真田幸村の生涯を基にアレンジされた戦国史
主人公の真田幸村が織田信長や羽柴秀吉、徳川家康をはじめとした戦国武将と出会い、やがて本能寺の変や大坂夏の陣など、歴史の転換点となる大事件に遭遇する。本作は史実と異なり、本能寺の変が明智光秀ではなく家康によって仕組まれたものだったり、正史上の本名である「真田信繁」が信長によって付けられた幼名で、信長本人の進言により元服を果たした際に「真田幸村」を名乗るようになったりする。また、猿飛佐助や穴山小助といった、架空の人物である真田十勇士が登場するなど、さまざまな点が活劇調にアレンジされている。
海外進出した幸村の野望
1582年、敬愛する信長と光秀を相次いで失った幸村は、秀吉の勧めもあり、雑賀孫一や佐助、霧隠才蔵と共にアユタヤ王朝が治めるタイ王国、多数の軍艦や交易船が停泊するポルトガルのリスボン、「太陽の沈まぬ帝国」の異名を持つイスパニアなど、さまざまな国を巡ることとなる。彼らはアユタヤ王朝の傭兵として、ビルマのタウングー王朝が差し向けるポルトガルの傭兵集団と戦ったり、天正少年使節の護衛を務めたり、イスパニアの賊軍である「青い嵐」の一員として参戦したりと、各国で名を上げていく。さらに、ネーデルランドでかつて信長の臣下であった弥助や、信長の親族である美濃と共闘し、やがて人生最大の転機となる大坂夏の陣へと臨むことになる。
徳川家に仕える伊賀忍者の暗躍
幸村の終生のライバルとなる家康は、自らが国の官軍を率いることをもくろみ、信長に面従腹背の姿勢を見せつつ、信長の台頭を阻止するためにさまざまな計略を巡らせる。特に、信長の海外進出には強い難色を示しており、彼が遠征の足掛かりを得る前に排除しようと画策している。そんな家康の野望を後押ししているのが、側近である伊賀忍者の服部半蔵。半蔵は卓越した身体能力と情報収集能力を持ち、自らの服装や表情、体格を赤の他人そっくりに変装できる術を会得している。半蔵はこの能力を駆使して本能寺の変や大坂夏の陣といった、歴史の転換点となる事件で縦横無尽に活躍する。
登場人物・キャラクター
真田 幸村 (さなだ ゆきむら)
真田家の当主を務める真田昌幸の次男。幼少期から破天荒な性格で、家族や知り合いからは「うつけ者」として知られている。似たような気質を持つ織田信長とは、年齢や立場を越えて意気投合した。人質という身分でありながら信長を深く尊敬し、信長からも信頼されている。また、彼の臣下である明智光秀や羽柴秀吉、信長の姪である浅井茶々とも親密な関係を築いている。一方で、権謀術数に長けているが得体の知れない徳川家康とは反りが合わず、青年期から長きにわたって対立している。真田家の家紋である六文銭に強い誇りを持ち、つねに6枚の一文銭を持ち歩いている。本名は「真田幸村」だが、幼少期の幸村を気に入った信長から、自分の名前を入れた「真田信繁」を幼名として与えられている。実在の人物、真田信繁がモデル。
織田 信長 (おだ のぶなが)
尾張国の大名を務める男性。日本はおろか、世界各国を制覇することをもくろむ野心家で、自らの目的を果たすためならどんな犠牲もいとわない。どんな人物に対しても侮蔑したような態度を取り、味方に対しては礼を尽くすが、敵対する相手には強硬な姿勢で臨む。その度量の大きさで真田幸村や明智光秀、羽柴秀吉など多くの英傑から慕われており、織田信長自身も彼らの素質を見抜いて期待している。また、頭脳明晰な徳川家康を評価している一方で危険視もしており、のちに家康の意を受けて光秀に成りすました服部半蔵の手により、絶体絶命の危機に陥る。実在の人物、織田信長がモデル。
クレジット
- 原作
書誌情報
六文銭ロック 全4巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2014-01-30発行、 978-4091858559)
第2巻
(2014-08-29発行、 978-4091863607)
第3巻
(2015-01-30発行、 978-4091867476)
第4巻
(2015-08-28発行、 978-4091871787)