概要・あらすじ
宇宙大学に入学したタダトス・レーンとフロルベリチェリ・フロルは、入学試験での力試し後、故郷の星アリトスカ・レに帰ったマヤ王バセスカから招待を受ける。しかしアリトスカ・レは伝統を重んじる貧しい国で、国内では急進派の大臣バパがアリトスカ・ラに戦争を仕掛けようとしていた。ふたりの滞在中、バパは計略を持ってクーデターを起こし、バセスカを追い落とし伯父のトマノを新王に据える。
登場人物・キャラクター
タダトス・レーン
宇宙大学の学生である少年。パイロット志望。超能力の素養を持ち、開発のための訓練を受けている。前作『11人いる!』の入学試験時に出会ったフロルベリチェリ・フロルとは婚約中。マヤ王バセスカの招待を受け、フロルと共にアリトスカ・レに遊びに行くが、クーデターに巻き込まれてしまう。
フロルベリチェリ・フロル
宇宙大学の学生。パイロット志望。男でも女でもない無性の完全体。前作『11人いる!』の入学試験で出会ったタダトス・レーンと婚約している。パイロットとしての腕は非常に危なっかしい。マヤ王バセスカの招待を受け、タダと共にアリトスカ・レに遊びに行くが、クーデターに巻き込まれてしまう。
マヤ王バセスカ (まやおうばせすか)
アリトスカ・レを統治する王である青年。前作『11人いる!』の宇宙大学入学試験に合格した後、故郷へ帰り王としての政務をこなしていた。タダトス・レーンとフロルベリチェリ・フロルの二人を客人として招くが、折悪しく大臣バパのクーデターが勃発する。
トマノ
アリトスカ・レに住むマヤ王バセスカの兄。アルコール中毒気味でのんきな性格。気は弱い。大臣バパのクーデターによって、王位に就けられてしまう。
アマン
アリトスカ・レのマヤ王バセスカに仕える伯爵。文武両道に優れた男性。バパのクーデターを見抜き、囚われたバセスカ、タダトス・レーン、フロルベリチェリ・フロルを助けた。
バパ
アリトスカ・レの大臣。先王が病床について以来、5年間摂政として国政を補佐してきた。アリトスカ・レが後進国であることに苛立ちを感じており、アリトスカ・ラと戦争をすることで経済発展させようと目論んでいる。次法司長で司祭のドゥマーと共にクーデターを実行する。
ドゥマー
アリトスカ・レの次法司長。司祭でもある。大臣バパのクーデターの協力し、現法司長オーセの力を抑える。
オーセ
アリトスカ・レの法司長である老人。オナの養父。大臣バパのクーデターにより殺害されてしまう。最後の力でマヤの峰に火を灯す。
ゾンブル
ドゥーズ大国の秘密情報部長官。ドゥーズ大国大統領に働きかけ、アリトスカ・レ、アリトスカ・ラのアリトスカ東西両国で産出される宝石などの権益を狙い、両国の乗っ取りを企む。
ソルダム四世ドリカス (そるだむふぉーすどりかす)
宇宙大学の学生である青年。アリトスカ・ラの出身で、大学でマヤ王バセスカと親しく付き合っていた。大学でアリトスカ・ラとアリトスカ・レが交戦状態に入ったことを知り、故郷に一旦帰還。そこでバセスカ暗殺の指令を受ける。
ローン
アリトスカ・ラの男性。ソルダム四世ドリカスとチュチュ・エリア九世ドリカスの伯父。アリトスカ・ラの代表として、アリトスカ・レとの和平使節団の一員となるが、ドゥーズ大国のゾンブルの手下に襲われてしまう。
チュチュ・エリア九世ドリカス (ちゅちゅえりあきゅうせいどりかす)
アリトスカ・ラの少女。ソルダム四世ドリカスの妹。慕っていた伯父のローンが加わった和平使節団が殺害されたという報告を聞き、アリトスカ・レに対して激しい憎しみを抱く。
レッド
銀河連邦から派遣されたエージェントの男。通称「火消しのレッド」。不要な戦争の火種を消すことを任務としている。アリトスカ・ラとアリトスカ・レの衝突を防ぐため、アリトスカ・レの北方の豪雪地帯に潜んでいた。タダトス・レーン、フロルベリチェリ・フロル、マヤ王バセスカを助ける。
オナ
アリトスカ・レの法司長、オーセの養女。八人の次法司長の一人。オーセの殺害容疑をバパ大臣からかけられてしまう。
宇宙大学 (うちゅうだいがく)
地球総合政府が管理する大学。宇宙航行技術などを中心に、さまざまな学問を教え、最新鋭の設備を有している。大学国とも呼ばれ、国家としての主権を有している模様。生徒数は約6万人。
アリトスカ・レ
アリトス母星を周回する惑星のひとつ。アリトスカ・レとは現地の言葉で「東の地」を意味する。700年前に隣星のドゥーズ大国によって科学文明がもたらされたが、2000年前からアリトスカ・ラと大砲の合図などで交流を持っていた。宗教的な伝統を重んじる国で、王家の血筋の中でも、祈りの塔で祈りを捧げるとマヤの峰に火が灯る者だけが王の資格を持つ。 王家の起源は4000年前に遡るほど古い。いまだ貧しく、多くの問題を抱えている。アリトス母星の鉱山に技術者を送っているが、そこでアリトスカ・ラとの衝突がたびたび起きている。
アリトスカ・ラ
アリトス母星を周回する惑星のひとつ。アリトスカ・ラとは現地の言葉で「西の地」を意味する。アリトスカ・レ同様、科学文明を取り入れてはいるもののいまだ貧しく、発展途上の国。
前作
11人いる! (じゅういちにんいる)
宇宙大学受験生の一人タダトス・レーンは、宇宙船・白号で53日間生活するという最終試験に臨んだ。しかしそこには大学が告げた定員10人よりも1人多く乗っていた。正体不明の11人目を恐れながらも受験生たち共... 関連ページ:11人いる!