劇画・長谷川伸シリーズ 関の弥太ッペ

昭和初期に発表された長谷川伸による戯曲を、小林まことが自身の漫画作品の登場人物に演じさせる「劇画・長谷川伸シリーズ」の第一弾。昭和四(1929)年に発表された戯曲『関の弥太ッペ』を描く。「イブニング」2009年3号から14号にかけて連載された。巻末にはフィクションとして、小林まことと長谷川伸のスペシャル対談を収録している。

正式名称
劇画・長谷川伸シリーズ 関の弥太ッペ
ふりがな
げきが はせがわしんしりーず せきのやたっぺ
原作者
長谷川 伸
作画
ジャンル
時代劇
レーベル
イブニングKC(講談社)
巻数
全1巻完結
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概要・あらすじ

「関の弥太ッペ」と名乗る渡世人、関本の弥太郎は、小さな女の子を連れた旅人を追っていた。弥太郎は五十両の大金を盗まれたのである。弥太郎に追いつかれた盗人、境の和吉は短刀で抵抗するものの、弥太郎に右肩を斬られて観念する。しかし、娘のお小夜だけは見のがしてくれと懇願する。和吉は弥太郎に、お小夜を沢井屋という旅籠に送り届けるよう頼み込むと、崖下へ身を投げ、自らの命を絶つのだった。

弥太郎はお小夜が持っていた自分の五十両をひとまず取り返し、お小夜と旅を続ける。お小夜はまだ幼いながら、気配りのできるかわいい子で、旅を通じて二人は打ち解けていく。ようやく沢井屋に到着し、宿の主人にお小夜を引き取ってくれるように頼むものの、見ず知らずの子供を引き取るわけにはいかないと、断られてしまう。それなら年三両の食いぶちで、むこう十年あずかってくれ、と弥太郎は五十両を渡すのだった。その熱意に打たれた主人の沢井屋お金は、お小夜を引き取る事を了承する。沢井屋お金は、金はいらないと言うものの、弥太郎は名前も名乗らず立ち去る。父親に続いて、弥太郎との別れにお小夜は泣きじゃくるのだった。

お小夜が持っていた手紙から、彼女が九年前に駆け落ちした娘の子供である事がわかる。お小夜は沢井屋お金の孫だったのだ。孫を送り届けてくれた渡世人にお礼を言って、お金を返さなくてはと弥太郎を捜すが、すでにその姿は見えなくなっていた。一方、お金がなくなってしまった弥太郎は、殺される事を覚悟で旅から戻る。弥太郎が沢井屋に渡した五十両は、賭場でのイカサマで捕まった親友、箱田の森助を助けるために、この一か月間、命がけで稼いだお金だったのだ。金をなくした弥太郎は、代わりの清算として賭場の親分と敵対する神楽獅子の新八を斬るために出かける。力士上がりの凄腕である新八との斬り合いは、弥太郎も顔を斬られる壮絶な死闘となったが、なんとか新八を討ち取る。

それから10年が経過し、お小夜は街で評判の美しい娘に成長していた。一方、弥太郎は一人斬って一両、という人殺しが稼業となっていた。沢井屋に送り届けて以来、お小夜と会う事はなかったが、弥太郎にとっても、10年前のお小夜の事は心の支えとなっていた。ある日、弥太郎は立ち寄った茶店で、お小夜が10年前の恩人に、無理やり縁談を迫られているという噂を耳にするのだった。

登場人物・キャラクター

関本の弥太郎 (せきもとのやたろう)

渡世人の若者。常陸の国、関本という処の生まれで、「関の弥太郎」または「関の弥太ッペ」と名乗る。人情に篤く、賭場でイカサマが見つかった親友の箱田の森助を助けるために、喧嘩の助っ人となって、その礼金を元手に大博打に挑み、命がけで五十両を稼いだ。しかし、その金を境の和吉に盗まれる。取り返したものの、和吉から娘のお小夜を、とある旅籠まで送り届けるよう頼まれてしまう。 さらにはその旅籠にお小夜を引き取ってもらうため、五十両を置いてくるというきっぷのいいお人好し。演じるのは小林まことの『柔道部物語』に登場する三五十五。

お小夜 (おさよ)

6歳ほどと思われる女の子。父親の境の和吉と二人で旅をしていた。天保三(1832)年十二月二十五日生まれ。9年前に和吉と駆け落ちしたおすえの子供。母親が病死し、和吉と共に泉州の堺から歩いて、おすえの実家である吉野の沢井屋という旅籠を目指していた。長旅で足が擦り切れ、食事をろくに取っていなくても、泣き言をいっさい言わない芯の強さを持つ。 しかし、親しい人と別れる際には泣きじゃくる年相応の子。父親が身投げした事は知らず、関本の弥太郎によって無事に沢井屋に送り届けられ、祖母に引き取られる。それから10年が経過して美しい娘に成長。縁談の話もあるが、名前も知らない弥太郎に10年前のお礼を言えていない事を心残りと感じており、弥太郎との再会を夢見ている。 演じるのは小林まことの『柔道部物語』に登場する原田ひろみ。

箱田の森助 (はこたのもりすけ)

関本の弥太郎の親友。同じく渡世人の男性。賭場でのイカサマがバレて殺されそうになるが、弥太郎がその罪をひっかぶり、一か月以内に五十両を稼いで返すという事でおさめた。剣の腕は立たないため、弥太郎からは、早死にしたくなかったら故郷に帰って堅気になれ、と言われている。それでも足を洗わず、10年後、金をせびる目当てで出会ったお小夜に一目惚れする。 演じるのは小林まことの『柔道部物語』に登場する小柴哲也。

境の和吉 (さかいのわきち)

娘のお小夜と二人で旅をしていた男性。関本の弥太郎から五十両を盗んで追われている盗人。取り返しにやって来た弥太郎に短刀で歯向かうが、右肩を斬られて負傷する。弥太郎にお小夜を吉野の沢井屋という旅籠に送り届けてほしいと頼み込む。弥太郎が引き受けてくれると、お小夜の幸せを願いながら崖から川に身を投げ、命を落とした。 演じるのは小林まことの『格闘探偵団』に登場する里見弘樹。

沢井屋お金 (さわいやおかね)

吉野で沢井屋という旅籠を経営する女性。お小夜を生んだおすえの母親であり、お小夜の祖母にあたる。突然訪ねて来た関本の弥太郎からお小夜を引き取るように頼まれ、赤の他人の子供など引き取れないと断るが、弥太郎の熱意に負けて引き受けた。その後、お小夜が九年前に駆け落ちした娘の子供である事がわかる。演じるのは小林まことの『へば! ハローちゃん』に登場する花園タミ。

銀太郎 (ぎんたろう)

沢井屋お金の息子。お小夜を生んだおすえの弟。お小夜が持っていたお守り袋に入っていた手紙の字に見覚えがあると、母親に見せた。演じるのは小林まことの『格闘探偵団』に登場する湯沢拓郎。

おすみ

銀太郎の妻。夫といっしょに沢井屋に戻ったところで、沢井屋お金が引き取ったというお小夜と出逢う。演じるのは小林まことの『格闘探偵団』に登場する湯沢加世子。

沢井屋番頭 (さわいやばんとう)

沢井屋お金が経営する沢井屋という旅籠で番頭をしている男性。訪ねて来た関本の弥太郎を、沢井屋お金に取り次いだ。それから10年後、弥太郎の顔をはっきりと覚えていると言いながら、まったく別人の箱田の森助を弥太郎本人で間違いないと断言したダメな男。演じるのは小林まことの『柔道部物語』に登場する名古屋和彦。

又五郎 (またごろう)

箱田の森助がイカサマを働いた賭場を仕切る親分に仕える子分。刺青を入れている。約束した五十両を用意できなかった関本の弥太郎を始末するよう命じられるが、親分の敵対相手である神楽獅子の新八を斬れば助かると暗に助言し、弥太郎に草鞋銭を渡した。演じるのは小林まことの『ホワッツ・マイケル』に登場するロラキュラ。

神楽獅子の新八 (かぐらじしのしんぱち)

又五郎が使える親分と敵対する男性。スキンヘッドの目つきのするどい人相をした、力士あがりの凄腕。さらにいつも五、六人の腕の立つ子分の取り巻きがついている。橋の上で関本の弥太郎と斬り合い、その剛腕で弥太郎を圧倒するが、弥太郎の必死の巴投げで腹を刺されて死亡する。演じるのは小林まことの『柔道部物語』に登場する西野新二。

田毎の才兵衛 (たごとのさいべえ)

神楽獅子の新八との死闘で顔を斬られ、背を刺されて逃亡中に倒れた関本の弥太郎を助けた男性。一年の半分を旅人として暮らしている。年齢は59歳。演じるのは小林まことの『へば! ハローちゃん』に登場する林監督。

番場の忠太郎 (ばんばのちゅうたろう)

旅の渡世人。生まれは江州坂田の郡、番場。すれちがった関本の弥太郎に、弥太郎を狙う刺客が十五、六人待ち伏せしているから、回り道をしたほうがいいと助言した。演じるのは小林まことの『1・2の三四郎』などに登場する東三四郎。

クレジット

原作

長谷川 伸

構成

書誌情報

劇画・長谷川 伸シリーズ 関の弥太ッぺ 全1巻 講談社〈イブニングKC〉 完結

第1巻

(2009年8月21日発行、 978-4063522792)

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