概要・あらすじ
高校3年生の5月8日、阿良々木暦は校舎の階段を駆け上がる最中、階段を踏み外したクラスメイト、戦場ヶ原ひたぎをとっさに受け止めた。その際、暦は「体重が全くと言っていいほどない」という、ひたぎの秘密を知ってしまう。
放課後、暦の口内にカッターを突きつけ、ホッチキスを撃ち込み秘密を守るよう脅すひたぎであったが、暦は構わず協力を申し出る。その口内からは、既にホッチキスの傷は消え去っていた。
実は暦も、春休みに吸血鬼に襲われ、何とか人間へと戻れたものの後遺症として異常な回復能力が残るという特異な経験をしていたのである。その際に助けてくれた恩人、忍野メメの元へ行けばひたぎの抱える問題を解決できるかもしれないと考えた暦は、ひたぎをメメの居着く学習塾跡の廃墟へと連れて行く。
登場人物・キャラクター
阿良々木 暦 (あららぎ こよみ)
私立直江津高校3年の男子生徒。友達を作ることを避けているが、性格は優しく、お人好し。春休みに吸血鬼に出逢ったことをキッカケに一時は自らも吸血鬼化、現在でも驚異的な治癒能力を持つ「吸血鬼もどき」である。 身を差し出した吸血鬼そのものである忍野忍とは表裏一体の関係となっており、忍に血を吸われることで、一時的に吸血鬼としての能力を取り戻すことが出来る。また、怪異のスペシャリストである忍野メメともこの時の一件以来交流が有り、問題解決に際し提示された500万円の支払い義務があるほか、怪異に取り憑かれた少女たちを救うべく彼の元へ足繁く通うこととなる。
戦場ヶ原 ひたぎ
私立直江津高校3年の女子生徒で、阿良々木暦のクラスメイト。高校入学直前に怪異「おもし蟹」に行き遭い、体重を根こそぎ持って行かれ、5キロしか体重がない身体となっている。その事実を隠すべく、中学時代は陸上部のエースでありながら高校では病弱を理由に体育の授業等を回避。 周囲に壁を作っているために友達はいない。儚げな雰囲気を纒っているが、本性は毒舌家で嫉妬深く、その態度を指して暦からは「ツンドラ」と称されている。 階段から転落した際に受け止められたことで暦に体重に関する秘密がバレ、その時は手にしていたホチキスなどの文房具で脅しにかかるものの、結果として暦と忍野メメの手によって怪異から救われる。
千石 撫子 (せんごく なでこ)
阿良々木暦の母校である中学校に通う少女。極度の恥ずかしがり屋で、外出時には常に帽子を被っている。阿良々木月火とは幼馴染であり、そのため月火の兄である暦とも面識が深く、「暦お兄ちゃん」と慕うと同時に恋心を抱き続けている。 同級生との色恋沙汰からの嫉妬がキッカケで「お呪い」の呪いにかけられ、その結果として怪異「蛇切縄」に巻きつかれてしまう。
阿良々木 月火 (あららぎ つきひ)
阿良々木暦の下の妹で、中学2年生。姉である阿良々木火憐と仲が良く、2人合わせて「栂の木二中のファイヤーシスターズ」の通り名で知られている。毎朝のように火憐とともに暦を叩き起こしに来る他、次回予告では火憐とともにナレーターを務める。
忍野 メメ (おしの めめ)
派手なアロハシャツにボサボサの金髪という身なり、軽薄かつ皮肉に満ちた語り口で胡散臭さを醸し出す中年男性。その正体は日本中を放浪する怪異のスペシャリスト。現在は忍野忍とともに学習塾跡の廃墟に不法滞在している。 阿良々木暦たちへと何度も怪異への対処法を教え助力するが、人を助けることを善しと考えておらず、彼の力添えにより問題が解決しても全て「勝手に助かっただけ」と表する。
羽川 翼 (はねかわ つばさ)
私立直江津高校3年の女子生徒。阿良々木暦のクラスの委員長で、きっちりとした三つ編みに眼鏡という、如何にも優等生という風情を持つ。規律正しく折り目正しく、恐ろしく真面目で面倒見の良い性格のために周囲からの受けも良い。 暦にとっても初めての友達と言える人物であり、彼と吸血鬼に纏わる春休みの出来事にも関わりを持つ。一方で自身も怪異「障り猫」に取り憑かれており、過度にストレスが蓄積することを引き金に顕現してしまうが、過去に発現した際の記憶は持ちえていない。
忍野 忍 (おしの しのぶ)
学習塾跡の廃墟で忍野メメと共に暮らす金髪の幼女。ミスタードーナツが大好き。無口で何も喋らず、頭にはゴーグル付きのヘルメットを被り、大抵の場合は部屋の端で佇んでいる。その正体は怪異の王、吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。 しかし現在は能力をほぼ失った「吸血鬼の成れの果て」でしかなく、元眷属である阿良々木暦とは共生関係にあり、食事代わりに血を提供してもらっている。
ブラック羽川
羽川翼に蓄積したストレスと怪異「障り猫」が結びつくことで現れた新種の怪異。翼の人格を乗っ取る形で発現する。所持する能力は接触相手の力を吸い取る「エナジードレイン」。怪異でありながら主人である翼の想いに則した行動を取る。 過去に一度、ゴールデンウィーク中に顕現しており、その際には阿良々木暦と忍野忍の手によって消滅させられた。
神原 駿河 (かんばる するが)
私立直江津高校2年の女子生徒。バスケットボール部のエース兼主将であり、学校のスター。その本性は同性愛者であり、BLを始めとした数々の変態趣味を持つ。戦場ヶ原ひたぎは中学時代の先輩で、強い憧れを抱いており、また二人合わせて「ヴァルハラコンビ」と称されていた。 ひたぎと阿良々木暦の関係への嫉妬から、3つだけ願いを叶えてくれる「猿の手」へと無意識のうちに願った結果、左腕が怪異「レイニー・デヴィル」と一体化してしまっており、それを隠すために包帯を巻いている。
八九寺 真宵 (はちくじ まよい)
巨大なリュックサックとツインテールが特徴的な、小学5年生の少女。母の日に、離婚により疎遠となった母親の家に辿りつけず公園で迷っていたところ、阿良々木暦と出会う。その正体は怪異「迷い牛」そのものであり、地縛霊のようなもの。 「目的地から帰るのに迷う怪異」という特性を持っており、そのため実家への帰宅を厭う暦と羽川翼はその姿形を目にすることが出来たが、戦場ヶ原ひたぎには認識することが出来なかった。 慇懃無礼な性格であり、暦とは出会う度に苗字を噛んで間違え、またことある毎に物理的に噛み付こうとする。
怪異 (かいい)
『化物語』に登場する存在。神や幽霊、悪魔、妖怪等の総称。多くは動物の名を冠しているが、その名は姿形でなく本質を表すとされる。都市伝説・信仰・噂などによって生まれ、人間がいることで初めて認められる存在であり、阿良々木暦曰く「世界そのもの」。
阿良々木 火憐 (あららぎ かれん)
阿良々木暦の上の妹で、中学3年生。妹である阿良々木月火と仲が良く、2人合わせて「栂の木二中のファイヤーシスターズ」の通り名で知られている。毎朝のように月火とともに暦を叩き起こしに来る他、次回予告では月火とともにナレーターを務める。
場所
北白蛇神社 (きたしらへびじんじゃ)
『化物語』の舞台の一つ。街の外れ、山奥にある神社。本殿が今にも崩れ落ちそうな状態であるなど、すっかり寂れてしまっており、訪れる者は皆無と言ってよい。元々は蛇神を祀っていたとされるが、春休みにキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードがこの地を訪れた影響で、現在ではよくないものの吹き溜まりと化してしまっている。