パートナー

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平和に暮らしていたはずの高校生たちが、ある日を境に非日常的な世界へ。監禁された研究所から無事に生きて帰れるのか。生と死をテーマに描かれたシリアス・ストーリー。

正式名称
パートナー
ふりがな
ぱーとなー
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

桜沢苗桜沢萌は一卵性双生児の高校2年生。同じ高校で知り合った添田武添田賢もまた双子の兄弟で、4人はすぐに意気投合し、仲良くなる。そのうち、賢と萌は付き合うようになるが、実は苗も密かに賢のことが好きだった。ある日、萌が苗の気持ちに気づいていたことを知り、動揺した苗は萌にひどい言葉を投げつけてしまう。

次の日、2人は互いに早めの誕生日プレゼントを買って仲直りするつもりだったが、萌が交通事故にあって亡くなったことにより、それは果たされなかった。突然の悲しみから少しずつ立ち直る3人の前に、死んだはずの萌が現れる。

登場人物・キャラクター

桜沢 苗 (おうさわ なえ)

桜沢萌の双子の姉。剣道部に所属する有段者で忍耐強いしっかり者。添田賢のことが好きだったが、萌が賢と付き合うことになったためあきらめる。無邪気で天真爛漫な萌と比べられ、自分の気持ちに素直になれずコンプレックスを抱いている。自分のことを想ってくれる添田武のことは決して嫌いではないが、チャラチャラしているところは気に食わない。

添田 武 (そえだ たけし)

添田賢の双子の弟で陸上部に所属。実力はあるが、あまり真面目に練習しない。桜沢苗のことが好き。中学のころは彼女がたくさんいたが、自分から好きになったのは苗が初めて。桜沢萌と賢が付き合い始めた頃に苗がつらそうに1人で耐えているのを見て、身体を張ったギャグで元気づけようとする。

添田 賢 (そえだ けん)

添田武の双子の兄。小学3年生の時に母が亡くなって以来、料理オンチの武や父親に代わって炊事を引き受けるしっかり者。おっちょこちょいの桜沢萌のことを心配しているうちに、好きになる。萌が亡くなってから深く落ち込んでいたが、ようやく立ち直ってきた頃に、生きている人間剥製であるL・S・Pとなったモエと遭遇する。その後研究所に閉じ込められ、モエと接しているうちに生きていく気力を奪われてしまう。

桜沢 萌 (おうさわ もえ)

桜沢苗の双子の妹。おっちょこちょいで、朝寝坊の常習犯。天真爛漫でいつも明るく、憎めないキャラクター。苗と仲直りしようとプレゼントを買うために寄り道していたところ、交通事故にあい亡くなってしまう。その死体を研究所に盗まれ、L・S・Pにされてしまう。L・S・Pとなった彼女は、自らを「モエ」と名乗る。

東条 光臣 (とうじょう こうしん)

細胞生物学、生体工学、電子工学、その他さまざまな科学を修めた科学博士。超人的な天才で、世界のあらゆる科学開発研究のブレインとして招かれるほど。死体を生前により近い姿で復活させるL・S・Pの研究をしている。倫理観に欠けていて、死体を盗むことやそれを使うことをなんとも思っていない。実の妹である澄華を愛し、それを止めようとした父を殺す。 美しいものが好きで、澄華の遺体を大切に保存している。

澄華 (すみか)

東条光臣の二卵性双子の妹。東条のことは遠縁の親戚だと思っており、双子の兄とは知らない。尊敬している東条の愛を受け入れてから、実の兄妹と知ってショックを受ける。2人を引き離そうとした父を東条が殺したことに絶望し、自ら毒を打って亡くなる。

野口 冴子 (のぐち さえこ)

東条光臣の秘書。怒るとムチを振り回す怖い人だが、実は密かに、添田賢が東条に操られ始めていることや、賢が死亡して遺体をL・S・Pにされた時の情報をメモにして、桜沢苗と添田武に伝えた。澄華の親友であり、自ら毒を打つほど澄華を追いこんだ東条博士を憎みながらも、心から尊敬している。死体を使うくらいなら自分を使って欲しいと懇願するが、美しいものを好む東条から拒絶された。 それでも最期まで東条のそばで命を捧げる。

セイタ

L・S・Pの最初の成功例で人工知能のレベルはかなり人に近い。死滅した細胞を蘇らせる代わりに、生きた人間は触れただけで死んでしまうというm・vが体内から染み出し、苗たちの目の前であっけなく処分される。処分される直前に、生きていた頃の意識を一瞬だけ取り戻す。

キャリー

L・S・Pの2体目の成功例。人をつかまえては口癖のように「わたし美しい?」と尋ねてくる。生前は普通の日本人の女の子だったが、自分の醜さを悲観して自殺してしまう。憧れていた外人モデルの顔に整形してもらい、そのモデルの名前を付けられる。

トシアキ

L・S・Pの3体目の成功例。生きていた臓器を使い、モエとの間に人工授精で子供を作る。キャリーが暴走した時に頭を殴られ、適切な処置をしてもらえなかったために傷口からm・vが染み出してしまう。

岩垣 (いわがき)

交通事故により8歳で亡くなった愛息の星太を生き返らせたいと願い、東条博士に協力する。その結果、生まれたのがセイタである。m・vが発生したセイタを自らの手で処分した。その後、研究所の実験に疑問を覚え、クーデターを計画する。

中津 (なかつ)

研究所に閉じ込められた桜沢苗が情報を聞き出そうとした相手。他の所員たちに比べ、わりと口が軽い。苗が隙を見せた途端に欲情して襲いかかるが、剣道有段者である苗にパイプで撃退される。

吉野工場長 (よしのこうじょうちょう)

桜沢苗、添田武たちの同級生である吉野の伯父。なにも知らない甥を使って苗たちを研究所におびき寄せようとする。東条光臣に、研究所として自分の工場の土地を譲った。外国の軍隊にm・vを売り、世界を自分の手で動かすという野望を抱くが、やりすぎて東条の怒りを買ってひそかに消される。

L・S・P (えるえすぴー)

Living Stuffed People(ライビング・スタッフド・ピープル)の略。直訳は「生きている人間剥製」。人間の死体を使って造りだしたアンドロイド。極力機械は取りこまず、使える生体器官はそのままに、より生前に近い形で復活させている。脳は眠っている状態だが生きているので、生前の性格や性癖が残ることもある。

場所

大花製薬 研究開発センター 山陰工場

もとは製薬工場で、現在も一応その作業も行ってはいるが、数年前に「L・S・Pプロデュース・チーム」が工場全体を買収した。内部はA館、B館、C館に別れており、研究室はA館にある。工場内で外出が許されているのはほんの一握りの人間で、情報をシャットアウトするために行員約60名が一生をこの中で暮らす。世間の常識は通用せず、無法地帯。

その他キーワード

m・v (えむゔぃ)

mold・virus(モールド・ウイルス)の略。東条光臣だけが作り出せる特殊な菌。死滅した細胞を生き返らせる力があるが、その反対に生きた人間にとっては猛毒になる。触れただけで感染し、100%死亡する。

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