概要・あらすじ
樵の息子グスコーブドリ(ブドリ)は、冷害による飢饉に襲われた故郷イーハトーブの森で両親を失い、妹のネリとも生き別れてしまう。それから仕事を転々と変えながらも自然災害から人々を守るための勉強を続けていた。あるときクーボー博士の紹介でブドリは火山局で働くことになり、人々を救うために肥料を空から降らせる技術を実現していく。
しかし27歳の時、再び冷害がイーハトーブを襲ってしまう。
登場人物・キャラクター
グスコーブドリ
イーハトーブの森で樵の息子として生まれ、父親のグスコーナドリとグスコーブドリの母、妹のネリの4人家族で暮らしている男の猫。樵のグスコーナドリは村が冷害による飢饉に襲われたある日、森の中へ突然出かけて帰らなくなる。グスコーブドリ(ブドリ)の母親も後を追って家を出てしまい、ネリとブドリは二人で家に残って暮らしていた。 ある日やって来た人さらいにネリがさらわれ、それを追いかけてブドリは家を出ることになる。家に帰れなくなったブドリは懸命に仕事に就くものの度重なる自然災害により仕事を転々とするうちに、クーボー博士の書く本に興味をひかれて学問を修めていく。 学問を通じ、自然災害に皆が対抗するすべを考えようと思った彼は、市に出てクーボー博士に直接会うことを決意する。後に火山局で働くことになったブドリは、沼ばたけの肥料を雨と一緒に降らせるための技術を実現していく。
グスコーナドリ
グスコーブドリとネリの父親。イーハトーブの森で樵をしていたが、住んでいた町が冷害による飢饉に襲われたある日、森の中へ突然出かけたまま帰らなくなる。
グスコーブドリの母 (ぐすこーぶどりのはは)
樵のグスコーナドリの妻でありグスコーブドリとネリの母親。グスコーナドリの後を追うようにして家を出ていってしまう。
ネリ
女の猫でイーハトーブの森で生まれたグスコーブドリ(ブドリ)の妹。父親のグスコーナドリとグスコーブドリの母、ブドリと一緒に4人家族で暮らしていた。住んでいた町が冷害による飢饉に襲われ、両親が失踪してからはブドリと二人で生活をしていたが、ある日家にやって来た人さらいに攫われてしまう。 攫われて3日後、牧場に置き去りにされてしまったネリは、そこの夫婦に拾われて養女として育てられる。その後火山局に勤めているブドリと再会を果たす。
クーボー博士 (くーぼーはかせ)
黒くて毛の長い、眼鏡をかけた猫。イーハトーブの学者で、不思議な発明道具を数多く作っている。市で無料の学校を一か月開いていた。田舎から出てきたグスコーブドリの知識に感心して、火山局の仕事を紹介する。潮汐発電所を建設し、ブドリが考えた空から肥料を降らせたるめの技術を一緒に手助けしていく。
人さらい (ひとさらい)
冷害による飢饉に襲われたイーハトーブの森にある村へ、餅を背負い籠に入れてやってきた人物。ネリを誘拐するが、3日後に彼女を牧場に置き去りにしたままどこかへ行ってしまう。
赤ひげの主人 (あかひげのしゅじん)
立派な赤ひげを生やした猫。イーハトーブで暮らす山師で、大きな沼ばたけで農業をしている元気な主人。グスコーブドリ(ブドリ)を働き手として6年間雇い、亡くなった息子の本をブドリに与えて農業の勉強をさせていた。
てぐす飼い (てぐすがい)
帽子をかぶった猫で、てぐす工場をもつ人物。工場では数人の働き手が雇われていて、グスコーブドリも仕事をしていた。楓蚕の幼虫の体内から絹糸線を取り出して作るてぐすを生産している。
ペンネンナーム
ひげを生やした猫。クーボー博士がグスコーブドリ(ブドリ)に紹介した火山局で働く老技師。イーハトーブにある火山の研究をしている知識豊富な人物で、ブドリの相談相手。
集団・組織
火山局 (かざんきょく)
『グスコーブドリの伝記』に登場する機関。ペンネン技師やグスコーブドリが勤めていて、イーハトーブじゅうの活火山や休火山の操作や観測を行っている。
場所
イーハトーブ
グスコーブドリ達が住む世界の名前。森や火山があり、自然災害が度々起こっている。イーハトーブとは原作者の宮沢賢治による造語。この世界では猫が人間のような暮らしをしている。
潮汐発電所 (ちょうせきはつでんしょ)
『グスコーブドリの伝記』に登場する発電所。クーボー博士が作っているイーハトーブの火山をつなぐように建っている建物。完成すればグスコーブドリが考えた、雨と一緒に沼ばたけの肥料を降らせる技術が完成する。