時代を超えて激突する、鬼と桃太郎
はるか昔、「鬼」と呼ばれる種族が人知れず存在していた。彼らは自らの血が暴走することを恐れ、周囲に被害が及ばないようひっそりと暮らしていた。そんな中、「桃太郎」と呼ばれる存在が、鬼がバーサーカーにならないよう戦いを挑む。その戦いは今に至るまで続いており、現在は鬼の子孫「鬼機関」と桃太郎の子孫「桃太郎機関」が、人知れず水面下で戦争を繰り広げている。桃太郎機関のエージェントに、育ての親を奪われた一ノ瀬四季は、敵討ちのために鬼機関の養成学校「羅刹学園」で修行を積み、戦闘集団「鬼國隊」と協力して桃太郎機関と対峙(たいじ)する。本作は、鬼視点で描く現代版「桃太郎」で、昔話に出てくる鬼と桃太郎の立場が逆転している。
血をあやつって戦う鬼たち
鬼は、自らの血を具現化して攻撃に転用する特殊能力「血蝕解放」を使用できる。血蝕解放には、嗜好(しこう)を力に変えるタイプや過去の経験を血液にフィードバックさせるタイプ、そしてトラウマを暴走させるタイプが存在する。一ノ瀬四季は嗜好を力に変えるタイプの使い手で、自らの血液でさまざまな銃器を作り出せる。また鬼の中には「鬼神の子」と呼ばれる、卓越した能力を持つ個体も存在する。鬼神の子は、炎や風といった特定の属性に寄った血蝕解放が可能で、ふつうの鬼を凌駕(りょうが)する戦闘能力を誇るが、その代償として寿命が極端に短いという欠点を持つ。
鬼の脅威として君臨する「桃太郎機関」
鬼と敵対する「桃太郎機関」に所属するエージェントたちは、血を使わずに「血蝕解放」に似た能力を行使できる。彼らの強さは鬼を上回ることが多く、現時点では桃太郎機関が鬼機関より有利な状況が維持されている。桃太郎機関に所属するエージェントは、鬼の血を引く者たちが血を暴走させて殺戮(さつりく)マシーン化することを懸念し、人間として扱わない傾向にあり、偏見によって手酷(てひど)い仕打ちを行うことも少なくない。ただし、かつて桃太郎機関に所属していた桃瓦剛志は、血縁関係のない鬼の子供、一ノ瀬四季を愛情を持って育てるなど、必ずしも桃太郎機関のすべてが鬼を敵視しているわけではない。
登場人物・キャラクター
一ノ瀬 四季 (いちのせ しき)
鬼の血を引いている少年。年齢は17歳。誕生日は2月4日。黒髪ショートヘアで、左目の下に二つ並んだほくろがある。赤ん坊の頃、当時桃太郎機関に「桃瓦剛志」の名で所属していた一ノ瀬剛志に助けられ、養子として育てられた。そのため自分が鬼の子孫であることも知らされておらず、桃太郎機関からの襲撃を受けて初めて真実を知ることとなった。その際、鬼の血と能力を暴走させてしまう。剛志の死後すぐに無陀野無人によって鬼ヶ島に拉致され、羅刹学園入学のための試験を受けることになった。短気で喧嘩(けんか)っ早く頭も悪いが、観察力に優れており発想も非常にユニーク。また女子生徒に対しても優しく接している。血蝕解放した際に生み出される武器は、ショットガンをメインとする銃火器となっている。
無陀野 無人 (むだの ないと)
羅刹学園で教職に就いている男性。鬼機関に所属している。誕生日は12月31日。右目の下に、長さの違う黒いライン状のタトゥーを入れている。合理主義者で何事に対しても無駄なことを嫌悪している。移動が速いという理由から、つねにローラースケートを履いている。桃太郎機関に襲撃され、養父を殺害された一ノ瀬四季を発見し、そのまま鬼ヶ島まで拉致した。四季が目覚めた直後に羅刹学園の入学試験を課している。この数年間は一人も合格者がいなかったため、校長からは四季を合格させたことを意外に思われており、その理由について興味を持たれている。かつての同級生からは「ダノッチ」と呼ばれている。
書誌情報
桃源暗鬼 21巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2020-10-08発行、 978-4253280013)
第2巻
(2021-01-08発行、 978-4253280020)
第3巻
(2021-03-08発行、 978-4253280037)
第4巻
(2021-06-08発行、 978-4253280044)
第5巻
(2021-08-06発行、 978-4253280051)
第6巻
(2021-10-08発行、 978-4253280068)
第7巻
(2021-12-08発行、 978-4253280075)
第8巻
(2022-03-08発行、 978-4253280082)
第9巻
(2022-05-06発行、 978-4253280099)
第10巻
(2022-07-07発行、 978-4253280105)
第11巻
(2022-09-08発行、 978-4253280112)
第12巻
(2022-11-08発行、 978-4253280129)
第13巻
(2023-01-06発行、 978-4253280136)
第14巻
(2023-04-07発行、 978-4253280143)
第15巻
(2023-06-08発行、 978-4253280150)
第16巻
(2023-08-08発行、 978-4253280167)
第17巻
(2023-11-08発行、 978-4253280174)
第18巻
(2024-01-05発行、 978-4253280181)
第19巻
(2024-03-07発行、 978-4253280198)
第20巻
(2024-05-08発行、 978-4253285315)
第21巻
(2024-09-06発行、 978-4253285322)