしば衝突していた。そんな中、「ラストブレイド」の日本側プロデューサーである石橋が、日本での撮影シーンの現場へと見学にやって来る。石橋にいいところを見せようとアクションシーンを買って出たリョウだったが、意気込みが空回りし、彼の前で失態を演じてしまう。どうしてもハリウッドで成功したいリョウは、自ら渉に頭を下げ、アクションを教えてほしいと願い出る。「HAC」のメンバーと共に特訓を重ねたリョウは、その成果を発揮して見事「ラストブレイド」のオーディションに合格。いよいよ撮影が始まるが、監督が求める危険なアクションをスタント無しではできないという理由によってほかの俳優が降板してしまい、「ラストブレイド」の日本シーンが全編カットとなる大きな危機を迎えてしまう。

2巻

ノーCGとノーワイヤーでのアクション撮影にこだわるスタンリー・チャンと、安全性を重視するプロデューサーのあいだで意見は対立し、「ラストブレイド」の日本での撮影は困難な状況となっていた。該当シーンに出演する一ノ瀬リョウの出演も危うくなる中、日本側プロデューサー石橋とリョウのマネージャー門脇らは、なんとか事態を収拾しようと奔走していた。一方、本城渉は首に頸椎捻挫という爆弾を抱えており、いつ仕事ができなくなるかわからない中で会社経営を続け、また離婚した元妻からかけられる心配の声を聞き、ヒーローでいる事の意義について悩んでいた。そんな渉のもとを訪れた石橋と門脇は、チャンの求めるアクションを、渉に演じてほしいと嘆願する。色々な人達の思いを受け取り、かつての情熱を再燃させた渉は、「下落合ヒーローアクションクラブ(HAC)」のメンバーらと共にチャンのもとへ乗り込むのだった。