浪漫三重奏

浪漫三重奏

作者・あわ箱のデビュー作にして代表作。破天荒で下品な下ネタが繰り広げられる、暴走的ギャグコメディ。作者のあわ箱は、可愛らしい美少女の描写に定評がある。しかし、本作『浪漫三重奏』では、お色気シーンはスパイス程度のもので、描かれる裸体は男性のものがほとんど、という異色作。講談社「別冊少年マガジン」の創刊号である2009年10月号から2012年7月号にかけて連載された。

正式名称
浪漫三重奏
ふりがな
ろまんさんじゅうそう
作者
ジャンル
下ネタ
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概要・あらすじ

八王女中学校の「浪漫部」に所属する桜塚りくら3人の部員たちは、その部活動の意味不明さから、廃部の危機を迎えていた。しかし、ただの思いつきから、周囲で頻発するわいせつ事件の犯人を捕まえたため、廃部が1週間延長されることになった。それ以来、浪漫部の面々は、廃部を逃れるため、世間に認められる活躍を求められ、なぜか変態どもと関わっていくことになる。

登場人物・キャラクター

桜塚 りく (さくらづか りく)

八王女中学校「浪漫部」の一員。栗色の髪をハーフアップにした髪型の女子生徒。中学2年生で13歳だが、大和充をはじめZ戦士の面々には熟女扱いされている。能天気で破天荒な性格で、何か面白そうなことがあると、すぐに頭を突っ込みたがるトラブルメーカー。浪漫部の中で最も幼児体型であることを気にしており、スタイルの良い鳩谷みずほに、お色気担当を無理やり押し付ける。 実家は神社を営んでおり、巫女として活動することもある。煩悩退散たけのこを使って変態を殴打し、煩悩を散らすことができる。あえて具体的に何とは言わないが、たけのこ派。

常闇 あまな (とこやみ あまな)

八王女中学校「浪漫部」の一員。黒髪ロングの女子生徒。常に微笑を浮かべており、心の中で何を考えているかわからない。基本的に他人をイジるのが趣味で、桜塚りくや鳩谷みずほは、しょっちゅうその餌食になっている。一方で、自分がイジられることには非常に弱く、時折不意打ちを喰らっては慌てふためいている。実は実家がとある資産家で、大金持ちのお嬢様。 あえて具体的に何とは言わないが、きのこ派。

鳩谷 みずほ (はとや みずほ)

八王女中学校「浪漫部」の一員。中学生らしからぬ豊満な肉体と、毛先がくるくると巻かれた金髪の女子生徒。引っ込み思案でおとなしく、その性格と容姿から桜塚りくや常闇あまなにイジられてばかりいる。「浪漫部」では、顧問も含めた中で一番の常識人。しかし、周囲の個性にあてられてか、次第に黒い一面も見せるようになっていく。

東武 朝香 (とうぶ あさか)

八王女中学校「浪漫部」の顧問を務める女性教師。黒髪ロングの髪型にメガネをかけている。真面目そうな見た目とは裏腹に、非常に適当、かつおおざっぱな性格。顧問を務めているにも関わらず、「浪漫部」の活動がどういうものなのか、よく理解していない。

上福岡 樹里 (かみふくおか じゅり)

八王女中学校に新しく赴任してきた女性教師。髪型は、後ろ髪だけが極端に長い黒髪ロングストレート。引っ込み思案で、かなりのあがり症。生徒に声をかけられただけでもパニックに陥り、しょっちゅう下着が丸見えになるほど派手に転ぶ。その頻度は、本人いわく「年間500パンチラペース」。元々は八王女中学校の生徒で、在学中に出会った当時の天文部の部長に、もう一度会いたいと、八王女中学校への赴任を強く希望した。

桐塚 ひかり (きりづか ひかり)

八王女中学校の生徒会副会長の女子生徒。桜塚神社と敷地が隣接している桐塚神社の娘。基本的に物静かでおとなしい性格の優等生。東武朝香ら教師陣からも一目置かれている。しかし、桜塚りくとは生家の関係性や性格の不一致から、ライバル関係。りくのことになると、多少ムキになることがある。また、りくとの関係性は別として、活動内容が不明で部費の乱用が激しい「浪漫部」を快く思っておらず、廃部にしたいと考えている。 りくとは違い、素手で変態の煩悩を散逸させることができる。

影法師 ツヤ (かげほうし つや)

八王女中学校の女子生徒。常闇家と同等の資産家である影法師家の一人娘。社交界などで常闇あまなとは面識があり、同学年ということもあってか、一方的にあまなをライバル視している。非常に高慢で自己中心的な性格だが、本人に悪気はなく、歯に衣を着せていないだけだと思っている。その性格から対人関係には難があり、あまねはもちろん、桜塚りくや桐塚ひかりと対立することもある。

大和 充 (やまと みつる)

八王女大学附属研究所で心理学を研究している男性教授。顎に無精ひげを生やし、黒ぶちのメガネをかけている。桜塚りくの父親の古い友人で、犯罪心理学にも精通している。りくがわいせつ事件の犯人を捕まえる際に、協力を要請した。なお、のちに研究所をクビになってしまい、八王女中学校の教員として赴任してくることになる。左乳首が弱点。

中軍 竜司 (ちゅうぐん りゅうじ)

大和充の助手として研究所に所属していた青年。大和がわいせつ事件を起こしたことに嫉妬し、自らも性癖をさらけ出して、鳩谷みずほを盗撮し、インターネットで公開・販売するという事件を起こした。非常に大きな男性器を持っており、写真を取る際にはそれを一緒に写してしまう癖がある。ほぼ確定的なホモ疑惑がある。

澤井 拓次郎 (さわい たくじろう)

痴漢を生きがいとし、人生のすべてを痴漢にささげた男性。後ろに撫でつけた髪に、常にサングラスをかけている。鳩谷みずほが電車に乗るたびに痴漢に遭う、という話を聞いた桜塚りくらの活躍によって、お縄についた。しかし、みずほを痴漢していた男性とは別人だった様子。痴漢の副業として、「喫茶トレイン」という名前の喫茶店を営んでいる。 店内はゴミにあふれ、出てくるコーヒーもまずいため、経営状態は極めて悪い。

本山 剛 (もとやま つよし)

誘拐犯一味のボス。常闇家から身代金を要求するため、常闇あまなをさらおうとした。部下に対し、「浪漫部」の3人の写真を渡したが、明確に人物像を伝えなかったため、誤って鳩谷みずほをさらってきてしまう。太い眉と立派な髭を生やし、オールバックの髪型に筋骨隆々とした肉体、という威厳溢れる見た目をしているが、ドM。

尾添 剣三 (おぞえ けんぞう)

常闇家の執事を務めている64歳の男性。毛はほとんど白髪になっており、白い口ひげを蓄えて丸いメガネをかけている。常闇家が大和充と中軍竜司に襲撃された際にほとんど役に立たず、しかも日常的に変態行為を行っていたことが露呈したため、解雇されてしまう。その後は、Z戦士として変態らの集団に仲間として加わった。好みのタイプは「いや、ダメ、やめて!」と言いながら自ら服を脱ぐ女性。

尾添 花三 (おぞえ はなぞう)

尾添剣三の双子の弟。兄の剣三と非常によく似ており、違いは髪や髭が黒く、メガネをかけていないところ。かつて剣三が常闇家の執事として仕えていたのと同様に、常闇家と同等の資産家である影法師家の執事を務めている。なお、これは「代々良家の執事として仕えてきた尾添家の天職」であるという。変態である剣三をして「精神年齢が中学生レベルの愚弟であり、生粋ののぞき魔」と言わしめる変態。 事実、変態行為を働いたため、影法師家を解雇される。その後、自らもZ戦士の一員となり、なんだかんだで兄弟でうまくやっている。

校長 (こうちょう)

八王女中学校の校長を務める男性。丸々と太った体型に頭頂部は禿げ、メガネをかけている。常闇あまなの入学当初から、尾添剣三が盗んだ女性用下着を購入していたり、使用済みエロ本数冊の賄賂だけで大和充を教員として雇用するなど、常軌を逸した変態。

りくの母 (りくのはは)

桜塚りくの母親。年齢は明かされていないが、見た目は母親と思えないほどに若く、りくをそのまま成長させたような姿をしている。気さくな性格だが、強引でパワフルな面を持ち、何かと首を突っ込んでは場をひっかきまわす。この性格はりくに受け継がれている、と周囲には思われている。普段は桜塚神社の世話をしているが、話の展開に応じて都合よく、しかも頻繁にPTAの会合に出かける。

あまなの母 (あまなのはは)

常闇あまなの母親。あまなをそのまま大きくしたような、そっくりの容姿をしている。常識をはるかに超えた大金持ちなため、多少世間知らずな部分もある。それを除けば、作中でも数少ない常識人である。お淑やかで落ち着きのある性格。毎日のように家を訪れ、好き放題暴れていく桜塚りくらに対しても、大人の対応を崩さない聖人。一方、あまなの成長記録を、巨大な金庫に保管する親バカでもある。

成城 かざみ (せいじょう かざみ)

八王女中学校に通う女子生徒。中軍竜司が日課である盗撮を行っていた際、突然飛んできた野球ボールが中軍の股間を直撃し、気を失っていたところを発見。彼が変態であることを知らずに救急車を呼び、到着するまで看護した優しい女性。

ちさめ

瀬久原クリニックの201号室に入院していた小さな女の子。通りすがりに出会った本山剛の顔面の穴という穴に花茎を突っ込み、「顔が汚いから花を挿してキレイにしてあげた」と発言。無垢で生粋のドS。ドMである本山は、その一言でノックアウトされ、それ以来足しげく201号室に見舞いと称して通うことになる。

不審な中年男性 (ふしんなちゅうねんだんせい)

盗撮写真に映り込んでいた男性。桜塚りくが、身近な生き物の生態観察の課題を受け、鳩谷みずほの行動を盗撮していた際に映り込んだ。みずほと親し気に言葉を交わし、仲良く連れ立って歩いていく姿が目撃された。りくの評価によれば、「見知らぬ、気持ち悪く好色っぽくて変態そうな、最低と思われるオヤジ」であり、「生理的に受け付けない不快」な人物。 その正体はりくの父親。

にしおか よしのり

桐塚ひかりに助けてもらった少年。本山剛ら変態に襲われているところを助けてもらった。それをきっかけに、ひかりに惚れてしまい、なんとか親密になりたいと考えるようになる。その後、ひかりについて知る大和充に出会い、ひかりに好きになってもらえる男性になるための特訓を受ける。

ストレイボウ

巨大な熊。桜塚神社の裏山のさらに奥地に住んでいる。桜塚りくが幼少の頃から一緒に遊んでいた友達。数年ぶりに会いに行った際にも、彼女についてしっかりと覚えていた。「ベアァ」「くまー」などと、熊らしい鳴き声を上げる。また人間に変装した際には、鳴き声を「ヘアー」に変えるなど、高い知性を感じさせる。

川越 時子 (かわごえ ときこ)

八王女中学校の生徒会で書記を務める女子生徒。髪型はミディアムボブで、メガネをかけている。生徒会に所属しているが、生徒会長には会ったことがない。

集団・組織

浪漫部 (ろまんぶ)

八王女中学校の部活の1つ。桜塚りく、常闇あまな、鳩谷みずほの3人が所属しており、顧問は東武朝香が務める。部活動の内容は、「人々の琴線に触れることを目的とした、トキメキを伴う行動に従事すること」とあるが、顧問や部員を含め、一体どういう部活なのか分かっていない。活動内容が不明な点と、部費をやたらと目的もなく消費するため、廃部がほぼ確定的となっている。 しかし、世間に活躍が認められると、学校側は無闇に廃部にできない。そのため、りくらは廃部を免れようと、主に変態的な事件に首を突っ込むことになる。

Z戦士 (ぜっとせんし)

変態たちの集団。作中では「3次元Z軸を嗜む紳士の総称」とされている。実際は、大和充をはじめとする変態たちの集まりである。メンバーはただ1人の例外もなく、ド変態ばかり。世間の爪弾き者同士として、ある一定の信頼というか、傷の舐め合いのような、奇妙な連帯感で結ばれている。

場所

八王女中学校 (はちおうじょちゅうがっこう)

桜塚りくらが通っている中学校。作中では、ほとんど女子生徒しか描かれないが、れっきとした男女共学校。トップである校長を含め、かなり個性的な教員が多く、校風も自由。部活動に関しても、廃部の危機にさらされてはいるが「浪漫部」などの活動が認められていたり、「ミミガー部」という謎の部活も存在する。のちに廃校となる。

桜塚神社 (さくらづかじんじゃ)

桜塚りくの実家である神社。豊かな自然に囲まれた小さな神社で、普段はりくの母が境内の面倒を見ている。裏山を挟んで、敷地が桐塚神社と隣接しており、境界線には「禁」と書かれた杭が並んでいる。桐塚神社とは互いにライバル関係にあるようで、その神社の娘ら2人もいがみ合っている。

喫茶トレイン (きっさとれいん)

桜塚りくらの住む街にある喫茶店。経営者は澤井拓二郎。澤井によれば、喫茶店の店長はあくまで副業で、本業は痴漢であるという。そんなおざなりな経営をしているからか、店内にはゴミが溢れて散らかり放題。しかもコーヒーがまずい、という喫茶店にあるまじき状態にあった。りくらが部費を捻出するためアルバイトをして、多少改善されたが、結局騒動を引き起こして元の木阿弥となる。 店がキレイになる前から、他の客が来なくていいと、桐塚ひかりが足しげく通っていた店でもある。

瀬久原クリニック (せくはらくりにっく)

外科や内科、小児科を含む総合病院。バカなことをしては入院してばかりいるZ戦士の面々が、主に世話になっている。規模はかなり大きい。病院名からして怪しいが、入院している女性患者や勤務している女性看護士は無事であり、セクハラ疑惑は特にない。一方で、中軍竜司が院長の診察を受けた後は、「尻が……」とうわごとのように呟き、以降診察のたびに恐慌をきたす症状に見舞われるなど、怪しい面もある。

桐塚神社 (きりづかじんじゃ)

桐塚ひかりの実家である神社。大きく広い参道に、立派な拝殿。見た目の規模だけで言えば、桜塚神社とは雲泥の差がある。敷地は桜塚神社の裏山と隣接しており、互いの敷地の境界には、「禁」と書かれた杭が打ち込まれている。地元の祭り「八王女夏祭り」の誘致に成功し、「桐塚神社夏季御例祭」と並行して、盛大な規模の祭りが開かれた。

その他キーワード

CPS (ちんこぽろりしすてむ)

コミックス第1巻に備わっている特殊な表現手法。収録されている1話につき、必ず1人ずつ、下腹部を露出しているモブ(背景に描かれる群衆)がいるというだけのもの。ストーリーなどとはまったく関係がない。

煩悩退散たけのこ (ぼんのうたいさんたけのこ)

桜塚りくが所有しているたけのこ。たけのこだが、立派な武器。これを用いて変態を殴打し、変態が持つ煩悩を退散させることができる。なお、ストーリー開始時点から使用していたたけのこは、死線を共に潜り抜けた友のような存在だった。ところが、常闇あまなによって部室の鉢で育てられて、たけのこでなくなってしまった。そのため、りくは紛失したと思い込んでいた。 実際は桜塚神社の裏山で採取するほか、スーパーで購入することもできる、ごく普通のたけのこである。

みずほのくるくるエクステンション

鳩谷みずほがしょっちゅう痴漢に遭う、という話を受け、「みずほの何かが痴漢を惹きつけているのではないか」と予想したりくが、みずほのくるくる巻いた毛先を再現したもの。これを着ければ、痴漢が寄ってくると予想されたため、「変態ホイホイ」と名付けられた。なお、りくがこれを着用して電車に乗ったが、変態は釣れなかった。

みずほ救出マシン (みずほきゅうしゅつましん)

ドリルを持った乗り物。桜塚神社の裏山でたけのこ狩りをしている際、はぐれてしまった鳩谷みずほを捜索・救出するために作られた。トロッコの前面にドリルを装着したようなもので、洞窟の壁を超高速で掘り進むほどの驚異的な踏破力を持つ。しかし、製作費用に数十万かかり、部費から捻出したため、部の存続が危ぶまれることになった。

カウパーシ戦役 (かうぱーしせんえき)

「ファンタジー戦記の金字塔」と呼ばれるシリーズ物の小説。書店で平積みされるほど人気のある作品。価格は1冊あたり1200円。主人公がヨダツクニから旅立つシーンが特に萌えると評判。常闇あまなや鳩谷みずほ、桐塚ひかりが愛読していた。桜塚りくは作品を読んだことがなく、話についていけずにふてくされた。

芋愛物語 (いもあいものがたり)

桜塚りく推薦の小説。ファンタジー小説「カウパーシ戦役」を読んだことがない桜塚りくが、「そんなものよりオススメの本がある」と対抗し、鳩谷みずほらに薦めた作品。りくによれば「農家の人と芋の出会いと別れを描いた感動作」だというが、みずほには「見事につまらない」と評され、常闇あまなには「ゴミ」と一蹴された。

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