概要・あらすじ
女性パイロットのキラ・ナルセは休暇中のある日、勤務先であるスカイ・アイ社長のナッシュに呼び出され、大型輸送船ブレーメンIIの船長に任命された。しかしその船の乗務員は、人類の行動範囲が拡大した24世紀の深刻な人手不足を解消するために生物工学や遺伝子工学を駆使して作られた動物たちだった。
登場人物・キャラクター
キラ・ナルセ (きらなるせ)
両親の影響で19歳にして宇宙飛行士になった女性。任務成功率「99.999999999%」と、9が11個並ぶほどの正確さを誇り「イレブン・ナイン」の異名を持つ。任務にあたっては厳格だが、アクシデントには部下の意見を尊重しながら臨機応変に対処する柔軟さを持つ。
ナッシュ・ユーイング・レギオン (なっしゅゆーいんぐれぎおん)
星間企業スカイ・アイ社の社長。幼い頃から社長になるべく厳しい英才教育を受け、世間からは「完全無欠の実業家」と呼ばれるが、その実はお菓子を愛する子供っぽい性格の持ち主。社長業務が多忙を極めるため、自分そっくりの影武者ロボット、ナッシュ・コピーが控えている。
ナッシュ・ユーイング・レギオンコピー (なっしゅゆーいんぐれぎおんこぴー)
スカイ・アイ社の社長ナッシュ・レギオンの影武者を務める超A級ロボット。性格は一般社会に広まっている「完全無欠の実業家」像を取り入れ、沈着冷静で厳格な社長を演じている。
アンブレラ
かつてキラ・ナルセが操る小型輸送船シュリンクスに搭載されていたが、今回キラ・ナルセの異動にともない大型輸送船ブレーメンIIの主任コンピューターに任命された。機体のナビゲーションから艦内のセキュリティに至るまで、ブレーメンIIのすべてを統括・管理している。
ディーター・モーゲンスターン (でぃーたーもーげんすたーん)
遺伝子工学と生体工学の権威で、深刻な労働力不足を解消するために研究を重ねて、動物を容姿や言語活動・思考力まで人間に近い存在に引き上げることに成功し、その年の社会に貢献した科学者を顕彰する「銀河賞」を与えられた。働く動物たちを「ブレーメン」と呼び、現在は彼らが労働技術を手に入れるための職業訓練所を開いている。
エルンスト・ヘルツォーク (えるんすとへるつぉーく)
複数の博士号を持つ天才科学者だが、早死の家系に生まれたため自らを強化改造するべく生体ナノマシーンの研究に没頭。モーゲンスターン博士のもとで働いていた驚異的な運動能力を持つ黒ヤギ、カインの能力を奪う。殺人と薬物使用の罪で逮捕されたが、護送中に刑務官らを皆殺しにして脱走、身分を偽りブレーメンIIに乗り込もうとするが正体を見破られて逃走を図る。
ダンテ
大型輸送船ブレーメンIIの副船長を務めるマウンテンゴリラ。実直な性格で心優しく、任務にも忠実だが、ときに上司であるキラ・ナルセの意図をくみとって行動する柔軟さも持ち合わせる。嘘をつくときに白目になる癖がある。
アベル
ブレーメンIIの艦内図書館の館長を務める白ヤギ。読書好きな穏やかな性格。黒ヤギのカインとはクローンの双子で、カインが近づけばその存在を感知することができ、その思考を読み取ることも可能になる。カインの能力を奪ったヘルツォークの中にカインの意識が残っていたため、彼をも感知できるようになる。
シャキール
ブレーメン第1期生のシベリアン・タイガーで、ブレーメンII乗組員にとって大先輩にあたり、尊敬を一身に受けている。人間のアレン・ハークネスとペアを組み連邦捜査官の任にあたり、ヘルツォークが生み出す新しい麻薬「天国の門」の捜査のためブレーメンIIに搭乗する。
呂 星韶 (るい しんしゃお)
山や川のかわりに天体や銀河を見て吉凶を判断する「宇宙風水師」。新しい星を開拓する時などに助言を行ない、「惑星開発公社」の最高特別顧問を務める。30年前に父がまれに見る良相として入植を勧めた惑星アスランが、立て続けに不幸に見舞われているのを見かねてブレーメンIIに乗船、アスランへ赴く。
リトル・グレイ (りとるぐれい)
身長60cmほどの人型宇宙人で、常に「くつくつ」と笑いながら意味不明な事を口走り、地球人とは会話がかみ合わない。そのため「地球人類が出会った唯一にして最悪の異星人」と呼ばれ、人間は彼らとのコミュニケーションを諦め、あえて無視するようになった。
集団・組織
スカイ・アイ社 (すかい・あいしゃ)
『ブレーメンII』に登場する企業。現社長はナッシュ・レギオンだが、先代社長である父の代には軍需企業として名を馳せたこともあった。平和を愛するキラ・ナルセの影響を受けて、現在は惑星間の運輸事業をはじめ宇宙全域に業務を拡大する星間企業となった。
場所
惑星カルナック (わくせいかるなっく)
『ブレーメンII』の舞台となる惑星。恒星バステトの第15番惑星。人口はおよそ3万人で、その全員が「インコ森羅教」という新興宗教の信者である。インコ森羅教信者たちは、信仰上の理由で科学文明や先端技術を避けて暮らしている。同じバステト星系の工業惑星セリカで観測されたニュートリノ・バーストの影響から脱出を促されるが、惑星代表エリシャ・イングラムはこれを拒否する。
惑星アスラン (わくせいあすらん)
『ブレーメンII』の舞台となる惑星。30年前に宇宙風水師、呂星韶の父親が最高の良相を持つとして開発を勧めた。開発を始めた直後に出現した衛星「ナイフの月」が凶相を招き、笑顔のまま死に至る謎の奇病に全人口の80%以上が感染してしまう。
惑星イザナミ (わくせいいざなみ)
『ブレーメンII』の舞台となる惑星。60年前に発見されたマホロバ星系の惑星で、宇宙でも特に貴重な希少金属「ネセサリウム」を蔵するため薄紅色に光っている。地球とよく似た惑星「イザナギ」との二重惑星で、この星に滞在する男性は生殖不能になるため、採掘作業は主に女性が担当している。
その他キーワード
ブレーメンII (ぶれーめんつー)
『ブレーメンII』の舞台となる宇宙船。星間企業スカイ・アイ社所有の大型輸送船。キラ・ナルセがキャプテンを務める。登録番号は「J-55-1386-KN」、西暦2306年8月15日に就航した地球船籍のドラゴンフライ型宇宙船で、全長1600m、最大全幅1120m。乗組員数は86名で、貨物スペース以外の船内には病院、図書館、食堂などの施設が充実している。