あらすじ
単行本第1巻
就職活動中に怪人に襲われている子供を助けた事がきっかけで、無職の青年、サイタマは幼い頃に憧れていた「ヒーロー」になる事を決意。3年間頭が禿げるまで特訓し、無敵のパワーを手に入れたサイタマは、どんな敵もワンパンチで倒せるほど強くなっていた。しかし、その圧倒的な強さゆえに戦いに意味を見いだせず、どこか満たされない日々を送っていた。
そんなある日、サイタマは怪人、モスキート娘に殺されかけていたサイボーグの青年、ジェノスを助ける。ジェノスはサイタマの強さに感銘を受け、彼に弟子入りをする。一方、モスキート娘を作り出した「進化の家」はサイタマに興味を抱き、彼を捕獲するべく怪人を送り込むのだった。
単行本第2巻
人類という種の人工的な進化を促し、新世界を作り上げる事を目論むジーナス博士。博士が自分達を研究対象として狙っている事を知ったサイタマとジェノスは、博士のアジトである進化の家に乗り込む事に。対人類用の精鋭をことごとく倒された博士は最後の手段として、高い戦闘能力を持ちながらも精神が不安点ゆえに地下に幽閉していた阿修羅カブトを解き放つ。阿修羅カブトは暴れまわり、ジェノスを追い詰めたが、サイタマの強さを本能的に恐れ、その秘密を聞き出そうとするのだった。
ついに語られるサイタマの強さの秘密、それは単に「普通のトレーニング」を続けていただけであった。阿修羅カブトはその答えに納得がいかず激昂、理性を捨てて暴走する「亜修羅モード」へと変貌する。
進化の家の一件が片付いた後日、今度はニートが働かずに暮らしていける理想郷を求めて犯罪行為を繰り返す集団、桃源団が出現。ハンマーヘッド率いる桃源団のメンバーが全員スキンヘッドである事から、同じくハゲのサイタマはイメージの悪化を恐れて彼らの討伐に乗り出す。
一方、桃源団のターゲットにされて大金持ちは、凄腕のニンジャ「音速のソニック」を雇って対抗する。ソニックは桃源団を瞬時に壊滅。さらに、通りすがりのサイタマも敵だと勘違いして襲撃するが、あえなく敗北、サイタマを宿敵と認定するのだった。
しかし、サイタマはソニックとの戦いの中で、ある重大な問題に気がつく。それは、3年間ヒーロー活動を続けていたにも関わらず、あまりにも知名度が低い事だった。ジェノスからヒーロー協会の存在を聞いたサイタマは、有名になるために職業ヒーローになる事を決意する。
単行本第3巻
職業ヒーローを目指してヒーロー認定試験を受けたサイタマとジェノス。ジェノスは最上位のS級に合格するが、サイタマは体力では満点だが筆記で失敗し、最下位のC級となってしまう。
無事に職業ヒーローとなったものの、特に事件も起きずダラダラとした日々を送っていたサイタマ。しかし、ジェノスからC級ヒーローは1週間活動を行わなければ除外されてしまうという規定を聞き、慌てて街へ飛び出していく。なかなか事件が見つからず困り果てていたサイタマの前に、前回の雪辱を晴らすべくソニックが登場。自分を相手にしないサイタマを焚きつけるために、ソニックは街を破壊し始めるのだった。
単行本第4巻
街を破壊したソニックを止めた事で少しだけランクアップしたサイタマ。そんなある日、サイタマ達が暮らすZ市に巨大隕石が落下する事が判明。ジェノスは新兵器を使い、隕石を止めるべく渾身の一撃を放つが、あえなく失敗。絶対絶命かと思われたその瞬間、サイタマが現れ、一撃で隕石を粉々に破壊したのだった。
それから数日後。J市に深海から地上を奪いに海人族が出現。A級ヒーローのスティンガーの活躍によって海人族達は倒されるが、海人族た達の長、深海王の圧倒的強さにはかなわず、窮地に陥ってしまう。
そのニュースを見た脱獄囚にしてS級ヒーローのぷりぷりプリズナーと共に脱獄したソニック、そしてサイタマとジェノスはJ市に急行するのだった。
単行本第5巻
本気を出した深海王にはぷりぷりプリズナーとソニックもかなわずに敗走。深海王はさらに、市民で満杯の避難所を襲撃する。居合わせたヒーロー達が手を組んで立ち向かうが、まるで歯が立たず、攻勢に見えたジェノスすらも子供を庇って行動不能に陥ってしまう。そんな絶望的な状況の中、サイタマが登場、深海王を一撃で撃破する。しかし、助けられたはずの市民の一人が「C級ヒーローのサイタマが倒したのだから、他のヒーローは弱かったのでは?」と疑問の声をあげる。ヒーローを蔑む言葉を聞いたサイタマは、彼らをかばうため「ヒーロー達が敵を弱らせてくれたおかげで自分が手柄を横取りできた」と発言し、ヒーローの名誉を取り戻す事に成功した。しかし、サイタマは大衆を敵に回してしまう。
それから数日後、サイタマは深海王を倒した功績をヒーロー協会から認められ、B級ランクへと昇格するのだった。
単行本第6巻
サイタマとジェノスは隕石騒ぎの際に知人となったS級ヒーロー・バングの道場を訪れていた。そんな中、ヒーロー協会から非常招集がかかり、三人は協会本部があるA市へと向かう事に。
本部には、一部を除いたS級ヒーロー全員が集められていた。彼らに下された指令は「地球を守る」事。それは、これまでに災害を予想してきた大預言者、シババワが死に、最後に残した大予言文に「地球がヤバい」と記されていたためであった。
その最中、協会本部上空に宇宙を荒らし回っていた暗黒盗賊団、ダークマターの巨大な宇宙戦艦が出現、一瞬にしてA市は壊滅させられてしまう。さらに出現した最上位戦闘員、メルザルガルドに対し、バング、アトミック侍、金属バット、ぷりぷりプリズナーらが応戦。一方、サイタマは敵戦闘員を倒しつつ宇宙船内に突入する。そして、サイタマはダークマターの頭目、ボロスと対面する。強くなりすぎて敵を失い、退屈していたというボロスは「地球には自分と対等に戦い楽しませる事ができる者がいる」という予言を聞き、20年かけて地球までやってきたのだった。ボロスはサイタマを強敵だと認め、全力で戦闘を開始する。
単行本第7巻
サイタマとボロスが激戦を繰り広げる中、地上ではボロス達がメルザルガルドの弱点を見破って撃破。さらにS級ヒーロー・タツマキも参戦し、戦況はヒーロー側の優勢となる。
ボロスは全力で戦うが、サイタマに追い詰められ、全エネルギーを放って星の表面ごと消し飛ばす、という奥の手を使う。それに対しサイタマも切り札である「マジ殴り」を使い、ボロスを打ち倒すのだった。そして、戦いの余波を受け宇宙船もついに墜落する。
結果としてA市は消滅、宇宙船の残骸はS級のメタルナイトが回収し、ヒーロー本部はさらに強化して再建する事になる。
単行本第8巻
「地上最強の男」と噂されるS級ヒーロー・キング。しかし、実は彼の本性はまったくの気弱で、戦闘能力も皆無。偶然にもサイタマはその事実を知り、彼と友人になったのだった。
一方、ヒーロー協会には犯罪者が集められていた。協会は異常に増加し続ける高レベル災害に対してヒーローが少なすぎる事を危惧し、今後激化するであろう戦いに備えるために、善悪を問わず強いものを集めていたのだった。その中に、「ここにいる全員でも俺を殺せない」と豪語する者が現れる。怪人に憧れ、数々の武術道場を潰してきた男、ガロウである。
単行本第9巻
幼い頃から、必ず怪人がヒーローに負ける事が納得いかず、最強の怪人となる事を夢見てきたガロウは、ヒーロー協会に集められた悪人達とヒーローの前で「悪を執行する」と宣言、一人でその場にいた全員を倒してしまう。
その頃、サイタマのもとにはリベンジを誓ったソニックが訪れ、ジェノスと対決。さらにB級1位かつB級のヒーローを束ねた派閥を率いるヒーロー、フブキが現れ、サイタマに自分の傘下に入れと勧誘する。しかし、サイタマは派閥やランキングなどくだらないと突っぱねるのだった。
ジェノスとソニックは互角の戦いを繰り広げ、次第に周囲に被害が広がってしまう。それに見かねたサイタマはソニックの相手をする事になり、必殺技、「マジ反復横跳び」で瞬殺するのだった。その後、ヒーロー協会では幹部会議が行われ、サイタマとジェノスのヒーローネームが決定していた。ジェノスは「鬼サイボーグ」そして、サイタマは見た目のまんまの「ハゲマント」。
一方、ヒーローを狩り続けていたガロウは、「人間怪人」としてついにヒーロー協会から指名手配を受ける。そのガロウのかつての師匠、バングが兄のボンブとともに討伐に名乗り出るのだった。
そして、バングはS級ヒーロー・タンクトップマスターと激突。一度は追い詰められるが、バングに教わった流水岩砕拳を使ってタンクトップマスターを打倒し、本格的にヒーロー狩りを開始する。
単行本第10巻
ガロウに敗れて入院していたタンクトップマスターから、ガロウが単なる怪人ではなく武術の使い手だと聞いたサイタマは興味を抱き、カツラで変装して異種格闘技大会、スーパーファイトに参加する。
一方、ガロウはヒーロー狩りを続け、ヒーロー協会の重役をも手にかける。協会は危機感を抱いて警戒令を発令。特に幹部達は、外出の際はS級ヒーローをボディガードにつける事が徹底される。S級の金属バットもまた幹部の護衛に駆り出されていたところ、突如怪人・ムカデ後輩とムカデ先輩、さらに災害レベル、竜のムカデ長老が出現してしまう。
単行本第11巻
ムカデ長老との戦いで疲弊した金属バットの前にガロウが登場。金属バットはガロウの猛攻を受けるが、どれだけ重いダメージを負っても気合でパワーアップし、ついにはガロウを追い詰める。金属バットの一撃がガロウを捕らえようとした瞬間、金属バットの妹、ゼンコが二人の間に入り、勝負は流れたのだった。
しかし、ムカデ長老は逃げ延び、重役の息子も怪人達に拉致されてしまう。さらに各地で災害レベル・鬼以上の怪人が同時多発的に出現、戦力が分散してしまった事もあり、ヒーロー達は次々と敗北。
一方、スーパーファイトに参戦していたサイタマは、難なく1回戦を突破していたのだった。
単行本第12巻
スーパーファイトでは、過去に大会三連覇を成し遂げた若き伝説の武術家、スイリューがA級ヒーロー・イナズマックスを一撃で降し、会場を沸かせていた。そんな中、大会が開催されているC市にも数体の怪人が出現。サイタマの邪魔となる事を危惧したジェノスは一人怪人の迎撃に向かう。サイタマはそんな状況ともつゆ知らず、大会二連覇中の猛者、バクザンを一撃で倒していた。
一方、各地で怪人と激突していたヒーロー達は劣勢に立たされていた。フブキはムチで打った相手を下僕とする怪人、弩Sに、優勢だったジェノスも覚醒ゴキブリに苦戦。そして、この怪人達の同時攻撃を指揮していた組織が、怪人協会と、その長である怪人王オロチであることが判明するのだった。
そんな中、ガロウは単独で縄張りであるQ市を怪人から守り抜いたS級ヒーロー、番犬マンを狙うのだった。
単行本第13巻
怪人達が暴れまわるなか、S級ヒーローのアトミック侍は屈指の剣豪が集まる「剣聖会」の面々に、ガロウの討伐に手を貸すように依頼していた。しかし、剣聖会の一人、ハラギリは、人間を超えた強さという誘惑に負けて怪人協会の勧誘に乗ってしまい、人間を怪人に変貌させてしまう「怪人細胞」を体内に取り込んでしまっていたのだった。アトミック侍はこの状況を危惧し、まずは怪人協会を潰す事を決意する。
一方、スーパーファイトではサイタマとスイリューの決勝戦が開始。武術を体験するためにスイリューの猛攻を受け続けていたサイタマだったが、気楽で楽しい人生を求め、ヒーローを否定するスイリューの言葉を聞き、「楽しむのが目的ならそれ以上強くならないほうがいい」という助言とともに一撃を繰り出してしまう。パンチ自体は寸止めだったものの、衝撃でカツラが外れてサイタマは失格負けに。しかし、スイリューはそれを無視して戦闘を続行。最終的にサイタマは武術とは「動きがかっこいいもの」と理解し、スイリューを見よう見まねの雑な武術で打ち倒すのだった。だが、すでにサイタマは失格していたため結果は変わらず、大会はスイリューの優勝に終わった。
そして、何事もなく閉会式が行われるはずであったが、その場にジェノスを倒した怪人・ゴウケツが現れてしまう。
単行本第14巻
かつてはスーパーファイトの優勝者だったが、怪人に敗れ、自身も怪人と化したゴウケツは、選手達に怪人細胞を差し出し、ここで死ぬか、怪人になるかという選択を迫る。次々と怪人化する選手達に立ち向かうスイリューだが、ゴウケツには手も足も出ず、追い詰められてしまう。助けに入った大会参加者のA級ヒーロー、スネックとイナズマックスも敗れ、さらにバクザンも怪人化。残虐なバクザンにいたぶられ、誰も助けに現れないという絶望的な状況の中で、初めてヒーローの尊さを理解したスイリュー。そして、助けを呼ぶ声を聞いたサイタマが現れ、一撃でバクザンを粉砕。さらにはゴウケツをも打倒する。
スイリューはヒーローになる事を決意し、サイタマに弟子入りを申し出るが、にべもなく断られてしまうのだった。
単行本第15巻
怪人協会の襲撃にも対応が遅れ、スーパーファイトからも何も得る事ができず、サイタマはまた強くなりすぎてしまった事に悩み始めてしまう。
一方、修行を積んでいたソニックのもとに、同じ里のニンジャ、疾風のウィンドと業火のフレイムが現れる。すでに怪人協会の勧誘に乗って怪人化した彼らは、ソニックを仲間に引き入れようと目論んでいたのだった。
怪人の同時多発襲撃も沈静化した頃、ヒーロー協会に怪人協会、参謀役のギョロギョロからメッセージが入る。その内容は、3日間だけ猶予を与えるから、その間にヒーロー協会の最高戦力を集めてこい、という宣戦布告であった。こうして、ヒーロー協会対怪人協会の全面戦争が始まるのだった。
かたや手負いのガロウは、A級のスティンガーとデスガトリングらを筆頭としたヒーロー達に包囲されていた。
単行本第16巻
A級ヒーロー・スティンガーとデスガトリングをはじめ、8人ものヒーローに囲まれたガロウ。連戦で疲労困憊なか、ガロウはヒーロー狩り100人突破を宣言し、戦闘を開始する。
ヒーロー達の完璧な連携に押されつつも、最後の力を振り絞って8人を倒したガロウ。しかし、彼の前に救難信号をキャッチしたジェノスが登場。ガロウの力を欲する怪人協会の助けも無視し、最強の怪人である事を証明するために必死で戦うガロウだが、さらにかつての師、バングとその兄ボングも登場。自分の上をいくバングの猛攻に、ついにガロウの心は折れかけてしまう。
テレビアニメ
2015年に初のテレビアニメ化。10月4日からテレビ東京ほかにて放送。アニメーション制作はマッドハウス。主人公のサイタマを古川慎が演じる。2019年4月2日より第2期が放送。アニメーション制作はJ.C.STAFF。
登場人物・キャラクター
サイタマ
ヒーローをやっている25歳の男。スキンヘッドにヒーローマントが特徴的である。カニのような外見の怪人カニランテから「死んだ目をしている」と評されるような気の抜けた目をしている。就職活動中に、カニランテに襲われている子供を助けたことがきっかけで、ヒーローになることを決意。 3年間頭が禿げるまで腹筋などの特訓を重ね、パンチ一撃でどんな敵も倒してしまえるほどの強さを手に入れた。また、肉体も頑丈に成長しており、怪人に吹き飛ばされるなどしてもほとんどダメージを受けない。ただ、彼は自らが強くなりすぎてしまったことに虚しさを感じていて、自分が本気を出せそうな強い相手を望んでいる。 最初は趣味でヒーロー活動を行っていたが、世間での知名度が低かったため、正式にヒーローを名乗れるヒーロー名簿に登録し、職業としてヒーローをすることになった。通常の戦いでは「普通のパンチ」や「連続普通のパンチ」を使用する。強敵と戦う際は「必殺マジシリーズ」という必殺パンチなどを繰り出す。
カニランテ
カニを食べ過ぎて突然変態を起こし、上半身が甲羅に覆われ、手はカニのハサミ、顔もカニのようになった男。「プクプクプク(笑)」という独特の笑い方をする。「死んだ目をしている」と自称し、同じく死んだ目をしているヒーローのサイタマに親しみのようなものを感じていた。突然変態後の自分の外見を笑う人を憎み、何人もの人間を切り裂いてきた。 寝ている間に油性ペンで彼の胸に落書きをしたアゴの割れた男の子にも怒り狂い、八つ裂きにしようと探していた。
モスキート娘 (もすきーとむすめ)
蚊のような肉体をもつ女性の怪人。蚊の大群を操り、Z市を襲った。半径50キロの範囲内の蚊に、指示を出すことが可能。また、人間や動物たちから血を集め、自らのエネルギーにすることができる。彼女の操る蚊は、蚊の専門家も知らない特殊な種である。新世界の到来を唱える宗教団体「進化の家」で作られたクローンの試作品。
ジェノス
身体の大部分が機械で構成されているサイボーグの男。15歳のときに、暴走したサイボーグに自分が住んでいた街を破壊され、家族も殺され一人生き残った。仇を討つため、科学者に身体改造をしてもらい自身もサイボーグ化。正義のサイボーグとして暴走サイボーグを探しながら正義活動を行う旅をしている最中、ヒーローのサイタマと出会う。 圧倒的強さをほこるサイタマを目にし、彼のような強さを手に入れたいと思い、弟子入りを志願した。目上の人に「お前」と呼ぶなど失礼な面がある一方で、サイタマのことは「先生」と呼び尊敬している。身体の大部分が機械なので、大抵の怪我は身体のパーツを取り替えることで治すことができる。 掌から出す熱線はビルを一瞬で焼き払えるほどの威力を持つ。
ジーナス博士 (じーなすはかせ)
新人類による新世界の到来を唱える宗教団体「進化の家」を作り出した科学者。高い知能を持ち世間から賞賛を浴びる一方、それゆえ一般人に溶け込めないことに幼少期から不満を持っていた。人類という種の人工的進化を通して、自分の頭脳レベルに一般人を引き上げようという夢を持っている。 しかし、その考えは世間の理解を得られておらず、危険な思想とみなされている。博士が70歳のときに若返り、数々の動物実験を繰り返し、クローンや新しい種を作り出してきた。博士自らのクローンも大量にいる。人類として卓越した強さを持つヒーローサイタマの肉体に興味を持っている。
阿修羅カブト (あしゅらかぶと)
カブトムシを模した怪人。人工進化を研究する科学者、ジーナス博士の作成した人工進化の完成型。博士の作り出した人工進化型の種として最強をほこる。知能、肉体レベルともに進化していない人間とはかけ離れた高さにあるが、品性だけは備わらなかった。殺戮を好み、ジーナス博士ですらコントロールができず、博士の研究所の地下に閉じ込めている。 「阿修羅モード」にはいると丸一週間理性がとび、闘争本能が収まらなくなり、殺戮を続ける。
ハンマーヘッド
スキンヘッドだらけの、暴力活動を行う犯罪集団「桃源団」のリーダーの男。黒い新型のバトルスーツとスキンヘッドが特徴。身長2メートル15センチ、体重210キロの巨体を持ち、路上の喧嘩で20人全員を病院送りにした経歴がある。働かなくてはいけない世の中に不満を持ち、働かなくても衣食住が提供される社会を求めて手下たちと共に暴力活動を行っている。 彼の頭蓋骨は通常の何倍も分厚い。B級の賞金首。
音速のソニック (おんそくのそにっく)
暗殺から用心棒までなんでも請け負う忍者の男。黒ずくめの衣装で顔の下半分も黒いマスクで覆われている。長めの髪を後ろでくくっており、背中には刀を背負っている。肉眼では確認しづらいほど高速で動き、クナイや剣、蹴りなどで攻撃をする。忍者の里で生まれ、幼い頃から技の研鑽を重ねてきた。 スキンヘッドのヒーロー、サイタマのことをライバル視している。戦った相手のことは生かして帰したことがないという。
昆布インフィニティ (こんぶいんふぃにてぃ)
全身真っ黒で、血走った目と、大量の長い昆布のような頭から生えた触手が特徴の怪人。怪人が多く出没すると噂のZ市のゴーストタウンに現れた。Z市にいるとされる怪人集団の噂をききつけ、Z市の外から来た。昆布のような触手は鋼鉄のような硬さをもつ。人間の悲鳴を聞きたがったり、居住区に攻めていって目立とうとしたりと、有名になりたがる素振りを見せている。
フブキ組の新入り (ふぶきぐみのしんいり)
B級ヒーローに最近昇格したヒーロー。B級ヒーローの多くが所属する派閥フブキ組に属している。黒縁メガネに、フブキ組のトレードマークである黒いスーツを身にまとっている。もともとは食費を切り詰めて生活するような、うだつのあがらない会社員をしていた。電車の中吊り広告でヒーローという職業を知り、ヒーローへの転職を決意した。 ヒーローへの憧れを持っていたが、特筆すべき才能も成果もなく、会社員時代と変わらずやりがいを感じられなくなっていた。努力より才能や出自が結果に反映することを虚しく感じている。フブキ組全体で火炎瓶などを投げるなど、数で勝とうとする戦い方をする。
バング
白髪に立派な口ひげが特徴の高齢のヒーロー。S級3位のヒーローであり、同じS級ヒーローであるジェノスは初対面で本物の実力者だと察知した。先祖代々「流水岩砕拳」という体術の道場を継いでいる。実力者揃いの道場の弟子たちをみな再起不能にしてしまったため、今は弟子は一人しかいない。 他のヒーローが慌てふためいたりするなか静観していたりと、終始穏やかな姿勢を保つ。
無免ライダー (むめんらいだー)
ライダースーツにヘルメット、ゴーグルを付けたバイク乗りのような格好の自転車に乗ったヒーロー。正義の自転車乗りを自称している。C級ランキングトップのヒーロー。これといって能力はなく、素手、もしくは自転車をあいてに投げつける「ジャスティスクラッシュ」などで戦う。自分の無力さを自覚しているが、正義のために明らかに自分より強い敵からも逃げない。
戦慄のタツマキ (せんりつのたつまき)
エスパー能力がある女性ヒーロー。超自然的な能力で敵を倒す。ヒーローランキングS級2位の実力をもつ。低身長で幼い容姿をしている。巻き毛とつり気味の猫目、深いスリットのワンピースが特徴。プライドが高く高飛車な物言いをし、初対面でも「消えて」などというキツイ言葉を浴びせる。妹に、同じくヒーローのフブキがいる。
ぷりぷりプリズナー
刑務所にいるおかまのヒーロー。S級17位の実力をもつ。青ひげに割れたアゴをもち、囚人服に彼氏が編んだというハートがついたセーターを着ている。同性愛者であり、好みの賞金首が監獄に入るので一緒に入所してきた。囚人たちが悪さをしたらディープキスをするなどの罰を与えるので、囚人たちには「ボス」と呼ばれ非常に恐れられている。 好みの犯罪者がいると脱獄して捕まえに行く。エンジェルスタイルに変身すると、筋肉が膨張し服が破け全裸になり、パワーが増加する。パンチなどで攻撃するパワータイプ。
深海王 (しんかいおう)
海人族と呼ばれる、海中にいる怪人を統べる王。王冠をかぶり、水中パンツに豪華なファー付きのマントを身にまとっている。水かきが顔についていて、鋭い歯を持っている。口から、ウツボや金属でも溶けるような謎の液体を出して攻撃してくる。また、雨が降るとエネルギーが充填され、恐竜のような姿形になる。
アマイマスク
その名の通りイケメンとして名の通ったヒーロー。ヒーローランキングA級1位の人気ヒーロー。世間からの人気が高く、ヒーローたちの代表としてよくテレビ出演をしている。ドラマや映画などにも出演するなど活動の幅が広い。ヒーローとはどうあるべきかをよく語っている。世間からの注目度も高いため、A級以上のヒーローの管理に関してヒーロー協会に口を出す権利を持っている。
バッド
リーゼントが特徴のヒーロー。ヒーローランキングS級15位の実力を持つ。金属バットに学ラン、ボンタンというヤンキーのようなスタイルがトレードマーク。金属バットで敵を打ち飛ばす戦い方をする。妹思いであり、ヒーロー協会からの呼び出しで妹のピアノの発表会を抜け出さなくてはいけなくなったときは不機嫌さを隠さなかった。
シワババ
天災や怪人の到来のタイミングを予言する予言者。予言は、すべての災害を言い当てることはできないものの100パーセント当たるので、ヒーローたちも身辺警護をしていた。しかし、半年先の未来を占っている途中に気が動転し、息が荒くなり咳が出たためのど飴を舐めたところ、その飴を喉につまらせて亡くなった。
ボロス
宇宙で悪さをする暗黒盗賊団ダークマターの頭目で、全宇宙の覇者。大きな一つ目が特徴。20年前、宇宙を荒らし回ったあげく誰も歯向かうものがいなくなり退屈していた。そんななか、占い師に「遠く離れた地球にボロスと対等に戦い楽しませてくれる者がいる」と予言され、地球を目指した。強大すぎるパワーを封印するための鎧を着ている。 ボロスの種族は過酷な環境の星での生存競争に勝ち抜いてきた。その一因に非常に高い自然治癒力が挙げられる。なかでもボロスは自然治癒力、身体能力、潜在エネルギーがずば抜けて高い。「メテオリックバースト」や「崩星咆哮砲」などのエネルギー砲を戦いにもちいる。
集団・組織
桃源団 (とうげんだん)
『ワンパンマン』に登場する組織。構成員が全員スキンヘッドの犯罪集団。リーダーのB級賞金首ハンマーヘッドを中心に、金持ちの家の破壊などの活動を行っている。働かなくてはいけない世の中に不満を持ち、働かなくても衣食住が提供される理想郷になるまで暴れ続けると主張している。構成員は全員ハンマーヘッドに同調した、無職で働く意志のない若者達である。 構成員は黒い新型のバトルスーツを身にまとっている。
ヒーロー協会 (ひーろーきょうかい)
『ワンパンマン』に登場する組織。公式にヒーローとして生活する者たちが所属する協会。大富豪アゴーニが、孫が怪人に襲われたときに通りがかりの男性に助けられたという話を聞き、私財を投じて設立した。活動は寄付金によって賄われており、所属するヒーローたちには働きに応じた報酬が与えられる。ヒーロー協会に所属し、ヒーロー名簿に登録してある者たちは、職業としてヒーローを名乗ることができる。 協会への参加はヒーロー認定試験という筆記テストと体力テストの二つを受けて合格しなければいけない。ヒーロー名簿に登録されると実力ランキングや人気ランキングにも同時に登録され、S・A・B・C級にランク付けされる。各級の中には強いヒーローを中心にした派閥も存在する。
場所
Z市
ヒーローのサイタマやジェノスが住んでいる。他の地域と比べ怪人発生率が格段に高く、ヒーロー協会設立の10年以上前から怪人発生の頻度は上昇していた。そのため郊外の住民らが他の都市に引っ越し、ゴーストタウン化が進んでしまっている。Z市における怪人の発生原因は不明であるものの、ゴーストタウンになんらかの原因があると見られている。
進化の家 (しんかのいえ)
『ワンパンマン』に登場する施設。人工進化を研究する科学者ジーナス博士のつくった研究所。世間には新人類による新世界の到来を唱える宗教団体として認識されている。ジーナス博士は進化の家で、数々のクローンやサイボーグを生み出した。新人類による世界を作り出すため、旧人類を撲滅しようとしている。 旧人類撲滅用精鋭戦力は、ゴリラ型の戦闘型サイボーグ「アーマードゴリラ」をはじめ、戦闘に特化したクローンやサイボーグが集められている。研究所は巨大なビルで、地下はとても広く戦闘実験用ルームが備わっている。戦闘実験用ルームは進化の家の中で一番大きな場所になっている。
クレジット
- 原作
書誌情報
ワンパンマン 32巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2012-12-04発行、 978-4088707013)
第2巻
(2012-12-04発行、 978-4088707020)
第3巻
(2013-04-04発行、 978-4088707242)
第4巻
(2013-08-02発行、 978-4088708713)
第5巻
(2013-12-04発行、 978-4088800837)
第6巻
(2014-05-02発行、 978-4088801285)
第7巻
(2014-12-04発行、 978-4088802626)
第8巻
(2015-04-03発行、 978-4088803821)
第9巻
(2015-08-04発行、 978-4088805306)
第10巻
(2015-12-04発行、 978-4088805771)
第11巻
(2016-06-03発行、 978-4088806464)
第12巻
(2016-12-02発行、 978-4088807850)
第13巻
(2017-04-04発行、 978-4088811031)
第14巻
(2017-08-04発行、 978-4088812311)
第15巻
(2017-12-04発行、 978-4088814315)
第16巻
(2018-04-04発行、 978-4088814513)
第17巻
(2018-08-03発行、 978-4088815565)
第18巻
(2018-12-04発行、 978-4088816906)
第19巻
(2019-04-04発行、 978-4088818139)
第20巻
(2019-07-04発行、 978-4088818146)
第21巻
(2019-12-04発行、 978-4088818153)
第22巻
(2020-09-04発行、 978-4088822921)
第23巻
(2021-01-04発行、 978-4088824550)
第24巻
(2021-12-03発行、 978-4088830025)
第25巻
(2022-05-02発行、 978-4088831367)
第26巻
(2022-06-03発行、 978-4088831374)
第27巻
(2022-11-04発行、 978-4088833361)
第28巻
(2023-06-02発行、 978-4088835860)
第29巻
(2023-11-02発行、 978-4088837420)
第30巻
(2024-03-04発行、 978-4088838632)
第31巻
(2024-07-04発行、 978-4088840987)
第32巻
(2024-11-01発行、 978-4088842677)