概要・あらすじ
高校1年生の佐藤明里は、腐女子であることを隠して、一刻も早く彼氏をつくりたいと考えていた。それは、1か月前、となりに引っ越してきた小学生の永瀬琳音のせいだった。頻繁に明里の部屋に遊びに来る琳音は、ふだんはかわいい弟のような存在。しかし、急に大人びた表情をするときがあり、明里はうっかり恋に落ちそうになるのだ。万一、小学生の琳音に手を出してしまったら、犯罪である。それが世間に知れたら、自分が好きなBL作家やその関係者全般に迷惑をかけることになる。そんな事態にならないために、明里は早くふつうの彼氏をつくってしまおうと考えているのだ。ある日友達から「コミケで知り合ったカップルがつきあったり結婚したりすることが多い」という話を聞いた明里は、次の日曜日、さっそくコミケに出かけることにする。コミケ当日、玄関を出たところで琳音とばったり出くわした明里は、琳音におねだりされ、二人でコミケ会場に向かうことになる。会場は大混雑で、迷子になりそうな明里の手をとり、年下の琳音がリードする形になった。新しい出会いを求めてコミケに来たはずなのに、明里は琳音にますますキュンキュンしてしまい、二人の楽しいデートのようになってしまうのだった。コミケからの帰り、突風のせいで、クレーンでつられた鉄骨が、明里をめがけて落ちてきた。死を覚悟した瞬間、明里に前世の記憶がよみがえった。明里は前世でも、突風によって飛んできたレンガにぶつかって死んだのだ。しかし今回、明里が死ぬことはなかった。間一髪のところで琳音が彼女を救い出したのだ。そのまま気を失ってしまった明里は、前世の夢を見る。はるか昔の異世界で、明里はリリ、琳音はナギという名前で、二人は夫婦であった。病院で目を覚ました明里は、琳音のことを「ナギ様?」と呼ぶが、琳音は「何のことだかわからない」といって怖がり、挙句の果てに泣き出した。その様子を見た明里は、ただの夢だったのだと納得する。しかし、明里が眠ったあと、琳音は彼女のことを「我が妻リリ」と呼ぶ。明里の夢は本当だった。前世で明里に裏切られたと誤解している琳音は、「現世こそ彼女を自分のものにする」と不敵に笑うのであった。
登場人物・キャラクター
佐藤 明里 (さとう あかり)
高校1年生の女子。メガネが特徴の腐女子で、隣人である小学生、永瀬琳音への思いを断ち切るため、ふつうの彼氏を見つけようと必死になる。前世は、異世界で暮らすエルフ族の姫のリリ。政略結婚でいっしょになった夫のナギにぞっこんだったが、ナギは仕事が忙しくて振り向いてくれなかった。そのため、当時異世界でも流行っていたBL本に夢中になる。月に一度開催される「コミケ」という祭に出かけた帰り、突風で飛んできたレンガで頭を打ち、死亡する。
永瀬 琳音 (ながせ りんね)
佐藤明里の隣家に住む12歳の小学生。明里のことを慕い、いつも部屋に遊びに来る。ふだんは明里の弟のように振る舞っているが、突如大人びた言動をすることもある。その正体は、明里の前世であるリリの夫、ナギ。国境警備を任された警備隊長で、指先から強烈な青い閃光を放ち、敵を殲滅(せんめつ)することから「青の魔王」と呼ばれていた。自分に黙って城を抜け出し、そのまま死んでしまったリリに裏切られたと思い込んでおり、現世こそ明里(リリ)を自分のものにしようと考えている。
書誌情報
異世界魔王は腐女子を絶対逃がさない 7巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2021-01-26発行、 978-4098712274)
第2巻
(2021-04-26発行、 978-4098713301)
第3巻
(2021-07-26発行、 978-4098714438)
第4巻
(2021-11-26発行、 978-4098715435)
第5巻
(2022-02-25発行、 978-4098716135)
第6巻
(2022-05-26発行、 978-4098716784)
第7巻
(2022-09-26発行、 978-4098717408)