愉快な住人たちが繰り広げる一話完結コメディ
本作の舞台となる「拝み屋横丁」は、とある商店街の路地を曲がると現れる、少し不思議な横丁。陰陽師に神主、坊主など怪しい者や、いわく付きの品が集まるため、近隣住民からは「用事がなければ近づいてはいけない場所」と噂されている。横丁の住人はほとんどが霊感の持ち主ながら、憑依されたとしても横丁内ですべての問題は解決する。今日も拝み屋横丁では、貧乏神を押し付け合ったり、福の神を取り合ったり、はたまた心霊否定派の老人たちが口論したりと、ドタバタな日常が繰り広げられる。
霊能者たちが集う横丁で、笑いあり涙ありの大騒動
本作には数多の幽霊やいわく付きの品が登場し、霊的な存在をテーマにしている。しかし恐怖を感じさせる要素はまったくなく、終始ほのぼのとした雰囲気が漂い、心温まるホームコメディや落語の人情噺のような世界観が作り上げられている。
登場人物・キャラクター
市川 文世 (いちかわ ふみよ)
「拝み屋横丁」の大家を務めている壮年の男性。住人の起こす騒動に頭を痛めながらも、まとめ役を担っている。眼鏡をかけ、和服を普段着にしている。甥の市川正太郎の面倒を見ながら、小説家の伏見東子や幽霊の平井太郎、ご隠居三人組に振り回される日々を送っている。先代の大家で父親でもある市川龍之助からは、横丁の大家を引き継ぐ際に「思う存分傍若無人に振る舞いなさい」と言われていた。文世自身も憑き物落としの心得があり、店子である拝み屋から頼られることもある。また口達者で、適当なことを言葉巧みにあやつりながら周囲を丸め込むことを得意としている。店子たちからは「大家さん」と呼ばれることが多い。
市川 正太郎 (いちかわ しょうたろう)
市川文世の甥で、男子高校生。父親と喧嘩をして家出中で、文世の家に居候している。霊媒体質ながら横丁の中で唯一霊感がなく、人間関係についても鈍感なところがある。幼なじみの吉永里加子から好意を寄せられているが、まったく気づいていない。拝み屋横丁の住人たちと仲がよく、度々騒動に巻き込まれているが、霊感がないために自覚していない。ご隠居三人組が雑霊を混ぜて作った、人口霊・絹代が取り憑いたカラスと行動を共にしている。
書誌情報
拝み屋横丁顚末記 全27巻 一迅社〈ZERO-SUMコミックス〉
第1巻
(2003-07-25発行、 978-4758050418)
第27巻
(2017-07-25発行、 978-4758033015)