『クレヨンしんちゃん』の劇中劇をもとにしたスピンオフ
原作となる『クレヨンしんちゃん』は、双葉社「漫画アクション」および「まんがタウン」で1990年8月から2010年3月まで連載された臼井義人の超人気作品。その後も、続編の『新クレヨンしんちゃん』が連載されたほか、テレビアニメやアニメ映画、テレビゲーム、ソーシャルゲームなどのメディアミックスが展開され、主人公の野原しんのすけが埼玉県春日部市のイメージキャラクターに抜擢(ばってき)されるなど、社会現象と言えるほどの高い人気を博した。本作は、クレヨンしんちゃんに登場する架空のテレビ番組「アクション仮面」をもとに、しんのすけがあこがれるヒーローを主人公にしており、シリアスなストーリーと絵柄ながら、原作をオマージュしたコミカルな要素も随所に盛り込まれている。
アクション仮面と秘密組織「ABK」
アクション仮面は、郷剛太郎が融合している精神生命体「パル」と共鳴し、「ゴー・アクション」の掛け声と共に変身する正義のヒーロー。怪人に植え付けられた「憎しみの種」と呼ばれる物体を浄化し、もとの人間に戻すために活動している。そんなアクション仮面をサポートしているのは、「ABK」と呼ばれる秘密組織。彼らは高い科学技術を有しており、アクション仮面が怪人の攻撃に耐えるための強化スーツや、怪人の出現を感知する装置などを開発している。だが、その内情は決して一枚岩ではなく、特にミミ子は郷を思う気持ちが強すぎるため、彼を案じるあまり独断専行に走ってしまうことがある。
謎のライバル「ダーク仮面」
アクション仮面と怪人の戦いが本格化していく中、人間を意図的に怪人化させている男の存在が明らかになる。彼もまた、アクション仮面に似た戦士に変身する能力を持っており、のちにABKから「ダーク仮面」と呼ばれるようになる。ダーク仮面は、「憎しみがあるからこそ、人は生きられる」との考えから、必要とあれば一般市民を危険に晒(さら)すことも厭(いと)わない。また、アクション仮面が自分と似ている存在であるとも主張し、彼を「恭順者」と呼ばれる同志に誘おうとする。
登場人物・キャラクター
郷 剛太郎 (ごう ごうたろう)
ABKに所属する青年。強い正義感の持ち主で、怪人になってしまった人間を救おうとする慈悲の心を持ち合わせている。体内に「憎しみの種」と呼ばれる物質と、「パル」と呼ばれる精神生命体を宿し、これらの力を解放することで「アクション仮面」に変身できる。変身すると、具現化した憎しみの種を「アクションビーム」と呼ばれる光線を放つことで、心を浄化させて怪人を人間の姿に戻せる。ただし、怪人は攻撃を受けると憎しみの種が活性化して狂暴化するうえ、郷剛太郎自身の体内にある憎しみの種も活性化し、精神に異常をきたしてしまう。そのため、怪人に宿った憎しみの種が具現化するまでは、ひたすら攻撃を耐え続ける必要がある。過去の記憶を失っており、体内にパルや憎しみの種が宿っている理由も覚えていない。郷をはじめABKのメンバーは、記憶を失ったのはパルと融合した影響によるものだと考えていたが、のちに郷自身のトラウマが原因であることが発覚する。
八潮 ミサト (やしお みさと)
小学生の女子。母親を早く亡くし、父親とも折り合いがよくないことから、やや粗暴な性格に育ってしまう。さらに乱暴な言葉遣いで、長い髪の毛を隠すためにつねに帽子をかぶっていることから、男の子にカンちがいされることがある。一方で、自分が悪いと思った時は素直に謝ったり、「ふたば仮面」と呼ばれるヒーローにあこがれているなど、年相応の素直さを見せることも少なくない。憎しみの種によって怪人化した担任教師に襲われ、アクション仮面に助けられたことをきっかけに、郷剛太郎やABKのメンバーと面識を得る。それ以降、彼らの協力者となり、自らの危険を承知で怪人を呼び寄せるなど、勇敢な姿を見せるようになる。
クレジット
- キャラクター原案
- ストーリー
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アクション仮面プロジェクト
ベース
関連
新クレヨンしんちゃん (しんくれよんしんちゃん)
前作『クレヨンしんちゃん』の作者である臼井義人が急逝した後に、そのアシスタントらがキャラクター設定を引き継いで描いた『クレヨンしんちゃん』の続編。前作同様、主人公である野原しんのすけを中心にちょっとお... 関連ページ:新クレヨンしんちゃん
野原ひろし昼メシの流儀 (のはらひろしひるめしのりゅうぎ)
臼井儀人の『クレヨンしんちゃん』のスピンオフ作品。野原ひろしが営業の外回りのかたわら、その土地にある適当な飲食店に入り、昼飯を食べる様を描くグルメ漫画。なお「営業の外回りのため外食が多い」というひろし... 関連ページ:野原ひろし昼メシの流儀