あらすじ
第1巻
中学の報道部に所属する桜葉洸太は、調査に訪れた海難事故現場で、災獣(サイガイスト)と呼ばれる化け物に襲われる。それを救ってくれたのは、八百万の神々と契約を結んで神力を使って戦う神力契約者(コントラクター)の少年、朱雀ミコトと、同じく神力契約者のキレイなお姉さん、白虎優名だった。彼ら神力契約者は人々を守るため、人知れず日夜災獣と戦っているという。あくる日、洸太が通う中学校にミコトが転校生として、優名が副担任として赴任して来るのだった。強大な災獣の反応を察知したミコトと優名は、洸太の地元にある「桜崎 戦艦島」の戦艦岬へ向かう。津波を引き起こそうとする巨大な災獣の津波型災獣「戦艦顎」が出現するが、ミコトの活躍によって倒され、街の平和は守られるのだった。(契約1 ミコトと優名)
12月に入り、洸太の通う中学校では、学校主催のクリスマスイベント「桜崎聖夜祭」の準備が進んでいた。そんな中、謎の落石現象が相次ぐ。ミコトと優名、洸太が現場に駆けつけると、巨岩崩落型災獣「轟砕坊」が出現。轟砕坊が投げた巨岩によって、クラスメイトが建てたクリスマスツリーがなぎ倒されそうになるものの、ミコトの力で災獣の撃退に成功する。(契約2 聖夜の用心棒)
桜崎の街に古くから都市伝説として伝わる地震男の目撃情報が相次ぐ。一つ目のナマズのような姿の化け物で、大地震の起きる前ぶれだという。地震男の正体は、人間の体内に潜んだ災獣の可能性があるため、ミコトと優名は調査に乗り出す。洸太の通う中学校の教師達の体に潜んでいた地震男が一斉にその姿を現すが、ミコトと優名に活躍によって一掃される。しかし、地震男の本体はまだ生き残っていた。(契約3 地震男がやってくる!)
地震男を倒した以後も地震は続き、ついに本体である岩盤地震型災獣「剛腕鯰」が洸太の中学校に姿を現す。しかし、ミコトは先の地震男との戦いで火の神力を使い切っており、ピンチに陥る。(契約4 震える学園)
第2巻
火の神力が尽きた朱雀ミコトだったが、山火事の炎を利用して神力を回復させ、岩盤地震型災獣「剛腕鯰」を打ち倒す事に成功する。そこに「ジュド」と名乗る、災獣よりも上位の存在、災獣将(サイロード)が姿を現すのだった。(契約5 激突地震男)
災獣のジュドは、ミコトに、あるお使いを頼みたいと、桜葉洸太と白虎優名の二人を人質にとる。ジュドの雷の力を打ち破れないミコトだったが、花嫁姿にされて奪われた優名を取りもどすため、怒りを爆発させてジュドを打ちのめす。ミコトがまだ強くなると踏んだジュドは、一時撤退する。(契約6 災獣将・ジュド)
洸太ら報道部のメンバーは、ミコト、優名と共に毎冬恒例のスキー合宿で雪山を訪れていた。1泊2日の温泉を満喫する中、雪崩型災獣「銅鑼達磨」が出現する。そこへ駆けつけたのは、3人目の神力契約者である玄武廉牙だった。(契約7 3人目の神力契約者)
ミコト達の前に姿を現した二人目の災獣将、シロガネは、雪崩型災獣「銅鑼達磨・改」を復活させる。廉牙はミコトと優名に手を出すなと言い放ち、一人で銅鑼達磨・改と対峙する。(契約8 ミコトと廉牙)
地・水・風の神力を使った廉牙の攻撃によって銅鑼達磨・改をぶっ飛ばしたものの、シロガネによって優名を奪われてしまう。(契約9 災獣将・シロガネ)
優名を奪ったシロガネは、ミコトと廉牙を挑発する。二人の神力を利用して、その地に眠る災獣の発生源である災魂の封印を解くのが目的だった。優名を取りもどすため、ミコトは災魂の神力さえも取り込んで、「超神力 鳳凰斬(ジャスティス・オブ クリムゾン・フェニックス)」を発動し、シロガネを打ち倒す。(契約10 神力契約者M&Y)
登場人物・キャラクター
朱雀 ミコト (すざく みこと)
火の神力を使う神力契約者の少年。年齢は12歳で、誕生日は6月8日。自分を「ワシ」と呼び、語尾に「じゃ」と付ける古風な言い回しをする。背の小さなやんちゃな男の子。ただし、大量の火の神力を取り込むと、一時的に成長した青年の姿になる。口癖は攻撃する時の「ジャスティス!!」と、驚いた時などさまざまな場面で多用する「うな」。 神力契約者宗家である「朱雀家」の跡取り。本来、朱雀家の人間は、地・風・水の3種の神力と契約を結ぶのだが、なぜか朱雀ミコトは火の契約以外は結べなかった。ただし、火の神力はすべての神力の中で最大の攻撃力を持ち、契約するのが難しいので、ほかの契約者と比べても数が圧倒的に少ない。好きなものは炎、バナナ、自分、ゆーな(白虎優名)。 趣味はキケンな事に首を突っ込む事。従者である優名とコンビを組み、災滅政府『朱雀』から派遣されて、災獣と戦う。
白虎 優名 (びゃっこ ゆうな)
風の神力を使う神力契約者の女性。白虎家の次女。年齢は18歳で、誕生日は12月8日。朱雀ミコトの従者を務めており、「ミコト様」と呼ぶ。桜葉洸太の通う中学校に、洸太のクラスの副担任として赴任して来る。やや天然なところがあり、毎回校長に騙されるなどして、セクシーなコスプレ姿を披露するのがお決まりとなっている。 好きなものはミコト様、静かな夜、ヨーグルト。趣味はミコト様にバナナを差し上げる事と森林浴。
桜葉 洸太 (さくらば こうた)
中学校の報道部に在籍する男の子。年齢は14歳で、誕生日は7月22日。海難事故が多発する地元の桜崎海岸を調査に来た際、災獣に襲われ、朱雀ミコトに助けられる。好きなものは優しいお姉さんとミステリースポットで、白虎優名に好意を抱く。趣味は未解決事件の推理および考察。ミコトと優名に出会って以来、災獣による襲撃に巻き込まれる日々を送る。
津波型災獣「戦艦顎」 (つなみがたさいがいすとせんかんあぎと)
戦艦から手足が生えた形態の巨大な災獣。「バロ」が口癖。津波を引き起こして街を滅ぼそうとする。ハガネの体を持つが、大量の火の神力を取り込んだ朱雀ミコトが放つ「超神力 火炎斬(ジャスティス オブ フレイムバード)」によって倒された。
巨岩崩落型災獣「轟砕坊」 (きょがんほうらくがたさいがいすとごうさいぼう)
ボウリングの玉のようなボディの左右から長い両腕、背部からドリルが突き出た巨大な災獣。「ゴルゴル」が口癖。桜葉洸太の通う中学校の生徒達が建てたクリスマスツリーをボウリングのピンに見立て、巨大な岩をボウリングのように投げた。人間の精気を直接吸収できる。腕とドリルを引っ込めた球体になって、朱雀ミコトをつぶそうとしたが、神力を全開させたミコトによって倒された。
桜葉 菊花 (さくらば きくか)
桜葉洸太の妹。年齢は13歳で、誕生日は8月19日。おでこが広く、初対面の朱雀ミコトからは「おでこ娘」と呼ばれた。気が強く、ミコトを「チビ助」呼ばわりして、いきなりケンカを始めた。地震男を目撃したと洸太に伝える。強くてセクシーな白虎優名に惚れ込み、「優名姉さま」と呼んで追いかける。好きなものはカッコいいお姉さん、遊園地。 趣味はサイクリング。
地震男 (じしんおとこ)
桜崎の街に古くから伝わる都市伝説に登場する怪物。一つ目に巨大な口、ナマズ髭を生やして、洋服を着て2本足で立つ。その不気味な姿を見せる時は、大地震が起きる前触れだといわれている。その正体は災獣。人間の体内に潜入するほか、本体を倒さない限り無限に増殖・再生するゾンビ型災獣。桜葉洸太が通う中学校の教師達の体に潜入し、多数が出現した。 多数が「ザッザッーザンッ」の掛け声で足踏みをする「壊滅的舞踏(ダンス・オブ・ジ・タンダ)」で地震を引き起こす。
ジュド
桜葉洸太が通う中学校の非常勤講師の男性。現代国語を担当する。誕生日は8月13日。いつも笑ったような目のイケメン。馴れ馴れしい性格で、白虎優名の手を握ったり、食事に誘ったりする。好きなものはキレイなもの、かわいいもの。趣味はナンパ。その正体は、災獣よりも高位の存在である災獣将のジュド。朱雀ミコトの力を見極めるために、岩盤地震型災獣「剛腕鯰」と戦わせた。 雷の衝撃を飛ばす「雷鳴咆哮(サンダーイグニッション)」や物質を電気信号に変換して任意の場所に再生する「雷神掌握(ライジンパーム)」といった能力を持つ。
岩盤地震型災獣「剛腕鯰」 (がんばんじしんがたさいがいすとごうわんなまず)
多数出現した地震男の本体となる巨大な災獣。工事機械のようなボディと、先端に高圧電流が流れる4本の長いナマズ髭を持つ。「エンヤコーラ ヨイショヨイショオォ!!」の掛け声と共に、パイルバンカーのような両腕で地面を打ち鳴らし、地震を引き起こす。樹堂一郎に「カトリーヌ」と名づけられ、特別に育てられた災獣で、通常の災獣よりも攻撃力が高い。
鈴木 (すずき)
桜葉洸太と同じ中学校の報道部に在籍する女子生徒。丸いグルグル眼鏡をかけている。何事にも動じない性格で、地震男が学校に現れた際にも、部が発行する「桜崎ジャーナル」の記事を平然と書いていた。
龍牙院 鮎 (りゅうがいん あゆ)
災滅政府『朱雀』に所属する一員。眼鏡をかけた女の子。青龍魑魅花が行う災魂の巫女視(スキャン)をサポートする巫女(スキャナー)。
青龍 魑魅花 (せいりゅう ちみか)
災滅政府『朱雀』に所属する一員。年齢は10歳で、10月30日生まれ。災魂の巫女視(スキャン)を行う巫女室長(メインスキャナー)。好きなものは「銀燐堂」の抹茶ケーキ、趣味はネットゲーム。「でしゅ」を語尾に付け、舌足らずな喋り方をする。
山口 (やまぐち)
桜葉洸太の友達。洸太と同じ報道部に在籍する男子生徒。洸太からは「ぐっさん」と呼ばれている。地震が大の苦手。地震男に体を奪われたが、すぐに朱雀ミコトによって助けられた。
木村 美樹 (きむら みき)
桜葉洸太と同じ報道部に在籍する女子生徒。やや気が強く、同じ部員である山口とケンカになる事も多い。
眉見 さやか (まゆみ さやか)
桜葉洸太と同じ報道部に在籍する女子生徒。おっとりとした性格で、口喧嘩を始める木村美樹と山口の仲裁役を務めている。
雪崩型災獣「銅鑼達磨」 (なだれがたさいがいすとどらだるま)
雪だるまのようなボディで、「暴雪丸」と書かれた太鼓を持つ巨大な災獣。太鼓を叩きながらの「ダッダン ダダダン」が口癖。玄武廉牙によってあっさり倒されたが、シロガネの手によって、雪崩型災獣「銅鑼達磨・改」として復活した。
玄武 廉牙 (げんぶ れんが)
朱雀の里で若手No.1の神力契約者と呼ばれる少年。年齢は14歳で、4月17日生まれ。地・水・風の神力契約者。白虎優名に好意を抱いている。幼い頃からやんちゃな朱雀ミコトの尻ぬぐいをさせられており、彼を「バカミコト」と呼んで仲が悪い。好きなものは直角、整理整頓、優名さん。趣味は炊事、洗濯、掃除。
シロガネ
氷雪型災獣将の大男。災魂の正確な場所を摑むため、雪崩型災獣「銅鑼達磨・改」を使って、朱雀ミコト達を襲撃する。運動エネルギーの停止した空間を自由に切り取る事ができる「次元凍結(クローズワールド)」の能力を使い、南極の地下に眠る10万年前の氷山を召喚した。好きなものはガチンコの殴り合い、キレイなオンナ。 趣味は美人を氷像にして愛でたあと、殴り壊す事。
集団・組織
災滅政府『朱雀』 (さいめつせいふすざく)
巨大災害を起こす災獣を狩るために、各地に神力契約者を派遣する組織。総本部は「朱雀の里」と呼ばれる。朱雀ミコトと白虎優名もここから派遣されている。
その他キーワード
神力契約者 (こんとらくたー)
天地に遍く地・水・火・風4つの神力、即ち八百万の神々と契約を結び、その力の一部を使って戦う事のできる人間。「神力契約(コントラクト)!!」の掛け声と共に、神力判という四神の名前のハンコを押して、神力契約を結び、神力を引き出す。朱雀ミコト、白虎優名、玄武廉牙が神力契約者に該当する。
災獣 (さいがいすと)
自然災害を起こして人間を襲い、その魂を喰らって成長する人類の天敵。恐怖に侵された人間の魂をもっとも好む。津波型災獣「戦艦顎」、巨岩崩落型災獣「轟砕坊」、岩盤地震型災獣「剛腕鯰」などが該当する。妖怪、物の怪、精霊などとも呼ばれ、昔から存在していたが、ここ数年その被害件数が増加している。
災獣将 (さいろーど)
災獣よりも上位の存在。災獣とは比べようもないほどの強大な力を持つ。ジュド、シロガネが該当する。災獣の発生源といわれる災魂の場所を探して暗躍する。
災魂 (さいたま)
地球から発する歪んだエネルギーの集合体。災獣の発生源といわれる魔の特異点。その場所には高濃度の「災波(サイウェイブ)」が満ちている。人間を守るため、神力契約者達が必死に探しているもの。災魂の正確な場所は、人間の神力使いでなければわからない。災魂を解放するには、膨大な神力が必要。