シリウスの痕

シリウスの痕

余命一週間のサイボーグである橘小夜子と、その調整師を務める弟の橘建。小夜子に残されたわずかな時間を精いっぱいに生きるため、刺客の追跡から逃げる2人を描くSFアクション。「月刊少年エース」に連載された作品。

正式名称
シリウスの痕
ふりがな
しりうすのきずあと
作者
ジャンル
サイボーグ
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世界観

本作『シリウスの痕』の世界は、好戦的な国家「シュワル」が原因でその周辺諸国は常に緊迫感に包まれており、闇市では銃火器が流通しているなど、戦争や紛争などの争いが身近にある状態となっている。その「シュワル」に対抗する存在として、軍事力すら有する巨大複合会社「アルビオン」がある。「アルビオン」は軍事産業に利用するためのさまざまな研究を行っており、人体実験すら辞さない非人道的な側面を持つ。また、そうした技術を利用して作り出したサイボーグたちを戦わせる賭博「闘犬」を非合法に開催しており、ブルジョワから一般市民に至るまでがこの賭博に熱中している。主人公である橘小夜子はこの「闘犬」に使用されるサイボーグとして自身の体を提供した過去を持つ。サイボーグとしての闘争心に覆われた本能と、人間としての理性を持つ小夜子。そして「アルビオン」と「シュワル」が争う背景が密接に絡みあって、本作の魅力を作り上げている。

時代設定

本作『シリウスの痕』の時代設定は近未来。だが、軍人たちが使用する兵器や銃火器はどことなく古くさい、現代で言う型遅れ品や骨董品が多い。それらは旧世紀の技術によって作られたものであり、好戦的国家の「シュワル」と巨大複合会社「アルビオン」が、互いに旧世紀の技術を復活させるためさまざまな研究を行っている。その結果、作中における最先端技術として、ジェット戦闘機やそれに搭載される誘導ミサイルなどが登場する。その一方で、サイバネティクス技術は現代では考えられないほどに進んでおり、橘小夜子をはじめとするサイボーグたちが作り出されている。過去、現在、未来の技術が混じり合った独特な時代設定が本作の魅力的な世界を構成している。

あらすじ

街道沿いの街にあるノミ賭博場へ、1人のコート姿の少女が訪れていた。バーテンであるカーチスはノミ賭博に不似合いなその少女に声を掛けるが、少女は大型モニターに映し出された「闘犬」のインターネット放送を見つめたきり一言も言葉を発さない。無視されているのか、と落胆するカーチスだったが、次の瞬間、警察がノミ賭博を検挙するために押し入ってくる。騒動に巻き込まれた少女が捕まりそうになるのを見たカーチスは、彼女を裏口へと案内しノミ賭博から逃げ出す。だが、街の人混みへと紛れた2人を、突然の銃撃が襲う。銃撃は少女を狙ったものだった。混乱するカーチスを尻目に、少女は迎撃するために身にまとっていたコートを脱ぎ去る。現れたのは、顔以外のすべてを機械仕掛けにした「闘犬」の鋼の体。刺客を返り討ちにし、燃えさかる炎の中に立つ少女を見たカーチスは、少女こそ「闘犬」において30連勝を達成し、「シリウス」の称号を受けながら自我を取り戻して脱走したという無敵の帝王「白の13番」であることに気付く。別れ際に、カーチスは少女に本来の名前を尋ねる。「シリウス」と謳われる少女は微笑みとともに、橘小夜子と名乗るのだった。

表現上の特徴

本作『シリウスの痕』では主人公である美しい少女、橘小夜子が醜悪とも言えるサイボーグの肉体を持って戦闘を行うという対比的な表現を用いているのが特徴となっている。小夜子は、戦闘において自身の肉体の損壊を気にせず戦う。そのため、戦闘ごとに腕や足、あるいは胴体が吹き飛ぶといった容赦のないダメージ描写がなされる。この表現はさまざまな意味を持ち、小夜子の体が改良され人間味を帯びていくにつれて、非道な戦闘サイボーグの損壊から、1人の少女が傷つくという描写へとスライドしていくこととなる。

作家情報

高田慎一郎は福岡県北九州市出身の漫画家。1994年にエニックス主催の第7回ビッグルーキー大賞で『ROUGH STONE』が佳作を受賞。これが「月刊少年ガンガン」平成6年3月号に掲載され、漫画家デビューを果たした。主にエニックスの雑誌で執筆していたが、のちにWebコミックサイト「COMICメテオ」にてWebマンガの連載を中心に活躍するようになった。過去の活動として、複数の作家が参加したクロスオーバープロジェクトである「ヒーロークロスライン」という企画に『青の橘花』という作品で参加していたことがある。その他、同人活動としてサークル「風鈴屋本舗」のオリジナルシューティングゲーム「ACLLA」の制作にも関わっており、同名の漫画作品としても発表している。

登場人物・キャラクター

橘 小夜子 (たちばな さよこ)

5年前、重体となった弟の橘建を救うため、脳以外のすべてを機械と取り替え、「闘犬」と呼ばれる競技で戦うサイボーグとなった少女。失っていた自我を取り戻したことを機に「闘犬」から脱走した。サイボーグの整備が行える医療艇に乗って各地を逃げ回っているが、機材が不足しているため脳の腐敗を防げず、あと7日間の命とされている。 戦車とも単体で渡り合えるほどの戦闘技能を有している。

橘 建 (たちばな たける)

黒髪の線の細い外見をした青年で、橘小夜子の弟。かつて「闘犬」で参加するサイボーグの整備を担当する調整士の見習いをしていたため、医療やサイボーグ技術の知識に長けている。その知識を活かし、小夜子のサポートを務めながら、同時に機械の体の整備から弾薬の補給までを行っている。体の大半に損傷を負う大怪我を負い生死を彷徨った過去がある。 手術には多額の費用が必要とされたが、小夜子のおかげで一命を取り留めた。現在でも、その後遺症で痛みを覚えることがある。童顔の美形で女の子受けが良く、桜坂音やアプリルといった少女に想いを寄せられている。

桜坂 音 (おうさか おと)

橘小夜子たちが立ち寄った街で、夜鷹を始めようとしていた15歳の少女。黒髪のロングヘアを三つ編みにまとめ上げた髪型をしている。過去の事件がトラウマとなっており、その際に弟を亡くしたことを認識できておらず、同時に記憶の一部も失っている。そのため精神的に不安定な状態にあり、幼なじみの美也子に心配されていた。幻覚の弟との生活費を稼ぐために夜鷹となることを決心し、その最初の客として橘建を選んだところ、小夜子と建を狙った襲撃事件に巻き込まれる。 のちに、建に対して恋愛感情を抱く。

蒼 燕双 (つぁん やんすぅん)

伝説の賞金稼ぎと謳われる飛行機乗り、ヘルハウンドのエンブレムを掲げた戦闘機パイロットの男性。2年前に行われたゴッドアロー紛争で戦闘機を駆り、14機を撃墜したとされている。父親が乗った戦闘機がトラブルに見舞われた際、住宅地への墜落を避けるために自身で撃墜したという過去がトラウマとなっており、それ以来銃弾を撃つことができなくなっている。 橘小夜子たちの医療艇とともにケフェル山脈上空で、反射加速実験機X-79とX-79B型に襲撃されるも、小夜子とともに協力して撃墜した。その時の交流は通信音声のみだったが、それをきっかけに小夜子に対して想いを寄せるようになる。

アプリル

サイボーグの研究をしていたインメルマンという人物の孫。色素の薄い長い髪をお下げの形で2つにまとめている少女。半年前に祖父が行方不明になったため、カプチェマルファの街で1人で暮らしていた。祖父の残した借金に追われており、借金取りと日常的に争っている。幼少期に重い病気にかかったことが原因で筋ジストロフィー症という、筋肉の病気を発症していた。 脳の腐敗を防ぐ処置を求めて訪れた橘小夜子たちと出会い、ともに行動するようになる。橘建に対して想いを寄せている。

ブリュンヒルデ

橘小夜子がハイドロ・フォビアを発動したことによって見えるようになった存在。とても小さく、耳の長いショートヘアの少女に羽の生えた妖精のような姿をしている。性格も妖精のように気まぐれ。同時に好奇心旺盛で、ことあるごとに小夜子にさまざまなことを尋ねる。主から5メートル以上離れることができないという制約があるため、いつも小夜子の周囲を飛び回っている。

ローズ・ブルーリア (ろーずぶるーりあ)

橘小夜子と同じ「闘犬」に参加していた人物。普段はシスター服を着込んだショートヘアの女性。「闘犬」の試合で小夜子に敗れたことをきっかけに自我を取り戻したが、その時の出来事がきっかけで脳に損傷を負った。結果、ウェルニッケ脳症という、脳に新しい記憶を刻むことができない病気にかかっている。現在は、外付けの記憶媒体を持ち歩き、それに記録することで記憶を維持している。 自分をこのような状況に追いやった小夜子のことを深く怨んでいる。

ヘルムヴィーゲ

ローズ・ブルーリアに搭載されていたハイドロ・フォビアの妖精。ブリュンヒルデと同じ存在で、掌ほどの大きさの小柄な少女に、羽の生えた姿形をしている。色素の薄い髪を自分の背丈ほどまで伸ばしている。ブリュンヒルデと比べ、落ち着いた物腰と性格。

ヴェルター・マルセイユ (ゔぇるたーまるせいゆ)

巨大複合会社「アルビオン」の代表を務める人物。中年の男性で、オールバックの髪型をしている。人嫌いで、秘書の女性を除き人間を側に置きたがらない。人体実験も辞さない冷酷な性格。橘小夜子が橘建の命を救うために、自分の体と脳を売り渡した相手でもある。

カニンガム

橘小夜子の命を狙う襲撃者を率いる男性。丸い形のサングラスをかけ、無精ひげを生やしている。髪型は黒髪の長髪で、首元で1本に束ねている。部隊を全滅させた小夜子に執心しており、自分が選抜した兵士たちによる特務隊を新たに編成した。

カーチス

場末のノミ賭博場でバーテンを務めていた人物。褐色の肌の男性で、サイドを刈り上げたソフトモヒカンの髪型をしており、丸メガネをかけている。ノミ賭博場へ警察の一斉検挙が入った際、見物に来ていた橘小夜子とともに逃げ出した。のちに、街中で小夜子を狙う襲撃者との戦闘に巻き込まれるも、生き延びることに成功する。

美也子 (みやこ)

夜の街で夜鷹を生業に生計を立てている黒髪のロングヘアの女性。桜坂音の幼なじみの女性で、音が過去のトラウマから弟を失ったことを認識できずにいることを気にかけていた。弟のために生活費を稼ぐと夜鷹を始めようとする音に対し、それがきっかけでかつての音を取り戻せるならとサポートしていた。

パウル・ロッテ (ぱうるろって)

巨大複合会社「アルビオン」に所属する兵隊でカニンガムの部下。一等兵で特務隊の狙撃手を務めている。橘小夜子やローズ・ブルーリアに奇襲を仕掛けるため出動した。小夜子たちから子供扱いされるほど幼い顔立ちをしているが、年齢はすでに20歳。普段は少年のような柔和な表情を浮かべているが、狙撃銃のスコープを覗くと真剣な顔つきになる。

ハンス・シュヴルム (はんすしゅゔるむ)

巨大複合会社「アルビオン」に所属する兵隊でカニンガムの部下。大柄で色黒な男性。頭にバンダナを巻いており、丸メガネをかけている。部隊では主に通信手や偵察を担当しており、同時に広域電子攻撃など電子戦も行う。地元に妻子を置いてきており、3年間会っていない。実家は税理士を営んでいる。

ルドルフ・ハルトマン (るどるふはるとまん)

巨大複合会社「アルビオン」に所属する兵隊でカニンガムの部下。短く切りそろえられた髪の男性で、単純な性格をしており、仲間からは「バカ」とも評されている。その性格からか特務隊の突撃兵を務めており、勇敢な一面も持つ。任務中に腹部を撃たれて傷を負った時、衛生兵を担当していた桜坂音に看護されたことをきっかけに、彼女に恋愛感情を抱くようになる。

リック

小国「ビザン」の軍の北部方面隊第3機甲大隊に所属する軍人。オールバックの髪型をした中年の男性。大国である「シュワル」に単独で対抗する手段を持たず、大資本を有し独自の軍隊を所持している巨大複合会社「アルビオン」にすがっている。

エルルーン

カニンガム率いる特務隊が襲撃を仕掛けた軍事国家「シュワル」の軍事工場で偶然発見され、保護された少女たちの1人。ハイドロ・フォビアの実験のため、実験体として輸送されているところだった。特務隊がシュヴェルトライテが操るサイボーグの襲撃にあった際にパウル・ロッテたちと逃げ出し、以後行動をともにする。

セルゲイ

橘小夜子の命を狙う襲撃者グループの1人。カール、リヒャルト、隊長を含むグループ4人で行動していた。黒髪の長髪にニット帽をかぶっている。狙撃手を担当しており、ボルトアクション式のスナイパーライフルで小夜子を狙撃するも殺害に失敗。のちに、軽駆逐戦車で隊長とともに小夜子へ襲撃を仕掛けるも返り討ちにあった。

ゲルヒルデ

橘小夜子たちが襲撃を仕掛けた軍事国家「シュワル」の軍事工場で出会った妖精。迎撃に出て来たハイドロ・フォビア搭載のサイボーグと行動している。ブリュンヒルデと同様の存在で外見も瓜二つ。他人にも目視可能な半物質化第2段階と呼ばれる状態にあり、ブリュンヒルデよりもシステム的に成長している。

ジグルーネ

橘小夜子たちが襲撃を仕掛けた軍事国家「シュワル」の軍事工場で出会った妖精。迎撃に出て来たハイドロ・フォビア搭載のサイボーグと行動している。ブリュンヒルデやゲルヒルデと同様の存在だが、2人よりも若干、成長した女性の外見をしている。ブリュンヒルデからは「姉さん」と呼ばれていた。

シュヴェルトライテ

橘小夜子たちが襲撃を仕掛けた軍事国家「シュワル」の軍事工場で出会った妖精。特務隊が発見して保護した女性たちに紛れ混んでいた、ハイドロ・フォビア搭載のサイボーグと行動している。ツインテールの髪を輪の形にまとめた独特の髪型をしている。嗜虐的な性格をしており、女子供だろうと一切容赦をしない。

グリムゲルデ

橘小夜子たちが襲撃を仕掛けた軍事国家「シュワル」の軍事工場で出会った妖精。アプリルと瓜二つのサイボーグを操り、小夜子とローズ・ブルーリアへ襲撃を仕掛けた。癖のある長い髪を持つ少女の外見をした妖精で、小夜子やローズ、ブリュンヒルデやヘルムヴィーゲに対して高圧的な態度をとる。

ヴァルトラウテ

巨大複合会社「アルビオン」の本部へと襲撃を掛けてきたハイドロ・フォビア搭載のサイボーグに宿る妖精の1人。ショートヘアのボーイッシュな少女の外見をしている。オルトリンデとともにローズ・ブルーリアと戦う。相手を見下す性格をしており、終始、ヘルムヴィーゲとローズをあざけっていた。

オルトリンデ

巨大複合会社「アルビオン」の本部へと襲撃を掛けてきたハイドロ・フォビア搭載のサイボーグに宿る妖精の1人。短めの髪を後ろで1本にまとめた少女の外見をしている。アルビオン救援のために駆け付けたローズ・ブルーリアとヘルムヴィーゲに遭遇した際には、2人を小馬鹿にし、挑発するような言動を重ねていた。

ロスヴァイセ

巨大複合会社「アルビオン」の本部へと襲撃を掛けてきたハイドロ・フォビア搭載のサイボーグに宿る妖精の1人。ウェーブのかかった長い髪の少女の外見をしている。アプリル、ヴェルター・マルセイユ、マルセイユの秘書の3人を人質に取って、アルビオン救援のために駆けつけた橘小夜子と対峙した。他の姉妹たちと同様に、ブリュンヒルデのことを下に見る傲慢な性格をしている。

集団・組織

アルビオン

世界に大きく根を張る巨大な複合会社。「闘犬」と呼ばれるサイボーグ同士の戦闘を対象とした賭博を非合法に主催している。他にも、さまざまな軍事技術や医療技術に手を染めており、有益なサンプルを手に入れるために、人体実験を繰り返す非道な一面を持つ。企業ながら軍隊を保有しており、下手な小国よりも軍事力がある。

シュワル

巨大な軍事国家。好戦的な国で、2年前に行われたゴッド・アロー紛争をはじめ、他国に対して侵略戦争を繰り返している。軍事技術で他国を凌駕しており、旧世紀に失われた技術を復活させ戦場に持ち込んでいる。巨大複合会社「アルビオン」が有していたハイドロ・フォビアの研究を強奪した過去がある。

場所

カプチェマルファ

橘小夜子と橘建が目的地としていた都市。サイボーグの研究を行っているインメルマンという人物がいるとされる。国に禁止されながらも、事実上黙認された形で「闘犬」の興行が開かれており、そのためのスタジアムが存在している。アプリルの地元にあたる。

その他キーワード

闘犬 (どっぐふぁいと)

脳以外のすべてを機械に取り替えたサイボーグ同士を戦わせるショーのこと。賭博が行われており、莫大な額の金が動いている。ランクが存在しており、最高ランクはカッツバルゲル級と呼ばれる。カッツバルゲル級の「闘犬」はごく一部の金持ちしか参加することのできない上流階級限定の賭博で、1回の戦闘のために街を丸ごと複製したりするほどの大規模なものとなる。

ゴッド・アロー紛争 (ごっどあろーふんそう)

2年前に行われた紛争。旧世紀の核兵器が発掘されたことに端を発して行われた紛争とされている。実際は、ハイドロ・フォビアのシステムを起動させるために必要な9つの「欠片」が原因で行われた紛争であり、各国による争奪戦が行われた。

医療艇 (いりょうてい)

高度な医療設備を持った船。狭義には橘小夜子や橘建が自分たちの拠点にしている船のことを指す。箱のような形をした家ほどの大きさもある船で、飛行機能を有している。また、外部から操作することも可能で、緊急時には小夜子や建のもとへと呼び寄せることもできる。内部には一般に流通されていないレベルの、高い技術力によって整備された医療設備が完備されている。 そのため最先端技術の使用されたサイボーグである小夜子の体の整備を行うことも可能。しかしそれでも設備が足りず、小夜子の脳の腐敗を防ぐことができずにいる。

反射加速実験機 (はんしゃかそくじっけんき)

巨大複合会社「アルビオン」が実験していた、新型の戦闘機。人間をパイロットとして乗せておらず、代わりに脳だけを積んでいる。外部センサーの代わりに、稼働する瞳を幾つも機体の周囲に搭載しており、全方位を監視することが可能。他に、失われた技術である誘導ミサイルを搭載している。また、パイロットを乗せていないため常識外れの機動ができるなど、既存の戦闘機の能力を凌駕している。 単座式のX-79の他、脳を2つ積んだX-79B型が存在する。

エッジ・オブ・ファントム (えっじおぶふぁんとむ)

橘小夜子の両腕に搭載されている、実体を持たないレーザーブレードのような形状の兵器。小夜子の腕ほどの長さを持つ。使用する際には、手首のパーツが展開し手の甲側に照射されブレードを形作る。新型の軽駆逐戦車の装甲を簡単に切り裂くほどの性能を持っており、「シリウス」の異名とともに小夜子の代名詞とも言える武装となっている。

ハイドロ・フォビア (はいどろふぉびあ)

橘小夜子とローズ・ブルーリアに試験的に搭載されたサポートシステム。「狂犬病」という意味合いを持つ。17の視覚情報と8つの聴覚の処理能力を有しており、発動すると情報認識を最大限まで高め、周囲の動きがスローモーションのように知覚できるようになる。また、同時に自身の身体能力も大幅に強化され、超高速で動き回ることが可能となり、最終的には物理法則すら超越するとされるオカルトじみたシステム。 発動条件が未だに確定されておらず未知数な部分が多い。ハイドロ・フォビアのシステム自体に気に入られなければ発動できないと言われている。

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