劇画・長谷川伸シリーズ 沓掛時次郎

水戸の出入りでは三十人を斬ったという名の通った博徒、沓掛の時次郎は、ある日、一宿一飯の恩で六ツ田の三蔵という男を斬る事になる。一騎打ちで三蔵を倒した時次郎だったが、死の間際、残された三蔵の妻と子供の事を頼まれるのだった。命に代えても二人を守ると約束した時次郎は、三蔵の妻、おきぬと知的障害を持つ男の子、太郎吉を連れて追手から逃れる。

三蔵の親戚がいるという越後の長岡を目指すおきぬを途中まで送って別れた時次郎だったが、生まれてから下総を出た事がないというおきぬを無事送り届けるために、三人で旅を続ける事になる。夫を斬った男と、夫を斬られた女房、そしてその子供という不思議な関係の三人だったが、旅を通じてお互いに絆を深めていく。

その途中、おきぬが三蔵の子供を身ごもっている事がわかる。安全に子を産むため、時次郎は刀を売り払い、三人で安宿にしばらく逗留するが、路銀も尽きてくるのだった。そんな中、安宿の主人、安兵衛が八丁徳の親分さんの喧嘩に1日参加すれば一両もらえる、という話を持ってくる。刀を捨てて堅気になった時次郎だったが、生まれてくる赤ん坊のため、1日だけ博打打ちに戻る事を決意し、おきぬに仕事の内容は黙って宿をあとにする。

そんな時次郎に、おきぬは無事に戻ったらいっしょに時次郎の生まれ故郷である沓掛に行きたいとお願いするのだった。おきぬは産気づき、時次郎は戦いの場へ向かう。