超犬リープ

超犬リープ

シェパードを改造した高性能のロボット犬のリープが、多彩な武器と能力を駆使して悪に立ち向かうSFロボットアクション。全編においてシリアスなタッチの作品だが、楽屋オチ的なコメディリリーフとして、作者と原作者が登場する場面がある。「月刊まんが王」1965年10月号から1967年8月号にかけて連載された。

正式名称
超犬リープ
ふりがな
ちょうけんりーぷ
原作者
平井 和正
漫画
ジャンル
サイボーグ
 
アクション
関連商品
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あらすじ

第1巻

本部からの司令を受けたリンツ伯爵が率いるMMM団一味は、牧博士を脅して、彼が発明した人工地震装置を兵器に転用した地震砲を完成させる。牧博士は娘と共にアジトから脱走するが、追跡して来たMMM団一味に捕まってしまう。そこにロボット犬のリープが現れ、危機一髪で二人を救い、リープは二人を警視総監の田中善右衛門の自宅に避難させる。MMM団一味はレーザー光線砲を使って総監の屋敷ごと破壊しようとするが、リープの活躍によって一味は撃退され、団員達は捕縛される。田中総監は牧博士によって、MMM団が地震砲を使って世界中にテロを起こす、という策略を知らされる。しかし、MMM団一味は警視総監の息子の田中次郎を人質に取り、リンツ伯爵は警察に牧博士らの引き渡しを迫る。さらにリンツ伯爵は、警察が要求に応じなければ東京を地震砲で壊滅させると脅迫する。リープはMMM団のアジトに乗り込み、次郎を無事救出。アジトを警察に包囲されたリンツ伯爵は地震砲で対抗しようとする。リープは敢然と立ち向かい、MMM団に決死の戦いを挑むのだった。(第1話「恐怖の地震砲」。ほか、2エピソード収録)

第2巻

リープは、ジャベル博士が指揮を執るMMM団のアジトに忍び込むが、ジャベル博士が仕掛けた罠にかかって捕縛された。そして、MMM団に拘束されていたリープの生みの親であるオビ技師によって電子頭脳を抜き取られてしまう。そしてジャベル博士は、死期が迫った大首領のラインハウゼンの命令によって、彼の脳の記憶をすべて電子頭脳に転換する外科手術を決行する。手術が失敗すれば、MMM団メンバーの身体に埋め込まれた爆弾が爆発し、水爆によって東京は壊滅するという恐ろしい事態が待っていた。ヨーロッパ一の名医を自称するジャベル博士とオビ技師の尽力で手術は見事成功し、MMM団の首領は電子頭脳となって蘇る。しかし、ジャベル博士はすぐに反旗を翻し、MMM団の乗っ取りを宣言。こうしてMMM団のメンバー同士による激しい戦闘が発生する事となるが、その混乱の中、オビ技師によって蘇ったリープがジャベル博士に立ち向かう。ジャベル博士はヘリコプターでアジトを脱出するが、リープは飛行して彼を追跡する。(第4話「偽のエコー」。ほか、4エピソード収録)

登場人物・キャラクター

リープ

SF社によって作られた高性能のロボット犬。ふだんの姿は大型のシェパードだが、攻撃時に鋼鉄製のロボットに変身する。小型電子頭脳によって、善悪を判断し、人間と会話や筆記も可能。両耳には高性能の集音器があり、両眼はサーチライトとなり、鋼鉄も嚙み砕く牙を持つ。口からは金属を溶かす強酸や強烈な光を放つフラッシュ弾を発射し、背中に収納された両翼で飛行も可能。

田中 次郎 (たなか じろう)

田中善右衛門の一人息子。父親の秘書的な役割を担う少年。リープの飼い主として、悪漢にも完全と立ち向かう、正義感が強い勇敢な性格。格闘技の心得があり、大の男を投げ飛ばすほどの腕前を誇る。

田中 善右衛門 (たなか ぜんうえもん)

日本国の警視総監を務める中年男性。大邸宅にて一人息子の田中次郎と二人暮らし。警察庁のトップとして采配を振るうが、難敵には次郎とリープの手を借りる事が多い、たびたび自宅の階段から転げ落ちる、というせっかちな性格を次郎からたしなめられている。

リンツ伯爵 (りんつはくしゃく)

MMM団のリーダーを務める男性。岸壁の建物をアジトとし、地震砲を使って東京の破壊を目論んでいる。爆破スイッチが仕込まれた鞭を持ち、手下を脅しながら作戦を遂行しようとする冷酷な性格の持ち主。

牧博士 (まきはかせ)

地震研究を専門とする男性科学者。地震予知の研究のため人工地震装置を発明するが、MMM団の陰謀によって地震砲という大量破壊兵器を作らされる羽目となる。娘の牧千波と共にMMM団のアジトを脱出し、生命の危険にさらされる。

牧 千波 (まき ちなみ)

牧博士の愛娘の少女。MMM団のアジトに軟禁されていたが、父親と共に脱走した事で生命の危険にさらされるようになる。正義感が強く、勇敢な性格で、田中次郎の親しい友人となる。

コルバート博士 (こるばーとはかせ)

SF社に研究員として勤務する男性科学者。クルップ兄の指示により、リープを解体して構造を調べるという任務に就く。

クルップ兄 (くるっぷあに)

SF社の幹部の男性。自分と瓜二つの容姿をした双子のクルップ弟と共に、リープを捕らえて破壊するために日本に派遣されて来た。冷淡で残酷な性格の持ち主。

クルップ弟 (くるっぷおとうと)

SF社の幹部の男性。自分と瓜二つの容姿をした双子のクルップ兄と共に、リープを捕らえて破壊するために日本に派遣されて来た。兄の命令には忠実に従い、邪魔者は容赦なく殺害する、という冷淡で残酷な性格の持ち主。

ホッホマイヤー

MMM団のメンバーの男性。出世欲が強く、仲間と共に冷凍弾を使ってリープを破壊し、手柄を立てて幹部に昇進しようと企む。作戦に失敗し、クリップ兄から激しい叱責を受け処刑されそうになった際には、みっともなく命乞いをしてまで助かろうとするなど、卑屈な性格の持ち主。

オビ技師 (おびぎし)

SF社で技術部長として勤務していた男性科学者。優秀な頭脳を持つ天才で、娘のエコーの愛犬の死後、死体を改造してロボット犬のリープとして蘇らせる。SF社から脱出後は自暴自棄となり、町外れの老朽化した館で酒に溺れる自堕落な生活を送る。

エコー

金髪の美しい少女。オビ技師の一人娘。小児マヒのため幼い頃から両脚が不自由で、松葉杖を使って生活を送っている。シェパード犬を愛犬とし、父親からは溺愛されて育つ。

少女 (しょうじょ)

サーカス団の団長の娘。幼い頃からサンダーをかわいがっていた。一途な性格だが、サーカス団が潰れた際にサンダーと離別。その後は電気も水道もない橋の下の粗末な掘っ建て小屋で、病気の父親と二人きりで貧しく暮らしており、生きる意欲をなくしている。

サンダー

元はサーカスで飼われていた巨大なトラ。宇宙開発研究所が製造した特殊な合金で作られた銀色に光る宇宙服を身につけており、ライフルの銃弾も歯が立たない。研究所から脱走して人々を恐怖のどん底に陥れる。

ラインハウゼン

MMM団の大首領を務める初老の男性。手下からは「御前」と呼ばれている。団のメンバー全員の身体に爆弾を埋め込む手術を施し、反逆者はリモコンスイッチで爆発するという残忍な性格。末期ガンを患って死期が迫っており、不老不死となる事を願っている。

ジャベル博士 (じゃべるはかせ)

MMM団の大幹部を務める男性。ヨーロッパ随一を自称する名医でもあり、整形手術で人の顔を思いのままに変える事ができる。目的のためには手段を選ばず、ラインハウゼン亡き後の大首領の座を狙う野心家。

魔犬 (まけん)

ドーベルマンを改造した戦闘型サイボーグ犬。リープに対抗する目的でジャベル博士によって同じ型が3体作られた。すばやい動作で敵の攻撃をかわし、ダイヤモンドより硬い人工物質で作られた牙で相手を嚙みちぎる。

マリア

SF社で勤務する女性科学者。機械工学の天才で、オビ技師の助手となって人体の脳を人工頭脳に交換する難手術を行う。金髪の白人美女で、オビ技師を強く尊敬している。

テトロフ

MMM団の大幹部を務める男性。巨体で、禿げ上がった頭に鋭い目つきをしている。作戦に失敗したジャベル博士を死刑執行から救い、彼を利用して目的を遂げようとする。

未来人 (みらいじん)

70世紀の未来に生きる女性。タイムマシンに乗って5000年後の未来から現代の世界にやって来る。自分の姿を醜くした現代人に対して激しい憎悪の念を抱いている。

田西 具吉 (たにし ともきち)

世界一を自称する老科学者の男性。背は低く、ハゲ頭に白ヒゲの冴えない風采だが、物質を重力から開放するという反重力装置を発明する。だが、そのおかげで妨害同盟が雇った殺し屋達に命を狙われている。

桑田 次郎 (くわた じろう)

漫画家の青年。原作者の平井和正とコンビを組んで連載少年漫画を書いている。「へたくそな漫画家」という風評もあるが、1年分の原稿を描き上げてしまい、平井をせかせるほどに仕事のスピードは速い。作者の桑田次郎がモデル。

平井 和正 (ひらい かずまさ)

漫画原作者の青年。漫画家の桑田次郎と組んで連載少年漫画の原作を執筆している。桑田のツッコミに対してダジャレで返したり、酔っ払って公衆電話を公衆便所と間違えるというお茶目な一面がある。原作者の平井和正がモデル。

アニマ

遠い宇宙から飛来して来た生命体。大昔には優れた文明を持った生物だったが、やがて精神を肉体に切り離す事に成功する。しかしその反動で、精神だけが宇宙をさまよっている。自動車や彫像など生物以外の物質にとりついて暴れまくり、人間社会に大きな災厄をもたらす。

集団・組織

SF社 (えすえふしゃ)

アメリカの大手企業。最新の施設と設備を有し、表向きには宇宙ロケットの製造で知られている。しかしその実態は、世界中から優秀な科学者を強引に拘束し、極秘裏にさまざまな新型兵器の開発と製造を行う死の商人。MMM団をはじめとする複数の秘密の地下組織を擁している。

MMM団 (すりーえむだん)

SF社傘下の地下組織。あらゆる非合法活動を行う闇の実行部隊。その名は「軍隊」「殺人」「狂気」を意味する三つの英単語の頭文字から取られている。SF社の要求に応じない者や反抗する組織や人物を、最新鋭の秘密兵器を駆使して抹殺しようとする。

妨害同盟 (ぼうがいどうめい)

ある大企業が世界中の富を独占する目的で作った闇の組織。自分達の利益を損なうような発明や発見を闇に葬るためには手段を選ばない。逆らう者には殺し屋を差し向けて、抹殺を謀ろうとする反社会的な組織。

場所

モビィディック

MMM団が所有する巨大な原子力潜水艦。団の総本部を兼ねている。大首領のラインハウゼンの指揮のもと、世界の海を航海しながら、団員にあらゆる非合法活動を指示するための動く司令塔でもある。

その他キーワード

地震砲

SF社が開発した新型兵器。牧博士が地震研究のために発明した人工地震装置を転用して開発された大量破壊兵器。照射区域と震度を入力する事で、場所と規模を選ばず自在に人工地震を起こせる。

冷凍爆弾

SF社が開発した新型兵器。携帯可能な小型爆弾で、目標に向かって投擲し、爆発させると一瞬で零下150度になり、どんなものでも瞬時に凍らせる。

メーザーガン

SF社が開発した新型兵器。クルップ兄が用いる。マシンガンの形をしており、銃口から発射された光線が人に命中すると、身体がしびれて動けなくなる麻酔銃の働きをする。電子機械に命中すると計器を狂わせ、ジェット機も墜落させる事が可能、という危険度の高い銃器。

超音波ナイフ

SF社が開発した武器。クルップ弟が用いる万能型ナイフ。見た目は普通のナイフだが、鋼鉄でもまるで豆腐のように切り裂く事が可能。

タイムマシン

70世紀の世界に棲む未来人が利用するタイムトラベル用のマシン。巨大な逆さ徳利のような形状をしており、上部には複数のアンテナ状の突起がある。攻撃用兵器を装備しており、何でも溶かす怪光線を発射する。現代の戦車でもまったく歯が立たない。

反重力装置 (はんじゅうりょくそうち)

田西具吉が50年の歳月をかけて発明した最先端装置。この装置をリモコンで操作し、重力の干渉を排除して周辺の物体を空中に浮かび上がらせる事が可能となる。ただし、その反動で時空を歪めてしまうという副作用がある。

クレジット

原作

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