快僧のざらし

快僧のざらし

のざらし、陽念、陰念の3人の修行僧が繰り広げる、1話完結式のギャグ漫画。宗教者をメインキャラクターとしながら、少年誌の限界とも言える直接的なエログロ表現と破壊的なスラップスティックギャグが詰め込まれている。作者山上たつひこの代表作である『がきデカ』と同時期の連載作品であり、ツッコミ役が固定化している点や、随所に一発ギャグが織り込まれている点など『がきデカ』との共通点も多い。

正式名称
快僧のざらし
ふりがな
かいそうのざらし
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
下ネタ
レーベル
その他(小学館クリエイティブ)
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概要・あらすじ

由緒は正しいが、あまり有名ではない寺院昇天寺。ここでは、住職である和尚の下、何人もの修行僧が日々仏の道を追究している…はずなのだが、のざらし陽念陰念の3人組だけは話が別。煩悩のままに変態行為を繰り返し、悪乗りし放題の毎日を送っている。その変態パワーは、徳の高い和尚や真面目な修行僧たちも巻き込み、今日も騒動の耐えない昇天寺なのだった。

登場人物・キャラクター

のざらし

しもぶくれで不細工な昇天寺の修行僧である。まだ少年のようにも見えるが、年齢は不詳。就学経験がなく、事あるごとに性器や尻をむき出しにするなど、常識はずれの行動が目立つ上に、欲望には極端に弱く、理性のストッパーがほとんど効かない。なぜか十字架を見ると金縛りになってしまう。また、意外にも歌がうまく、フォークギターを弾きこなしたこともある。

陽念 (ようねん)

昇天寺の修業僧だが、なぜか剃髪していない。顔立ちも整っており、黙っていればまともに見えるのだが、何の前触れもなく過激な行動に走るため、周囲から油断のならない男と思われている。序盤ではオネェ言葉で話していたが、和尚の娘さつきを襲おうとしたり、ノーマルなエロ本に見入ったりもしている。

陰念 (いんねん)

いかつい体つきの昇天寺の修行僧。のざらしや陽念に比べると、常識をわきまえており、抑えに回ることもあるが、基本的には変態なので、3人揃って悪乗りしまくることの方が多い。山上たつひこの作品『喜劇新思想体系』に登場する悶々時次郎と同じ顔をしている。

和尚 (おしょう)

昇天寺の住職を務める初老の男性。土蔵にポルノ写真を隠していたりもするが、基本的には真面目な人物である。のざらしたちの起こす騒動に巻き込まれ、酷い目に会うことが非常に多い。かなりの博識で、外科手術の心得もあるほか、強力封じという、相手の力を弱める術まで習得している。 中学生の娘さつきがいるが、妻は登場しない。

秀念 (しゅうねん)

眉目秀麗にして頭脳明晰な昇天寺の修行僧。のざらしたち3人組に対しては完全なツッコミ役であり、その悪乗りを止めるためにかなり過激な手段を取ることもある。和尚の娘さつきと仲がいい。

愛念 (あいねん)

昇天寺ではおそらく最年少の修行僧で、非常に愛くるしい容姿の少年。和尚からは特に可愛がられている。まだ幼いが、男らしいところもあり、自分を馬鹿にしたのざらしと勝負しようとしたこともある。

さつき

和尚の娘で、中学生の美少女。ツッコミ役に回ることもあるが、唯一の女性レギュラーであることから、お色気要員を務めることが多く、毎回のようにのざらしたちの変態行為に悩まされる。

連休 (れんきゅう)

昇天寺始まって以来の秀才と言われる少年修行僧で、破戒のかたまりであるのざらしたちとは仲が悪い。序盤に1回登場したのみで、以後は姿を消してしまった。

一坪君 (ひとつぼくん)

昇天寺にとってはお得意様でもある大地主・一坪家の一人息子。成金丸出しの趣味の悪い服を着て、キャデラックを乗り回している。キャデラックで女性を誘い、山の中へ連れ込んでは、その女性と相撲を取ることを趣味にしている。

死神 (しにがみ)

死者の魂をあの世へと導く神。スペイン風邪よりも恐ろしいアマゾン風邪に罹患し、危篤状態となった愛念を迎えるために昇天寺に現れた。これを阻止しようとしたのざらしの仕打ちに激怒し、昇天寺一行を三途の川まで連れて行ってしまう。外見は、黒のスーツを身に付けた髪の薄い出っ歯の男で、山上たつひこの作品『喜劇新思想体系』に登場する池上筒彦に酷似している。

蚊取 冷子 (かとり れいこ)

のざらしの歌に魅かれ、スカウトしようとやってきた芸能プロのマネージャー。芸能界入りを迷うのざらしをあからさまなお色気攻撃で説得した。実は、劇場火災の犠牲者の亡霊で、現世への未練を晴らすためにのざらしを劇場跡で歌わせていた。

ブッシー

『快僧のざらし』に登場した怪物。昇天寺に近い仏舎利湖に出現した巨大な水棲生物。アベックの乗ったボートを沈めた。その正体は全長数メートルのオタマジャクで、ヘビの格好をしたのざらしによって退治されている。

場所

昇天寺 (しょうてんじ)

『快僧のざらし』の主な舞台となる寺院。少なくとも300年以上前に建立されており、それなりに歴史ある寺社ではあるが、これといった売り物がないため参拝客は少ない。寺に伝わる古文書昇天寺縁起によれば、戦国時代の大名が寺のどこかに時価200億円相当の財宝を隠したとされるが、その真偽は不明である。

その他キーワード

地獄! (じごく!)

『快僧のざらし』で使用された一発ギャグ。「地獄!」と言いながら、僧衣の裾を両手で巻く上げ、赤ふんどしに包まれた局部を突き出す。特に序盤で良く使われていた。

昇天! (しょうてん!)

『快僧のざらし』で使用された一発ギャグ。のざらし、陽念、陰念の3人が、組体操のようにポーズを決めつつ、昇天!と声をそろえる。強い興奮や喜びの表現として使用された。

書誌情報

快僧のざらし 小学館クリエイティブ〈その他〉

(2009-12-09発行、 978-4778031244)

(2010-02-05発行、 978-4778031251)

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