二人の恋愛成就を阻む「卓球告白法」
「卓球告白法」は、10年ほど前に当時の総理大臣だった大泉洋一郎によって制定された法律で、「タッコク」の略称で呼ばれている。この法律は、好意を寄せている相手に卓球勝負を挑み、試合に勝利すれば相手の意思に関係なく恋人同士になれるというもの。また、既にカップルが成立している相手に勝利すると、その相手を横取りすることも可能で、この行為を「略奪タッコク」と呼ぶ。卓球に負けても再度挑戦できるが、同じ相手に30連敗すると、半年間はその相手への申し込みが禁止される。この法律の施行により、日本人は10年前とは比較にならないほど卓球の技術が上達したといわれている。丸の内ガクと珠野カコは、幼い頃から相思相愛の仲だが、この法律に阻まれて正式に交際できずにいる。
人間離れした能力を持つライバルたち
帰国子女のガクに卓球勝負を挑んでくる相手は、高温の打球をあやつり「道頓堀のイフリート」の異名を持つ堂島ヒカリや、鋭い視線で相手の集中力を削ぐ超眼力の持ち主・雲柳寺サイゾー、イタコの家系で霊的な能力を用いる社モモコなど、さまざまな必殺技を駆使するライバルが現れる。ガクは彼女たちに卓球勝負を申し込まれるが、経験不足からたびたび苦戦を強いられる。それでも、海外で培ったさまざまな特技と生まれつき備わっている天才的な才能を駆使して勝ち続けるが、それはガクにとって前途多難な生活の幕開けとなる。
地球規模で展開される「AAA計画」
総理大臣の大泉や、父親のノイの意向で流星中学校からAAA学園に転校したガクは、「卓球告白法」が制定された理由が「AAA計画」と呼ばれる計画を遂行するためであることを知る。現在、地球はある異星人による侵略危機にあり、地球の資源と異星人の技術を賭けてスポーツで勝負することをせまられていた。すると大泉は、もともと好きだった卓球で異星人に対抗することを宣言し、全人類の卓球レベルを上げるための足掛かりとして、秘密裏にAAA計画を立ち上げたのだという。対する異星人も、地球人が本気で卓球に取り組んでいる姿を目の当たりにし、これに対抗すべく地球に潜入して卓球を学ぶため、異星人を送り込む。
登場人物・キャラクター
丸の内 ガク (まるのうち がく)
流星中学校に通う2年生の男子。年齢は14歳。自ら方程式を生み出したり、8歳の頃にマサチューセッツ工科大学で運動力学を学んだりするなど、並外れた才能の持ち主。一方で、海外生活が長かったことから、やや世俗に疎い一面を持つ。母親とはすでに死別しており、大道芸人の父親・丸の内ノイと共に暮らしている。幼い頃、珠野カコとなかよくなるが、ノイの仕事の都合で海外に移住することになり、別れ際に「自分から告白して交際する」と約束を交わす。そして、帰国後にカコの通う流星中学校に転入し、約束を果たそうとするも、「卓球告白法」の弊害により、カコに卓球勝負で勝たない限り交際を申し込めないことを知る。帰国するまでは卓球の経験も知識も皆無だったが、ライバルたちとの対戦を通じて実力を磨いていき、やがて「オルドライブ」と呼ばれる決め球を身につける。額に十字型の傷があるが、これはアフリカでヌーの大群と接触した時につけられたもの。
珠野 カコ (たまの かこ)
流星中学校に通う2年生の女子。年齢は14歳。明るく前向きな性格で、男女問わず人気がある。成績は芳しくないが運動神経抜群で、卓球の腕前も日本トップクラスの実力の持ち主。決め球の一つである「ビッグバンクラッシャー」は、球が触れた物体をはるか彼方に吹き飛ばすほどの破壊力を誇る。ほかにも、空中で球がジグザグに動く「ギザギザぽてち」や、ネコが跳ねるように激しくカーブする「こねこっちスライダー」など、物理法則を無視した魔球を使いこなす。幼なじみの丸の内ガクとは相思相愛の関係で、海外に引っ越したガクと将来を誓い合っているため、ほかの男子から申し込まれた卓球に勝ち続けて交際を断っている。そのため、卓球勝負でいっさい手の抜けない体質となり、ガクから申し込まれた卓球勝負もいっさい手加減なしに勝利した。