彼女が好きなものはホモであって僕ではない

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

同性愛者の安藤純は「ふつうの家庭と幸せ」を得たい気持ちから、クラスメイトで腐女子の三浦紗枝との交際をスタートさせる。しかし、紗枝との交際を通して、純は自分が同性愛者である事を痛感する事となる。そんな純の心の葛藤を描いたヒューマンドラマ。「COMIC BRIDGE online」2019年1月29日から配信の作品。

正式名称
彼女が好きなものはホモであって僕ではない
ふりがな
かのじょがすきなものはほもであってぼくではない
原作者
浅原 ナオト
漫画
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
BRIDGE COMICS(KADOKAWA)
巻数
既刊3巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

夏休みのある日、書店に立ち寄った安藤純三浦紗枝がボーイズラブ作品を購入しているのを目撃する。その事がきっかけとなり、純は紗枝の好きなボーイズラブ限定グッズの購入に付き合わされるなど、交流を深めていく。親しくなるうちに純は、紗枝が自分に好意を抱いている事に気づくが、純は同性愛者のために受け入れられないでいた。そんな中、純は高岡亮平から男女六人で遊園地に行かないかと声を掛けられる。そのメンバーには紗枝も入っており、当日も紗枝は純にアプローチを繰り返す。純は小野から「亮平は紗枝に好意を抱いているから、興味がないならふってくれ」と言われるものの、「ふつうの家庭と幸せ」を手に入れたい純は紗枝からの告白を受け入れ、二人の交際はスタートする。しかし純は男女交際の経験がないため、なにをしていいのかわからずにいた。次第に二人とのあいだには溝が生じていくものの、それでも紗枝は佐倉奈緒達とのダブルデートを提案する。デート先に選んだ温泉施設で純は恋人の佐々木誠と鉢合わせをし、紗枝に対するものとは異なる胸の高鳴りを覚える。

メディアミックス

小説

本作『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』は、浅原ナオトの小説を原作としている。浅原ナオト自身は同性愛者である事をカミングアウトしており、あえて本作のタイトルに差別的な意味を持つ「ホモ」を使用したと明かしている。原作小説は2019年4月20日から6月8日までNHKの「よるドラ」枠で、TVドラマ化されており、その際には『腐女子、うっかりゲイに告る。』にタイトルが変更されている。全8話。

登場人物・キャラクター

安藤 純 (あんどう じゅん)

高校2年生の男子。同性愛者で、友達には同性愛者である事は隠して生活している。異性と愛し合って「ふつうの家庭と幸せ」を手に入れたい気持ちを持つが、女性の身体を見ても下半身がまったく反応しない。しかし、恋人で既婚者の佐々木誠との関係に陶酔している。安藤純自身が性に関して深く悩んでいた際、イギリス出身のロックバンド「QUEEN」の音楽に救われ、以降大ファンになった。書店でクラスメイトの三浦紗枝が、ボーイズラブ作品を購入している場面を目撃し、それがきっかけとなり紗枝と親しくなる。紗枝から好意を寄せられる事に最初は戸惑っていたものの、紗枝の人間的な魅力に触れ、「ふつうの家庭と幸せ」を実現するために交際をスタートさせる。しかし紗枝との交際を通し、やはり自分は同性愛者である事実を突きつけられ、さらに苦悩する事となる。インターネットのブログを通じて知り合った同じく同性愛者のミスター・ファーレンハイトとは何でも話せる間柄で、純の思想にも大きな影響を与えている。

三浦 紗枝 (みうら さえ)

高校2年生の女子。安藤純と同じクラスに在籍している。美術部に所属しており、絵が非常にうまい。男性同士のボーイズラブ作品を好む、いわゆる「腐女子」。明るくノリのいい性格をしている。純とは書店でボーイズラブ作品を購入しているところを目撃された事をきっかけに親しくなる。友達として親しく接しているうちに純に好意を抱き、アプローチの甲斐あって恋人同士になるが、純が同性愛者である事には気づいていない。中学時代に腐女子であった事が周囲に明るみになった際、気持ちが悪いと避けられた過去を持つ。その事から、学校の友達には腐女子である事を隠している。

佐々木 誠 (ささき まこと)

安藤純と交際している社会人の男性。純からは「マコトさん」と呼ばれている。同性愛者でありながら、女性と結婚して子供も授かり、世間一般では異性愛者として振る舞っている。そんな自身の生活を「どっちつかずの卑怯なコウモリ」と卑下している。佐々木誠本人は詳しくは語っていないものの、息子に欲情している節があり、セックスの最中は純に自身を「父さん」と呼ばせたがる。ケイトによると、歴代の恋人はみんな若い男性だった様子。純と三浦紗枝の交際については好意的に受け止めている。

高岡 亮平 (たかおか りょうへい)

高校2年生の男子。安藤純と同じクラスに在籍している。純とは幼なじみの腐れ縁だが、純が同性愛者である事は知らない。学校では背後から純の股間を摑み、激しく揉んで驚かす行為を繰り返している。明るく人懐っこい性格で、スタイルもいい事から非常にモテる。しかし恋愛には奥手な事もあり、人一倍女性には興味があるものの、交際した経験はなく未だ童貞。三浦紗枝の事が気になっていたが、紗枝が純の事が好きだと知って静かに身を引き、二人に幸せになってほしいと望んでいる。純からは「交際はしたいとは思わないが、セックスはしたいと感じた事がある」と評されている。

小野 (おの)

高校2年生の男子。安藤純と同じクラスに在籍している。三浦紗枝に好意を抱いている高岡亮平が、紗枝の気持ちを尊重し、彼女が片思いしている純と交際できるように裏で尽力していることを知っている。純が紗枝に対して恋愛感情を抱いていない事を見抜いており、興味がないなら亮平と紗枝のためにもはっきりとふるべきだと、純に助言する。しかし、その話を無視して交際をスタートさせた純に対し、強い憤りを覚えている。鋭い観察力を持つが、純が同性愛者である事には気づいていない。交際中の彼女がおり、既に性体験も終えている。

ミスター・ファーレンハイト

安藤純の親友の男性。お互い顔は知らない。同性愛者で性別が男性という事以外、詳しいプロフィールも不明。恋人がAIDSを発症した事を機にミスター・ファーレンハイト自身も検査したところ、「HIVキャリア」である事が判明し、ブログに感染の経緯や日々を綴っている。のちにブログの読者であった純と直接連絡を取り合うようになり、以降はまるで親友のような関係を築いている。

佐倉 奈緒 (さくら なお)

三浦紗枝の友達の女子大学生。紗枝からは「姐さん」と呼ばれ、慕われている。紗枝とはインターネットの交流サイトを通じて知り合ったボーイズラブのファン同士で、佐倉奈緒自身もいわゆる「腐女子」。近藤隼人と交際している。安藤純に対してはかわいくてゲイ受けしそうと発言するものの、実際に純が同性愛者である事は知らない。

近藤 隼人 (こんどう はやと)

佐倉奈緒と交際をしている男子大学生。奈緒がボーイズラブを好む、いわゆる「腐女子」である事を知っており、イベントにも駆り出されている。しかし同性愛に興味があるわけではなく、むしろ気持ちが悪いと差別的な感情を抱いている。そのため、同性愛者に関しても間違った印象や知識を持つ。安藤純が同性愛者とは知らないため、純の前でも度々否定的な発言を繰り返している。

ケイト

新宿2丁目で喫茶店を営む女性。同性愛者。喫茶店は安藤純と佐々木誠の待ち合わせの場所として使われている。純がイギリス出身のロックバンド、QUEENのファンになるきっかけを作った人物。純が三浦紗枝と交際をスタートさせた時には、異性愛者を演じ続ける覚悟を決めるよう促すなど、純に対して親身に向き合っている。

クレジット

原作

浅原 ナオト

書誌情報

彼女が好きなものはホモであって僕ではない 3巻 KADOKAWA〈BRIDGE COMICS〉

第1巻

(2019-05-02発行、 978-4040657172)

第2巻

(2019-11-08発行、 978-4040641478)

第3巻

(2020-03-06発行、 978-4040645087)

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