引きこもりの少年が超人に変身
高校生の比呂は不良からいじめを受けて不登校になり、引きこもりの生活を送っていた。そんなある日、比呂はインターネットで「JUNKプロジェクト」のモニターに当選し、JUNKスーツを受け取り、超人的な力を手に入れる。意図せずに強大な力を得た比呂は、いじめを受けていた不良に報復し、自分が悪とみなす人物に身勝手ともいえる暴力を繰り返すようになる。さらに、家の中でも力を暴走させたことで、比呂の両親が命を落としてしまう。そんな中、もう一人のJUNKスーツの所持者である利沙が現れ、比呂の無軌道な行動を強く非難する。そんな利沙の言葉に怒りを覚えた比呂は、彼女を超える力を得ることを切望する。
超人的な能力を発揮するJUNKスーツ
JUNKスーツは「JUNK SYSTEMS」と呼ばれる企業が開発した強化服。試作型として黒、白、赤のJUNKスーツが開発されているほか、正式生産型の青いJUNKスーツがある。装着すると、スーツに搭載されている針が脳や脊椎を刺激し、装着者の精神状態に応じた打撃力と瞬発力を得られる。また銃や刃物による攻撃も無効化できるが、衝撃自体は完全には吸収しきれない。スーツを装着するためには、付属されている装置に装着者のDNAを認識させたのち、ツールを身につけた状態で「変身コード」と呼ばれるキーワードを発声する必要がある。変身用のツールはスーツごとに異なり、比呂が変身する黒のJUNKスーツには時計型のリストバンドが使われている。
JUNKスーツを巡る世間の動向
比呂はJUNKスーツを手に入れたことで悪意が増幅し、自らをいじめた不良や粗暴な行為や迷惑行為を働く者を襲撃している。しかし、犯罪者の制裁と呼ぶには被害が大きすぎることから世間の評価は芳しくなく、ついには警察も謎の怪人の逮捕に動き出す。また比呂は、JUNKスーツを身につけて破壊行為を行う際に証拠隠滅を図っていないため、やがて警察から秘密裏にマークされるようになる。一方で、JUNK SYSTEMSは自社が生み出したスーツの影響で世界に混乱をもたらしているにもかかわらず、表向きは世間やモニターたちに対してのリアクションを起こしていない。
登場人物・キャラクター
結城 比呂 (ゆうき ひろ)
東京都中野区に住む高校2年生の男子。ほかのJUNKスーツ所有者や「JUNK SYSTEMS」の関係者から「黒JUNK」と呼ばれている。卑屈かつ衝動的な性格ながら、年上の女性から非常にモテる。クラスメイトの不良からいじめを受け、不登校になって引きこもり生活を送っている。そんな中、インターネットでJUNK SYSTEMSが主催する「JUNKプロジェクト」のモニター募集に当選し、自宅に段ボール箱が届く。その箱の中には時計型のリストバンド、CD-ROM、取説が入っていた。そして謎のリストバンドのボタンを押すと、黒いJUNKスーツをまとった姿に変身する。スーツを手に入れてからは、無力だった過去の自分と決別し、自ら街に繰り出しては身勝手な暴力行為を繰り返している。だが、従姉妹にあたる春海涼子の誘拐事件や、マスメディアの一方的な偏向報道、そして自分以外のJUNKとの邂逅や戦闘を通じて、次第に自分自身の存在意義を考えるようになる。
利沙 (りさ)
白いJUNKスーツを所有する女性。ほかのJUNKスーツ所有者やJUNK SYSTEMSの関係者から「白JUNK」と呼ばれている。JUNKスーツの扱いに長(た)けており、同時期に黒JUNKとなった比呂を圧倒する戦闘力を誇る。生真面目かつ厳格な性格で、力の意味を理解せずに誇示しようとする人間には特に厳しく接する。かつて自分自身に強いコンプレックスを抱いていた時に、アイドルの柊真奈美にあこがれるようになり、彼女のボディーガードを買って出た。その際、真奈美そっくりの顔に整形し、自ら「真奈美の影」と名乗るようになる。
書誌情報
JUNK -RECORD OF THE LAST HERO- 全7巻 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉
第1巻
(2004-06-24発行、 978-4253230957)
第7巻
(2007-04-20発行、 978-4253231541)