あらすじ
コナンvs怪盗キッド
ある雨の日、鈴木園子と渋谷を歩いていた毛利蘭は、交差点で工藤新一らしき青年が女性といっしょに歩いている姿を見かける。帰宅した蘭からその話を聞いた江戸川コナンは、渋谷に行った覚えはないことから不思議に思う。そんな中、最近話題になっている怪盗1412号、通称「怪盗キッド」より、4月1日に漆黒の星を頂くという予告状が届き、騒ぎになっていた。予告状の暗号に興味津々のコナンはその意味を探るが、次の日になってもその暗号を解き明かすことはできなかった。しかしあるヒントにより、暗号が怪盗キッドの出現ポイントを示していることに気づいたコナンは、暗号に記された杯戸シティホテルの屋上に向かい、彼を待ち伏せていた。日付けが変わる頃にコナンの前に現れたのは、白いタキシードをまとった青年、怪盗キッドであった。スキをついて捕まえようとするコナンであったが、怪盗キッドはその裏をかいて声まねをしながら警察をその場に集める。さらに怪盗キッドは、今日の予告はエイプリルフールのウソであると告げ、閃光弾を放って姿を消し、消えた場所には新たな予告状が置かれていた。いきなり姿を消した怪盗キッドの魔法のような手口に動揺するコナンだが、新たな予告状には4月19日に豪華客船「クイーンセリザベス号」で行われる鈴木財閥の船上パーティーにて、本物の漆黒の星を頂くと書かれていた。そして船上パーティー当日、コナンは蘭たちに連れられて、今度こそ怪盗キッドを捕まえようとパーティーに参加していた。予定どおりクイーンセリザベス号は東京港に向かって出航し、会場では鈴木朋子が目くらましを目的に、大量に作り出した漆黒の星の模造品を参加者に配っていた。こうして、逃げ場のない夜の船上を舞台に、コナンと怪盗キッドの頭脳対決が幕を開けるのだった。
怪盗キッドの瞬間移動魔術(テレポーテーションマジック)
怪盗キッドを捕まえることに執念を燃やす鈴木次郎吉は、爪先にアメジストがあしらわれた伝説のミュール「紫紅の爪」をエサに、再び新聞を通じて彼への挑戦状を叩きつける。だが、次郎吉は怪盗キッドを捕まえる肝心の策が思い浮かばず、夜な夜な彼が笑う夢を見てはうなされる日々を送っていた。そんな中、部下の一言をヒントに怪盗キッドのハンググライダーの使用を阻む方法を思いついた次郎吉は、繁華街である錦座4丁目交差点の歩行者天国の中央に、紫紅の爪を展示すると決める。さらに次郎吉は、群衆が多数集まる交差点の四方を20メートルの高い網で囲むことで、怪盗キッドの翼をもぐかのようにその退路を断とうともくろんでいた。怪盗キッドのファンたちが、予定どおり歩行者天国の中央に配置された紫紅の爪を囲む中、華麗に登場した怪盗キッドは展示台の上に降り立った。それを確認した次郎吉は号令を出して怪盗キッドを網の中に閉じ込めるが、帰路を絶たれたはずの彼は余裕綽々な態度で、テレポーテーションによって逃げ出すと宣言。半信半疑な群衆と江戸川コナンたちを尻目に、煙幕の中に消えた彼は英語が書かれた3枚のカードを放ち、紫紅の爪を持って姿を消す。その後20秒とたたないうちに、怪盗キッドは交差点隅のビルの屋上へ瞬間移動を果たしていた。盗み出した紫紅の爪の片方だけが偽物だと気づいた怪盗キッドは、盗み損ねた紫紅の爪の片方を奪うために、明日も来ると告げて屋上から去ってしまう。次の日、次郎吉たちが映像を確認すると、移動前に怪盗キッドのマントに偶然付着した汚れが移動後も残っていたため、展示台に現れた彼は影武者ではないことが判明。怪盗キッドが瞬間移動したのを見ていたコナンは、彼が時空を超えて移動したマジックの謎を解き明かそうと、周囲を探り始める。
関連作品
漫画
本作『名探偵コナンvs.怪盗キッド 完全版』は、青山剛昌の『名探偵コナン』を原作としている。『名探偵コナン』は、薬を飲まされて体が縮んだ高校生探偵の工藤新一が、少年探偵の江戸川コナンとしてさまざまな事件を解決していく姿を描いている。
登場人物・キャラクター
江戸川 コナン (えどがわ こなん)
帝丹小学校に通う少年探偵。少年探偵団の一員でもある。首元に赤い蝶ネクタイをつけ、眼鏡を掛けている。一見ただの小学生だが、その正体は薬を飲まされて体が縮んだ工藤新一の現在の姿。訳あって毛利小五郎と毛利蘭が住む毛利探偵事務所に居候しながら、行く先々で起こる難事件を解決に導いている。しかし、泥棒には興味がなく、最初は怪盗キッドにも関心を示さなかったが、彼が暗号を含む予告状を出していたと知った途端に、強い興味を示すようになる。暗号を解き、怪盗キッドと対峙したのをきっかけに彼を捕えようと、予告状が出るたびに現場に駆けつけている。怪盗キッドから何度も宝を守るうちにキッドキラーとしてもてはやされるようになり、鈴木次郎吉からも頼りにされている。一度も捕縛には至っていないものの、怪盗キッドの変装やトリックを見破って追い詰めることも多く、次第に彼からも手ごわいライバルとして認められるようになる。何度も怪盗キッドと対決を繰り返しているものの、状況次第では協力し合うこともある。また、怪盗キッドにピンチを救われた礼として逃亡を見逃したこともある。ふだんは正体を隠すために猫を被って子供のフリをしているが、怪盗キッドの前では素の口調で話し、彼からもただの小学生ではないことを見抜かれている。
怪盗キッド (かいとうきっど)
「月下の奇術師」「平成のルパン」の異名を持ち、世間を騒がせている謎の怪盗。世界を股にかけて活動しており、シークレットナンバーの1412から、当初は「怪盗1412号」と呼ばれていた。白いタキシードとマントを着用し、キザな言動が多い。本名や年齢は不明だがモノクルやシルクハットの下には、工藤新一によく似た青年の素顔が隠されている。変装と声帯模写を得意としており、男女問わず姿はもちろん声もそっくりにまねることができ、これらを活用して狙いの宝が展示されている場所に、警備を潜り抜けて潜入している。「ビッグジュエル」と呼ばれている高価な宝石を狙うことが多く、あらかじめ警察や宝の持ち主に予告状を送るが、時折難解な暗号が含まれていることもある。マジックも得意で宝を盗む際や逃亡の際に活用し、大胆不敵な手口を好むため、女性を中心としたファンも多い。漆黒の星の一件で江戸川コナンと対決して以来、彼をライバルと認識するようになり、何度も頭脳戦を繰り広げているものの、決着はついていない。また、盗み以外の目的で行動することもあり、状況によってはコナンと協力したり助けたりして、その見返りとして彼に逃亡を見逃されることもある。怪盗キッドを捕まえることに執着する鈴木次郎吉からも執念深く追われており、ビッグジュエルを手に入れた彼に挑戦状を叩きつけられたり、逆に自ら挑戦状を送ったりすることもある。次郎吉からは体型に差があって変装できない子供が弱点だと思われていたが、のちにある方法を使えば子供にも変装できることが判明した。トリックや逃亡を手助けする手下が一人いる。
毛利 小五郎 (もうり こごろう)
キャラクター紹介毛利蘭の父親で、毛利探偵事務所を営む私立探偵。お調子者で、昼間から呑んだくれるなどだらしない面も多いが、一方で殺人犯には一切の同情をしない、といった信念を持つ。元刑事であり、犯罪に関す... 関連ページ:毛利 小五郎
毛利 蘭 (もうり らん)
帝丹高校に通う2年生の女子で、工藤新一の幼なじみ。名探偵、毛利小五郎の一人娘。黒のロングヘアでスタイルのいい美少女で、男性によくモテる。訳あって江戸川コナンを預かっており、弟のようにかわいがっている。出て行った母親の代わりに、家事や料理をこなす優しくしっかりした少女だが、幼少期から恋心を抱いている新一には素直になれないところがある。空手の有段者で、暴漢にも一人で立ち向かえるなど勇ましいが、お化けや怪談を苦手としている。小五郎やコナンと行動する中で事件に遭遇することが多く、時には巻き込まれている。また、怪盗キッドの大ファンである鈴木園子に付き合わされて、彼にまつわる事件に遭遇することも多い。漆黒の星の一件では船上パーティーの途中で怪盗キッドと遭遇しているが、すぐに眠らされたために顔は見ていなかった。
鈴木 園子 (すずき そのこ)
帝丹高校に通う2年生の女子で、毛利蘭の親友。名門鈴木財閥の令嬢でかなりの金持ちだが、その振る舞いはあまりお嬢様に見えず、感覚もかなり庶民的。茶髪のボブカットで、ヘアバンドをしている。サバサバした性格で少々お調子者だが、友達思いなところもあり、蘭からの信頼も厚い。江戸川コナンの身代わりに探偵役にされることがあり、何度か事件を解決している。怪盗キッドの大ファンで、彼を「キッド様」と呼んでいる。京極真とは恋人同士だが、彼が武者修行と称して海外に行くことが多いため、なかなか会えずにいる。鈴木財閥を継ぐ気はないが、風来坊の真と付き合うことは母親の鈴木朋子から反対されている。
鈴木 史郎 (すずき しろう)
鈴木園子の父親で、年齢は51歳。笑顔の多い温厚な性格の中年男性で、鈴木財閥の会長を務めるが、私生活は庶民的。クイーンセリザベス号の船上パーティーを主催するが、漆黒の星を狙う怪盗キッドから船の出港が遅れるというウソの電話を受け、それを信じたことで船に乗り遅れてしまう。妻の鈴木朋子と違い、園子の彼氏となった京極真には友好的に接している。実は格闘好きで、真の試合を見に行こうとしていた。
鈴木 朋子 (すずき ともこ)
鈴木園子の母親。43歳に見えないほどの若々しい美女で、左目の下に泣きボクロがある。夫の鈴木史郎とは対照的に気高く派手好きな性分。怪盗キッドの目をくらますために、漆黒の星の模造品を大量に用意して彼を挑発した。しかし、本物を見抜かれて盗まれことで、それ以来怪盗キッドに執念を燃やしている。娘の園子が付き合っている京極真のことは、高校生なのに海外で武者修行をしていることから跡継ぎとしてふさわしくないと思っており、交際を反対している。翠緑の皇帝の一件では警備役を任された真に、園子との交際を賭けてある取り引きを持ち掛けていた。さらに怪盗キッドの変装対策として、世界に一着しかない特注の洋服を用意していた。
茶木 神太郎 (ちゃき しんたろう)
警視庁捜査二課知能犯係の警視を務める男性で、中森銀三の上司。年齢は49歳。大柄な体型をしている。銀三と共に怪盗キッドにまつわる事件を多く担当している。毛利小五郎とは顔見知りで、鈴木次郎吉とは同じ大学の卒業生。現場は銀三に任せて、怪盗キッドの予告状の検証をすることが多い。
中森 銀三 (なかもり ぎんぞう)
警視庁捜査二課知能犯係の警部を務める男性。年齢は41歳。かつて港警察署に勤務していたが、警視庁に栄転して茶木神太郎の部下となった。気が短く、少々荒っぽい性格をしている。栄転前から怪盗キッドにまつわる事件を多く担当しているが、一度も捕まえられずにいるため、彼の予告状が出されると真っ先に現場に駆けつけては逮捕に燃えている。怪盗キッドの盗みの手口や殺人を犯さないポリシーなど、彼の性分をよく把握している。
田中 貴久恵 (たなか きくえ)
奇術愛好家連盟のメンバーである女性で、年齢は28歳。ハンドルネームは「イカサマ童子」。サイト内では男性に見られていたが、メンバーを欺くつもりはなかった。オフ会では浜野利也のマジックを手伝い、風呂焚き係に指名される。利也が殺害されたあとにボウガンで襲われる。好きなマジシャンは木之下吉郎。
浜野 利也 (はまの としや)
奇術愛好家連盟のメンバーである男性で、年齢は27歳。ハンドルネームは「消えるバニー」。サイト内では女性のふりをしていた。オフ会の役割分担をマジックで決めようとしたものの、最後にミスをして宴会係になる。部屋で手品のネタを考えている最中に何者かに殺害され、遺体はロッジ前の雪原の中央に放置されていた。好きなマジシャンは九十九元康。
黒羽 盗一 (くろば とういち)
故人。世界的に有名だったマジシャン。黒羽快斗の父親で、初代怪盗キッド。八年前に行った脱出マジックの失敗で事故死している。しかし、その事故は対立していた謎の組織により仕組まれたものだった。家の中に時限式で扉が開く部屋を設置しており、成長した快斗に怪盗キッドの衣装と伝言を残していた。 いかなる時もポーカーフェイスを崩さないことを信条とし、その心がけは快斗へも引き継がれている。
黒田 直子 (くろだ なおこ)
奇術愛好家連盟のメンバーである女性で、年齢は25歳。ハンドルネームは「イリュージョン」。浜野利也を女性と思い込み、下着や香水の話をしていた。オフ会では利也のマジックにより、宴会の仮リーダーに選ばれた。好きなマジシャンは真田一三。
荒 義則 (あら よしのり)
奇術愛好家連盟のメンバーである男性で、年齢は46歳。ハンドルネームは「無口な腹話術師」。オフ会の企画とロッジのオーナーを務める。ある目的からリーダーの西山と共にロッジでのオフ会を企画したが、彼はオフ会に訪れることはなく撲殺死体で発見された。好きなマジシャンは黒羽盗一。
土井塔 克樹 (どいとう かつき)
奇術愛好家連盟のメンバーである男性で、医大生。年齢は21歳。ハンドルネームは「レッドへリング」。サイトでは丁寧な言葉づかいやジョークを飛ばしていたことで、鈴木園子からは爽やかな男性というイメージを抱かれていたが、実際は太った体型で彼女のイメージから程遠く、オフ会で対面後は幻滅されていた。カゼ薬などを持ち歩く癖があり、カゼで倒れた江戸川コナンの看病も務めた。明るく親切だが不穏な行動も多く、コナンからは疑いの目を向けられる。好きなマジシャンは黒羽盗一。
春井 風伝 (はるい ふうでん)
かつて「脱出王」として名を馳せたマジシャンの老齢男性。白ヒゲを生やしており、脱出マジックが得意なことで有名だったが、マジックショーの最中に事故死した。奇術愛好家連盟のチャットでは春井風伝復活の話題で盛り上がったこともあったが、彼の事故死後にあるメンバーがほかのメンバーに対し、不穏な言いがかりを付けていた。
千間 降代 (せんま ふるよ)
黄昏の館に招待された老婆で、年齢は63歳。安楽椅子に座ったままで推理を披露し、事件を解決する「安楽椅子探偵」として有名。黄昏の館に向かう道中で車がエンストし、たまたま通りがかった毛利小五郎の車に同乗して館に向かった。たばこの煙を苦手としている。茂木遥史とは顔見知り。愛車はフィアット。
茂木 遥史 (もぎ はるふみ)
黄昏の館に招待された男性で、年齢は39歳。クールでハードボイルドな言動が多く、「ハードボイルド探偵」として知られている。シカゴのマフィアに銃で撃たれたばかりだが、ウソのようにピンピンしている。招待状どおりに館を訪れるものの、宝探しにはまったく興味がない。愛車はアルファロメオ。
大上 祝善 (おおがみ しゅくぜん)
黄昏の館に招待された男性で、年齢は51歳。美食と殺人に刺激を求める変わり者で、「美食家探偵」として知られている。料理の腕も確かで、晩餐会ではほかの招待客に料理を振る舞った。考え事をするときは爪を嚙む癖がある。晩餐会の途中で突然苦しみ、死亡する。愛車はポルシェ。
槍田 郁美 (そうだ いくみ)
黄昏の館に招待された女性で、年齢は29歳。元検視官の探偵で、豊富な医学知識を持ち、ルミノール試薬や白衣を持ち歩いている。ほかの招待客が集まる前から、館内のあちこちに残った血痕を調べていた。クールビューティーながら意外と気さくで、毛利蘭ともすぐに打ち解ける。愛車はフェラーリ。
白馬 探 (はくば さぐる)
黄昏の館に招待された高校生で、年齢は17歳。怪盗キッドのライバルでもある探偵で、キザな言動が多い。「ワトソン」という名の利口な鷹を飼っている。噂でしか聞いたことのない惨劇の舞台である黄昏の館を拝むために、急きょイギリスから帰国した。怪盗キッドが殺人を好まないことなど、彼の信条や性格を把握し、ある程度の信頼を置いている。
石原 亜紀 (いしはら あき)
黄昏の館でメイドとして働く女性。顔にそばかすがあり、素朴な雰囲気を漂わせている。黄昏の館の主に雇われたが、メイド採用の面接はパソコンと資料のみで、採用後もメールと電話でしかやり取りをしていなかったため、招待主の正体は知らない。緊張すると親指の爪を嚙む癖がある。
鈴木 次郎吉 (すずき じろきち)
鈴木財閥の相談役の男性で、年齢は72歳。鈴木史郎の兄で、鈴木園子の伯父。豪快な性格で目立ちたがり屋なところがあり、古風な口調で話す。現在は鈴木財閥の経営をほとんど史朗に任せて遊び回っている。また、以前は海外に住んでいた。ゴルフのヨーロッパOP、サバンナラリー、ヨットのUSAカップ、ハンバーガー早食い選手権など、さまざまな大会に挑戦しては優勝している。かくしゃくとしているが老いには勝てず、視力も衰えたためにコンタクトレンズを使用している。愛車はハーレーダビッドソンで、愛犬のルパンを乗せている。日本に帰国した際にひったくり犯を捕え、園子と久々に再会する。あらゆる快挙を成し遂げては新聞の一面を飾ってきたが、怪盗キッドのニュースが一面で報じられた際に、鈴木次郎吉自身の人力飛行機世界一周の快挙が三面に追いやられたために彼を目の敵にするようになる。これ以降は、怪盗キッドを釣るためのエサとしてビッグジュエルを手に入れており、捕まえるための大胆な罠を仕掛けている。怪盗キッドを捕えて新聞の一面に返り咲くのが夢だったが、次第に彼への挑戦がライフワークや生きがいと化し、大金を費やして怪盗キッドを捕まえることに執念を燃やしている。
ルパン
鈴木次郎吉の愛犬。よく次郎吉のハーレーダビッドソンのサイドカーに乗せられ、帽子とゴーグルを着用している。首輪代わりにバンダナを首に巻いており、その裏面にはある秘密が記されている。人懐っこく賢い犬で、江戸川コナンにも懐いている。いつも次郎吉といっしょにいるが、鉄狸の一件では体調を崩して入院していた。
三水 吉右衛門 (さみず きちえもん)
140年前の幕末に活躍していた、伝説のカラクリ師の男性。ちょんまげ頭に着物姿で、気はいいがイタズラ好きな性格をしている。カラクリを施した道具や建物の仕掛けを数多く制作しており、特にカラクリ人形は高く評価され、当時の大名などに買われていた。日本各地には、現在でもカラクリを施した建造物が残っている。それらの建造物の一部には、暗号のような文章も刻まれている。
及川 武頼 (おいかわ たけより)
有名画家の男性で、年齢は59歳。妻はすでに他界している。ふだんは奥多摩にある別荘で、定期的に絵画教室を開いている。四部作の名画「紅蓮」「金色」「純白」「青嵐」の作者で、青嵐の公開を別荘で行う予定だったが、怪盗キッドからの予告状が届いたために警察に通報し、毛利小五郎に青嵐の警備を依頼する。
神原 晴仁 (かんばら はるひと)
風景画家の男性で、年齢は82歳。及川武頼の義父。「神原晴仁(かんばらせいじん)」として活躍していたが、10年前に手を傷めてからは筆をにぎることはなくなり、武頼の別荘で使用人と暮らしている。青嵐に関するある秘密を知っており、それが誰かに知られるのを恐れている。怪盗キッドから青嵐を守るためにアトリエにこもったが、何者かに刃物で襲われて死亡する。
後藤 善悟 (ごとう ぜんご)
鈴木次郎吉にボディーガードとして雇われた男性で、運転手も兼ねている。色黒で眼光が鋭く、非常に無口。鉄狸を守るために次郎吉から雇われたばかりだが、頼りにされている。ずっと次郎吉のそばにいるが、彼が鉄狸の金庫室に入る時は部屋の前で待機していた。
秋津 益彦 (あきつ ますひこ)
鈴木次郎吉の邸宅で使用人を務める男性。眼鏡を掛け、冴えない印象を漂わせている。次郎吉邸にやって来たばかりの新人で、次郎吉からはまったく頼りにされておらず、鉄狸の金庫室に落としたたばこを拾おうとした時もビクビクしていた。小五郎にたばこを買ってくるように頼まれるが、メイドの瀬戸瑞紀に次郎吉からの言葉を伝えたあとは姿を消す。
瀬戸 瑞紀 (せと みずき)
鈴木次郎吉の邸宅でメイドとして働く女性。茶髪でつねに困ったような顔をしている。次郎吉邸にやって来たばかりの新人ということもあり、屋敷に慣れていない。江戸川コナンとぶつかったりカートにぶつけたりと、かなりのドジっ子。愛犬が先月死亡したために、ルパンのことをかわいがっている。
樽見 猪彦 (たるみ ししひこ)
坂本龍馬展の主催者の男性で、年齢は58歳。つねに薄ら笑いを浮かべ、不気味な雰囲気を漂わせている。ブームに合わせて義経展や信長展を開催していたが、警備がずさんで盗賊に展示品を盗まれてしまう。また、20年前の龍馬展では怪盗淑女に一部の展示品を盗まれていた。新たな龍馬展では龍馬のガンベルトを中心に、展示品の鑑定を華村政之助に依頼している。その一方で政之助以外には鑑定させず、警察に協力しないなど怪しい行動が目立つ。
華村 政之助 (はなむら まさのすけ)
鑑定家の男性で、年齢は63歳。目ききの力は確かだが、料金が法外で滅多に仕事を受けないことでも有名。樽見猪彦の依頼で、龍馬のガンベルトの鑑定を務める。怪盗キッドの予告日の朝、猪彦と共に龍馬展に訪れるが、刀の鑑定中に右手が傷つき、親指に包帯を巻いている。
怪盗淑女 (ふぁんとむれでぃー)
かつて「昭和の女二十面相」の異名で活躍していた女盗賊。悪い大企業や大金持ちの持つ宝を狙う義賊的な一面から、大衆の人気を集めていた。20年前の樽見猪彦主催の坂本龍馬展で、3点の展示品を盗んでからは活動を停止している。新たな龍馬展では、20年前に盗んだ品が怪盗キッドによって返却されることになったが、彼との関係性は不明。
世良 真純 (せら ますみ)
帝丹高校に通う2年生の女子で、アメリカ帰りの探偵。毛利蘭たちのクラスメート。一人称は「ボク」で、ボーイッシュな見た目と貧乳からよく男性にまちがわれる。武術の心得があり、特に截拳道(ジークンドー)を得意としている。以前は怪盗に興味がなさそうにしていたが、探偵には怪しいライバルがつきものという理由で、怪盗キッドに興味を持つようになる。性格も男っぽいところがあり、赤面の人魚の一件では平然と男子トイレを使っていたために、怪盗キッドからも男とまちがわれた。
京極 真 (きょうごく まこと)
坏戸高校に通う3年生の男子で、年齢は18歳。色黒で顔のあちこちに絆創膏を貼り、眼鏡を掛けている。空手部の主将を務めており、硬派でストイックな性格の持ち主。鈴木園子と付き合っているが、武者修行のために海外に行っていることが多い。毛利蘭をも超える空手の実力を持ち、強力なキックを繰り出すことから「蹴撃の貴公子」の異名で知られる。初めて園子の両親と会った際は、鈴木史郎には気に入られるものの鈴木朋子からは後継ぎにふさわしくないと、交際を反対された。園子が夢中になっている怪盗キッドが翠緑の皇帝を狙っていると聞いた際は、対抗心から警備陣に加えてほしいと鈴木次郎吉に願い出た。鈴木財閥の警備員を倒す実力と、400戦無敗の経歴を次郎吉に気に入られ、世界最強の防犯システムとして翠緑の皇帝の警備を任され、展示台の上で首から翠緑の皇帝を下げた状態で肌身離さず持つことになる。さらには朋子から園子との交際を賭けた、ある約束を持ち掛けられる。
集団・組織
少年探偵団 (しょうねんたんていだん)
『名探偵コナン』に登場する団体。江戸川コナンが通う帝丹小学校1年B組の生徒5人で構成されている。現在のメンバーは吉田歩美、円谷光彦、小嶋元太、江戸川コナン、灰原哀の5人。ただ、江戸川コナン、灰原哀の2人は、探偵団に入ると明言したわけではない。
奇術愛好家連盟 (きじゅつあいこうかれんめい)
奇術やマジシャンのファンによるサイトを通して集まったグループ。インターネットを始めたばかりの鈴木園子や荒義則をはじめとする奇術愛好家たちが加入している。メンバーはサイトのチャットやメールでやり取りをしており、インターネット上では本名ではなくそれぞれが持つハンドルネームを名乗っていた。奥多摩の雪山にある義則所有のロッジで初のオフ会が開催されるが、外界から隔絶されたこのロッジで奇妙な怪事件が起こってしまう。
場所
黄昏の館 (たそがれのやかた)
山奥にある謎の洋館。「神が見捨てし仔の幻影」を名乗る謎の人物から、招待状と200万円の小切手を送られた探偵たちが集められた。かつては大富豪の烏丸蓮耶が持つ建物だったが、彼の死後に開催されたオークションで麻薬による惨殺事件が起こった。今回の探偵が招待された晩餐会の最中に大上祝善が毒殺され、再び惨劇の舞台となる。
三水のカラクリ屋敷 (さみずのからくりやしき)
少年探偵団が、キャンプ中に山奥で見つけた謎のカラクリ屋敷。三水吉右衛門が作ったカラクリがあちこちに仕掛けられており、暗号のような文章も刻まれている。暗号や仕掛けを解くと、どこかに隠されたダイヤモンドの在りかがわかることから、トレジャーハンターたちも調査に乗り出している。
その他キーワード
漆黒の星 (ぶらっくすたー)
鈴木財閥の家宝で、ピーコックグリーンの光沢が美しい黒真珠。鈴木家の守り神とされる。米花博物館に展示されたあと、鈴木財閥の船上パーティーでも披露され、怪盗キッドに狙われることになる。鈴木朋子が攪乱のために模造品を大量に作り、パーティーの参加者に配られた。
紫紅の爪 (ぱーぷるねいる)
鈴木次郎吉が怪盗キッドを捕えるためのエサとして用意した伝説のミュール。神聖ローマ帝国のマリア・テレジアも惹かれたといわれる秘宝で、爪先には100カラットのアメジストが豪華にあしらわれている。公開1日目は、怪盗キッドを欺くために片方だけ偽物になっていた。
大海の奇跡 (ぶるーわんだー)
鈴木次郎吉が怪盗キッドを捕えるためのエサとして用意した世界最大級のアクアマリン。大航海時代を生き残った不沈船「シーゴッデス号」の船首にある、黄金の女神像が掲げている。美術的価値が非常に高く、次郎吉も競り落とすのにかなり苦労したほどのもの。
青嵐 (せいらん)
及川武頼が描き上げた絵画「紅蓮」「金色」「純白」に続く4作目の絵画。4枚すべてが自然の美しさを表現している。青嵐には風が描かれており、ほかの3枚と共に「花鳥風月」を表現している。怪盗キッドが狙う青嵐にはすでに資産家が買い手につき、代金もすでに支払い済み。怪盗キッドに青嵐が盗まれた場合は買い手に代金を返し、二度と青嵐を描かないと武頼が宣言している。
鉄狸 (てつだぬき)
三水吉右衛門が作ったとされる大金庫。現在は鈴木次郎吉の邸宅にある金庫室に置かれている。さまざまな仕掛けを施した難攻不落の金庫であり、次郎吉邸に押し入った盗賊たちを返り討ちにしてきた。外からの開け方を知っているのは次郎吉だけだが、中からは簡単に開けられる構造になっている。
麒麟の角 (きりんのつの)
鈴木次郎吉が所蔵する、伝説上の獣「麒麟」のツノの形をした琥珀。三水吉右衛門による特別な仕掛けが施された山寺に隠されており、発見後に山寺ごと次郎吉に買い取られた。本堂の四隅に設置された台座の鍵穴を同時に回さなければ、拝むことすらできないようになっている。
龍馬のガンベルト (りょうまのがんべると)
樽見猪彦が開催した坂本龍馬展の目玉となっているガンベルト。バックルにルビーが埋め込まれている高級品で、かつて高杉晋作が坂本龍馬にピストルといっしょに贈ったとされる。鈴木次郎吉が怪盗キッドをおびき出すためのエサとして猪彦から買い取ろうとしたが売ってもらえず、仕方がなく龍馬展のための場所だけ貸している。
赤面の人魚 (ぶらっしゅまーめいど)
鈴木次郎吉が怪盗キッドを捕えるためのエサとして用意した、幻のレッドダイヤモンド。元は海難事故で亡くなったイタリアの大女優が所有しており、彼女が飼っていた「ポセイドン」という名のカメに貼り付けられている。レッドダイヤモンドが付いた金のネックレスごとポセイドンの甲羅にくっ付けてあり、腹部分にも小さな宝石があしらわれている。カメが5月から11月に脱皮することから、自然に剥がれた際に買う予定だったが、ポセイドンに付いている状態で怪盗キッドと勝負がしたかった次郎吉が待ちきれずに購入した。
翠緑の皇帝 (ぐりーんえんぺらー)
鈴木次郎吉が怪盗キッドを捕えるためのエサとして用意した、世界最大のアレキサンドライト。名前どおりの美しい翡翠色の宝石で、ネックレス状で首から掛けられるようになっている。次郎吉から護衛を任された京極真はこのネックレスを首に掛け、展示ケースの上に座って怪盗キッドを待ち構えていた。
書誌情報
名探偵コナンvs.怪盗キッド 完全版 2巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2014-10-17発行、 978-4091255426)
第2巻
(2014-10-17発行、 978-4091255433)