甘い懲罰 ~私は看守専用ペット

甘い懲罰 ~私は看守専用ペット

刑務所を舞台に、無実の罪で投獄され明神亜貴から性的支配を受ける早乙女陽菜の、過酷な刑務所生活と恋愛を描いたティーンズラブコミック。「めちゃコミック」で2016年6月から配信の作品。

正式名称
甘い懲罰 ~私は看守専用ペット
ふりがな
あまいちょうばつ わたしはかんしゅせんようぺっと
作者
ジャンル
その他恋愛・ラブコメ
関連商品
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あらすじ

第1巻

2026年の日本。平凡なOLだった早乙女陽菜は、ある日突然、業務上横領の罪を問われ無実を主張するも逮捕されてしまう。恋人の八雲聖徳の願いもむなしく、懲役1年の判決が下された陽菜は、無実の罪で男女混合の刑務所「黒翼刑務所」に収監されてしまう。そこで待っていたのは、陽菜以外は全員男という危険な環境と、冷酷な看守の明神亜貴だった。入所検査として服を脱ぐよう亜貴に命じられた陽菜は、怯えながらも言われた通りにするが、その手つきは徐々に検査とは呼べないものになっていく。この日を境に、陽菜は亜貴による冷徹で甘美な性的支配と、過酷な日々に追われることとなる。その中で陽菜は、看守が囚人に向ける感情とは違った強い怨恨を、亜貴の視線や態度から感じ取る。しかし、陽菜にはまったく身に覚えのないことで、彼女は疑問を抱きながらも亜貴に翻弄されていく。そんなある日、過酷な刑務所生活に不安を抱く陽菜のもとに、面会希望者が訪れる。それは陽菜の無実を証明しようと奔走する聖徳で、ガラス越しの再会の中で彼の優しい言葉に安心する陽菜は、ひと時の安らぎを感じていた。だがその時、面会を監視していた亜貴の魔の手が陽菜に忍び寄る。面会終了後、亜貴による陽菜への仕打ちは終わらず、懲罰房に入れられた彼女は男囚たちと一晩過ごすよう命じられる。そこには朝の点呼で見かけた刺青の男、比嘉大和の姿もあった。

第2巻

久しぶりの面会で、早乙女陽菜八雲聖徳に脱獄計画を持ちかけられる。それは黒翼刑務所のシャワー室のダクトを使った脱出で、すでに聖徳がダクトの見取り図を入手していた。一抹の不安はあるものの、聖徳の言葉に縋(すが)るような思いでその計画に乗ることを決めた陽菜は、シャワー室に入る機会を増やすために炊事係の異動を希望する。作った料理を比嘉大和に褒められた陽菜は久々に充実感を覚えるが、その様子を明神亜貴は見逃すことはなかった。後日、陽菜の脱獄の決行日が決まるが、それは亜貴が2週間に1度、必ず刑務所から不在になる日でもあった。刑務所を離れた亜貴は、入院中の亜貴の母のもとを訪れ、医師からは回復の見込みが低いことを伝えられる。目覚めることのない母親を見つめる亜貴は、やり場のない怒りと絶望に表情を歪めるのだった。一方、陽菜は予定どおりシャワー室からの脱獄を実行に移し、迷路のような長いダクト内を必死に移動していた。進んだ先にはうっすらと外の光が見え、いよいよ出口にたどり着いたと思ったその瞬間、陽菜の後方から不在だったはずの亜貴がもの凄い勢いで追ってきていた。すぐに亜貴に捕まってしまった陽菜は脱獄に失敗し、刑期を1年追加されて独房に入れられたあげく、以前よりも冷酷さの増した調教を受ける。一方、陽菜の事情を聞いた大和は、彼女を理不尽な仕打ちから守るために奔走するが、それを知った亜貴は許可なく私語をした罰を与えると言いながら二人を独房に連行。亜貴は大和だけを独房に入れ、彼の目の前に陽菜を連れ出す。

第3巻

暴力団「剣崎組」の若頭である鮫島剛が突然、比嘉大和のもとへ面会に訪れる。大和は自分を陥れた剛を警戒するが、彼は組の組織改革を始めると宣言してその場を去る。そして剛の言ったとおり、剣崎組組長が暗殺されたことで大規模な組織改革が始まり、剛がトップの座に君臨してしまう。五十嵐健は剛の動きをいち早く探り、ある作戦のために仲間と動き出す。一方、大和は早乙女陽菜に対して急に冷たい態度を取り始める。大和の優しさに甘えながらも、すべてを失ってしまったと後悔や寂しさを感じる陽菜のもとには、いつもと少し違った態度の明神亜貴が忍び寄る。後日、大和が心配になった陽菜は刑務中に話しかけると、自分を抑えていた大和は陽菜への本当の思いを隠し切れなくなる。二人きりで過ごしていたところを亜貴に見られた陽菜と大和は急遽、亜貴によって刑務所病院に移送されることが決まる。目隠しで拘束されながらの移送中もとなりにいる大和に少しだけ安堵する陽菜だったが、同行してきた亜貴が彼女だけに囁きかけ、彼女はすぐとなりに大和がいる状態で亜貴に弄ばれてしまう。だが、三人を乗せた護送車は、突如何者かの襲撃を受けて急停止する。それは大和を助けるために計画していた健たちの犯行で、仲間と再会した大和はこのまま護送車を出て脱獄すると宣言。大和たちについて行くと決めた陽菜は、2度目の脱獄により大和と共に指名手配犯となった。形勢逆転され大和のアジトに監禁された亜貴は、執拗に陽菜を追い詰めた理由と紅月譲との関係を大和に追及される。

第4巻

意識を取り戻した明神亜貴は、事故のショックにより自分の名前以外の記憶をすべて失っていた。あれほど執着を見せていた早乙女陽菜に対しても、まるで初対面の相手に接するような態度に変わる。それでも以前と変わらない美しい顔貌に艶めいた指先は変わらないままで、人格だけが別人のように変わった亜貴を見た陽菜は、安堵するも複雑な思いを抱いていた。そんな亜貴に対し、比嘉大和は亜貴が自分たちの仲間であったと偽りの記憶を刷り込む。大和は亜貴の仲間のフリをしながら陽菜を危険から遠ざけつつ、亜貴の冷酷な看守としての記憶が戻らないように警戒と監視を続ける。一方、大和たちの仲間の一人、綾瀬は密偵として鮫島剛の動きを探るも捕まってしまい、剛たちの拷問を受けた末にドラム缶に詰められてしまう。連絡がない綾瀬のことを心配する大和と五十嵐健たちのもとには、綾瀬を始末したと告げる動画が送られて来る。さらには、大和の命を狙う剛が差し向けた手下によって、部屋にいたはずの陽菜がさらわれてしまう。奇しくも共闘関係となった大和と亜貴は、陽菜を救うべく協力して剛のアジトに乗り込むこととなる。自らのアジトを捨てた大和は、亜貴たちを連れて剛のビルに侵入し敵を倒しながら進むが、剛と陽菜のいる部屋に近づいた途端に、動きを封じられてしまう。剛は亜貴のみが部屋に入るよう指示を出し、大和たちを別の部屋に拘束。亜貴は言われたとおりに一人で部屋に進み、陽菜を取り戻そうとする。

第5巻

記憶をなくしたままの明神亜貴の協力を得て、早乙女陽菜八雲聖徳との結婚式会場へ向かう。聖徳がいるかもしれないと淡い希望を抱く陽菜だったが、教会内には悲しそうな表情の聖徳が一人で立っていた。陽菜が声をかけようとした瞬間、何者かが亜貴を攻撃し、聖徳と再会した陽菜も捕らわれてしまう。そこに聖徳を追って来た鮫島剛が現れ、陽菜を捕らえた彼は聖徳が彼女に隠し続けていたある真実を語り出す。聖徳は幼い頃からある才能を持ち、それに目を付けた剛の協力者となっていたのである。剛は聖徳に逃げ出した罰を与えると言いながら、彼の目の前で陽菜を凌辱し始める。一方、剛の手下によって別室に連れて行かれた亜貴は、眠った状態のまま黒翼刑務所の看守長の制服を着せられていた。目を覚ました亜貴は冷酷な看守長だった頃の記憶を取り戻すと同時に、記憶をなくして比嘉大和たちの仲間になっていた時の出来事をすべて忘れてしまう。一方、陽菜の居場所をつき止めた大和と五十嵐健は教会に急行し、大和は剛に銃を向ける。その場には看守長に戻った亜貴も出現し、彼の記憶が戻ったことを察知した大和は、陽菜を遠ざけようと咄嗟(とっさ)にその場を離れる。剛を無視して陽菜と大和を追跡する亜貴は、鞭を駆使して二人を捕縛。廃ビルの地下に囚われた二人を待っていたのは、亜貴による非情な見せしめ行為であった。

第6巻

ケガをした比嘉大和の治療のため、明神亜貴は大和と早乙女陽菜を、かつて住んでいた豪邸に招く。そこは亜貴がかつて、亜貴の母紅月譲の三人で暮らしていた家でもあった。大和の治療が終わったあと、亜貴は自らの過去を語りながら、陽菜に抱く激しい怨恨の理由を明かす。目を覚ました大和は亜貴の説得を試みるも、亜貴は大和と陽菜を黒翼刑務所に戻し、逃亡罪を重ねた二人の刑期も追加するという意思を曲げなかった。一方、亜貴に囚われたままの大和と陽菜を救出しようと動いていた五十嵐健たちのもとに、彼女の無実を証明するために奔走していた八雲聖徳が訪ねて来る。聖徳は健たちと共に陽菜の救出に協力することになり、駆けつけた聖徳の証言をもとに、大和は陽菜の無実を証明しようとする。しかし、聖徳が鮫島剛に撃たれたことでその計画は失敗に終わり、聖徳はいくつかの真実を語ったあとに命を落としてしまう。聖徳が持ち出していたデータも破壊され、無実の証明が不可能になったことで陽菜は再び黒翼刑務所に戻されることになり、聖徳が死んだ事実の前に気力を失ってしまう。数か月後、陽菜は亜貴の目論みにより、さらに凶悪な囚人のみが収監されるという、絶海の孤島にそびえ立つ「白狼刑務所」に移送される。そこでは純白の制服をまとう不知火藤十郎が看守長代理を務め、オッドアイの囚人、真田が収監されていた。そしてここでもまた、亜貴は陽菜を執拗に監視し続け、大和たちと離れた彼女は自分を覚えている人間が亜貴しかいない事実に強い孤独を感じる。

第7巻

脱獄して五十嵐健たちと行動していたはずの比嘉大和が、早乙女陽菜を助けようと新たな罪を犯して白狼刑務所にやってきた。大和は昔なじみの真田が、なぜか白狼刑務所に収監されていることに驚くが、話しかけても彼は他人のフリをするばかりだった。そんな中、陽菜は何度も心細い思いをしており、久しぶりに大和と再会したことでささやかな安らぎを得る。だが、陽菜に対して優しく接していた不知火藤十郎は、何者かの命令を受けて大和の命を密かに狙うようになり、大和はサメが下に潜む懲罰房に入れられた際に足をケガしてしまう。急遽医務室に運び込まれた大和は、彼を追って医務官として白狼刑務所に来ていた上杉葵と再会する。葵が大和の友人で桐谷の娘であると知った陽菜は、安心できる女性の相談相手ができたことに安堵するのだった。しかし、大和が来たあとに起こったいくつかの出来事をきっかけに、藤十郎はその冷静な表情の中に隠していた凶暴性を、徐々に垣間見せるようになっていく。やがて藤十郎の魔の手は、この白狼刑務所に隠されたある秘密を知ってしまった陽菜の身にも及ぶようになる。藤十郎に潜む本性と白狼刑務所の地下にある謎の施設を見てしまった陽菜は、新たな恐怖と不安に包まれる。そんな中、陽菜は大和の出現をきっかけに、明神亜貴の中に今までと違う感情が芽生えつつあることを感じ取っていた。

メディアミックス

TVアニメ

2018年4月から2018年6月にかけて、本作『甘い懲罰 ~私は看守専用ペット』のTVアニメ版『甘い懲罰 ~私は看守専用ペット』が、TOKYO MXで放送された。内容は本作と同じく、投獄された早乙女陽菜の過酷で甘美な日々と恋愛を描いている。監督は熨斗谷充孝、キャラクターデザインと作画監督はななしが務めている。キャストは早乙女陽菜を三宅麻理恵が、明神亜貴を山谷祥生が演じている。

登場人物・キャラクター

早乙女 陽菜 (さおとめ ひな)

紅月社の経理を担当する平凡な女性。ある日突然、業務上横領の罪に問われて逮捕され、無実を主張するも懲役1年の判決が下り「黒翼刑務所」に収監されてしまう。囚人ナンバーは「3077」。ウェーブのかかった茶髪のロングヘアにしている。両親は事故で亡くなり天涯孤独の身だったが、恋人の八雲聖徳が心の支えとなっていた。黒翼刑務所は男性の囚人ばかりという危険な環境に加え、明神亜貴からの執拗な性的支配を受け、心も体も翻弄される過酷な日々を送っている。その中で亜貴に個人的な恨みを抱かれていると気づくが、彼とは初対面ということもあり心あたりはまったくなかった。慣れない環境と女性が自分のみという孤独感に怯える中で比嘉大和と出会い、収監された経緯や亜貴からの酷い仕打ちを受けていることを正直に話す。数少ない相談相手となった大和にはささやかな安らぎを覚え、彼から好意を寄せられるようになる。亜貴に恨まれている理由は不明ながら、大和の調査により紅月譲の死と関係していることが判明する。のちに聖徳の手引きで脱獄を試みるも、亜貴に妨害され失敗。刑期を1年延ばされ、亜貴からさらなる監視と仕打ちを受けるようになる。さらには亜貴によって刑務所病院に移送されることになるが、仲間の助けを受けた大和と共に2度目の脱獄をすることになる。この時、大和が捕えていた亜貴が記憶喪失になったことで一時は亜貴と仲間になった。しかし、記憶を取り戻して冷酷な看守長に戻った亜貴によって黒翼刑務所に戻され、鮫島剛に撃たれた聖徳が死んだことで無実の証明も不可能になってしまう。また、これらの出来事の中で亜貴の過去と、彼の執拗な怨恨の理由を知る。その数か月後には、凶悪な女囚として白狼刑務所に移される。

明神 亜貴 (みょうじん あき)

更生省看守科1係看守官で、黒翼刑務所の看守官長を務める男性。漆黒の軍服のような制服をまとい、真っ白な肌を持つ容姿端麗の美青年。RH抗原を持たない希少で特殊な血液型の持ち主で、右胸からわき腹にかけて大きな傷跡がある。妖艶な雰囲気を漂わせており、厳格で冷酷な性格をしている。新たに収監された早乙女陽菜をもともと知っている様子で、彼女に対し個人的な恨みを持つ。陽菜を執拗に監視すると共に性的に支配し、「快楽系」や「屈辱系」などと称して凌辱している。陽菜が来る前は、囚人たちへの気配りもできるまじめな看守だった。現在でも陽菜や比嘉大和以外の囚人からは慕われており、部下からの信頼も厚い。2週間に1度は黒翼刑務所を留守にし、病院で眠ったままの亜貴の母の見舞いに行っている。幼少期に父親を亡くして母親と二人暮らしをしていたが、母親が毎日のように男性を連れ込んでいたことで孤独を感じ、成長後は母親への反抗が強くなる。しかしバイク事故で重傷を負い、母親が大量の輸血をしたのをきっかけに認識を改め、命懸けで助けてくれたことに恩義を感じるようになった。また、母親が借金返済のために身を削って働いていたことを知り、更生して母親を守ることを決意し、借金も全額返済した。この際に母親と再婚した紅月譲の家に引っ越し、彼を新しい父親として受け入れ、信頼できる彼のもとでようやく平穏な日々を手に入れた。三人で幸せに暮らしていたが紅月社の巨額横領事件が発生したことで会社が倒産し、譲が首を吊って自殺。あとを追った母親も重傷で目を覚まさなくなったため、横領事件の犯人として逮捕された陽菜を激しく恨むようになった。青年時代に荒んでいたこともあり、刑務官になる前からケンカやバイクの扱いには長けている。

比嘉 大和 (ひが やまと)

暴力団「剣崎組」若頭候補の男性。早乙女陽菜が収監される前から黒翼刑務所に収監されていた。赤茶色の短髪で、胸元や腕、背中などに刺青(いれずみ)を入れている。目つきが鋭く見た目は恐いが、心根は優しく仲間思いな性格をしている。両親は沖縄出身。当初は陽菜から恐がられていたが、明神亜貴によって男囚ばかりの懲罰房に入れられた陽菜を助けたのをきっかけに彼女を何かと気にかけるようになり、陽菜が無実の罪で収監された経緯や、亜貴に理不尽な仕打ちを受けている事実を知る。やがて孤独な陽菜を守りたいと思うようになり、彼女に恋人がいることを知りながらも恋心を寄せている。陽菜からは気持ちに応えられないと言われているが、脱獄に失敗したことで味方がいなくなった彼女にとっては、唯一の相談相手であり心の支えとなっている。剣崎組では組長からの信頼も厚く、若い組員たちからも慕われていたが、組の乗っ取りを目論む鮫島剛の罠にはまって収監されることになった。陽菜と親密な仲になったことで亜貴に目を付けられ、彼女と共に刑務所病院に移されることになるが、移送中に弟分の五十嵐健の手引きで自由の身となる。この際に陽菜と共に脱獄することを決意し、しばらくは仲間たちの協力を得ながら比嘉大和自身のアジトに身を潜めていた。事故で記憶をなくした亜貴には偽の記憶を刷り込み一時的に仲間となるも、彼が記憶を取り戻したことで陽菜といっしょに捕まる。健や八雲聖徳に助けられるも、聖徳が死んだスキに亜貴に陽菜を連れて行かれ、再び彼女と離れてしまう。聖徳からは陽菜のことを託されており、何があっても彼女を守ることを誓っている。

八雲 聖徳 (やくも きよのり)

早乙女陽菜の恋人の男性。両親を亡くして孤独の身となった陽菜の心の支えとなり、婚約も交わしている。灰色の短髪で眼鏡をかけており、温厚でやさしい性格をしている。陽菜が突然横領罪で逮捕され、無実を証明しようとするも聞き入れてもらえず、そのまま彼女が収監されたことで離ればなれになる。陽菜の判決に納得できず、面会に訪れた際に監視の目を盗んで脱獄を手引きする。しかし、陽菜が脱獄に失敗したことで彼女への監視がさらに厳しくなり、彼女と会うこともできなくなる。のちに、比嘉大和の仲間の調査で鮫島剛と接触していることが判明し、大和からは陽菜を裏切っている可能性を疑われるようになる。実は幼い頃より武器を開発する希少な才能を持っていたが、周囲に認められず長らくその才能を隠し、持て余していた。裏社会に手を出す中で剛に目を付けられ、彼の計画に手を貸していた。剛に接触し陽菜の無実を証明しようとする過程で、彼女の両親が剛に殺されたことや、横領事件も彼の手下による犯行であった事実を突き止めている。しばらくは剛に拘束されていたが命令に従うフリをしながら逃亡し、陽菜の無実の証拠をデータとして持ち出して、五十嵐健たちと共に彼女と大和の救出に向かう。しかし、陽菜を連れて逃げる途中で剛の凶弾を受け、彼女のことを大和たちに託しながら命を落とした。

五十嵐 健 (いがらし たける)

暴力団「剣崎組」構成員の青年。比嘉大和の弟分で、彼を心から慕い信頼している。茶髪の短髪でパーカーを着用し、右目の下に泣きボクロがある。仲間思いで明るい性格をしている。趣味はゲームで、どんな状況でもゲームプレイを欠かさないことで、日常感を忘れないようにしている。また、機械いじりやパソコンの扱いも得意で、情報収集を担うこともある。大和と対立している鮫島剛の動きをいち早く警戒し、剛が組長になったことに納得できず、ほかの仲間と共に大和を助けるために行動していた。のちに大和の乗る移送車を襲撃し、彼の脱獄を手引きする。この際に大和といっしょにいた早乙女陽菜たちと知り合い、アジトでは彼女の服を用意したりなど世話を務めていた。これ以降も、さまざまな形で大和と陽菜に協力している。幼少期から母子家庭で育ち、母親も数年前に亡くなっている。

紅月 譲 (あかつき ゆずる)

早乙女陽菜の勤務先である紅月社の会長を務める老齢な男性。和服をまとっている。すでに亡くなっているが、その死はあまり表沙汰になっておらず、社員だった陽菜も知らなかった。明神亜貴となんらかの関係のある人物であることを比嘉大和が突き止めていたが、のちに亜貴の母の再婚相手であったことが判明する。亜貴の母を紅月社の清掃員として雇い、彼女と再婚し亜貴からも新しい父親として信頼されていた。またセキュリティ上の配慮から再婚を公にはせず、亜貴たちの「明神」という姓もそのままにしていた。三人で幸せな暮らしを送っていたが、巨額横領事件で会社が倒産したことで私邸で首を吊って自殺した。

鮫島 剛 (さめじま つよし)

暴力団「剣崎組」の若頭を務める男性。組の派閥争いで比嘉大和とは対立している。黒の短髪で黒いスーツを身にまとい、冷静で理知的な性格だが狡猾で冷酷な一面を秘めている。実は大和を罠にはめて逮捕・収監に追い込んだ張本人で、大和が不在のスキに剣崎組組長を暗殺し、組織改革と称して自ら組長となり組を支配する。裏では武器を開発する才能を持つ八雲聖徳と接触し、彼にある計画の研究に参加させていた。また、早乙女陽菜が起こしたとされる巨額横領事件にも絡んでおり、彼女の両親の死にも関与している。陽菜を誘拐することで大和たちを始末しようと目論むも、記憶をなくした明神亜貴の活躍により失敗。この際に亜貴に目を付け、手下を使って彼の記憶が戻るよう手引きした。拘束していた聖徳に逃げられるも自ら追跡して彼を銃殺し、その場から姿を消す。警察関係者や不知火藤十郎とも内通しており、陽菜が白狼刑務所に移されたあとも暗躍を続けている。

桐谷 (きりや)

小さな診療所の医者を務める中年男性。比嘉大和の昔なじみ。大和の要請で、事故にあった明神亜貴の治療を担当する。この際に大和といっしょにいた早乙女陽菜とも知り合い、大和と彼女のことを何かと気にかけ、さまざまな形でサポートや助言をしている。酒好きで女好きなところもあるが、医者としての腕は確か。すでに妻とは離婚しているが、娘の上杉葵とは仲がいい。

亜貴の母 (あきのはは)

明神亜貴の母親。亜貴の幼少期に夫が友人の借金を背負い、返済しきれなかった夫が死亡してからは亜貴と二人暮らしをしていた。借金返済と生活のために、夜の仕事をしていたが職場から枕営業を強要され、毎日のように男性を連れ込んでいたことで、孤独を感じた亜貴の信頼を失ってしまう。青年に成長した亜貴は反抗的になったが、彼が交通事故で重傷を負った際には特殊な血液型を持つ亜貴を救うために自らの血液を大量に輸血した。これを機に亜貴から命懸けで助けてもらったことを感謝されるようになり、彼が更生したことで借金も完済。その後は転職して紅月譲の紅月社の清掃員となり、譲と再婚して亜貴と共に紅月邸に引っ越した。三人で幸せに暮らしていたが紅月社が倒産したことで譲が自殺し、彼を追って亜貴の母自身も首を吊った。一命は取り留めたものの昏睡状態になって現在も入院し続けており、回復の見込みはないと診断されている。

綾瀬 (あやせ)

暴力団「剣崎組」剣崎組構成員の青年。比嘉大和を助けるために五十嵐健たちに協力し、鮫島剛への密偵として彼の動きや情報を探っていた。定期的に健たちと連絡を取っていたが、剛の手下に捕まり拷問を受け、ドラム缶に詰められて死亡した。

不知火 藤十郎 (しらぬい とうじゅうろう)

白狼刑務所の看守長代理を務める男性。明神亜貴とは対照的な純白の制服を身にまとった銀髪糸目の美青年で、冷静で理知的な性格をしている。長らく本来の看守長である亜貴の代理を務め、彼からの評価や信頼も厚い。黒翼刑務所から移って来た早乙女陽菜をほかの男囚から守るなど、彼女からも信頼できる相手と思われていたが、比嘉大和が来てからは徐々にその内に潜めた凶暴性を垣間見せるようになる。亜貴の知らないところで鮫島剛と内通しており、剛の依頼を受け事故を装って大和を殺そうとしたこともある。また、白狼刑務所の地下に巨大な工場のような謎の施設を隠してあり、好奇心から立ち入ってその秘密を知った陽菜にも目を付けるようになる。

真田 (さなだ)

白狼刑務所に収監されている囚人の男性。筋肉質で大柄な体型と、オッドアイの瞳を持つ。変色した右目は視力が落ちている。比嘉大和とは知り合いだが、刑務所内では他人のフリをしている。新入りの早乙女陽菜に興味を持ち、彼女と明神亜貴に肉体関係があることも知っている。実は暴力団を専門とする「マル暴」に所属していた元警部補で、大和とはその頃からの知り合い。白狼刑務所にいる理由は不明だが、警部補時代から勘が鋭く疑い深いところがあり、不知火藤十郎の危険性もいち早く察知している。

上杉 葵 (うえすぎ あおい)

桐谷の一人娘。医者を務めている女性。黒のセミロングヘアで、眼鏡をかけている。昔から比嘉大和に熱烈な片思いをしている。桐谷の了承を得たうえで、危険を承知で大和を追って白狼刑務所の医務官となり、囚人の定期検診やケガをした囚人の処置を担当している。懲罰中に足を負傷した大和と久しぶりに再会を果たした際、大和から早乙女陽菜の相談相手となるよう頼まれ、彼女にとっても信頼できる唯一の女性となった。

場所

黒翼刑務所 (こくよくけいむしょ)

早乙女陽菜が収監された巨大な刑務所。近年の犯罪件数の増加により、囚人は男女の区別なく混合で収容されている。明神亜貴が看守長を務め、彼とその部下たちによる厳しい監視体制が敷かれている。建物は古城を改装して作られたため、亜貴の執務室など一部の部屋は西洋風になっている。

白狼刑務所 (はくろうけいむしょ)

絶海の孤島にそびえ立つ刑務所。凶悪犯のみが収容されている。島全体が刑務所施設になっており、周囲はサメが潜む危険な海に囲まれているために脱獄は不可能とされている。看守長は黒翼刑務所の看守長を務める明神亜貴が兼任し、不知火藤十郎が看守長代理を務める。囚人たちには1日40分程度の自由時間が設けられており、このあいだに賭け事などをして楽しんでいる。騒動を起こした際の懲罰は黒翼刑務所よりも厳しく、サメがいる海の真上に吊り下げた牢に入れられることもある。一部の地区には藤十郎が管理する地下工場のような謎の施設が隠されている。

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