概要・あらすじ
平凡な男子学生市川は、頻繁に経験する既視感が超能力であると気付く。それを新聞を読むときに応用した結果、未来の出来事を知ることができるようになるのだった。しかし、ある日見た未来の新聞記事に、自分が遭難する記事が載っているのを見てしまう。予知能力を手に入れた少年と、身の回りで起こる出来事、事件、事故を描いたSF短編。
登場人物・キャラクター
市川 (いちかわ)
学生。最近頻繁に既視感を感じていたが、それが予知能力であることに気付く。それは立ちくらみなど、頭がボーッとしている時に起きる現象で、近い未来に起きる出来事を見ることができるものだった。そして市川は、新聞を読む時にその現象を利用することで、二日後までの未来予知ができるようになるのだった。 しかしある日、未来の新聞記事の中に、自分と宇土を含む友人四人が、ハイキングで出かけた富士山麓で遭難する、という内容を見てしまう。
宇土 (うど)
市川の友人の男子学生。体が大きく、大雑把で乱暴な行動と発言が目立つ。宇土と友人二人は、市川が止めるのも聞かず富士山麓へのハイキングを決行。市川も渋々ついていくが、予知を裏付けるように、宇土の発案で青木ヶ原樹海探検することになるのだった。
市川の叔父 (いちかわのおじ)
市川の父の弟で漫画家。兄の元によく金の無心に来ては小言を言われている。例のごとく市川の家を訪れた際に、甥の既視感の話を聞く。その内容を信じたわけではないが、関連していそうな事例を話し、市川の置かれている状況を理解するための手助けとなる情報を与えるのだった。
場所
青木ヶ原樹海 (あおきがはらじゅかい)
富士溶岩流の上に広がっている原始林。溶岩は磁鉄鉱を多く含んでいるため、方位磁石が役にたたない。そのため市川たち一行は、方角を見失い、遭難することになる。なお現実には、青木ヶ原樹海で方位磁石が役に立たないというのは俗説である。