概要・あらすじ
老妻が入院した病院の二人部屋。名札にかつての恋人の名を見出した老人・小島徳次郎が回想する、ほろ苦い過去と、幻想。彼女と同姓同名だが顔を見せない相部屋の人を気に掛けながら、彼は現実の妻に優しく接するようになっていく。
登場人物・キャラクター
小島 徳二郎 (こじま とくじろう)
老紳士。入院中の妻・キミと相部屋の女性の名前が、青春時代の片想いの相手と同姓同名だったことから、過去が蘇る。徳二郎は明治時代末期に貧乏小作の次男坊として生まれ、大正時代に小作争議の闘士として活躍。小作人時代、地主の一人娘・アサノに憧れていた。
小島 キミ (こじま きみ)
主人公の妻。雪道で転んで骨折し、入院中。
森下 アサノ (もりした あさの)
小島徳二郎の初恋の相手。回想と幻想シーンに登場する。彼女を想起させることになった同姓同名の老婦人は最後まで姿を見せない。
場所
見晴らしガ丘 (みはらしがおか)
東京都下の新興住宅地。旧地名は野川村。1960年代後半には農家が多かったが、作品に描かれる1985年前後には団地、マンション、分譲住宅が立ち並ぶ住宅地に変貌している。かつて存在した林や池もなくなっている。