あらすじ
スタンドアップ・ヴァンガード!!
少し先の未来。世界のプレイヤーが数億人を超えるカードゲームは、娯楽を超えて人々の生活の一部として当たり前の存在になっていた。その中でも世界的なブームを巻き起こしているのが、プレイヤーが惑星クレイに住むユニットたちを率いる先導者(ヴァンガード)となって戦う、大人気カードゲーム「ヴァンガード」だ。臆病だが心優しい少年、先導アイチは、幼少期にある人物にもらったヴァンガードのレアカード「ブラスター・ブレード」を心の支えとしていた。中学3年生になったアイチはヴァンガードにあこがれながらも、なかなか一歩を踏み出せない日々を送っていた。そんなある日、森川カツミに宝物のブラスター・ブレードを奪われたアイチは、なんとかしてカードを取り戻そうとあとを追い、カードショップ「カードキャピタル」に向かう。そこには、アイチにかつてブラスター・ブレードをくれた櫂トシキが、ほかのヴァンガードファイターに勝利していた。しかし、トシキは以前とは別人のようになり、再会したアイチにも冷淡な態度を取る。カツミはアイチから奪ったブラスター・ブレードを賭けてトシキとヴァンガードファイトを挑むも敗れ、今度はアイチがトシキに勝負を挑むこととなる。トシキにルールを教わりながら初めてのヴァンガードファイトを行い、苦戦しながらも勝利したアイチは無事にブラスター・ブレードを取り戻し、本格的にヴァンガードを始める。これ以来、カツミやその友人たちとも打ち解けていき、友人でありあこがれの「先導者」でもあるトシキを超えることを夢見ながら、アイチは戦い続ける。数々のファイトと、戸倉ミサキ、葛木カムイ、三和タイシとの出会いや交流を経て、アイチはファイターとしても人間としても少しずつ成長していく。
謎の敵・フーファイター!!
カードショップ「カードキャピタル」に現れたのは、謎の集団「フーファイター」の一員だった。彼らがヴァンガードファイト中に使う「VFグローブ」は、ファイトのダメージを再現するという危険な代物だった。彼らはカードゲーム「ヴァンガード」を「決闘」と称しながらカードショップを次々と占拠し、葛木カムイが通っていたショップも占拠されていた。カムイはかつての居場所を取り戻すべく、先導アイチと共にフーファイターの最強チーム「AL4」の一員である矢作キョウに挑む。キョウが使う切札の必殺コンボを受け、動きを封じられ苦戦するアイチに語りかけてきたのは、イメージの中で戦うブラスター・ブレードだった。その謎の声を聞きながら勝利を収めたアイチだったが、後日にはキョウの仲間である鳴海アサカが、櫂トシキを捜しながらカードキャピタルに現れる。それを予期していた三和タイシは、アサカを遠ざけるために迎え撃つも敗れ、VFグローブの衝撃で体調を崩してしまう。見かねた戸倉ミサキはタイシに続いてアサカに立ち向かうが、その最中にフーファイターの当主、雀ヶ森レンが姿を現す。一方、アイチとカムイは、学校帰りに遭遇したキョウから「フーファイター狩り」を行うことを提案される。ファイト中にカードの声が聞こえる感覚が「PSYクオリア」と呼ばれていることをキョウから教わるも、アイチはまだその力の使い方や詳細を知らぬままだった。そして、レンとのファイトに臨むミサキは、アイチよりも前からPSYクオリアを使いこなす彼の力の前に敗北してしまう。強敵であるレンの出現は、アイチが知らないトシキの過去を少しずつ明らかにしていく。一方、かつての仲間である新城テツと再会し、レンがカードキャピタルに訪れたのを知ったトシキは、レンやテツと共に過ごした中学生の頃の記憶を思い返していた。トシキに忠告し、フーファイター狩りを続けるアイチたちのもとへ向かったテツは、PSYクオリアをより深く研究するために彼にファイトを挑む。テツはファイトの中でアイチを精神的に追い込むことで、秘められた力を発現させようと試みる。
闇の深淵
カードギャング「フーファイター」とのヴァンガードファイトを経て、先導アイチは謎の能力「PSYクオリア」を発現させるが、力をコントロールできずに新城テツに完敗した。そんな中、櫂トシキはこの戦いに終止符を打つため、フーファイターのボスであり因縁の相手でもある雀ヶ森レンのアジトに乗り込んでいた。そのアジトにアイチたちも駆けつけたことで、彼らはトシキとレンの因縁の過去を知ることになる。PSYクオリアに溺れたファイトを否定するトシキと、勝利に執着を見せるレンによる、因縁の頂上決戦が幕を開ける。アイチたちが二人のファイトを見守る中で、トシキは新たなる切札でレンに挑むも、PSYクオリアを使いこなしたレンは、今までに一度として勝てなかったトシキを打ち破る。そんなレンの次なるターゲットは、トシキに一度だけ勝ったことがあり、PSYクオリアを持つアイチだった。無関係なアイチを巻き込むまいと必死に止めるトシキだったが、アイチは自分の成長を示すべく、逃げずに立ち向かうことを決意。PSYクオリアに導かれた者同士の戦いが始まり、二人のファイトは一見ふつうに見えて、異次元のイメージの中で熾烈(しれつ)を極めていた。アイチは歪(ゆが)んだ渇望を力の源とするレンの負のイメージを乗り超え、戦いの連鎖を断ち切ろうと勝利を目指すのだった。そして、レンとの死闘を終えたことでフーファイターとの戦いは終結し、アイチたちは一時の平穏な日常を取り戻す。後日、アイチとその友人たちが集うカードショップ「カードキャピタル」で、調子を取り戻したトシキはアイチにファイトを申し込む。久しぶりのトシキとのファイトを楽しもうと、PSYクオリアを使わないようにしていたアイチだったが、本気の戦いを求めるトシキは力を使うよううながす。
スタンドアップ! ハイスクールライフ!!
ますます腕を上げた先導アイチは、カードゲーム「ヴァンガード」のアジアサーキット大会・個人戦で優勝を果たした。中学校を卒業し、宮地学園に進学したアイチは、新たな仲間や強敵の予感に満ちた学園生活に胸を躍らせていた。だが、生徒たちのあいだではヴァンガードがまったく流行(はや)っておらず、アイチは途方に暮れる。そこで新たに「カードファイト部」を作ろうと部員を募集するが、なかなか部員が集まらずに苦戦するばかりだった。そんな中、アイチのクラスには人気アイドル「ウルトラレア」の立凪コーリンが転入し、アイチのカードファイト部を知って自ら入部する。コーリン目当ての入部希望者が集う中、小学生の頃のアイチを知る石田ナオキはヴァンガードに興味を持ち、ひそかにヴァンガードファイトの修行を始めていた。一方、コーリンは増え過ぎた入部志望者を絞るために入部試験を開始。集まった挑戦者に次々と勝利していくが、ヴァンガードを覚えたばかりのナオキも入部試験に挑みたいと言い出す。アイチを救えなかったかつての自分と向き合うナオキは、初心者ながらも全力でファイトし、特訓を通して手にしたデッキで勝利をつかみ取る。入部したことですっかりアイチとも打ち解けたナオキと共に、カードファイト部は部活としての認可に向けて前進するのだった。そんなある日、ナオキは物陰からカードファイト部を見ている不穏な視線に気づく。その正体は、アジアサーキット優勝者であるアイチにあこがれる少年、小茂井シンゴだった。入部希望者でもあるシンゴはアイチに少しでも近づくために入部試験を受けたいと言い張り、試験のためのファイトはナオキが受け持つことになる。デッキを使いこなしてトリッキーな戦法を見せるシンゴはナオキを打ち破り、入部を果たす。
PSYクオリアゾンビ襲来
宮地学園内では「影の番長」と恐れられていた戸倉ミサキは、先導アイチからカードファイト部にスカウトされるも、彼に迷惑をかけまいと入部を断り続けていた。しかし、曖昧な理由で入部を断るミサキを見かねた立凪コーリンは、彼女を改めて誘うためにヴァンガードファイトを申し込む。コーリンはファイトを通してミサキの本音を見出し、彼女はカードファイト部に入学し、部活は本格的に始動する。後日、アイチは部活メンバーと共に、コーリンの提案でカードゲーム「ヴァンガード」の交流戦を行うために福原高校を訪れていた。福原高校ヴァンガード部には、雀ヶ森レンをはじめとするかつてのフーファイターと、アイドルグループ「ウルトラレア」の立凪スイコが所属していた。デッキを強化した石田ナオキはスイコに挑むことになり、白熱の交流戦の最中に現れたのは、数々の大会を主催している立凪財団の総帥、立凪タクトだった。交流戦やタクトとの出会いを経て、全国の高校生カードファイターたちが集まる「ヴァンガード甲子園」の存在を知ったアイチたちは、新たな挑戦に心を躍らせる。しかし、そんな彼らの前に謎の少年、伊吹コウジが立ちはだかる。アイチの切札である「ブラスター・ブレード」のカードに興味を持ったコウジは、カードを見せてもらったあとはその場を去る。人とのなれ合いを嫌うコウジはかつて、櫂トシキをヴァンガードの世界に導いた、彼の先導者ともいえる人物だった。一方タクトは、謎のユニット「根絶者(デリーター)」の凶悪な力「デリート」を持つコウジと、彼のカードの正体を確かめるべく立凪邸に招きファイトを挑む。強大なPSYクオリアで優位に立つタクトだったが、ファイトの途中でユニットをデリートされ、謎の存在「ディスティニーコンダクター」に取り憑(つ)かれてしまう。タクトはコウジとある密約を交わしたうえでスイコとレッカを福原高校へ向かわせるが、ファイターを探す彼女たちの目的は、PSYクオリアの力を他人に感染させ、ファイトだけを求めるゾンビを作り出すことだった。スイコを通してPSYクオリアゾンビと化した鳴海アサカは、悪夢にうなされるかのようにレンに勝負を挑む。
歪められた絆
PSYクオリアを感染させられたゾンビたちは、立凪タクトとその手下たちによってさらに蔓延(まんえん)していた。そして、その力すらもデリートできる伊吹コウジも動き出し、先導アイチの日常はいくつもの異質な力によって蝕(むしば)まれていく。矢作キョウに連れられて、カードショップへと向かうアイチたちを待ち受けていたのは、キョウをゾンビ化した立凪レッカとPSYクオリアゾンビの集団だった。ほかのヴァンガードファイターを守るために戦いに乗り出し、敵を撃破したアイチたちだったが、そこに現れたのはコウジだった。念願のPSYクオリアを得たばかりのキョウは自信満々でコウジに挑むが、新たな切札で彼を倒すイメージを見るも、その力が通用せずに敗北。彼はコウジの力によってカードとの絆(きずな)を絶たれ、ファイターではなくなってしまう。一方、立凪コーリンを通してゾンビ化した石田ナオキはアイチにカードファイトを挑み、追い詰められていくアイチは彼と思いを激しくぶつけ合う。だが、ファイトの最中に二人のイメージに介入してきたコーリンの影響で、呪いに囚われたナオキとのファイトの末にアイチは倒れてしまう。同時に倒れたナオキと目を覚まさぬままのアイチを小茂井シンゴに託し、一人で立凪邸へと向かった戸倉ミサキを待ち受けていたのは、タクトの「コールドウォーカー」を名乗るコーリンだった。ミサキにとっても大切な仲間でもあるコーリンを、邪悪な運命から解放するための戦いが幕を開け、激闘の末にコーリンは気絶。眠っていたアイチとナオキの意識が戻るも、アイチだけはどこか様子がおかしく、周囲を拒絶して立ち去ってしまう。ミサキから連絡を受けて立凪邸を目指す櫂トシキ、三和タイシ、雀ヶ森レンであったが、そこに立ちはだかったのは彼らの足止めを狙うコウジだった。かつてトシキたちにカードゲーム「ヴァンガード」を教えていた頃の面影が消え、ヴァンガードを恨んでいるコウジに立ち向かうトシキだったが、PSYクオリアを通して流れてきたのは、昔の記憶のイメージに宿っていた思い出の光だった。
運命を指揮する者、その正体
カードゲーム「ヴァンガード」を悪用する立凪タクトの策略により、先導アイチと戸倉ミサキまでもがPSYクオリアゾンビと化してしまった。そんなアイチたちを救おうとタクトを訪ねた雀ヶ森レンだったが、そこで判明したのは以前からタクトに取り憑いている「ディスティニーコンダクター」の正体だった。レンはすべての黒幕であったディスティニーコンダクターに勝負を挑み、敵が使う異形のユニット「星骸者」と互角の戦いを繰り広げる。だが、レンはその強力な力の前に敗れ、さらにはデリーターの力をあやつる伊吹コウジによって、ヴァンガードファイターとユニットとの絆が次々とデリートされていた。PSYクオリアゾンビに支配されたままでも、人とカードの絆を消し去るコウジが許せないアイチは、イメージを超えて自らの思いを届けるために、新たなヴァンガードファイトに挑む。多くの仲間が見守る中で、互いに宿した能力と思いを全力でぶつけ合う二人は、尋常ならざるファイトを繰り広げる。しかし、ファイトの途中でデリートを受けたアイチは、PSYクオリアゾンビからは解放されたものの、ヴァンガードファイターではなくなってしまう。
ヴァンガードが消える日
伊吹コウジとのファイトに勝利したことで、先導アイチはPSYクオリアゾンビの呪縛から解放された。正気を取り戻したアイチは、ついに立凪タクトに取り憑いたディスティニーコンダクターとの直接対決に挑む。さらに惑星クレイの方でも、ディスティニーコンダクターが支配する「遊星ブラント」から侵攻して来た軍勢との大戦が繰り広げられ、星の平和は蝕まれていた。地球と惑星クレイ、そして仲間たちとカードゲーム「ヴァンガード」の行く末を懸けた最終決戦は、今までにない迫力に満ちていた。ディスティニーコンダクターの使用するユニットには、戦闘中に発動するすべてのトリガーの効果が逆転するという驚異の力が秘められ、アイチは苦戦を強いられる。世界の理を反転させる遊星ブラントの化身に立ち向かうアイチの死闘は、二つの星の神が降臨することで最終局面を迎える。異質な力で歪められた運命の果てで、並び立つ仲間たちと共に戦うアイチの切札に宿ったのは、星を救う伝説の救世主「メサイア」の光だった。
関連作品
カードゲーム
本作『カードファイト!! ヴァンガード』は、トレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」を原作としている。原作はTVアニメやコミカライズを中心に、ゲーム化、映画化、舞台化など、多数のメディアミックスが展開されている。
メディアミックス
TVアニメ(2011年版)
2011年1月から、本作『カードファイト!! ヴァンガード』の原作カードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」のTVアニメ版『カードファイト!! ヴァンガード』(2011年版)が、テレビ東京系列で放送された。TVアニメ版は櫂トシキと再会した先導アイチが、カードゲーム「ヴァンガード」のさまざまな大会に挑んでいく姿を描いたホビーアニメ。序盤は本作とほぼ同じストーリーだが、第3話以降はオリジナルストーリーとなっている。監督は辻初樹、キャラクターデザインはとみながまりが務めている。キャストは、先導アイチを代永翼、櫂トシキを佐藤拓也が演じている。
TVアニメ(2018年版)
2018年5月から、本作『カードファイト!! ヴァンガード』のTVアニメ版『カードファイト!! ヴァンガード』(2018年版)が、TOKYO MXほかで放送された。「中学生編」と「高校生編」は漫画版がもととなっているが、「続・高校生編」以降はTVアニメ版オリジナルストーリーとなっている。監督は川崎逸朗、キャラクターデザインは磯野智が務めている。キャストは、先導アイチを代永翼、櫂トシキを佐藤拓也が演じている。
登場人物・キャラクター
先導 アイチ (せんどう あいち)
後江中学校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ロイヤルパラディン」。青髪で1本のアホ毛が目立つおとなしい少年で、気が弱くおどおどしているが、誰に対しても優しく接する。かつては宮地学園初等部に在籍していたが、いじめられており、見かねた母親により、別の小学校へ転校させられた。櫂トシキを通してカードゲーム「ヴァンガード」と出会い、彼にもらったレアカード「ブラスター・ブレード」を心の支えにしてきた。ヴァンガードファイトの経験はなかったが、いつかトシキと戦い認めてもらうことを夢見ながらデッキを用意していた。ヴァンガードに導いてくれたトシキのことを尊敬し、目標にしている。森川カツミにブラスター・ブレードを奪われたのをきっかけにカードショップ「カードキャピタル」を訪れ、トシキと再会。カードを取り戻すためにトシキと初めてのヴァンガードファイトを繰り広げ、初心者ながらブラスター・ブレードを使いこなして勝利し、本格的にヴァンガードを始めた。ヴァンガードを通してさまざまな仲間と出会い、ファイターとしても人間としても成長していくが、カードギャング「フーファイター」との戦いの中でカードの声が聞こえるという体験をするようになり、のちにその力がPSYクオリアだと判明する。純粋な心と強い意志を持ち、トシキや戸倉ミサキ、葛木カムイをはじめとする多くのファイターたちに影響を与え、ファイトを通して仲間たちを導く先導者となっていく。そうやって得た人々とのつながりを絶たないようにファイトを続けているため、PSYクオリアに溺れることはないが、力を危惧したトシキにデッキを捨てるようせまられた時は激しく拒絶した。その後、トシキが雀ヶ森レンに敗れたことで彼と対峙し、精神をすり減らしながらも彼を闇から救うべく戦う。苦戦しながらも新たなる切り札「エクスカルペイト・ザ・ブラスター」で、レンに勝ってPSYクオリアに溺れていた彼を救い出し、フーファイターとの戦いに終止符を打つ。中学校卒業後は宮地学園高等部に進学し、カードファイト部を結成。石田ナオキをはじめとする新たな仲間と共に、高校生ファイターが集う「ヴァンガード甲子園」を目指すようになる。
櫂 トシキ (かい としき)
後江高校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「かげろう」。無造作にはねた茶髪と鋭い目つきの大人っぽい少年で、クールな性格の持ち主。圧倒的な実力を持つが、カードゲーム「ヴァンガード」の大会に出場することなく、本当の強さを求め続ける孤高のファイターと噂されている。かつてレアカードを与えて励ました先導アイチと再会することで、目指す強さの形が変わっていく。当時小学生だったアイチに、「ブラスター・ブレード」を渡してヴァンガードを始めるきっかけを作った。アイチにとっての先導者であり、ファイターとしての目標でもある。アイチと出会ったあとに両親を交通事故で亡くしており、叔父に引き取られて転校するが、転校先で雀ヶ森レンと新城テツに出会う。中学生時代はレンたちと、ヴァンガードファイトをしながら楽しく過ごしていたが、高校入学を機に幼い頃に住んでいた後江町の実家に戻り、一人暮らしを始めた。昔は三和タイシや友人たちと遊ぶなど優しく明るい性格だったが、高過ぎる実力ゆえに誰も相手にならず、半端な覚悟で戦う者に嫌気がさし、現在では他者を寄せつけない冷淡な態度を見せている。再会したアイチとファイトしてからは、頻繁にカードショップに出入りして彼やタイシと過ごしていたが、危険なファイトを強いるフーファイターの動きを察知し、かかわらないようアイチたちに警告する。レンのPSYクオリアには否定的で、そのことが二人の対立につながっていた。アジトに向かってレンと対峙(たいじ)するも、PSYクオリアにはかなわず敗北し、アイチにレンの救済を託す。その後は否定的だったPSYクオリアを受け入れ、力を使った状態のアイチと戦う中で、自らもPSYクオリアに覚醒した。進級後は高校生になったアイチが伊吹コウジと出会ったことを知り、コウジが自分とタイシをヴァンガードに導いた先導者であることを明かしている。実はかなりの潔癖症。
三和 タイシ (みわ たいし)
後江高校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ノヴァグラップラー」。櫂トシキの幼ななじみであり、よき理解者。軽い言動も多いが、友人思いで面倒見のいい一面がある。後江町に戻って来たトシキとの再会をきっかけに、再びカードゲーム「ヴァンガード」を始めた。カードショップ「カードキャピタル」の常連で、トシキが先導アイチと再会したのをきっかけに彼と知り合う。アイチをはじめ誰とでもなかよくしており、古くからの付き合いであるトシキには、誤解されがちな彼の性格を理解し度々フォローに回っている。トシキほどではないが、ファイターとしてもかなりの実力を持つ。トシキと確執のあるカードギャング「フーファイター」には強い敵意を抱き、カードキャピタルに鳴海アサカが現れた際には怒りを露(あらわ)にして彼女にファイトを挑むなど、ふだんの明るさとは異なる一面を見せた。アサカに敗れたあと、彼女に勝負を挑もうとした戸倉ミサキを心配するなど、ミサキのことが気になっている。進級後もトシキと同じヴァンガード部に所属し行動を共にするが、かつて彼と共にヴァンガードを教わった伊吹コウジが出現したことで、再びヴァンガードを巡る戦いに巻き込まれる。
森川 カツミ (もりかわ かつみ)
後江高校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「スパイクブラザーズ」。明るく憎めない性格ながら、当初は傲慢で少々イジメっ子な一面もあった。友人の稲永、赤堀と共にカードファイト研究部に所属し部長を務めているが、部員たちの成績が悪いことで、顧問のマーク・ホワイティングを悩ませている。カードショップ「カードキャピタル」に定期的に通い、最強を名乗っている。クラスメイトの先導アイチがレアカード「ブラスター・ブレード」を持っているのを知って無理矢理奪い取り、カードキャピタルで遭遇した櫂トシキにファイトを挑むも、ブラスター・ブレードを使いこなせずに敗北。ブラスター・ブレードを取り戻すため、トシキとファイトしたアイチが勝利したのを見て、アイチと和解し友人となった。立凪コーリンのファンだが、本人を目の前にした時は緊張で隠れていた。
新田 シン (にった しん)
カードショップ「カードキャピタル」の店長を務める男性。黒髪短髪で、眼鏡をかけている。戸倉ミサキの叔父で、彼女にはアルバイトとして店を手伝ってもらっている。カードゲーム全般、特に「ヴァンガード」に詳しく、昔は凄腕のヴァンガードファイターだったという噂もある。一人称は「私」。みんなの頼れる兄貴的存在ながら間の抜けた言動も目立ち、ミサキからは軽く扱われがち。飼い猫であり看板猫でもある「店長代理」と共に、店を切り盛りしている。少年少女に囲まれる年長者であるために、何かと面倒を押しつけられることが多い。石田ナオキがヴァンガードに興味を持った際には、初心者の彼にヴァンガードを教えていた。
戸倉 ミサキ (とくら みさき)
宮地学園高等部に通う女子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「オラクルシンクタンク」。先導アイチたちの行きつけのカードショップ「カードキャピタル」でアルバイトをしており、店主の新田シンの姪(めい)でもある。薄紫色のセミロングヘアのクールな美少女で、制服はロングスカートにしてスリットを入れるなどかなり着崩している。優しいが言動はぶっきらぼうで不良っぽいところもあるため、一部の生徒からは恐れられている。漢気(おとこぎ)にあふれ、曲がったことが見逃せない正義感の強い性格の持ち主。両親は幼少期に交通事故で亡くなっており、シンの家で世話になっている。一度見た光景を完全に記憶できる完全記憶能力(アイデテック・イメージ)を持つため知識は豊富だが、カードゲーム「ヴァンガード」を含め自分でカードファイトをしたことはない。カードゲーム自体に興味がなかったが、店番をするうちにカード名やルールを覚えていき、店内のヴァンガードファイトもすべて記憶していた。アイチとのファイトを通してヴァンガードに興味を持ち始め、借りたデッキを初見で使いこなすなど高い実力を秘めている。ヴァンガードを始めて間もない頃に、カードキャピタルに訪れた鳴海アサカに勝利する。しかし、直後にやって来た雀ヶ森レンには惨敗し、彼に気に入られて「ミサQ」の愛称を付けられる。完全記憶能力を勉強にも活かせるため、成績は優秀。進級後は入学したばかりのアイチが新設したカードファイト部に誘われるが、校内で番長扱いされて恐がられていることから、アイチに迷惑をかけまいと躊躇(ちゅうちょ)していた。それを見かねた立凪コーリンに再び誘われ、入部試験を兼ねた彼女とのファイトの末に入部した。
葛木 カムイ (かつらぎ かむい)
後江小学校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ノヴァグラップラー」。尖(とが)った黒髪が目立つ、いつも元気な少年。口は悪いが、根は優しく明るい性格の持ち主。以前は別のカードショップに通っていたが、とある事情で武者修行も兼ねてカードショップ「カードキャピタル」に乗り込んで来た。小学生でありながら、中高生を凌駕(りょうが)するほどの実力者。先導アイチに勝負を挑み、敗北してからは彼を慕うようになる。アイチの妹の先導エミに一目惚れし、彼女にカードゲーム「ヴァンガード」を教えた。カードキャピタルに来た本当の理由は、カードギャング「フーファイター」によって近所のショップが荒らされたためだったが、アイチたちがフーファイターに勝利したことで、そのショップの平和を取り戻した。
マーク・ホワイティング
後江中学校に勤める外国人の男性教師。担当する教科は歴史で、日本の戦国時代に夢中な変わり者。新田シンとは昔からの知り合い。カードゲーム「ヴァンガード」が大好きで、授業の一部に取り入れている。森川カツミたちが所属する「カードファイト研究部」の顧問を務めているが、部員たちのテストの成績が悪いのが悩み。
雀ヶ森 レン (すずがもり れん)
福原高校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「シャドウパラディン」。カードギャング「フーファイター」の当主を務める。赤色の長髪で、新城テツや鳴海アサカをあだ名で呼ぶなど、つかみどころのない性格をしている。惑星クレイの声を聞ける謎の力「PSYクオリア」を使いこなし、常識離れのヴァンガードファイトをする。ふだんは飄々(ひょうひょう)としているが、ファイト中は雰囲気が変わり、徐々に尊大で傲慢な態度が増えてPSYクオリアは選ばれし者が持つ力などと言い放ち、サディスティックな面も見せるようになる。テツやアサカなどの実力を認めた相手には好意的に接する一方で、実力のない者に対しては、同じフーファイターでもよそよそしい態度で名前すら覚えていないことがある。テツと出会った頃は裕福ながら完璧主義の父親に暴力を受けており、ケガを負った状態でカードショップに訪れ、驚異的な集中力でカードゲーム「ヴァンガード」に明け暮れていた。その中でPSYクオリアに目覚めるも、勝利に固執するあまり力に溺れていき、櫂トシキとの仲にも亀裂が生じていく。そのままトシキが転校して離れるも、一度も勝ったことがない彼にPSYクオリアの力で勝利することに執着していた。アジトに来たトシキに勝利したあと、彼に勝ったことがある先導アイチに挑み、勝利を確信していたが新たな切札により状況が一転して逆転される。アイチに敗北したことで、PSYクオリアや勝利への執着から救われた。その後はアジアサーキットに出場したが、準決勝でアイチと対戦して3位になった。しばらくはPSYクオリアを使うことなく、福原高校ヴァンガード部として純粋にヴァンガードを楽しんでいたが、アサカがPSYクオリアゾンビとなったことで戦いに巻き込まれていく。
新城 テツ (しんじょう てつ)
福原高校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ダークイレギュラーズカード」。カードギャング「フーファイター」のNo.2であり、最強チーム「AL4」の一人。茶髪の長髪でヘアバンドをしており、顎ヒゲを生やしているため年齢よりも老けて見られることがある。大柄な体型で無表情なことが多く、冷静沈着で豪胆な性格をしている。ソウルとなったユニットを使いこなす戦術を得意とする。雀ヶ森レンとは付き合いの長い友人でもあり、彼と共に立ち上げたフーファイターの実質的な運営を担う。研究熱心でもあり、レンが目覚めた謎の力「PSYクオリア」に興味を持ち、彼を心配しながらも研究を続けている。愛称は「テッちゃん」。あちこちのカードショップにフーファイターを送り出していた張本人で、久々に再会した櫂トシキに警告したあと、PSYクオリアに目覚めたばかりの先導アイチとヴァンガードファイトを繰り広げる。当初はアイチと互角だったが、得意の必殺コンボを決めて勝利した。カードゲーム「ヴァンガード」を続ける理由を聞いた時に、アイチの答えからPSYクオリアの秘密についてなんらかの確信を得た。卒業後は福原高校のヴァンガード部のコーチを務めながら、レンを中心とする元フーファイターのメンバーをサポートしている。また、福原高校にいながらヴァンガード部に入らない伊吹コウジのことを調査していた。その後はPSYクオリアゾンビとなって体調を崩した鳴海アサカを抱えて、レンと共にカードショップ「カードキャピタル」へ逃げ込む。これをきっかけにしばらくのあいだはトシキの家に世話になることが決まり、彼の買い出しなどを手伝うようになった。
鳴海 アサカ (なるみ あさか)
福原高校に通う女子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ペイルムーン」。カードギャング「フーファイター」の最強チーム「AL4」の一人。紺色のロングヘアで、年齢よりも大人びた雰囲気を漂わせた美女。雀ヶ森レンには心酔しているが、興味のない相手には辛辣な言動が目立つ。ふだんは女王気質だが、ヴァンガードファイトに負けた時は子供のように悔しがる。愛称は「アーちゃん」。レンを敬愛し、絶対服従を誓っている。サーカスのエンターテイナーのように魅せるファイトを得意としている。カードショップ「カードキャピタル」を訪れ、櫂トシキから遠ざけるべく立ちはだかった三和タイシと対峙し、返り討ちにする。さらにタイシの仇を取るべく挑んできた戸倉ミサキともヴァンガードファイトを繰り広げるも、油断して敗北。進級後は福原高校ヴァンガード部の一員として、ミサキともいいライバル関係を築いていたが、スキを突かれてPSYクオリアゾンビとなってしまう。苦しみながらもレンとファイトしたことで救われるも一時的に体調を崩し、新城テツと共にカードキャピタルへ逃げ込んだことで、しばらくのあいだはカードキャピタルで世話になる。ほとぼりが冷めるまでは、店の手伝いを行っていた。
矢作 キョウ (やはぎ きょう)
福原小学校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「むらくも」。銀色の長髪で、どこかトゲのある言動が多い。中高生にも負けない実力の持ち主で、カードギャング「フーファイター」の最強チーム「AL4」の一人。しかし、新城テツや鳴海アサカとは異なり、当主の座を狙う野心を抱きながら、雀ヶ森レンのPSYクオリアを探り続けている。リーダーのレンからは冷遇されがちで、名前すら覚えられていないため、彼には反抗的な態度で接する。PSYクオリアに目覚めた先導アイチに敗北したことでAL4を追放され、一時的に彼や葛木カムイと行動することになり、彼らにフーファイター狩りを提案。アイチの持つPSYクオリアに興味を抱き、彼やレンと同様の力を手に入れる方法を探りながら、しばらくはフーファイター相手に戦っていた。卒業後は福原中学校に入学し、PSYクオリアゾンビの事件に巻き込まれてゾンビ化するも、念願のPSYクオリアを手に入れたことで高揚していた。自信満々で伊吹コウジに挑むも、彼の「デリーター」の力でカードとの絆をデリートされてしまう。
先導 エミ (せんどう えみ)
宮地学園初等部に通う女子。先導アイチの妹。オレンジ色のボブヘアで、頼りなく思っているアイチに対し何かと世話を焼くしっかり者。気弱な兄とは対照的に気が強く、好奇心旺盛な一面もある。アイチを呼び捨てで呼ぶほか、いつも早起きしてアイチを起こしている。昔より明るくなったアイチの変化が気になり、その要因となったカードゲーム「ヴァンガード」に興味を持ち、カードショップ「カードキャピタル」を訪れる。この際、初めてヴァンガードファイトを目にして感動し、葛木カムイにルールを教えてもらった。のちに、宮地学園中等部に通うようになった。
石田 ナオキ (いしだ なおき)
宮地学園高等部に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「なるかみ」。先導アイチの同級生で、小学生時代は宮地学園に通いアイチと同じクラスだったことがある。当時いじめられていたアイチを助けられなかった過去に負い目を感じており、アイチに協力する機会をうかがっている。赤茶色の短髪で、鋭い目つきの強面(こわもて)なためにほかの生徒からは少し距離を置かれ、クラスでは孤立しがち。熱くなれる趣味が見つからず退屈な毎日を送っていたが、アイチがカードファイト部を立ち上げようとしているのを見て、カードゲーム「ヴァンガード」に興味を持つ。ひそかにカードショップ「カードキャピタル」に駆け込み、新田シンからルールなどを教わっていた。ヴァンガードに魅せられていくと共に、ヴァンガードを楽しむ現在のアイチの姿を見て、自らも変わりたいと願うようになる。初心者ながら入部試験で立凪コーリンとヴァンガードファイトを行い、苦戦しながらも勝利して三人目の部員となった。その後に入部した小茂井シンゴとは張り合うことも多いが、仲間として共闘することもある。学校での振る舞いは不良っぽいが、根はまじめで友人思い。のちにコーリンを通してPSYクオリアゾンビにされるが、アイチとの激闘の末にもとに戻った。
立凪 コーリン (たつなぎ こーりん)
宮地学園高等部に通う女子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ゴールドパラディン」。アイドルグループ「ウルトラレア」の一人。先導アイチたちのクラスに転入し、カードファイト部の結成に貢献した。金髪ロングヘアの美人だが少々おっかない一面もあり、クールに振る舞っているが実は激情的な性格をしている。愛称は「コーちゃん」。入部後、人気アイドル目当ての入部希望者が増えたために入部試験を提案し、自らが入部試験であるヴァンガードファイトの腕試しを担当していた。また、アイチからの誘いを断っていた戸倉ミサキを改めてカードファイト部に誘い、入部試験の相手をしている。立凪タクトを通してディスティニーコンダクターに取り憑かれたあとは、彼の意思のもとに周囲をPSYクオリアゾンビへ変えようと目論(もくろ)むが、たびたび躊躇(ためら)う様子を見せるなど、ディスティニーコンダクターに抗(あらが)っていた。その正体はコンサートマスターであるタクトにコールされ、運命を支配された存在「コールドウォーカー」。コールドウォーカーの使命から解放された瞬間に、すべての記憶をリセットされる運命にある。
立凪 スイコ (たつなぎ すいこ)
福原高校に通う女子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「エンジェルフェザー」。アイドルグループ「ウルトラレア」の一人で、福原高校ヴァンガード部に所属している。水色のショートヘアのおっとりした美人。冷静沈着な性格で、ウルトラレアのリーダー的な存在。新城テツのPSYクオリア研究に協力しており、ヴァンガードファイトも立凪コーリンが認めるほどの腕前。宮地学園との交流試合を通して先導アイチと知り合い、彼を一目見た時から気に入り、フレンドリーに接している。立凪タクトを通して精神をディスティニーコンダクターに乗っ取られたあとは、鳴海アサカをはじめファイターたちをPSYクオリアゾンビにしていくが、伊吹コウジとのファイトを通してPSYクオリアゾンビから解放されると同時に、カードゲーム「ヴァンガード」への熱意を失う。その正体はコンサートマスターであるタクトにコールされ、運命を支配された存在「コールドウォーカー」。コールドウォーカーの使命から解放された瞬間に、すべての記憶をリセットされる運命にある。
立凪 レッカ (たつなぎ れっか)
福原中学校に通う女子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ネオネクタール」。アイドルグループ「ウルトラレア」の一人で、最年少。明るいオレンジ色のロングヘアを大きな縦ロールにまとめた美少女で、カードゲーム「ヴァンガード」の実力は未知数。立凪家当主の立凪タクトを呼び捨てにするなど明るく気軽な性格をしており、少し砕けた言動が多い。先導エミたちと知り合い親交を深めていた矢先に、タクトを通して精神をディスティニーコンダクターに乗っ取られる。その後は立凪コーリン、立凪スイコと同様に、周囲のファイターをPSYクオリアゾンビに変えようとする。その正体はコンサートマスターであるタクトにコールされ、運命を支配された存在「コールドウォーカー」。コールドウォーカーの使命から解放された瞬間に、すべての記憶をリセットされる運命にある。
立凪 タクト (たつなぎ たくと)
アジア有数の巨大財閥「立凪財団」の総帥を務める少年。名家・立凪家の現当主。凄腕のヴァンガードファイターでもあり、使用クランは「ゴールドパラディン」。見た目は先導アイチよりも幼いが、大人っぽくミステリアスな雰囲気をまとっている。切りそろえた薄緑色の髪で、額に青緑のアザがあり、ふだんは温厚で礼儀正しい性格をしている。VFサーキットをはじめとするカードゲーム「ヴァンガード」の大会を、いくつも主催している。地球と惑星クレイを結ぶ運命の調律者「コンサートマスター」を名乗っている。コンサートマスターとしては、地球のファイターたち、特にPSYクオリアの使い手を監視する目的でアイドルグループ「ウルトラレア」と共に行動している。伊吹コウジの正体を暴くためにヴァンガードファイトを挑むも敗北し、彼の「デリーター」の力で惑星クレイとのつながりを絶たれ、ディスティニーコンダクターに体を乗っ取られる。その後はウルトラレアの面々をあやつりながら、PSYクオリアゾンビを増やしていく。
牛丸 (うしまる)
アイドルグループ「ウルトラレア」のマネージャーを務める女性。茶髪で眼鏡をかけており、赤いスーツをまとっている。礼儀正しく、冷静でまじめな性格をしている。立凪家の執務室長でもあり、ウルトラレアの三人の侍女も務めている。ヴァンガードファイターではないが、学校への送迎や来客対応など仕事は多岐にわたり、立凪家にいなくてはならない存在。
小茂井 シンゴ (こもい しんご)
宮地学園高等部に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「ぬばたま」。切りそろえた茶色の短髪で、丸い眼鏡をかけている。語尾に「なのです」を付けて話す。先導アイチたちの同級生で、カードゲーム「ヴァンガード」の知識が豊富なカードゲームマニア。アジアサーキットを見てアイチのファンになり、カードファイト部の入部試験を受ける。石田ナオキとのヴァンガードファイトで彼を破り、四人目の部員となる。ナオキとは犬猿の仲でよくケンカしているが、互いの後ろを任せ合えるほどの信頼関係になっていく。
伊吹 コウジ (いぶき こうじ)
福原高校に通う男子。ヴァンガードファイターで、使用クランは「リンクジョーカー」。灰色の長髪で、武術の達人でもあり、空手の有段者。高校生になった先導アイチたちと福原高校で出会い、カードゲーム「ヴァンガード」を嫌っている言動を見せ、アイチには「気持ち悪い」と言い捨てていた。小学生時代の櫂トシキと三和タイシの同級生でもあり、当時の彼らにヴァンガードを教えていた。昔は明るくアイチと似た気弱な性格だったが、現在は荒んだ一匹狼と化している。福原高校に通っているが、一時期はヴァンガードから完全に離れていたため、ヴァンガード部にも入らず、生徒たちからはファイターと認識されていなかった。相手のヴァンガードのパワーと能力を封印するスキル「デリート」を持つユニット「デリーター」を採用したデッキを使用し、切札は「威圧する根絶者 ヲクシズ」。これらのカードが持つ謎の力「消去(デリート)」を使用する「根絶者(デリーター)」の能力を持ち、このデリートを受けた対戦相手はヴァンガードへの熱意や記憶を失い、カードとの絆を失ってファイターではなくなってしまう。新城テツからマークされていたが、彼や矢作キョウ、トシキなどの強敵ファイターを次々と蹴散らしてデリートしていき、人とカードの絆を奪う卑劣な行為がアイチの怒りを買うことになる。PSYクオリアゾンビと化したアイチともファイトしてデリートを仕掛けたが、惑星クレイの助けを受けた彼の反撃の前に敗れる。
ディスティニーコンダクター
立凪タクトの精神を乗っ取った謎の存在。カードゲーム「ヴァンガード」において、プレイヤーがユニットにライドするのとは逆の原理で、タクトに憑依(ひょうい)している。伊吹コウジと目的の一部が共通していることから、彼と出会ってすぐに共闘を持ちかけていたが、コウジ本人からは興味を持たれていなかった。タクトの精神を乗っ取ったあとは、彼を通してアイドルグループ「ウルトラレア」の三人もあやつり、PSYクオリアを感染させることでファイターたちをPSYクオリアゾンビにしていく。その正体は惑星クレイの支配を目論む「遊星ブラント」の支配者。地球を侵略すると共に、クレイにブラントの軍勢を送り込んでいた。ヴァンガードファイトでは、名称に「星骸(せいがい)」を含むユニットを採用したデッキを使用。ブラントの化身である「遊星骸王者 ブラント」や「遊星骸神 ブラントリンガー」を切札としている。
集団・組織
フーファイター
雀ヶ森レンを当主とする、カードゲーム「ヴァンガード」のカードギャング。レンを含む最強の四人は「AL4(アペックス・リミテッド・フォー)」と呼ばれている。対戦中のダメージをプレイヤーの手に電流を流すことで再現する「ヴァンガードファイターグローブ」を使った危険なファイトを奨励し、各地のカードショップを荒らし回っている。かつてレンと友人であった櫂トシキとはただならぬ因縁がある。レンが先導アイチに敗れたことで形骸化し、残ったメンバーは福原高校ヴァンガード部にて、ふつうのヴァンガードファイターとして活動している。
場所
惑星クレイ (わくせいくれい)
カードゲーム「ヴァンガード」の世界設定における舞台となる、地球とよく似た謎の惑星。ゲーム内では、プレイヤーは惑星クレイに降り立った霊体という設定になっている。高度な魔法と科学技術が両方とも発展しており、地球とはまったく異なる文明が発達している。また、神や悪魔、ドラゴンや妖精といった存在がごく当たり前に生きている。独自の文明を発達させたいくつもの国家に分かれ、各大陸を支配している。
その他キーワード
PSYクオリア (さいくおりあ)
カードゲーム「ヴァンガード」において、カードの声を聞いてデッキの流れを読む特殊な能力。ごく一部のヴァンガードファイターのみが覚醒している。過去に雀ヶ森レンが習得していたが、ヴァンガードを始めたばかりの先導アイチも、ヴァンガードファイトを重ねるうちにこの能力を覚醒させていった。さらに、本気のアイチとのファイトを通して櫂トシキも覚醒している。使用すると精神力や体力を消耗し、周囲からは一見ふつうにファイトしているように見えても、使用者は通常のファイトとは違うリアルな戦いのイメージを視認しながら戦うことになる。アイチが高校生になったあとには、対戦相手にPSYクオリアの力を感染させる「PSYクオリアゾンビ」が出現した。PSYクオリアゾンビになるとかなり好戦的になり、ゾンビ状態の相手に敗北した場合もゾンビと化す。
ヴァンガード
地球と似た惑星クレイを舞台とした大人気カードゲーム。プレイヤーはクレイに住む者たちを率いる「先導者(ヴァンガード)」となって、その光景をイメージしながら戦う。カードゲーム「ヴァンガード」による対戦は「ヴァンガードファイト」、そしてプレイヤーは「ヴァンガードファイター」と呼ばれている。ファイターはクレイに呼び出されたか弱い霊体で、クレイに住むモンスターやキャラクターである「ユニット」たちの先導者「ヴァンガード」に憑依(ライド)して、勝利へと導いていく。対戦は2名による一対一で、各自50枚のカードで構築したデッキを持ち寄る。ヴァンガードサークルに置かれヴァンガードとなったユニットは、このゲームの主人公であり、プレイヤーの分身として扱われる。相手のヴァンガードへの攻撃が成功すると、ダメージゾーンにデッキのカードが1枚ずつ置かれていき、先に相手のダメージゾーンを6枚にした方が勝利する。ユニットの中には攻撃をサポートする「リアガード」や、ヴァンガードを攻撃から守る「ガーディアン」などもあり、これらは手札からコール(召喚)できる。ユニットはいずれも「クラン」という軍や国家などに属しており、同じクランに所属するユニットでデッキを組むのが基本となっている。また、ユニットの持つアビリティや相性を考えて戦略を組むことでコンボなどが決めやすくなり、より有利に戦える。
書誌情報
カードファイト!! ヴァンガード 12巻 ブシロードクリエイティブ
第7巻
(2013-12-26発行、 978-4048994019)
第8巻
(2014-08-26発行、 978-4048994064)
第9巻
(2015-09-26発行、 978-4048994132)
第10巻
(2016-03-25発行、 978-4048994163)
第11巻
(2016-09-26発行、 978-4048994194)
第12巻
(2017-10-07発行、 978-4048994316)